メリケン大作戦　第一回 －も～喰えましぇん!!真夏のNYで謝肉祭2015－ : Smith & Wollensky New York

昼下がりのNYC。朝方のGrand Central Pkw.のトラック事故で、空港からマンハッタンまで何時にも増して大渋滞。タクのレゲエ兄ちゃんは裏道を縫うようにガタゴト走るわで、マンハッタンに入るまでえらい手間取った。やっぱ電車にすべきだったなぁ･･･ぐう～腹減った。さぁて、取り敢えず飯喰うぞ、メシ!!

Aug. 4, 2015

流石にマンハッタンだと、有名どころのビフテキ屋さんが数多い。この大箱店は決して高級店じゃなくて、安くて旨い本格ビフテキ店の代表格だろう。創業は1977年と、さして歴史が深い店舗じゃあないのだけれど、とにかく店員さんも食堂チックなフレンドリーさで、肩肘張らずに骨の髄までメリケン･ビフテキが楽しめるのが美点。今日も平日14時過ぎにも関わらず、店内はリーマン、家族連れ、女子会、敬老会もどきが入り乱れて、大入り満員の賑やかさ。

【Our Classic 26oz. Prime Rib (medium)】$49.00 (lunch time price, without tax and service)
USDA Prime beef（米国農務省格付け特級牛肉）である。米国産食用牛のトップ1%に相当するとされるUSDA Prime beef。このお店は、その更にトップ25%に相当する特上レベルの牛肉のみを仕入れて焼くらしいのだが、その割には26oz.（約740g）で$49（約5900円）てのは安過ぎやしません?まぁそれは置いといても、このNYCの有名ステーキハウスの看板メニュー、どこからどう眺めてみてもステーキには見えぬだろう。それでもやはりこれは何だ?と問えば、店員殿はステェイクだと答える。このギャップ、その調理方法に理由があった。

まず、26lb.（約11.8kg）にもなるリブロースの塊を、定温貯蔵室で18日前後もドライエージング（乾式熟成）させる。そうして自己消化で旨みを増したリブロースは、そのまま丸ごと牛肉の臭いを閉じ込める為に、水を張ったパンの中でジックリ火入れされる。決して熱したパンでジュージュー焦がされる訳ではない。つまりこれは、ステーキと呼ばれるものの、実際は限りなくローストビーフに近いもの。一抱えもある巨体なので、周囲と内側では火入れの度合いも大きく変わる。それを逆手にとって、レアからウェルダンまで客のオーダーに応じて、実に器用にリブロースの切り出し部位を変えているらしいのだ。そうして切り出された740gの分厚い肉板は、ベッタン!!と皿に乗せられ、パンの底に溜まった肉汁をタップリ掛けられて画像の一品になる。

喰ってみたら、こりゃ正にローストビーフ。リブロースなので脂身は綺麗に隔てられているから、そこさえ外して喰っていれば、ほぼ赤身のヘルシーさ。ドライエイジングの効果は絶大で、塩もソースも要らない味わい、と言うか風味である。200g位までは旨くて仕方ない。400g位までで肉を堪能する。そこからフィニッシュまでの340gが肉地獄って案配である（笑）食感は、決して和牛の様なプライム･ソフト食感じゃあなくて、どこまでもメリケン･ビーフ特有のガシンとした歯応え。肉を喰ってる実感に押し潰されそうになる740g。このヤンキーっぽさは、決して日本じゃお目に掛かれぬ存在感。

【Whipped Potato (Mashed Potato)】$6.00 (lunch time price, without tax and service)
こいつもこのお店の名物と言える付け合せ。と言うか、これは付け合せって量じゃない。ほぼ丼一杯分サーブされて出て来るこのマッシュポテト、ホイップトポテトと呼ばれるには訳がある。とにかくバターを加えて徹底的に練り込まれてるから、もはやジャガイモの一かけらも見当たらぬ、ジャガイモ風味のペースト、あるいはポテトクリームってシロモノ。最初のうちはウワ～っと感動するのだけれど、如何せんこの単調味、かつこの爆量なので何とも手強い。さっきの740g肉とこの500gポテトで、いったい何kcalになるのやら。トホホ･･･

【Summary】
アメリカン･ビフテキってやはり懐が広いなぁと思う。大方は表面黒焦げで中からは血が滴る、何だか焼死体チックな肉塊なんだけど、こんな看板メニューもちゃんとある。確かに彼の地でも、Kobe Prime Filet Mignonは高級ビフテキとしてちゃんと認知されてはいるのだが、それはそれ、これはこれ。やはりこの、非常識とも言える肉塊を喰い尽くす、筋金入りの肉食文化はアメリカならでは、なのである。