さて(笑)、ホテルの個室でのフェアウェル・パーティが早めに終わったので、どこかに遊びに行きたいと言い出した何人かを引き連れて、路面電車でフィッシャーマンズ・ウォーフに向かう。途中、マーケットストリートでトランプ大統領就任に反対するデモを見る。カリフォルニアは怒っている。ポートランドもシアトルも、西海岸はどこも怒っている。ポートランドのデモではこの日死者が出たとあとになって聞いた。 ピア39で降りる。クリスマスツリーの下にサックス吹きがいる。みんなが買い物をしている間に、僕はぶらぶらと桟橋を歩く。いつものように先端まで行って、いつものようにアルカトラズ島とゴールデンゲイトブリッジを眺める。今は夜なのでネオンしか見えないが。 それからビールを飲みたいと思ってこの店に入った。店名はありがちな駄洒落だが、こういう駄洒落は嫌いではない。ピア39は駄洒落のオンパレードだが、それらの駄洒落はどれも嫌いではない。 カウンター席に着くと、あと10分でラストオーダーだと言われる。構わないと言って、充分だと言い直して、アンカースティーム(16オンス)を頼む。そしてゴールディ・ホーンのことを考える。 左側にはデンヴァーから来たカップル。バーテンダーは気の良い感じで、彼らに話し掛けていて、僕にも話し掛けてくる。 集合時間が近付いてきて、アンカースティーム6.50ドル、税など込み7.53ドルで、チップを足して9ドルを置いて店を出る。そして桟橋の付け根に戻る。集合場所のクリスマスツリーの下ではサックス吹きが今度は「Just the Two of Us」を吹いている。 全員集合して、みんなでケーブルカーの始発駅まで歩く。ケーブルカーに乗って、サンフランシスコのダウンタウンに帰る。 そのケーブルカーの中で、どうしてさっきゴールディ・ホーンのことを思い出したのかが判明した。彼女がブロンドではなかったので(当たり前だ)、ついつい油断していたのだ。これってファール・プレイではないか?
2016年11月11日(金)夕食後のビール。
米国出張5日目。
サンフランシスコを舞台にした数多の映画の中で、多くの人が真っ先に思い出すのは、「ブリット」だろうし、「ダーティ・ハリー」だろうし、「タワーリング・インフェルノ」だろうし、「卒業」だろう。あるいは人によっては、「カンバセーション…盗聴…」だろうし、「いちご白書」だろうし、「ミルク」だろうし、「めまい」だろう。でも僕にとってはこれなのだ。「ファール・プレイ」。チェビー・チェイスとダドリー・ムーア。そしてほかでもない絶頂期のゴールディ・ホーンの魅力一発で成り立っている――光輝いている映画。僕はこのころゴールディ・ホーンが好きだった。映画はくだらない。中身なんてものはない。ロードショウが終わった瞬間に忘却の彼方に消え去っていく種類の映画。でも僕にはいつまでも心に残っている映画。オープニングとエンディングに流れるバリー・マニロウの「レデイ・トゥ・テイク・ア・チャンス・アゲイン」とともに。
さて(笑)、ホテルの個室でのフェアウェル・パーティが早めに終わったので、どこかに遊びに行きたいと言い出した何人かを引き連れて、路面電車でフィッシャーマンズ・ウォーフに向かう。途中、マーケットストリートでトランプ大統領就任に反対するデモを見る。カリフォルニアは怒っている。ポートランドもシアトルも、西海岸はどこも怒っている。ポートランドのデモではこの日死者が出たとあとになって聞いた。
ピア39で降りる。クリスマスツリーの下にサックス吹きがいる。みんなが買い物をしている間に、僕はぶらぶらと桟橋を歩く。いつものように先端まで行って、いつものようにアルカトラズ島とゴールデンゲイトブリッジを眺める。今は夜なのでネオンしか見えないが。
それからビールを飲みたいと思ってこの店に入った。店名はありがちな駄洒落だが、こういう駄洒落は嫌いではない。ピア39は駄洒落のオンパレードだが、それらの駄洒落はどれも嫌いではない。
カウンター席に着くと、あと10分でラストオーダーだと言われる。構わないと言って、充分だと言い直して、アンカースティーム(16オンス)を頼む。そしてゴールディ・ホーンのことを考える。
左側にはデンヴァーから来たカップル。バーテンダーは気の良い感じで、彼らに話し掛けていて、僕にも話し掛けてくる。
集合時間が近付いてきて、アンカースティーム6.50ドル、税など込み7.53ドルで、チップを足して9ドルを置いて店を出る。そして桟橋の付け根に戻る。集合場所のクリスマスツリーの下ではサックス吹きが今度は「Just the Two of Us」を吹いている。
全員集合して、みんなでケーブルカーの始発駅まで歩く。ケーブルカーに乗って、サンフランシスコのダウンタウンに帰る。
そのケーブルカーの中で、どうしてさっきゴールディ・ホーンのことを思い出したのかが判明した。彼女がブロンドではなかったので(当たり前だ)、ついつい油断していたのだ。これってファール・プレイではないか?