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アメリカ原住民の誇りと哀しみを感じるランチ
3.5[ 料理・味3.7 | サービス- | 雰囲気3.5 | CP3.4 | 酒・ドリンク- ]が私の評価です。
世の中には、「美味しくなくてもいい食事」というものがあります。
機内食、最近はどのクラスでも改善が著しい、とはいえしかし飛行機の中で人間の官能は3割低減することにかわりはないのです。
病院食。あはは、私も一度だけ入院経験がありまさに地獄を見ました。
そして、美術館・博物館のカフェテリア。もちろん例外はあるけど、たいていはまずい。
とくにワシントンDCには、魅力的なミュージアムやギャラリーがひしめいており、しかもそのほとんどが無料。(ゆえに観光地としてもすぐれているのですが日本人にはあまり知られていない)
私はとくにナショナルギャラリー美術館が大好きなんですが、そこのカフェテリアがまたひどい。でも当然といえば当然。ここに入る人のほとんどは、時間がないために仕方なく、というパターン。位置がまたいいんです、東館と西館の間の動く歩道エリア。
「やばい、まだ三分の一しか見てないけど、閉館まであと2時間だ!」
「くそー明日帰国なのに、午後2時からはわけのわからないアジア人のレクチャーを受けないといかんから、もうランチはここしかないか。」
そうなんです。ミュージアムカフェって構造的にまずいものなのです。
ところが、そうじゃないカフェテリアがあるという噂を耳にしました。地元のガイドブックでもよく取り上げられています。それがあるのが、国立アメリカ・インディアン博物館。有名な航空宇宙博物館のすぐ隣にひっそりとある、目立たない存在。
10時過ぎに入館、お店は11時からなので、館内を散策しながら展示を拝見しました。
これも噂に聞いたように、少しとっちらかったまとまりに欠ける展示。しかし随所に、アメリカ原住民であるインディアンたちの苦渋に満ちた歴史、誇り高い文化が記されています。
アメリカは移民の国だ!ゆえに入国禁止大統領令は間違っている。
アメリカでも日本でもよく聞きます。間違ってはいないけど。
しかし、それはある意味で勝者が一方的に語る歴史観だということのようです。
一例を挙げると、原住民と白人入植者の間には紛争が起こり、それを解決するために条約が結ばれましたが、それがいろいろと不幸な出来事を生んだ、その背景には、白人たちが合意の意味はすべて記されて署名された文書にあると考え、それ以外の考え方は一切受け入れなかった。一方インディアンたちにとって、合意とはすなわち話し言葉そのものであり、紙切れに書かれた文言にはあまり重要な意味を感じなかった、という文化的なギャップがあったということでした。
さて、一通り展示を見た後、11時半過ぎに入店。すでにけっこう客が入っている。そういえば、この博物館、こちらのカフェの名前のバナーが壁に掲げられていたり、あるいはお店のシェフの顔が案内板に出ていたり、とにかく変わっています。(ナショナルギャラリーにあのくそだめカフェテリアのバナーがかかっている図は想像できません)
シェフのFreddie Bitsoieさんはナバホ族の酋長。昨年秋からここのシェフとなり、以来多くの訪問客にアメリカ原住民の食文化に基づいた料理を再現して提供し、最近ではここを目当てに来館する者(私もその一人)があとを絶たないそうです。
もちろん、いかにもアメリカっていう普通のメニューもありますが、私の目当てはバイソンのステーキ。それにバッファローのチリ(カップ)。これで25ドルはやはり安くはありませんが、さて。
まずはチリ。本格的な味、深いコクがあり、また玉ねぎ、人参、ピーマンなど具だくさん。バッファローのミンチははっきりわからないけどそのものの味はおそらく淡白で、スープの旨みを貪欲に吸っているみたいです。栄養もたっぷり。これは当りの店です。
そしていよいよ人生初のバイソンの肉。赤ワインと玉葱がベースのソースと、揚げたリークがお皿に。なお2種のサイドメニューを付けると8ドルアップ。
最初は少し硬いかな、と感じる。ありがたいのは、備え付けのナイフに、(よくあるプラスティックのものなんかでなく)しっかりした肉切り専用のものがあること。がしがしっと手ごたえを感じながら切り取っては口に運びます。いかにも野生のものらしい逞しい筋肉質と、ほのかな香りと爽やかな酸味。そして独特の風味にマッチした麗しいワインソース。さらに切り取ろうとすると細い筋繊維がまるで納豆のような糸をひいて抵抗する。この肉切り包丁がなくてはとうてい食べられません。
原野を駆ける獣の肉をうまくまとめた一皿、添えてある揚げたリークがさらに風味を増進させます。うん、これはもう、うなるしかないな。
弱いもの、虐げられたものだけにしかわからない先住民たちの悲哀をも体現した料理。いただく前に展示を見ているがゆえの感傷もあるかもしれない。でもだからそれがなんだというのでしょうか。情報を伝えるのが投稿だけど、気持ちを伝えることも大事。それが、私のやり方です。
以前聞いたことのある、アメリカインディアンの心情を現した、イーグルスの名曲『ホテル・カリフォルニア』の調べに乗せたキャピトル・ステップスの替え歌を思い出しました。
よろしければこちらをどうぞ。
Washingtonian Welcome Guide 2015 vol.2 "Gourmet Galleries", p.39
『地球の歩き方 ワシントンDC 2015-16』 ダイヤモンド社 「モールのランチは国立アメリカ・インディアン博物館のカフェテリアが断然おすすめ」 190-191頁 下欄外
アメリカインディアン博物館、外壁にカフェテリアの名前があるのは珍しい
シェフの顔が案内板にも
お店看板
博物館天井
トーテムポール
展示物から
同前
同前
居心地のいいカフェテリア
原住民ランチ
バッファローチリ
バイソンのステーキ
お世話になりました、肉切りナイフ
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kasuganomichi
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| 店名 |
Mitsitam Native Foods Café
|
|---|---|
| ジャンル | アメリカ料理 |
|
予約・ お問い合わせ |
(+1) 8668687774 |
| 予約可否 | |
| 住所 |
アメリカ4th Street and Independence Ave. SW, Washington DC, DC 20560 |
| 交通手段 |
地下鉄L’Enfant Plaza 駅(Blue/Orange/Green/Yellow lines), |
| 営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
| 予算(口コミ集計) |
|
| 支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、AMEX) |
| 席数 |
360席 |
|---|---|
| 個室 |
無 |
| 貸切 |
不可 |
| 禁煙・喫煙 | 全席禁煙 |
| 空間・設備 | オシャレな空間 |
| ドリンク | ワインあり |
|---|
| 利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
|---|---|
| ロケーション | 景色がきれい |
| お子様連れ |
子供可 |
| ホームページ | |
| 初投稿者 | |
| 最近の編集者 |
|
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3.6[ 料理・味3.7 | サービス- | 雰囲気3.5 | CP3.5 | 酒・ドリンク- ]が私の評価です。
前回の初訪問は私だけでした。連れがえらく来たがっていたので、博物館めぐりの間にこちらを再度訪問したわけです。
いただいたのは、
Grilled Bison Loin with Two Sides $25.70
Navojo Indian Style Taco $13.90
合計税込みで43.56ドル。
正直言って、安くないです。でもここはミュージアムのカフェテリアでありながら、そのじつれっきとしたレストランとしても扱っていいレベルだと思っていますので、微塵も気になりません。
店内はいくつかのセクションに分かれていて、アメリカ各地のインディアンの食べ物を試すことができます。まずはナバホ風のタコスをGreat Plainsから。
一言。うまい!これは初めていただいたのですが、どこがナバホ風なのか定かではないけど、とにかくこんなに食べやすいタコスは初めて。タコスって、あの薄い皮のことだと思われている方もいらっしゃると思います。しかし実際は、食べ物ではなく食べ方なんですが、トルティーヤというトウモロコシでできた皮を軽く炙ったり、パリッと揚げたりして具と共にいただくわけですが、これは皮にあたるものが下に敷いてあり、やわらかいけどさっと揚げてある。上には、たっぷりの野菜、チーズ、煮た豆、牛肉のミンチなどが。面白いし、まっこと味わい深い。
そしてNorthwest Coastから、バイソンのグリル。前回はお肉だけいただいたので、今回は2種類のサイドを連れが選択。ケールの煮たものと、ワイルドライスのサラダ。どっちもめちゃうまです。野菜はじっくりと肉の煮汁がしみ込まされており、ワイルドライスも程よい火の通り、歯応えがちょうどいい。そしてバイソンは前回より分厚く、それだけ少し食べにくいですが野生の味は変わらず。そして私はなんとここで醤油を少々投入。醤油で食べられたバイソンはあるいは地上で初めてかもしれませんが、風味が加わって実に美味でございました。
ちなみにここではごく普通のアメリカンフードもあります。最初は、なんでわざわざここまで来てホットドッグなんだよ!みたいに思っていたのですが、見ているとどれも実際うまそうで。ここは本当にいいお店なんだな、と感じ入った次第です。
トイレ 館内に男女別。個室。