ベルギーの首都ブリュッセルの文化遺産となったカフェレストラン : Le Cirio

スペインでの仕事を終えて、次の仕事のためにロンドン経由でベルギーの首都ブリュッセルに入った。

スペインに同行したロンドンのスペイン人スタッフとはロンドンで別れ、ここにはドイツの日本人スタッフが来ることになっている。
ただ今日は日曜日。
現地スタッフとは夜か明日の朝イチで合流する予定になっている。

ブリュッセルに着いてしばし独りでのんびりできる。
私は最近とても気に入っているアントワープに行くか、ここブリュッセルに留まるか悩んでいたが、今日はとても涼しく（というか寒いぐらい）天気が良い。

私は久しぶりに世界で最も好きな広場「グランプラス」周辺をブラブラすることにした。


まず訪れたのは「グランプラス」から徒歩５・６分、アジア人街に入ったところにある魚屋「Noordzee - Mer du Nord」（『北海』の意）。

ここは、鮮魚店が店先でカウンターの鉄板焼をしていて、巨大な鉄板で調理された魚介料理を、歩道や目の前の空き地にある台（食卓）の上で立ち食いで食べる事ができる。
一品だけでも、腹いっぱいでも、どちらでも注文できる気軽さが便利で時々立ち寄っている。
この時期には「マテ貝」があるはずなので、ちょっとした小腹満たしに訪れた。

私が行った時にちょうど「マテ貝」が焼かれていたので、隣の見知らぬ人に「これは何て言うんだ？」と訊いて、言われた発音そのままを店の人に伝えて無事にゲット。
「マテ貝のガーリックソテー」とグラスワインを買って、歩道のテーブルで見知らぬ人と適当な会話をしながら食べた。
日本のマテ貝と違って砂が少なくとても美味しい。

涼しかったので魚のトマトスープを追加してトータル８ユーロ。
安くて美味しくて気軽で面白い体験ができるここはとてもお薦め。
ブリュッセルに行かれる方はぜひトライしてみてください。（詳しい場所は店のＨＰで）


しばらくアジア人街やグランプラス付近を散歩して、夕方寒くなって入ったのが、グランプラスのすぐ近くにあるここカフェレストラン「ル・シリオ」。

ここは８年前にふらっと立ち寄った店なのだが、実は、ブリュッセル市の文化遺産になっている（ブリュッセルでは３店舗のみ）由緒と伝統のある店だった。

アールヌーボーとネオルネッサンスが融合したような内装や外観が特徴的な店で、ベルギーの伝統料理が何でも有って、気軽に多くの種類のベルギービールが味わえるとても便利な店だ。

ちなみに、日本ではあまり馴染みのないベルギービールだが、ヨーロッパではエール系のビールと言えばベルギービールと言われるほどポピュラーで、その特徴としては、甘いのから酸っぱいのや辛いの濃いのと実に味のバリエーションが豊富な事。

私は正直言って甘いのや酸っぱいのは好きではないので、あまり無謀な挑戦はせずに、店の人に詳しく聞いてから注文するようにしている。
無難にいくなら「ハーフ＆ハーフ」と言えば、スタウト系ながら苦さ控えめの美味しいビールにありつく事が多い。

店に入るとすぐ、現地スタッフから「ブリュッセルに着いた」と連絡があった。
直ぐにここに来るそうだ。
私は食事を頼まずに、しばらくフライドポテト（ベルギーが発祥）でビールを飲みながら待つことにした。

私はこの店に来ると、いつも「カルボナート」（牛肉のビール煮）を食べながらビールを飲む。
「カルボナート」はビールで有名なベルギーらしい伝統料理で、牛肉をビールだけでじっくり煮込むので肉はトロトロになる。
ベルギー版ビーフシチューと言った所だろうか。

特にこの店の「カルボナート」は濃いめの味付けで、ビールもパンも沢山飲み食べすることになるので、これだけで充分満腹になってしまう。

ちなみに、現地スタッフは前回も今回も「ワーテルゾーイ」（鶏肉のクリームシチュー）というこれまた伝統的なベルギー料理を食べている。
彼に訊くと、ヨーロッパの中でもこの「ワーテルゾーイ」が日本で食べる普通のクリームシチューに最も味が近いそうで、ベルギーに来るといつも必ず食べるのだそうだ。

由緒がありながら気軽に入れて何でもあるこの店。
とても利用価値の高い店だと思う。


私たちは食後「グランプラス」に行った。
「グランプラス」の夜のライトアップされた光景は何度見ても思わず息をのむ。

余談だが、ベルギーに来ると私は夜に部屋でチョコレートを食べる。
特に理由はないが、チョコレート店が多く誘惑に引っ掛かっているだけなのかもしれない。

私のベルギーでのお気に入りのチョコレートは、アントワープの「デルレイ」だが、ブリュッセルでのお気に入りは「マリー・ショコラティエ」というギャルリー・サンテュベール内にある店のプラリネ。
以前はグランプラスのすぐ近くに日本人ショコラティエの店があってそこもよく行っていたが、残念ながら今は無くなってしまった。

ちなみに今宵は深夜にイクセルという地区にある「やまと」という老舗のラーメン店にも行った。
相変わらず混みあっている。
先代が引退されて味は変わってしまったが、今の店主（日本人）も、先代の味に近づこうとしているのはよくわかる。
かつては欧州一と評判だった「かつ味噌ラーメン」。
こちらも益々頑張ってほしいものだ。

多民族国家ベルギーの首都で、一時期は「テロリストの巣窟」というレッテルを張られたブリュッセルだが、逆に言えば、何でも有ってとても面白い。
私の好きな街のひとつだ。