ドノスティア⑥ここにしかない凝った名作を☆創作ピンチョス発祥の老舗バル : Bar Bergara

5年ぶりのスペイン旅行、美味しいピンチョスとお酒を求めて
2度目のサンセバスチャン=ドノスティアへ。
世界的に有名な美食の街ならでは、人気バルをハシゴしながら楽しめます。

まずは、飛行機でビルバオの空港へ。
ランチは、ビルバオを代表する人気バル、
La Viña del Ensanche（ラ・ビーニャ・デル・エンサンチェ）さんと
El Globoさんの2軒をハシゴ。

ビルバオからバスに乗ること1時間少々、
サンセバスチャンに到着し、夜はBar SportさんとGandariasさんをハシゴ。

2日目のランチ、1軒目はAtari Gastroteka（アタリ・ガストロテカ）さんで
注文後に調理される黒板メニューを堪能。

2軒目にお邪魔したのは、創作ピンチョス発祥のお店として名高い老舗バル
「Bar BERGARA（ベルガラ） 」さん。

サンセバスチャンのバルと言えば
旧市街（特にFermin Calbeton通りと31de Agosto：8月31日通り）に集中していますが

Bar BERGARAさんがあるのはグロス地区。
旧市街からウルメア川を渡った場所にあり、腹ごなしがてら徒歩で15分ほど。

建物に工事の足場が組まれていたので
最初は気付かずに通り過ぎましたが、無事に「BERGARA BAR」の文字を発見。

店内は明るくポップ、白い壁を基調にモダンなインテリアがよく映えます。
旧市街のバルよりも落ち着いていて
大きなテーブル席がいくつもあるので、座って食べられるのも嬉しい！

照明が明るいおかげで、カウンターに並ぶピンチョスも色鮮やか。
ピンチョスのコンクールで数々の
受賞歴があるというのも納得の美しさ。

手前のテーブル席に案内されました。
長いテーブルに相席なので、
隣に座ったマダム2人組（真っ白で可愛い子犬も同伴！）とお話ししたり
ノリのいいスタッフさんとの会話も楽しい！

メニューも見やすく日本語の解説付き♪
注文ごとに調理される温かいピンチョスと、カウンターに並ぶ冷製ピンチョス、
どちらも少しずつ楽しむことに。

まずは、温かいピンチョスを注文。
完成すると席まで運んできて下さいます。
（2019年11月レート、1ユーロ120円で計算）

■Txalupa（チャルーパ）3ユーロ（360円）
「発泡酒カヴァと生クリームで作ったソースできのこと海老を和え、舟形パイに詰め
チーズを散らして表面をカリカリに」

いわゆる、きのこと海老のグラタンパイ。
サクサク香ばしいパイ生地の上に、
トロトロで温かいきのこと海老のペーストを乗せています。

発泡酒のカヴァと生クリームのベシャメルソースは、奥行きある味で程よい塩気。
表面にはパリパリした細切りチーズ。
まさにお酒のアテにピッタリ、小さいのに凝ったグラタンパイに感動～

■Tortilla de Anchoas　2.5ユーロ（300円）
「新鮮なカタクチイワシを、にんにく風味でさっとオムレツに仕上げました」

バルで定番のピンチョスと言えば、トルティージャ（オムレツ）。
こちらは、アンチョビとにんにく入り。

形は薄く平べったいけど、中は理想的な半熟トロトロ具合♪
トロットロの柔らかなオムレツを
薄いパンにヒョイと乗せ、パクリとほおばれば・・あぁ～、幸せ過ぎる～！

しらすのようなカタクチイワシの塩気と香ばしいガーリック、
シンプルなのに虜になる味で、お酒泥棒！

同じ「卵とアンチョビ」の似たお料理で
アンチョビとピキージョピーマンのスクランブルエッグ（3ユーロ）もあります。
（Revuelto de Anchoas con Piquillos ）
そちらは、さらにすごいボリュームでした。

■Itxaso（イチャソ）3ユーロ（360円）
「アンコウと海老を地酒チャコリとポワロー葱で作ったソースで和えパイに詰めました」

お店の人気No,1！とお薦めされた1品が
「あんこうと海老のパイ、チャコリとポワロー葱のソース」

サクサク繊細なパイ生地の中に
まった～り濃厚でまろやかなペーストがぎっしり詰まっています。
あんこうや海老は具として形は無いけど
ペースト状になっていて、チャコリやポワロー葱のソースと華やかに融合します。
これはもう旨味の塊！とろける～

■Croqueta（クロケッタ）2.5ユーロ（300円）
揚げ立て熱々が嬉しい、イベリコ豚ハムと卵を使ったクリームコロッケ。　
表面の衣はきめ細かく超サックサク！
中には、細かく刻んだイベリコ豚ハムと卵入りのクリームソースが。

日本のクリームコロッケに比べ、意外にしっかりと固さのあるクリームだけど
ハムの塩気が効いたパンチある味わい。

■Fideua（フィデオワ）4.5ユーロ（540円）
短いパスタを使ったパエリアは
缶詰の容器に入った楽しいビジュアルで、白いアリオリソースとバゲット添え。

細いパスタにしみ込むのは、しっかり濃厚な魚介エキスの旨味。
カットした海老やイカなど具もゴロゴロ。

容器の底にも海鮮の出汁がヒタヒタで
パエリア鍋で焼いた時のパリパリ感は無いけど、魚介の旨味に溺れる～
アリオリソースは、にんにく風味が強過ぎずクリーミー♪
一気にまろやさが増して相性抜群！

ここからは、カウンターから自由に取っていただく冷製のピンチョスを。
大きなプレートが渡され好みに盛り付け。

■タルタルサーモン　3ユーロ（360円）
細かくカットしたサーモンをマヨソースで和えて
バゲットの上に乗せたブルスケッタ。
トロッと旨味の濃いサーモンに爽やかなソースがマッチする、安定の美味しさ。

■アボカドとサーモン　3ユーロ（360円）
ダイス状にカットしたアボカドに
刻んだサーモンを乗せた、（ソースなしで）素材をシンプルに味わう1品。
アボカドはやや固めの食感だけど
マイルドなアボカドにサーモンの塩気が絶妙のアクセント。

■Chupito de Changurro　3.5ユーロ（420円）
看板メニューの1つ、クモ蟹のカクテル。
カップに入った蟹のほぐし身は、カニカマっぽい独特の甘味。
オレンジ色のソースはねっとりコク深い～
思わずゆで海老と共にバゲットに乗せてブルスケッタ風に・・う～ん、合う！

さらにサーモンのブルスケッタに乗せると
サーモン＆クモ蟹の豪華な共演に・・なんて贅沢な食べ方♪

バスクで定番の郷土料理、Txangurro（チャングロ＝蟹）と言えば
クモ蟹の身や蟹みそ、玉葱やクリームを合わせたグラタンやタルト風が多いですが
冷製のカクテル仕立てもなかなかイイ♪

お料理のお供に選んだドリンクは

■赤ワイン　3ユーロ（360円）
量はやや控えめだけど美味しかった～！
酸味はマイルドで程よく重厚感があり、香り高い1杯。

■MOST：モスト　1.5ユーロ（180円）
ワインを作る前の糖度の高いぶどう果汁で作られる「モスト」。
ノンアルコールの圧縮ぶどうジュースですが
通常のぶどうジュースよりトロリと濃厚！
ワインを思わせるコクと甘味だけど、オレンジとオリーブ入りでスッキリ♪

以上、ピンチョス8品とドリンク2杯で、2名で29.5ユーロ（3,540円）。
いや～、恐るべき高コスパ！

満腹で残念ながら諦めましたが
ポルチーニ茸とフォアグラのリゾットや
かも肉のコンフィと林檎や松の実、玉葱をカルヴァドス（林檎の蒸留酒）で
香り付けしたタルトも食べてみたかった～

1つ2～3ユーロの小さなお料理なのに
様々な食材やソースを精緻に組み合わせた、手抜きのない仕上がりに驚きます。

創作ピンチョスの先駆者ならでは
1品1品のピンチョスに詰まった、広大な美食の宇宙を味わうことが出来ました。

スペシャリテはもちろん、それ以外のメニューを選んでも失敗することのない、
安心感がありつつ印象的なお料理ばかり。
全体的なレベルが高い元祖の誇りを感じるバルで、今回お邪魔した中でも
1、2を争うくらいに気に入りました。

旧市街からはちょっと離れているけど
わざわざ行く価値が十二分にある、絶対に再訪したいお店です。
ごちそうさまでした！