異なる形態のソースによって変化する味 : Le Cinq Four Seasons Hotel George V

フランス、パリのフォーシーズンズ内のレストラン、ルサンク。

パリのレストランのなかでは3つ星歴は浅い方ですが、逆に言えば最も勢いのあるレストランといえる。

クリスチャンルケール　シェフは、ルドワイヤンで１２年にわたって３つ星を保持し続け、１度３つ星を失ったルサンクに再び３つ星をもたらし、２０１６年には、シェフオブザイヤーに選ばれた名シェフ。

昨今の情勢もあり、１週間前でも予約が取れた。

店内のお客さんもまばら。

アラカルトもあったのですが、やはりコースの方はコスト的にお得なのでそちらにしました４プラットと６プラットがありますが食べきれないので４皿の方に。

４皿が１５０ユーロで６皿が２２０ユーロだったかな。

では内容です。

【アミューズ】

・フリッタータのようなものにトリュフを合わせてシンプルなものですが、トリュフがたくさん入っていて本当に香り豊か

・フワッフワのスフレのような普通のムースとは異なる雲丹のムース

・カップの上に薄いジャガイモが載っていて、その下には濃厚なカニのクリーム　海苔のような磯の香りと塩気を感じます

ここまでが同時

・チーズワッフル　

大きさはなかなかはありますがカリッカリで軽やかなので空気のよう

チーズの風味豊か


・表面はグリーンピースで覆われているシャキシャキ感を残した茹で加減
すぐりが混ざっている

下には、レモン汁の効いた酸味のあるヨーグルト水気を切っているのか、結構固まっている

最初の３種のアミューズが濃厚な感じだったので、ここでリセットするようなさわやかな味わい。

シンプルですがおいしいです。

ヨーグルトの部分にもうちょっと何か入っていた気がする。


【アントレ】

貝類の一皿

英語で言ってのですがメモする前に忘れてしまいました。

貝といってもこりこりした感じではなく、程よく歯ごたえがある感じ。

それ自体にもニンニクなどでしっかりと下味がついていて、塩気もある感じ。

下のあるのがトマトと魚の出汁のコンソメのジュレ。

酸味もありながらも塩気が先行している。

真ん中のソースがマヨネーズのエスプーマ。

貝の上に添えられているのは、海老のチップス、パクチーの芽。

これがいい香りのアクセントになっている。

魚介のうまみが凝縮し、エスニックな風味も感じる完成度の高い一皿。


【アントレ】

温泉卵のようにとろとろにした卵をあえて崩してポワローや、イタリアのベーコンを合わせる。

白いベーコンとは驚きだが、皮膚のような部分で湯葉のような食感が特徴。

それらの塩気と胡椒がしっかり主張してくる。

胡椒は生こしょうの味。

トリュフトーストを添えていてその上にも同じベーコンを。

食材の組み合わせ方は、卵、ベーコン、トリュフと、オーソドックスだが、その形態や種類が面白く、さすが。


【ヴィアンド】

羊のロース、ハツ、レバー、ブーダンノワールと、様々な部位を堪能できる一皿。

甘くまろやかなジュのソースがたまらない。

セルクルによって型どられたクスクスの上も、ジュでコーティング、その上に環状にソースが並べられ、カルダモンのソース、アリッサのソース、プルンととろけるような食感のオリーブと、エスニックなアクセント。

最初はシンプルに肉の味とそのジュのうまみを感じ、口の中でオリーブがはじけるとまた味が変化する。

とても美しいが、肉がもっとしっとり柔らかくて良いのかなと感じ、火が入りすぎているように思えた。

レアかミディアムで聞かれてレアって言ったんだけど、、、


【アヴァンデセール】

清涼感のあるゼリーが下に敷かれている。

多分アロエ。

その上には、グレープフルーツを花のように盛り付けたもの。

ミントや、さくっとしたクランブルのようなものが添えられていていいアクセント。

これは口直しにとどまらない素晴らしい一皿。


【プティフール】

・ブラックチェリーのゼリーでコーティングされ、中にそのジュースが入ったもの
下にはカカオ風味のサブレが添えている。

意外と酸味がある。

・ピーカンナッツとキャラメル

周りをクランチで覆い中は濃厚なクリーム外さない美味しさ・

・レモン風味のクレープ

ザクザクとした食感でそれが良い。


【グランデセール】

洋梨のコンポートの上にそのソルベ。

さらにバニラのメレンゲ。

下には洋ナシのソースと、木のソース。

確かに香ばしい香りがするので、ソースを作る際に香りを移したのかな。

面白いです。

ミニャルディーズのワゴンもあります。

ギモーブとヌガーとショコラを選びました。


最後に、クイニーアマンが供されますが、さすがにおなか一杯になり、持ち帰り。

宿泊してないですが、生キャラメルももらって、帰国後もその余韻を楽しみました。

ロオジエのそれよりおいしいかも。

クイニーアマンもキャラメリゼしてあるものの脂が多すぎなくておいしい。


最初から最後まで大満足でした。

ソースの食感を様々な形態を用いることで変化させ、ねっとり、ふわふわ、ぷるぷるとそれぞれの食材に合わせて構成されているようでした。

特にそれが顕著に表れているのが、貝の前菜。

まず最初にエスプーマのマヨネーズのうまみが来て、貝をかみしめると、そのマリネ液の香りが押し寄せ、最後にジュレの酸味と塩気が訪れる。

こういった時間差による味わいの変化とアクセント、香りが素晴らしい。

しかしながら全体として味のまとまりがある。

途中に酸味の効いたものを挟むなど、構成も完璧。

あとは、アニョーの火入れだけが惜しい。


サービスも日本のレストランにないほどで、もてなそうという気持ちが前面に出ている。

駅が封鎖されている原因を聞いても答えてくれた上に、バスを手配しようかという配慮もあった。

雰囲気といい話し方といいこれが本当のサービスなのかと実感した。


最高峰のレストランであると感じた。