さすが、三つ星のクオリティ : Epicure

星、二つと三つの違い、というものを改めて体験しました。

内装も三つ星として申し分ないですが、なによりも、料理の質、そして、サービス陣の完璧な対応ぶりとサービスのこなれ方。

　このこなれ方がなかなかマネできないと思います。

さて、こちらには、３か月前にパリ在住の友人に予約を入れてもらい、１週間前に、カード会社のコンシェルジュからコンファームまでしました。

ところが、なんと、行ってみると席がとれていない、とのこと。　入り口で、カード会社に国際電話をするも、カード会社もきちんとコンファームをした、とのこと。

そんなトラブルもありましたが、副支配人のマルコが、奥の窓際のとてもいい席を空けてくれました。　隣りに７名のパーティが入るので、うるさくなるかもしれないけれど、

いいですか、と丁寧に確認してくれました。　　もともとそういうわけで、この席が空いていたのですが。　結果、中庭を見渡せる最上の席。　隣りの７名席もまったく気になりません。

入店時のゴタゴタをリカバリーしようと、サービス陣の奮闘ぶりは素晴らしいものでした。

副支配人のマルコは、奥様が日本人。　「私のことを、マルちゃんと呼んでください」　とニコリ。　「１０月には息子の七五さんで日本に行くんです」ととても気さく。

メニューは、ムニュデギュスタシオンに。　

まずは、ロゼのシャンパーニュで乾杯。　

ソムリエに、写真をとっていいかと確認すると、　「どうぞ、どうぞ、好きなだけ撮ってください。　僕たちもどうぞ。」と言って、そばにいたサービスまで呼びました。笑

１、アミューズ　　　　　　小さなカップの底に、ダイストマトがスイカのゼリーとカンパリでマリネされたもの、そのうえに、リモンチェッロの泡

　　　　　　　　　　　　　セップの天ぷら

　　　　　　　　　　　　　海老とイカスミにわさびマヨネーズをあしらったもの

２、アミューズ　　　　　　チョリソーの入ったパン

３、アミューズ　　　　　　サラダニソワーズ

　　　　　　　　　　　　　もちろん、あのサラダニソワーズとは似て非なるものです。　　ウズラ卵をツナのクリームで包んであります。

４、前菜　　　　　　　　　ブルターニュのブルーオマール　　トマトのジュとオリーブオイル

　　　　　　　　　　　　　フォークでつぶしたスパイシーなアボガド　（エスプレット産ペパーを使用とのこと）

５、前菜　　　　　　　　　マカロニ　　

　　　　　　　　　　　　　こちらのスペシャリテです。　　アーチチョーク、フォアグラ、黒トリュフを詰めてあります。

　　　　　　　　　　　　　パルミジャーノをふって、グラタン仕立てに。

　　　　　　　　　　　　　さすがにスペシャリテ。　　コクといい、風味といい、品があります。

６、魚　　　　　　　　　　サンジルクロワドゥヴィ産メルラン

　　　　　　　　　　　　　鱈の一種だそうです。　アーモンド付のパンが乗って登場。

　　　　　　　　　　　　　アルデンテのつる菜にカレーとペキオス風味のオイル。

７、肉　　　　　　　　　　シャラン産鴨
　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　炒ったスパイスとローストにしてあります。　チェリー添え。　

　　　　　　　　　　　　　ヴェルヴェーヌ風味の玉葱のピューレと鴨のジュで。

　　　　　　　　　　　　　これは、かなりオーソドックス＆クラシックなテイストでした。

８、チーズ　　　　　　　　ワゴンで登場。　その種類の多さが、３つ星ならでは。　楽しいです。

　　　　　　　　　　　　　しかし、かなりお腹もいっぱいだったので、ロックフォールとルブロッションだけ。

９、デセール　　　　　　　１、ブルーベリーゼリーとソルベ

　　　　　　　　　　　　　２、白桃にフレッシュヴェルヴェーヌのソルベ、　しょうが、アーモンド、赤すぐりとともに。

　　　　　　　　　　　　　３、ニャンボチョコレート

　　　　　　　　　　　　　　　球体に造形されたショコラの中に、金箔に包まれたソルベが・・・。　　なんと手の込んだデセールか・・・・。

　　　　　　　　　　　　　４、スプーンに盛られたストロベリーゼリー

　　　　　　　　　　　　　５、ワゴンで登場する小菓子　　　マカロン、ギモーブ、オランジュのショコラ　など。

１０、ハーブティ　　　　　３種類のオリジナルブレンドがあります。

　　　　　　　　　　　　　カブリオレというブレンドをチョイス。　メリッサ、フランボワーズ、サリエット、マルゲリータ

パンは、クグロフ、オリーブ、ベーコン、ソーセージなど。　籠一杯のプレゼンテーション。

バターはボルディエのバターで無塩、有塩の２種類。

温かい料理は、すべて銀の蓋付きで、供せられ、テーブルで蓋をとってくれます。

ある料理のとき、マルちゃんともうひとりのサービスの方が、蓋をとるときに、わざと日本語で、「１，２，３」と合図をしました。　３のあと、蓋を取るのかと

思ったら、マルちゃんが蓋を持っていないほうのの手で、自分の眼鏡を指さして、「メガネ」。　もう一人が、耳を指さして「ミミ」と、知っている限りの日本語の単語を

並べて、笑わせてくれました。　　こんな風に、単に料理を供するだけではなく、どうお客様を楽しませるか、どう、心地よい時間を作るかを本当によく考えていると

実感しました。　　

私がメモをとっているのを見て、マルちゃんは、「こちらのほうが書きやすいですよ」　と、ブリストル特製のボールペンをプレゼントしてくれました。

ソムリエールには、赤ワインのタイミングを指定したのですが、完璧に指定した料理と同時に登場。　　非の打ちどころがありません。

そして、こちらのサービス陣には、日本人女性がいます。　英、仏、日本語を完璧に使いこなして、戦力となっています。　微笑ましい限り。

私たちのテーブルにはあまり来てくれなかったので、お話するチャンスがなかったのですが、とても頑張っていました。

日本のレストランのサービスも素晴らしいですが、こういうこなれたサービスはまだまだです。　ユーモアのセンス、勉強すべきものがあります。

心から楽しんだ宵でした。