南仏自由旅⑫レ・ボー＝ド＝プロヴァンス巨大オーベルジュで秋を満喫 : L'Oustau de Baumanière

ヴァランスの「Maison Pic」から南下する事約150km。

敷地面積２０ヘクタールを誇る、今回の南仏旅で最大のオーベルジュ「Baumaniere」で一夜を過ごしました。

レ・ボー＝ド＝プロヴァンスの岩山の上「ヴァン・ゴッホ 星月夜展」の近くにあり、町や村でもなくそれ以外は自然しかなく、車でしか行けませんので要注意であります。

このオーベルジュにはレストランが二つあり、一つはメインダイニングである「Ostau de baumaniere」もう一つはカジュアルダイニング「La Cabro D'or」でありまして、50000ボトルのワインレセクションを完備した、メインダイニング「Ostau de baumaniere」に公式ホームページから予約を取っての訪問です。

「Baumaniere」の敷地に車で入っていきますと、広々とした庭の奥に受付専用の平屋建ての建物が見えました。

受付を済ませ、宿泊棟への長い道のりを若い男性に案内されて進み、緑に包まれた農家を改築したと言われる古い建物の2階へ。

部屋の窓から外を見ると、どこまであるのか分からないほど広い庭と山々を見渡せる素晴らしい景色。

受付でいただいた敷地内の地図を改めて確認しますと、一つの集落かと思うほどの広大すぎるオーベルジュの全貌が見て取れます。

広いベッドで一眠りし、いつしか予約時間になりましたので、受付でレストランの場所を確認しますと、なんとここから1㎞先との事でしたので車で向かいました。

夜8時過ぎに、すっかり夜も更けた雨の中緑一色のガーデンを通り抜けて建物に入ると、エレガンスでロマンティックな店内にはゆったりと配置された席は、ドレスアップしたお客さんでほぼ満席。

1945年から何世代にもわたって受け継がれ、数々の著名人を魅了しつづけてきたこのガストロノミーは、様々な星を獲得してきました。

その重い歴史の割には、満面の笑みでなんともフランクな対応をしていただいたフロアマネージャー様の接客には非常に好感が持てます。

さて、コースは二種類のチョイスでシェフのお勧めコースとベジタブルコース。

レ・ボーの散歩道コース220€≒26,840円
①生牡蠣とクリーム・野菜だけで作ったタルト
②小さいパンと二種類のオリーブオイル(黒オリーブと緑オリーブ)
③庭で採れたズッキーニの花のクリスピー、黒ニンニクとバスクのジュ
④レア赤ボラと濃いエビ味噌ソース、ニース郷土菓子「ソッカ」を添えて
⑤自家製パン
⑥大海老カラビネロス、ロメインレタスで包んだレモンコンフィ、ブイヤベースのジュ
⑦真珠タラとスモークピューレ、ブイヤベースのソース
⑧乳飲み子ラムチョップとトマトのコンフィ
⑨ラディケッタとクレソンの小さなラビオリ
⑩シトラスフルーツ、ミントのグラニテ、グレープフルーツの乳化したソース
⑪トンカ豆クリームと焼き菓子
⑫小さなクロワッサン
⑬カリソン(南仏郷土菓子)
⑭小菓子
⑮カフェアメリカーノ
⑯庭で採れた7種類のハーブを調合した冷たいハーブティー
⑰手土産のパン菓子
スターターの「①生牡蠣とクリーム・野菜だけで作ったタルト」は、生牡蠣にクリームを合せる以外な取り合わせ。海の臭みが助長されそうかと思いきや、ハーブの香りを合わせて意外にマッチしております。「③庭で採れたズッキーニの花のクリスピー、黒ニンニクとバスクのジュ」ズッキーニの花の萼(ガク)の部分をカリッと揚げた食感が良く、みずみずしさと黒ニンニクの強い香りが印象的。「⑥大海老カラビネロス、ロメインレタスで包んだレモンコンフィ」はわが人生初体験のカラビネロスであります。本当にこの色なのかと思うほど真っ赤な色をしており、若干レア目な火入れを施した身質は噛み締める程に旨みが出てきます。これはたまりません！！次なる「⑦真珠タラとスモークピューレ、ブイヤベースのソース」ですが、フレンチの魚には期待できないという個人的なジンクスを覆す逸品。丸みを帯びてシルキーな優しい舌ざわりを生み出すカットが特徴で、たんぱくでクセの無いタラに、魚介類の旨みが凝縮したブイヤベースのソースとスモークピューレのダブルソース。魚が主役ではなく、たっぷりと添えられたソースが主役ではないかと思うほどソースが美味い♪　ここで昼のご馳走が消化しきれていないせいか、胃袋のキャパを超えそうでしたので、肉はポーション小さめでオーダーすると、快諾していただきました「⑧乳飲み子ラムチョップとトマトのコンフィ」はラムの身質が柔らかい事！！湯剥きしたトマトの酸味が加わり、非常に食べやすい。この後に実はワゴンチーズがコースに含まれておりましたが、残念ながら胃袋キャパオーバーでキャンセル(涙)「⑩シトラスフルーツ、ミントのグラニテ、グレープフルーツの乳化したソース」は甘酸っぱく爽やかで「⑪トンカ豆クリームと焼き菓子」はずっしりとして対照的な二品のデザートがまた素晴らしい。最初から最後まで手抜きが一切なく、決して忘れる事のない印象深いディナータイムでありました。そして最後にお見送りいただいた際に、手土産まで頂きました。部屋に戻って開けてみるとクリスマスに食べる「パネトーネ」に似た大きな焼き菓子っぽいパンが・・・。嬉しい♪でも今はお腹いっぱい過ぎて絶対食べられないｗ

朝食
⑱テーブルに用意されたパン
⑲ジュース・ミルク・ミネラルウォーター
⑳ソーセージ・ベーコン
㉑ゆるめのスクランブルエッグ
㉒生ハムとチーズ
㉓ハードパンのセルフサービス
㉔ヨーグルト＆フルーツ
㉕数々のシリアル
㉖パウンドケーキ類
㉗カプチーノ
朝食はカジュアルダイニング「La Cabro D'or」でいただきます。緑のツタが美しく彩る建物に入ると、予想外に大人っぽく、温かみのある店内。朝食に似つかわしくないほどムーディーな雰囲気であります。繰り返しますが、フランスの朝食は期待できません。パンは美味しいです！！今日のランチもまたゴージャスなのが待ってますから、食べたい気持ちを抑えつつ、パンを主体として他は味見程度としました。

広大な敷地を誇るオーベルジュの印象は、自然豊かな立地を生かし、鳥の声と風に揺れる木々の音しか聞こえない静けさに包まれて、時間が止まった様なゆったりとした心地よさを感じながら、地元の食材を使いつつ趣向を凝らしたテクニカルな最上級のディナーコースを堪能できる素晴らしいものであったと思います。心に残る非日常体験に満足し、次なるお店へと向かいました。