南仏自由旅⑬モナコのアラン・デュカス宮殿ランチ : Le Louis XV-Alain Ducasse

「レ・ボー＝ド＝プロヴァンス」からひたすら東へ約260㎞、車を走らせる事約3時間かけてモナコ公国のモンテカルロに到着しました。

本来モナコはモナコ公国でありまして、フランスではないのですがフランスの中にポツンと位置しており、空港も無く国境の手続きも無いため、フランスの一都市と言っても良い環境です。

南国に良くある様な木々が植林され、高層マンションが立ち並ぶ中、やたらと坂が多い道を通って行きますと、美しく光る青い地中海が目の前に広がります。

そんなモンテカルロの中心部に高級車が並びカジノを備えたホテルに囲まれた「カジノ広場」から公共の地下駐車場に車を停め、「カジノ広場」に面した「Hôtel de Paris」内の1階にある「Le Louis XV-Alain Ducasse」(直訳すると”ルイ15世 アラン・デュカス”)へと向かいました。

入口に受付があり、男女の店員さんに迎えられて入店すると、店内は宮殿の一室かと思われるほど豪華絢爛な装飾がほどこされ、２～３階建ての建物がすっぽりと入ってしまうような高い天井には巨大な絵画が広がっておりました。

メニューはアラカルトとコースが3種類あり、
１．海岸ランチコース165€≒20130円
２．ベジタリアン・ティスティ・コース240€≒29280円
３．グルメ・コース360€≒43920円

ウェイターの方曰く、アラカルトのポーションはかなり大きめとの事でしたので、気持ちの高ぶりとは裏腹にご馳走三昧で少々疲れ気味の胃腸を感じていた事もあって、心の葛藤の末、妥協的選択としてベジタリアンをオーダーしました。

と言ってもフレンチでベジタリアンコースを食べた経験はないので、未知の世界に興味が湧いてきました。

ベジタリアン・テイスティ・コース「Menu du Jardin de Provence」240€≒29280円
①ひよこ豆せんべいに乾燥野菜を練りこんだ物
②新鮮な野菜を蕪のスライスで巻いたもの ブラックオリーブソース
③地中海の魚介類 付け合せのガーリッククリームソース
④パン・希少なポンクレバター・オリーブオイル
⑤ポルチーニ茸、トランペット茸等数種類のキノコと人参やプチヴェール 煮詰めた濃いブイヨン煮込み　黒スグリのアクセント
⑥豆と色鮮やかな数種類の野菜のミネストローネ、バジルソースとクリームチーズで
⑦先程とは異なる数種類の野菜、黒オリーブを使った酸味のある温かいドレッシング
⑧マッシュルームとパルメザンチーズの自家製生スパゲッティ 生ポルチーニがけ
⑨大理石ワゴンのプロヴァンス産チーズ
⑩チーズの付け合わせ生野菜
⑪リンゴ・ブラックカラント・プルーンのグラニテ
⑫ソリエス産フレッシュ無花果 苦み効くマーマレード マウリーワインのグラニテとソルベ
⑬ライムレモン＆ジンジャー＆金柑のコンフィとキャンディー
⑭キャラメルアーモンド
⑮自家製チョコレートチョイス
⑯エスプレッソ
⑰パイナップルとパッションフルーツのソルベ
⑱手土産のパネトーネ
最初に出てきた「①ひよこ豆せんべいに乾燥野菜を練りこんだ物」は、まるっきりインド料理等で突き出しに出るパパドゥですね。塩味とスパイスの効き方もそっくり。それにしても縦置きというのは斬新であります。「③地中海の魚介類 付け合せのガーリッククリームソース」はガラスケースの中に熱せられた石が敷き詰められ、目の前で水を注入して封じ込めますと、ボワッと湯気が立ち込めて魚介に火が通り石焼きが完成。付け合わせのガーリッククリームソースが美味であります。パンに付いてきたのは「ポンクレバター」と呼ばれる、日本ではほぼお目にかかれる事のない、フランス国内でも手に入りにくいミルキーな風味が印象的なバター。また、グリーンオリーブオイルのフレッシュ感も絶品。「⑤ポルチーニ茸、トランペット茸等数種類のキノコと人参やプチヴェール 煮詰めた濃いブイヨン煮込み　黒スグリのアクセント」はキノコの旨みが凝縮した秋の季節を感じる至極の逸品。「⑥豆と色鮮やかな数種類の野菜のミネストローネ、バジルソースとクリームチーズで」と「⑦先程とは異なる数種類の野菜、黒オリーブを使った酸味のある温かいドレッシング」は本当に野菜だけで作ったのか？！と思わせる程強い旨み。しかし二品ともちょっと似たような味だったところは少し残念かな。ベジタリアンコースですから肉はありませんので「⑧ポルチーニ茸とパルメザンチーズの自家製生スパゲッティ 生ポルチーニがけ」がメインとなります。火を通したポルチーニにパルメザンチーズが合わさり、旨みが爆発！！これに更に生ポルチーニをたっぷり擦りかけまして、茸の香りが周辺まで立ち込める程香しい♪　自家製生スパゲッティの食感も想像より一つ上を行く出来栄え。これは今日一の一皿ですね～！！「⑫ソリエス産フレッシュ無花果 苦み効くマーマレード マウリーワインのグラニテとソルベ」は二人分なのではないかと思われる程デカポーション。日本の無花果よりも小さめで皮が柔らかいので充分そのままイケる感じですね。ん～、マウリーワインの一風変わった風味を感じるソルベも未体験の美味さ。これもたまらない！！こっちが今日一かと迷うほどクオリティの高いデザートであります。小菓子各種も手抜き無しでエスプレッソしか飲めない程満腹となり、アラン・デュカスのベジタブル劇場は幕を閉じました。

おそらく魚・肉を含む「グルメコース」だったら４．５点を超えていたと思われますが、やっぱり肉・魚が無い事で若干の物足りなさが残りました。とは言えベジタリアンにしては塩味が控えめであるにもかかわらず「旨み」をフューチャーすることによって、かなり満足度が高い仕上がりになっていると思います。また、日本ではあまり良い素材に出会えない様な香り高くフレッシュな「ポルチーニ茸」を堪能できた事は幸運であったと思います。