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名物のアリゴ
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デザート
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スペシャリテのガルグイユはミシェル ブラスの人生そのもの
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デザートのクーランもお母さんの思い出の味
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アミューズの卵料理はお母さんから受け継いだ味
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サロンでいただくアミューズから魅せられる
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野菜のコースのメニュー
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その瞬間は急に訪れました。何の前触れもなく予想外のことが起こったのです。
それが予めわかっていたらもっといろんな質問がでたのに・・・・
ここはフランス南西部の田舎町ライヨール村。ミシュラン3つ星の頂点を極めたミシェル・ブラス氏のオーベルジュ(現在は2つ星)。そのメインダイニングBRAS LE SUQUETでの話です。
ミシェル・ブラス氏は21世紀を代表するフランスの料理人です。北海道・洞爺湖の支店を出していたこともあり、日本とも深いつながりがあります。今は息子のセバスティアン・ブラス氏が後を継いでいます。
夕食はまず初めにサロンでアペリティフを注文し、メニューを決めます。メニューはフランス語のみ。スタッフが英語を話せるので質問に応じてくれます。
メニューは3種類あり、真ん中の価格帯MENU LEGUMES(野菜のメニュー)を選択します。10品で210ユーロ。
サロンでアペリティフを飲んでいると、スタッフが私たちの名前を呼びました。いよいよメインダイニングのテーブルへ案内されるのでしょう。しかし案内されたのはテーブルではなく厨房でした。
そこにいたのは、シェフのセバスティアン・ブラス氏だったのです。ミシェル・ブラス氏の息子としてミシュラン3つ星のシェフの重責を担い約10年、その後2018年に突然の3つ星を返上、ミシュラン不掲載を表明したのでした。抜き打ちで行われる同書の調査、評価に対する「重圧」からの解放を求めてのことだったのです。この話は日本でも話題になるほどの大きな出来事でした。
そんなセバスティアン・ブラスが目の前にいる!!予めわかっていたら、いろいろな質問も出来たのに。とおり一遍の挨拶しかできずに、残念でした。しかし、彼は日本人と知ると大歓迎してくれたのです。日本との絆は強いようです。そんな優しい心遣いにハートを鷲掴みされました。
テーブルにつくと、地元の名産品ライヨール村のナイフが用意されています。ソムリエナイフで有名なこの村では、一生に1本質の良いナイフを持ち、手入れしながら生涯大切に使うという伝統があります。その伝統に従い、このレストランでは最初から最後まで同じナイフで食べるのです。なお、お箸も出してくれます。
★アミューズ アミューズの中の1品の卵料理。ミシェル・ブラスが子供の頃、母親が作る卵料理が大好きで、その思い出を自分なりに表現したもの。
★ガルグイユ(gargoillou)・・・・一枚の絵のように美しく、野菜と花を盛り付けたスペシャリテ、ガルグイユはミシェル・ブラスの人生そのものだと言われています。オーブラック地方の大自然、家族への愛情、ブラスが歩んできた道・・・。冬は5ヶ月ほど1mもの積雪がある豪雪地帯。かつては秘境といってもいいほどの交通不便なこの大地。春になると数えられないほどの花が一面に咲き誇るのです。そんなオーブラック地方の土地をお皿の上に表現しているのです。
ガルグイユはもともとはじゃが芋、生ハムを煮込んだオーブラック地方の郷土料理。それに野菜を使う基本はそのままで、四季折々の20~30種の香草や30~40種の野菜を別々の調理法で仕上げます。今でこそ、日本でもこうした手の込んだ野菜の前菜が出るようになりましたが、1980年代ごろからこうした料理を続けてきたことを知ると、まさに驚きでいっぱいになりました。
★4品・・・・この間、野菜料理4品出ます。長くなるので省略。
★アリゴ(l’aligot)・・・・これもスペシャリテです。オーブラック地方の修道院が巡礼者にふるまった食べ物というのがルーツ。オーブラック地方の名物料理でもあります。ラギオールの凝固チーズ、アリゴの熟成前の塊に牛乳とジャガイモのピュレとニンニクを加えます。オニオンやトリュフも。ピューと伸びたものを食べます。サービス係の男性が上手に伸ばしているところが絵になりました。
★クーラン(coulant)・・・・クーランとはフランス語でさらさらと、とか、よく流れるとかの意味。1981年に生まれたオリジナルのデザート。もともとはビスキュイ(スポンジのような柔らかいビスケット)にナイフを入れると、温かいチョコレートが流れるのがオリジナル。ここではチョコの代わりにアプリコットとサフランが流れ、冷たいアイスクリームに絡まります。冬の寒い日にお母さんが作ってくれた甘いデザートの記憶から生まれたのだといいます。
★別途デザートとプチフール
私自身、一昔前ミシェル・ブラスの日本支店ともいうべき、ミッシェル・ブラス・トーヤジャポンに家族で行こうとしたことがありました。この店のあるウィンザー洞爺に宿泊すれば食べに行けると安易に考えていましたが、レストランの予約は満席で食べられませんでした。
それ以来いつか行こうと考えていたので、今回やっと念願が叶ったことは本当に嬉しい限りです。セバスティアン・ブラス氏にも会えたし満足でした。
しかし、全般的に超個性的な料理だというのが感想です。万人受けする料理ではなく、好き嫌いの好みが分かれるような気がします。北海道の店を訪問した人がミシェル・ブラスの料理を皆が理解できたのか少し疑問です。
大自然に包まれた牧草地帯。かつでは車よりも牛馬で物を運搬するような秘境。そんなオーブラック地方の特性や、そんな大地の中で家族を何より大切にしてきたブラスの心情を知らずに、ミシェル・ブラスの料理は語ることはできません。
この雄大な景観と大地に恵まれた、まさにこの場所でミシェル・ブラスの料理を食べなければ、彼の料理の本質はわからないと思いました。