南仏自由旅⑩アラン・デュカス初のオーベルジュ : La Bastide de Moustiers

南フランスの料理界はアラン・デュカス氏無しでは語れない功労者であります。

映画「アラン・デュカス　宮廷のレストラン」2017年が日本の映画館で上映されたほど。

そのデュカス氏が初めて作ったオーベルジュが、この「La Bastide de Moustiers」でありました。

フランスで最も美しい村と呼ばれるほど豊かな自然と美しい景色に包まれ、ムスティエ焼きという焼き物で有名なムスティエ・サン・マリー村に自然と溶け込む４ヘクタールという広大な敷地を持つこのオーベルジュは、菜園・果実園・牧場も備えたのんびりした異空間。

見上げれば数百メートルもの石灰岩質の断崖がどこからでも目に入り、周辺ではヒツジの放牧がおこなわれています。

デュカス氏自身はもうここにはおらず、その後を引き継いだのはプラザ・アテネで副料理長を務めたと言うフレデリック・ガルニエ氏だそうです。

石造りの雰囲気のある建物に入ると、デュカス氏が各地で収集したアート作品や、アンティークの調度品が並んでおりました。

すぐさまチェックインして、部屋から見る景色は何度見ても飽きないほど美しい。

日が沈むに連れて、オレンジ・ムラサキ・青・紺色と色を変えていく岩肌。

自然の音しかしない・・・。

暗くなり始めると、どこからか美味しそうな匂いが漂ってまいりました！！

この日の予約時間は20:00～で、もともとフランスの夜ご飯の時間は日本より遅いです。

日が沈む時間も遅いので違和感がありません。

コースは選べるプリフィックスで以下の３種類です。
一つ目は「スターター＋メインコース＋デザート」65€≒7930円
二つ目は「スターター＋メインコース＋チーズ＋デザート」72€≒8784円
三つ目は「好きな５皿チョイス」90€≒10980円

お昼も満腹まで食べてしまったので、真ん中のコースをチョイス。

それでも完食の自信全く無しでありますｗ
スターター＋メインコース＋チーズ＋デザート 72€≒8784円(料理のみの税込み価格)
①チーズ入りの大きなシュー
②根セロリのグリルとチーズ入りマッシュ根セロリ
③オイルサーディン入りお庭で採れた人参のスープ
④お庭で育てたヒョウタンのスライス、ザリガニグラタン、サヴァイヨンソース
⑤真鴨のドルチェフォルテソース、イチゴの木の実
⑥お庭で採れた野菜のサラダ
⑦地元産ワゴンチーズ各種
⑧メレンゲと栗のソース、ブラックカラントとブルーベリーのグラニテ
⑨クルミのタルト
⑩エスプレッソ＋5€≒610円
いきなりデカい「チーズ入りの大きなシュー」はサクサクして中がシツこくならないほどにチーズがうっすらとはいっています。付け合わせの「根セロリのグリルとチーズ入りマッシュ根セロリ」を合せて食べるとサッパリ＆香ばしくて美味すぎ！！これを全部食べてしまうと絶対完食できなくなると思って我慢ですｗ 「オイルサーディン入りお庭で採れた人参のスープ」は塩味が控えめで素材重視な味付け。人参そのものの甘味を生かし、オイルサーディンをアクセントという感じですね。本日No.1は「お庭で育てたヒョウタンのスライス、ザリガニグラタン、サヴァイヨンソース」であります。ヒョウタンの食感は人参に似ています。ザリガニのエキスとサヴァイヨンソースの出来栄えが素晴らしい。グラタンにスープをかけた様な感じなので、サラッとバクバクいけちゃいます。それにしても量が多いですねぇ。美味しかったので個人的には大歓迎ですけど、日本人なら大きすぎると言う人はいそうですね。次にまたしてもデカい、自家製パンが登場。先ほどのシューと両方は絶対食べ切れない！そもそもこれ、二人以上分しか作れないんでしょうね。私は一人ですから、そりゃ無理ですねぇ。次はメインの「真鴨のドルチェフォルテソース、イチゴの木の実」真鴨はもちろんジビエで、「ドルチェフォルテ＝デザートの様な甘いソース」と言う意味で、イチゴの木の実とはイチゴではなく、コケモモの様な実。真鴨の火入れは良く、ソースにコクがあって美味しいのですが、あともう少し何かが欲しいかなぁ。付け合わせのデカいサラダはお庭で採れた葉物野菜。これも素材そのものは良いのですが、もう一工夫欲しいかなぁ。地元産チーズは様々な熟度をご用意いただき、これはなかなか。デザートのメレンゲですが、メレンゲが中心のデザートって初めてですのでちょっと新鮮！クリーミーな栗ソースにデカいメレンゲを浮かべて、とベリーグラニテを振りかけた感じでなかなか良いですね。デザートで終わりかと思いきや、まぁまぁ大きな「クルミのタルト」が登場！！ヒェ～、もう味見ぐらいしかできない。

全体的には、オーベルジュ内で採れた自家製野菜や果実をふんだんに使った、懐かしさを感じるほどクラシックスタイルなコースでありました。もう少し驚きや新しい発見が欲しい感じもするのですが、値段を見るとディナーで72€≒8784円ですから値段相応と言えるかもしれません。

朝食
⑪4種のホームメイドジャム
⑫フレッシュアップルジュース
⑬自家製のパンとパウンドケーキ各種
⑭アップルスプレッド
⑮自家製バター
⑯スクランブルエッグ
⑰自家製ヨーグルト
昨日同様に、フランスの朝食はあまり期待できません。朝から野菜とかおかず系とか、ましてや肉・魚なんかは絶対食べない感じなんですねぇ。とは言え、昨日の夜食べ過ぎましたので、今日はパン＋エッグ＋ヨーグルト＋カフェオレのシンプルな構成が心地よいと感じました。なにしろパンが美味しいですから、それだけで充分と思っちゃうんでしょうね。

朝、ちょっとお庭の散歩行きますと、牧場にはロバたちが草を食べておりました。美しく手入れが行き届いた庭。専属の庭師が二人いらっしゃっるとの事で、この方たちが菜園で野菜を育てているとの事でした。どこを歩いても絵になる景色で、空気が美味しい♪　食事の評価だけだと上記の点数ですが、環境や雰囲気などホテルとしての魅力はホントに素晴らしいと思います。