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りんご酒と旧懐。
馳名Apfelwein
ギュー・タンの茹でたの。まるで質の良いコンビーフの如し。
豚のシュニッツェル。犢のもあるが、こちらの方が廉いからコレでイイのダ!
ブラット・ヴルスト(焼きソーセージ)
本日限定グリューンコール(ケール)とカッスラー。素朴かつ実直これぞドイチェという味わい。まことドイツは豚がいい。
ギュー・タルタル。いつも思うが主な味は、アンチョビーに持っていかれる。
南部名物ニュルンベルガーには
ミュンヘンのヴァイツェンがお約束。旨し旨し。
とりあえず煮る
シリーズ】在フランクフルト・セッタイ飯(その2)
今夜のダイニングのテーマはアプフェル・ヴァイン、つまり、りんごの発酵酒。
酒精度はビールとワインの真ん中、ややワイン寄りといった感じで、いわゆるアルコール感が強いものではないが、ビオデナミうんぬん以前からのナチュラル・ボーン自然派。
早い話が「醸しっぱなし」な地酒。
季節により、造り酒屋により、貯蔵販売している店により、その状態は様々。
いい奴に当たれば、素朴にして鄙びた禅味的なよろしさを楽しめる一方、「すごいヤツ」が出てくると、ワイン利き酒用語でいうところの還元香、身も蓋もなくいって仕舞えばサイクーなオイニーがグワッ! っときて、口に入れた途端「イ゛ーーーーッ! 」とくる。
しかもこの「イ゛ーーーーッ! 」のあり様は、その時々の粘菌諸君の気分次第だから、同じ店で、同じタイミングで飲んだからといって、グワッ! と来たり来なかったり。
いつもおんなじ、というわけにはまいらぬ、タイヘンなシロモノである。
再現性と安定を佳しとする、ナショナル・ブランドに慣らされたヤッブンヤン(粵語)には、博打みたいな酒で目がチカチカするが、郷に入ればゴーゴーゴー&ゴーズオン! ©︎糸居五郎 というのは旅商人の習い性であり、社会通念であり、ワールド・ヴァリュー(世界基準©︎副島隆彦)である事、いうを待たぬ。
と、言うわけで物見高いお取引先をお招きし、のぼせ症でお調子者なホストは、りんご酒のメッカにして総本山、ザクセンハウゼンを目指す。
飾り気のない、木目剥き出しの壁に床、長テーブルに椅子。
大昔のスキー宿みたいな造りで、田沼雄三くんがギター片手に京南大学スキー部メンバーたちと「走れよドンキー」を唄い出しても可笑しくない雰囲気。
地酒ガブガブの極めて気安い店なので、地元常連客、観光客、そして我々同様の浮かれたものたちが集い、ぎゅーぎゅーに詰め込むだけ詰め込まれてい、うわーん、と、喧騒が全体を包み込んでいる。
りんご酒な店では、ギュータン、ブリスケ、あばら肉(というか肩ロース、かな? )の肉三昧に決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。
もしあるとすればギュータン(Rinderzunge)にしろブリスケ(Rinderbrust)にしろポークチョップ(Rippchen)にしろ、徹底的に塩茹でされており、ナイフに抗う事なくスッと切れ、口に含むと適度な歯ごたえと繊維のほどけて行くさま、そして舌に浮かび上がる肉の風味と自然な旨みが口腔を慰安し、どんなに「イ゛ーーーーッ! 」ときても耐えられるから、とは、被虐趣味に勝ちすぎ、ドイツ人がブーツ型のジョッキで黄金色のビールを好むのは
…と、大藪春彦仕込みのケシカラヌ隠喩を口走りそうだから黙っている。
そう思いながら、或いはマスタードを、或いはフランクフルター・グリューン・ソーゼをぶちまけながら肉塊にかぶりつき、噛み締めるたびにアミノ酸の滋味が口の中でほとばしるさまに喜び、獣脂の甘味で調子が上がり、ここで舌を洗うべく不用意にりんご酒をがぶりとやると、ますます上顎と鼻腔を三酸化窒素系のアレが蹂躙し、又、肉を齧り、うっとりとしては、りんご酒で「ヴーーーーッ」
…と、いう具合に、快楽と苦痛を延々に繰り返さずにはいられなくなり、あゝこれこそゲルマン的リピドーの深淵、と、懲りずに妄想でアタマをパンパンにしない、事もない。
Rinderzunge、牛タンの塩茹で。旨し!
Rinderbrust mit Gruner Sosse(本来uはウムラウト付き、ssはいうところのエスツェット)牛ブリスケットの塩茹で、グリーンソース添え。 よくできたコーンドビーフの舌触りと旨み。
Rippchen ポークチョップの塩茹で。こういうどって事ないモノをとると、ドイツの豚肉はホントに地味溢れているなと思う。
ザクセンハウゼンだから不愛想…ではないらしい
フランクフルトの中心街は、商業主義が横行している、というかバブルの記憶を引きずる日本人観光客、ならびに昨今絶賛活躍中の爆買いさん諸君を食い物、とまでは言わないものの、やや雑に、オートメーションに扱う店が目立ち、たまに食傷する。
そこで川一本隔てたザクセンハウゼンに向かう。
こちらは観光客が比較的足を踏み入れる名所旧跡が少ないからか、街中、路地に情緒がどことなくとどまっており、歩いていて飽きることがない。
そしてザクセンハウゼンに行けば、便宜上リンゴ酒ないしアップルワインと翻訳されることの多い、店店で自家製を謳うApfelweinをがぶ飲みするというのが道理であり、社会通念であり、ワールド・ヴァリュー(世界基準©副島隆彦)である事、いうを待たぬ。
しかしながら、界隈を代表するアップルワインを飲ませる有名店は不愛想で悪名高い。
ホテルのコンセルジュに予約を頼もうものなら
「なんでんなプア・サーヴィスな店に行きたいンですか? 」
と、やんわり、否キッパリ行先を変更するよう推奨されるほど。
実際訪問してみると、「期待通り」にアレなのであるが、これは我々が極東のイナカモンキー・キノボリサンだから差別されているのではなく、訪問客がすべて等しくエラい目に会っているさまを目撃するので、ま、いわば店の、ひいてはアップルワインを出す店全般ないし一般的個性、性格として理解すれば腹も立たず、ただま、正直一度行けばいいかな、と、思わないでもない。
とは言え、捨てる神あればなんとやら。地元ザクセンハウゼンに駐在する邦人駐在員にして我が飲み友達が
「まだましな店が通りのならびにありますよ」
と言ってくる。
義を見てせざるは勇無きなり、スウェーデン食わぬはオトコの恥! を座右の銘? にしている関係上、じゃあ行ってみようじゃないか、という事になりくだんの友人に電話を掛けさせ、現地に臨む。
店に入る、時分時なので大層込んでいるが、白い上っ張りの給仕氏というかお運びのおぢさんが、グーテン・タークと言ってきて、予約がむにゃむやと言っていると、コッチコッチと案内し、なかなかに感じが宜しい。
なるほどましどころかかなり良好に思うが、厳密にいればフツーというか、食べ物屋さんとしちゃアタリマエかもしれない、が、 #いんだよ細けえ事は! と口の中でつぶやきながら、食卓に着く。
ましな店ではタルタルと牛タン煮込みと、あんまりドイツっぽくない献立に決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。
もしあるとすれば、単に滞在数日にしてアイスパインもといアイスバインやザワー・クラフトもといザワー・クラウトといったドイツっぽいのは諸方で食いすぎ、やや飽きていたから、とは、ましであるかどうかはまるで関係ないから黙っている。
そう思いながら、自家製だが還元臭は抑えめでイ゛----っ! とはこないアップルワインをがぶ飲みし、ごく柔らかく煮上げられた牛タンの、根本付近の繊維がホロホロくずれていくデリケートさに故荻昌弘氏の随筆を思い出し、本邦では提供禁止されて久しいギューの生肉をケイパーだのアンチョビーだのと徹底的に混ぜ込んで食うと、自らが蛮人になったようで威勢が上がり、調子こいてフランケン・ワインに切り替えて丸いボトルを二本三本とやっつけては、やっぱり亜硫酸塩入りのワインはオイニーがしなくていいや、自然派ワインは願い下げ、自然でいいのはボインだけだゼ! と、けしからぬセリフが口をつかない、事もない。
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ムササビヒンソー
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| 店名 |
Zum Gemalten Haus
|
|---|---|
| ジャンル | ドイツ料理 |
|
予約・ お問い合わせ |
(+49) 69614559 |
| 予約可否 |
予約可 |
| 住所 |
ドイツSchweizer Str. 67, 60594 Frankfurt am MainSchweizer Strasse 67 60594 Frankfurt am Main |
| 営業時間 | |
| 予算(口コミ集計) |
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| 駐車場 |
無 |
|---|
| 利用シーン |
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|---|---|
| ホームページ | |
| 初投稿者 | |
| 最近の編集者 |
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ザクセンハウゼンでいっぱい。
フランクフルトに移住して10年になる飲み仲間に連れて行ってもらういつもの店は、変わらず素朴にして実直。
そっけないが愛嬌はある、というのはこういう事だねという接遇を受けつつ、野趣溢れる……つもりは先方にはなかろうがこっちが勝手に感じている、肉料理のひとつひとつに納得しつつガブガブ。
コロナの㌧ネル挟んでだから5年ぶりだねえと感慨に浸りつつよもやま話も愉しく、名物アップルワインと白ビール痛飲。
これを幸いと言わない事があろうか、いや、ない、と古文の定法 #二重否定は強い肯定 で頷きつつ、ドイツの夜は更けていかない、事もない。
界隈ではお隣の店の方が観光ガイドブック的に人気があるが、先にご案内の「愛嬌」と割烹の誠実という点でわたくしはこちらを推す、とはでっけえお世話か、はは。
尚、具体的な御菜の詳細は、別掲の写真ないし、写真のコメント欄に当たって頂きたい。