「全品デザート」がコンセプトのエッジが効いたイノベーティブ : CODA Dessert Dining

World Best Restaurantにランクインしている、ベルリンきってのイノベーティブな高級レストラン。コースの全品がデザートです、というコンセプトに魅かれ、ベルリン旅行が決まった3か月ほど前にまっさきに予約を入れた。

かなり治安の悪そうに見える通りの一角にひっそりたたずむレストラン。最初レストランを見つけられず、間違えて全然違うところに来たかなと思った。
レストランに入ると、簡素だけどエッジが効いたおしゃれな雰囲気。お店のスタッフも料理人も、タトゥーが入っているなどロックな感じのおしゃれ感で、この治安の悪そうと思った街の雰囲気に合っている。
こちらのレストランは、高級感からではなく、アートとしてのレベルの高さから高値がつけられているんだなと感じた。

全体的にフィロソフィー通りの自然な甘みの料理が続く。北欧デザートのような感じでデザートとして出てきても違和感ない甘さな一方、デザートみたいに重くないので、食事として出てきても心地よい。
一皿が少量かつ軽い料理が続くので、お腹いっぱいにならす、食後感も軽く心地よい。ドイツ伝統料理の、がっつりとした大味で重く、どっしりお腹いっぱいになる感じとは正反対。

イノベーティブレストランといえばたいてい、その国の料理をベースにして昇華させた料理が並ぶイメージだが、今回はドイツの伝統料理の要素はほとんど感じられず、完全なクリエイティブのように感じた。

強制的につけられたジュースペアリングは斬新な発想にうなるし、料理とのペアリングも良い。これもドリンク自体がもっとおいしいと、もっと満足度高くなるが、40ユーロならこれで十分満足。

キッチンより高いところに位置するカウンターダイニング、料理がよく見えるのが楽しい。
クリエイティブなだけあって、ドライヤーらしきものなど、見慣れない調理器具もいくつか。
サービスの方々は、お客に対しては明るく感じよく親切だった一方、笑顔がお客から離れたとたん消えてしまう、店側同士で同僚と話す時も笑顔なし、そして店側同士での会話がほぼない。

コース224ユーロ、ペアリング40ユーロ.エスプレッソ6ユーロで計270ユーロ。これに半強制的にチップ10-15%でお会計50000円程度。
英語の説明は半分も聞き取れなかったが、エッセンスはわかった。全部デザートに始まる発想自体はかなり面白かったので、もっとおいしさにも感動できると、日本の感覚でいう価格に見合う満足度に近づく。（ドイツは物価日本の2倍くらいの印象だったので、そう考えると良心的な値付けだと思う）

★6.5 GUMMY BEAR Golden Beat
Golden Beat 甘みの強い野菜だそう。こちらをゼリー状に。
まさに茶色の野菜をグミにしたような独特の味

ここで、コース全体として砂糖は一切使っていないという説明を受ける

★8 Beafcake Sweet Potato . Almond
甘くてデザートみたい。でも確かに砂糖ではない上質な素材の甘さ。
シュー生地のような見た目だったけど、中は確かにスイートポテト（味も硬さも）とアーモンド。

★9 BRIOCHE Gouda . Rutabaga
ドーナツ型をしたものは、ブリオッシュと名付けられているが、ブリオッシュではなく、むしろかなり軽く繊細に仕上げられたパフというかなんというか。その中にとろけるゴーダチーズが詰められている。
目の前で、極細にRutabagaのキャラメルソースをかけてくださる。

絶品！ゴーダチーズの塩気と、上にかけられたキャラメルソースの甘みとのバランスが絶妙！

☆8ラズベリーと乳清とライムのジュース　次の料理との相性が良かった

★7 RHUBARB Tarragon . Rapessed Honey
ヨーグルトとタラゴンの中にルバーブ。
ルバーブはテクスチャーの異なるゼリー、切り身など三種
☆7.5下には味噌とRapessed Honeyのクッキー
上にはホワイトチョコをタラゴンで抹茶色にしたプレート

独創的な発想が面白いが、おいしさが追いついていない。そしてヨーロッパらしい大味。

☆9 Oolong Tea “Si Ji Chun”
烏龍茶とカルダモン
絶品！烏龍茶とカルダモンの組み合わせがこんなに高貴で透明感ある味わいになるとは！

★8 EGGPLANT Pecan . Apple Balsamic . Liquorice Salt
下から
ピーカンナッツのクッキー　
バルサミコ漬けなす
ピーカンナッツのアイスクリーム
アップルバルサミコのゼリーの板
ナスのチップス
ピーカンナッツを砕いたもの

アップルシュトラーデルの再構築のような、ドイツ人が作りそうなデザート。と言ったら面白い発想とお店の方に言われた。なのでアップルシュトラーデルを意識して作ったわけではなさそう。

★9 LETTUCE Gherkin . Cream Cheese
ドライレタスの器、口に入れようとする瞬間から、ほろほろ繊細に崩れる。

レタスが甘いノリのような味わいになってるから不思議。はちみつと何かを加えている。発酵のような味わいだが、発酵はしていない。
クリームチーズと他、酸味と塩気ある素材が調味料的に

☆7.5りんごと何かのジュース　やや炭酸入ったアップルシードルのような味わい。


★8.5 RACLETTE WAFFLE Kimchi . Yoghurt
ワッフルの中にもラクレットチーズ。なので塩気ある味わい。甘みはゼロ。
このワッフルが持ったら崩れそうなほど繊細！どうしたらこんなふうに作れるんだろうと思い尋ねたら、ワッフル生地に空気を入れてから、ワッフル型に入れるそう。

合わせるソースはなんと
☆8ヨーグルトとキムチパウダーのソース
という大好きな乳酸菌同士の組み合わせ。
こちらのソースのみ、ソースとワッフ、ワッフルのみと３種の味わいを楽しむ。


☆7.5アップルジュースとトップにチェリーオイル　
こちらもまた、シードルの再構築のような風味

★8 TOMATO Macadamia . Sobrasada
マヨルカのトマトを使った一品。
下から、トマトのコンフィ
トマトと何かのビスケット
トマトのアイスクリーム

目の前でマカダミアベースのクリーミーなソースをかけてくださる。
トマトとマカダミアナッツってこんなに合うとはっていう発見！
☆9トマトのアイスクリームがシンプルにすっきりしていて絶品

☆7トマトのリダクションと何かのビネガーとはちみつのジュース　
最初口にした時ははちみつで甘いのはな、でもえぐみ消すためにこの甘さが必要なのかなと思い、あまり口に合わなかった。
でも↓のチーズタルトと合わせると美味しくなるから不思議。チーズの強さでこのジュースのさがまろやかに感じられるからだろうか。

★7　DIKE CHEESE TARTE Fig . Bone Marrow . Peanut
上からBone Marrowのムースとピーナッツを砕いたもの。

タルト生地は海藻などで塩気を加えたとのことで、かなり海藻の味がする。
いちじくのコンフィ

チーズはベイクドとレアの中間と聞いた気がする。トロッとしてて、塩気で締めてて甘さはない。むしろチーズそのものって感じ。

★7 GRISSINI Pork Rind . Sauerkraut
まずは蓋を開けてスモークの香りを楽しむ。
グリッシーニというよりスノーボールのようなふわっとした食感。ゼリーと松の実。
スナック状でスモークの香りがしっかり移っている。

☆8メロウというブドウとウォールナッツと何かのジュース
赤ワインを意識してることがはっきりとわかる強い味わい

ここで、今までカウンターという外から眺めていたキッチンに案内していただける。
奥のチョコレート製造機の前で、どんなふうに次のチョコレートのデザートを作ってらっしゃるか説明を伺う。
☆7　そして７６％のチョコの極薄の板をいただく。

★8　CACAO & CRISPY Cherry . Soy Milk
キッチンでいただいたのと同じ76%の薄いチョコの球の中に、かなりエアリーなチョコムース、
ダークチェリー、豆乳のソース
トップは豆乳をキャラメリゼしたチップス。豆乳の味はまったくわからず。

ほどよい苦みと酸味の効いたチョコレートに優しい豆乳の風味。

☆6.5抹茶とトンカマメのジュース
これも、これだけだとなんで緑茶を甘くするって感じだけど、↓のデザートと合わせるとすっきりまろやかでおいしい。

このドリンクと↓のデザートで、外国人シェフは味覚が違うんだなと改めて感じる。

★6 GRILLED PEACH Red Pepper . Coriander
上から
レッドペッパーのアイスクリーム
何かのメレンゲ
グリルした桃
レモンとコリアンダーの緑のソース

斬新すぎてついていけない味。特にレッドペッパーのアイスクリーム、にんじんの味わいすら感じる。なんだか中東テイスト。
全部合わせて食べた方がおいしい。

食後のドリンクメニュー。いろいろ魅惑的なメニューが並んでいたが、結局純粋にそのとき飲みたかった↓をチョイス。
☆8エスプレッソ　詳細はメニューご参照
バリッと酸味が効いてるタイプ

★7　DRAGEES & CHOCOLATE
4種のドラジェ、アートのように美しく置いてくださる。
ピーカンナッツをホワイトチョコでコーティング、きなこパウダー
ホワイトチョコ、コーヒー、ミルクパウダー

☆7.5ビートルート、ヨーグルトチョコ、ビートルートのパウダー
美しいショッキングピンク。ほどよい酸味がいい感じ
☆8ソフトキャラメル
バターの代わりに和牛の脂。肉肉しさはないけど、バターのようなミルキー感もない。

★8 CACAO 78% Medjool Date, Butter
デーツで甘みを足したチョコスティック。
酸味がいい感じに効いたおいしいチョコ。
チョコクリームをチョココーティング
デーツの味はわからなかった

帰り23時前。行きに通ってきたあの治安の悪そうな通りを夜遅く歩くのが恐ろしく、店員さんにこの辺は治安が悪いのかと聞いてみた。たぶん悪いのだろう、店員さん渋い顔をした後、「気を付けていれば大丈夫。私は夜帰るときイヤホンを両耳せず片耳にする。そんな感じで周りの音をしっかりきいていれば」とおっしゃった。
私からすれば、ヨーロッパだったら昼でも、治安に問題なさそうなところでも、イヤホン両耳して歩くなんて危なすぎてありえない。
店員さんのお話伺って、ベルリンって実は、私が思っているよりはるかに安全な街なのかもしれないと思った。
実際、このレストランのある通りは、真っ暗で人気が少ないうえ、よっぱらったロックな感じの若者が歩いていて怖かったが、大通りはすぐ。いったん大通りに出てしまうと23時でも明るい繁華街という感じで、安全な印象だった。