五年半ぶり三度目。 : Standige Vertreting

に、わざわざ予約をとって訪問しているのだから、ここで提供しているシュタンゲという2ﾃﾞｼ㍑の小さな器で供されるケルン由来の銘酒「ケルシュ」には、それだけひとびとの心持ちに執着を与えるものがある

……のかもしれない。

コロナ・ヴィールス蔓延以来、久しぶりに顔を出してみて、こちらの持つ空間の雰囲気、ひとあたりの宜しさなどに感じ入り、黄金色が麗しきビアに親しんでいると、なかみは瞬く間に「蒸発」し、間をおかずにシュタンゲを回転式拳銃の弾倉に詰めたような容器クランツのお代わりを繰り返し所望しない、事もない。

尚、具体的な飲食の詳細は別掲の写真ないし写真のコメント欄、加えてわたくしMSSBめがしたためた、過去二度における「感想文」を参照いただきたい。

それにしても地ビールだクラフトだという遥か前からこのようにビアに多様性を持つ当地は改めてこと酔漢にとっては愉快な場所である。

いや実際、本当に。

炭酸水は脳を活性化し、新しいアイデアが豊富になり、活発な意見交換に有効だという。

と、なれば、夕刻から場所をとり、炭酸水片手に天狗物産グループ臨時経営会議が開催される運びになる、というのは極めて合理であり、社会通念であり、ワールドヴァリュー（世界基準©️副島隆彦）である事、いうを待たぬ。

ハノーファー市庁舎のならび。

ケルン地方で醸されるケルシュ（Kölschと）いう上面発酵と下面発酵のあいのこみたいなビアもとい「炭酸水」を得意とする店で、これをシュタンゲ（Stange:棒）と名のついた小体なビアグラスもといタンブラに注ぎ、クランツ（Kranz:花輪）という器に納めたのが運ばれてくる。

シュタンゲを親指と人差し指で作った円に挟み、ここに中指を添えてグビリ！ いや、旨し、さすがラインハルト地域の銘酒…おっとっと、炭酸水はひと味ちがう。

昨年同様、熨斗イカみたいな？ ドイツピザのフラムクーヘン（Flammkuchen)をとり、アメちゃんのそれより遥かにデリケートかつ滋味深いスペアリブBBQのゲラクテ・リップヒェン（Gelackte rippchen直訳すると「漆塗りのアバラ」）に舌鼓を打ち、矢継ぎ早にシュタンゲを空にし、再びクランツをとり、ガブガブガブガブやっていると、「炭酸水」で活性化され「すぎた」脳は次第に「いい調子」になってきて、宿に帰って明日に備え、寝床に入るのが一番である、という「最適解」を導き出し、同意し、その日の酒盛りもとい会議は終了しない、事もない。

ハノーバー新市庁舎に隣接するこちら、ビールが余りに美味いので、市長、市議会議員、陳情のみなさま、市庁舎にはもっぱら「代理」を出し、実際に集まっていたのはこっちであったとか、なかったとか。

そんなに美味いビールが飲めるなら、ひとつご相伴になろうじゃないか、と、夕方に予約を取り、訪問。

ケルンの地酒「ジオン・ケルシュ」というピルスを飲みきりサイズ200ccの小さなグラスで八杯、九杯単位で注文するスタイル。

ずいぶんお上品に、もったいつけて飲ませるね、と、思うものの、（通常のビアタンブラーに比べ）薄口のグラスに口を近づけてグイ！ とやると、なるほど軽快（薄いのではない）で旨し！

美味い美味いとグループで、先を争うように八つのグラスを手に取り瞬く間に空にし、もう八杯、さらに八杯！ とお代わりを重ねるのが楽しい。

楽しいビールにはフラムクーヘンに決めている。

決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。

もしあるとすれば、北部ハノーファーで西部ケルンの地酒をやりつつ、南部アルザスの御菜をツマミにすると、全土制覇総統閣下はご機嫌ですチキショーめ！*1 という感じで豪快だから、というのは後付けの言い訳で、単にお隣のカップルさんが食べていたのが美味そうだったから、とは、独創性のカケラもない付和雷同、竜雷太はゴリさん #言いたいだけ なので黙っている。

そう思いながら、サワークリーム・オニオン・ベーコンのオリジナル・ヴァージョンのもののほか、人数を頼りにトマトソースにモッツァレラ、サラメ、ルーコラという、多分に意多利に割烹が振れたものも取り、発酵のもっちりでなく、オーブンによる輻射熱由来の脆皮ぶりを呈する生地の芳ばしさと、さらりとした後味を楽しみつつ、ふたたびグラスの中身をグビリ！ とやると、午餐というよりは晩酌という感覚が心地よく、はて俺たちはいつまでビアのお代わりを続けるのかな？ と、思いながらもアナザワン！ #ANTHON！ の呼ばわりが止まらず、エンドレス・ドリンキングに淫さない、事もない。

*1 https://youtu.be/IB1wtRGgAHc