フレンチの力で更に進化したベトナム料理 : THE PIG AND THE LADY

ハワイにはベトナムからの移民が非常に多いこともあって、ベトナム料理店が多く存在します。
タイ料理店ばかりでベトナム料理店の少ない日本とはまるで逆の状態です。
久々にベトナム料理店を幾つか回ってみて分かったのは、日本で食べるベトナム料理よりもハワイで食べるベトナム料理の方が圧倒的に美味しいこと。
当然限られた数のお店しか訪問していませんし、食べるものもフォーやバインミーばかりではありますが、欧米人の嗜好の中で進化したベトナム料理はこんなに美味しいものなのかと驚きました。

ここはダウンタウンからチャイナタウンに入った辺り。
同じ通りの奥にはベトナム料理店も多く存在します。
人通りの多い昼はそれほどでもありませんが、夜は気をつけた方が良いエリアだと思います。

店内は13時を回っているというのにほぼ満席。
他のベトナム料理店はガラガラだというのにここだけは人口密度が濃いですね。

ランチは14時までのようですが一度近所を散策して時間を潰して入店しました。
広い店内を見たところ、場所柄もあってかほとんどの客は東洋系。
欧米系やロコ風なのは店員さんぐらいかも。
それも中国系だかベトナム系といった感じで、日本人らしき姿は見られませんでした。
ハワイに来てまでベトナム料理？というのがあるのかもしれませんが、そのおかげでこの程度の混み具合なんだと思っておきましょう。

大きく開けた天井やスタイリッシュに飾られた空間は、今までのベトナム料理店には見られなかった趣向です。
配布しているという持ち帰り用のメニューを見ると、ランチは主にベトナム料理、ディナーはビストロ風といった構成のようですが、シェフの母親がベトナム人だそうでその影響もあるものと思われます。
ちなみにこちらのシェフは「シェフ マヴロ」でスーシェフとして活躍したアンドリューさん。

バインミー(税別＄13)にミニフォーを税別＄3で付けられるセットがあったのでそれをお願いしました。
バインミーは幾つか種類があって、私の選んだのはフレンチディップ。

ちなみにお店の備考欄には「席を確保してからレジに行って注文、清算する」といった記載がありましたが、私の訪問時はたまたまだったのか、レジにいた女の子が気を利かせてくれたおかげで席まで案内して注文までうけてくれました。
ドリンクはノンアルコールというジンジャービールを注文しました。

なんとドリンクはガラス瓶のような入れ物に、そして食事はバットに入って出てきました。
これは面白い趣向ですね。

ジンジャービールは、ジンジャーエールの甘みを抑えてジンジャーの風味をガツンと効かせた感じ。
お店や食器の雰囲気そのままにかなりの攻撃的な味。
これは美味しいです。

そして食事はまずバインミーから。
元々ベトナムはフランスの占領下にあったので、フランスパンに具材を挟み込んだサンドイッチ、バインミーがメジャーな存在です。

フランスパンの間には牛肉を柔らかく煮込んだ厚みのあるチャーシュー状のものが2枚。
そして湯通しして若干柔らかくなったもやし、玉ねぎ、香草などが入っていて、バインミーとしてオーソドックスな大根や人参の酢漬けなどは見当たりませんでした。
ソースはフレンチディップとあったようにオーロラソースのような色合いのフレンチ風のものを使っているよう。
更に食べている途中に赤い辣油のような油も垂れてきて、ややピリ辛な風味も感じました。

とまぁ、本来のバインミーとはかなりかけ離れてはいるようにも思いますが、味は文句のつけようが無い程素晴らしく美味しい。
脂身も柔らかくて厚みのある牛肉が口の中でホロホロ崩れて、ソースや赤い辣油のような油とも相性は抜群に良いです。
かなりフレンチの要素が加わっているようにも思いますが、それでもこれは歴としたバインミーです。
元々フランスの影響で出来上がったバインミーが、今の時代に更にフレンチの力を以って進化したと言うべきでしょう。

そしてフォー。
麺が薄っぺらいながらもうどん状に平らになっていて、日本で食べるフォーより幾分しっかりした食感です。
汁は何だか日本の煮干にも似た魚系の風味も感じますが、決してうどんではなくきちんとフォーの味になっています。
ミニフォーという通り、量は少ないものでしたがかなり満足できる味でした。

サラダは簡単なカット野菜にスイートチリソースをかけたもの。
それでも久々に口にしたスイートチリは美味しかったです。

最後のお会計で、最初に対応してくれた店員さんに税込＄21弱のところチップを足して＄25を渡してお店を後にしました。

ここは純粋でローカルなベトナム料理というよりはヌーベルベトナムとでも言うべきお店ですが、日本には無いタイプのお店だと思います。
ハワイに来られてポケやガーリックシュリンプ、アサイーボウルなどを食べるのも楽しみのひとつだとは思いますが、こういう日本には見られなかったタイプのお店も選択肢に加えてみても面白いと思いますよ。
夜もきっと満足できるものと思いますので、私もまたの機会に足を運んでみたいと思います。
ごちそうさまでした。