真の職人によるハワイならではの焼鳥を型破りな発想で楽しむ予約の取れない人気店 : Yakitori Hachibei　Chinatown Hawaii

The Hawaii's Best Restaurants
エイ出版より

チャイナタウンの街角に暖簾がかかると
ぞろぞろとその日の客が店内になだれこむ。
お目当ては、熟練した職人による
美味い焼鳥と美しいパフォーマンスだ。

　今ダウンタウンのホテルストリートとヌアヌストリートエリアはレストランシーンとして本当に熱い！　角の『フェテ』にはじまり本書にも掲載している『アンコール・サルーン』、『ブリック・ファイヤー・タバーン』と、大人の楽しめるレストランが続々オープンしているが、その一角にこの春オープンした『焼とりの八兵衛』も、ソフトオープンの時点から話題になりすでになかなか予約が取れない人気店として大盛況。今までハワイになかった真の日本人職人による焼鳥を存分に堪能できる店である。
　僕が昔から福岡で通っている『焼とりの八兵衛』は創業1983年。現オーナーの八島さんが創業者だ。この店には「風当たりを恐れず常に業界の先頭を走ろう」というモットーがあるのだが、34年前の創業時には焼鳥屋でワインを出していたというから当時から型破りなスタイルだったことがわかる。今では福岡のほか東京、台湾、バンコクにまで支店を持ち、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気店だがその道のりはそんなにたやすいものではなかったという。
「2号店を出すまでに17年かかりましたし、2号店のオープンからしばらくしても、親子3人畳で寝ていましたからね」と笑いながら話す八島さん。実はハワイへの出店も、その道のりは長く17年がかかっている。
「ハワイ店のパートナーとなるハワイ出身のロバートに出会ったのが、ちょうど2号店をオープンした17年前。その時すぐに意気投合してハワイに店を出そうって動き出したんですが物件や食材など、いろいろ難しくてなんどチャレンジしても上手くいかなかった
んです」
　ところが実に不思議なものですべての要素がバシッとそろうタイミングが来る時には来るのだ。「2015年にロバートがハワイで結婚式を挙げた時に、改めてハワイに魅了されて、もう一度チャレンジしてみようかなぁと思いました。そうしてすでに人気が確立された『タウン』や、注目を集めている『ピッグ・アンド・ザ・レディ』、『フェテ』に連れて行ってもらっているうちに彼らが起こしているこのムーブメントの一部になりたい。今までのハワイに店を出したいっていう気持ちと全然違う思いも生まれて。そうしたら偶然がすべて奇跡的に重なって……」
　八島さんが惚れ込んだノースショアにある『ジュリアス・ルドビコ・ファーム』の鶏肉に『シェフ・マブロ』で出会ったのもこの時だという。「ノースショアの風の音を聞いて育っているからこの鶏は絶対に健康」とファームのオーナーが自慢する通り『ルドビコ』は大切に限られた数量しか育てていないため取引をするにも審査が厳しい貴重な鶏肉だ。
「健康な食材を食べれば人も健康になる。ハッピーなものを食べるとハッピーになる。最近僕が学んでいることと同じ考えを持つ鶏に出会えました」
　美味しいのは当たり前と八島さんも太鼓判を押すが、特にレバーと砂肝は絶品である。
　美味しい焼鳥をつまみながら八島さんが焼き場に立ち、焼いている時の姿が美しいといつも思う。食べ終わった後に拍手喝采をするロコもいる。
「博多の焼鳥はエンターテインメント。屋台の延長線上なんだから串に刺して面白くて美味しければそれで良し！」
　屈託のない八島さんの笑顔からいかにハワイ店での仕事を楽しんでいるかが伝わる。所作に感動する職人技を見ながら楽しく美味しく。ハワイで焼鳥なんてと先入観で片付けずここにしかない焼鳥をぜひ試してみてほしい。