夜景レストラン。ただそれだけ、ならまだいいのですが・・・ : Hutong

（少し前の訪問になりますが、それ以降も知人に連れられて2度ほど入店したりしてほぼ現況を確認しています）

夜景が見たいという、香港経験の浅い友人を連れて、やってきましたペキンロードワン・ビルディング。２８階にあるこちらは午後７時大盛況。予約して、窓際ではないが何とか海が見える席に。

メニューから選んだのは
諸侯　Pig throat with leak salad　豚の喉肉、ネギのサラダ
京城羊肉　BBQ lamb Beijing style ラムのバーベキュー
串焼八戒　Succulent pork belly grilled with shallot and green pepper エシャロットとピーマン添えの豚バラ串焼き
聖旨到　Bamboo clams spiced and steeped in Chinese wine and chili sauce　マテ貝の中国酒マリネ、チリソース添え
話梅蝦　Prawns braised with preserved plum sauce　干し梅ソースで蒸し煮した中えび
あとは四季豆炒め。

本来古風なレストランがお好きなはずの蔡瀾さんがこの店を取り上げているが、読んでみると、いつもの明快な口調はかげをひそめて、
「店はヒップな作りで、香港の伝統的なレストランから見ると違和感があるかもしれないが、料理に関しては伝統を踏まえ、新しい提案をしているのは、いいことだし、大事なことだ。完璧とはいえないが、かなり高い点数を望める。こうした店が香港のレストランシーンの新しい歴史を作ってくれないと困る」（『蔡瀾の香港を丸ごと味わう』　河出書房新社　２００８年　４４頁）
？　すみません、ちょっとお時間拝借。kasuganomichi翻訳ソフトにかけてみますと、
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
「香港で最近若者向けの中華、どんどん出てはつぶれてる。まあ今までなんとか10年間以上もったここにちょっと肩入れしとこ。Bo Innovationとかは論外やし、まあここらあたりが私の許せる限界のうちやからな。ま、しっかりがんばってや」（村田吉弘口調でお願いします）

特徴１　私も時々英国版で使っているTripadvisor　（日本）で拝見すると、
「夜景最高」「景色が最高」
「夜景がきれい」「景色がおかず！」「夜景は100万ドルです！！」
「夜景がきれい」「夜景がきれいに見えるレストラン」とまるで夜景教徒のお祈りみたいになっています。教徒でない方の表現では「逆に言うとその夜景（と内装）以外ではこの値段を出す価値は無いかもなぁと思うレストランです。」ってことになるのでしょうか。

特徴2　店の名前は北京風、北京ダックみたいなのもあり。味付けは、四川ベースかとも思わせるが多種多様。おいしい粤菜がないことはたしか。全体に辛い。

特徴３　サービスはよろしくない。混雑していてスタッフの数がたりないうえ、時間帯によってはブッフェなんかもやっちゃうから大混乱に。若い男性のスタッフは皆インカムをつけているが、電源が切れても気づきそうにないグレープフルーツ並みIQの無能系が目立つ。

特徴４　料理の名前が小難しい。英語を読めばなんとかなるが、八戒、諸侯、聖旨到、話梅蝦など、古典の登場人物からでもとったりしているのでしょうが、分かりにくいし、その説明もない。店のスノッブなセンスだけがしっかりと伝わる。

特徴5　料理のプレゼンが長い。時間も短くはないが、お皿の盛り方。とにかくどんどこ横に横に並べていく。

特徴６　３の混乱をさらに悪化させるのが、けれんみたっぷりのパフォーマンス。厨師が麺を伸ばし、少年が踊りながらお茶を注いていく。

昔のレストラン本が出てきて、なつかしく読んでいたら、こちらの評価がありました。そこで、サービスについて、
Hectic, unprepared, and unfamiliar with the menu. Each dish brings yet another person to your table, leaving you unsure whom to address with questions or corrections.
Request for recommendations are passed from staff member to staff member, till a manager will arrive to take your order.
慌ただしく、準備ができておらず、メニューについて知らない。それぞれの皿を違う人が持ってくるもんだから、いったい誰に質問や苦情を言ったらいいのかわからない。
お勧めを聞いてもボーイたちの間でたらいまわしにされ、最後にようやくマネジャーがやってきてオーダーをとることになる。
（Hong Kong’s Best Restaurants 2006, Hong Kong Tatler, p.147）
たしかビルの北京道一號が出来たのが2004年だから、まだスタートして間もないころの話ですが、サービスの悪さはそのころから定評があったようですね。（この本、Best Restaurantsというだけあって、ほとんどのお店のサービスは「素晴らしい」「文句なし」のような評価なのですが）
というか、マネジャーが来てくれるだけ昔の頃のほうがましですか。

以上、おわかりになりましたでしょうか。１階上のバー「アクア」、ビクトリア湾内のなんちゃってジャンククルーズの「アクアルナ」などを経営するグループに属しています。若い香港人や西洋人の酔っ払いに肩をぶつけられて、ああ、今私は国際都市香港にいるんだ、なんて実感できちゃうタフでグローバルな方には向いているのかもしれません。ただ、どっちにせよお値段はすごいですよ。とくにワインリストから１，２本選んでしまうとね。


ウルトラ余談。香港・胡同　で検索すると、１頁目にて旺角のゲイクラブのサイトに当たりますので、ご注意を。


http://www.tripadvisor.co.uk/ShowUserReviews-g294217-d1367659-r297753521-Hutong-Hong_Kong.html