通過儀礼としての香港丼屋さん（または、香港・焼臘飯店入門） : 長旺燒鵝燒味飯店

夜3.2［ 料理・味3.0 | サービス-| 雰囲気- | CP3.2 | 酒・ドリンク- ］
昼3.0［ 料理・味3.0 | サービス- | 雰囲気3.0 | CP3.0 | 酒・ドリンク]が私の評価です。


12月香港。近所の知人たちにメールして、まさか長旺休業とかしてる？と尋ねると「えーなにそれ、いつも通りやってるよ」とのこと。

もちろん、このお店を訪れた本来の目的はおいしいご飯を外賣でホテルでいただくこと。今日は香港到着初日、前日まで仕事に追われていた連れと私は、いろいろ迷った末、いわゆる「スチロール宴会」を部屋でやることにしました。

「スチロール宴会」は私が勝手にそう呼んでいるのですが、香港の日常シーンです。映画『無間道』『無間道Ⅱ』のヤクザのボス（曾志偉）と警察幹部（黄秋生）の息詰まるやり取りの間にも、このスチロール飯たちが。これはもうかつ丼のレベルを超えた警察ご飯ですな。

いつものおじさんと愛想のいいお姉さんが夜のシフトです。焼鵝切鷄飯一椀30HK$と油菜12HK$、あわせて42ドルは持ち帰りだけどやはり安いですね。
そして、不思議なものです。このどんぶり飯は香港ではどこにでもあり、別にこの店が特別だというようなことはありません。でも、この味は、日本中探しでもおそらくない。高級中華だと少し事情が違うのですが。またこんど分析してみますが、今は、あともう一軒回って、連れが食べたいという焼きそばをテイクアウトして、部屋では冷えた安い赤ワイン（ホテルのおごり）が待っていますよ。

参考映画　『無間道』　2002年　アンドリュー・ラウ（劉偉強）監督　　邦題　『インファナル・アフェア』
　　　　　『無間道Ⅱ』2003年　邦題『インファナル・アフェア　無間序曲』
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（2015年7月）
先日弾丸旅行でいってきました。お店の様子と食べたもの（焼鵝叉焼飯一碟）を追加します。
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香港とは私にとって特別なところです。そこに入るたび、一定のみそぎ、というか心理的手続きを要することになります。そんなたいそうな、とお考えの方もいるでしょうが、まあここはがまんしてお付き合いを願います。

たとえば、飲茶。私にとっては何といっても倫敦です。ここよりおいしいとこがたくさん香港にあることは、よく承知しています。けど、まずは、倫敦。ここは日本と香港との気圧差を埋める減圧装置みたいなものです。で、それ以外ですと、こちらになるのです。

まず、場所。私の定宿から歩いて3分、雨にもぬれないし。ランガムプレイスのビル群の一部です。しかし、そう簡単には見つからない。ややこしいことに、ランガムプレイスには独自のフードコートがあり、やや高めのお店が並びます。http://www.hongkongnavi.com/food/390/
ここで私にとってご縁があるのは池記だけですかね。このフードコートで飯を食っている香港市民の大半は、この店がある裏フードコートの存在を知りません。その2フロア下、マックカフェの左から渡り廊下で行けます。http://blog.yam.com/ywjoseph928/article/21806905
繁体中文ですが、行き方について一応リンクも。

で、この裏食堂にはたった一つだけ有名店があります。
澳門翠苑餐廳。咖哩農夫包（カレー入りパン）で人気のお店。しかし、どの店もイートインはできず、300ほどあるテーブル席を共有しながらセルフでいただきます。現在14店舗。

この長旺さん、となりに同名の別店があるので注意、あくまでお肉がぶらさがっているところを目指します。

注文するときの手順。
１　まず、ご飯（インディカ米）の上に乗っける肉の種類を指定。１つ（單拼）か２つ（雙拼）
何ができるかといいますと、ポピュラーな順から
叉焼（チャーシュー）　肥・痩（脂が乗っているかどうか）の指定は黙っているとお店が勝手に決めちゃいます。当然骨なし
切鷄（茹で鷄）しょうがねぎソースが付く　骨あり
油鷄（醤油味の茹で鷄）　　　　　　　　　骨あり
焼鵝（ガチョウのロースト）　　　　　　　骨あり
焼鴨（アヒルのロースト）　　　　　　　　骨あり
焼肉（皮つき豚バラ肉の表面に油を塗って気泡をつくり、それを焼いたもの）骨なし
乳豬（仔豚の皮つきロースト）　　　　　　若干骨あり　　たいてい、少し高め
ほかにもあるけど、まずはここから選択するべきでしょう。あと、三寶とか四寶とか言って店で3，4種セレクトしてあるものもありますが、割と期待はずれが多い。そのうち一つはあまりおいしくないアヒルの塩漬け卵半個だったりするし。

２　すかさず、ご飯の量を指定
一椀（ヤッウン）　　　日本のややこぶりの丼くらい。こちらがお勧め。　
一碟（ヤッティプ）　　お皿にどどんと。日本の大盛りより少し多め。具もたいてい多めに乗る。一番安くすますには、二人で雙拼一碟、をシェアすることかな。

３　サイドディッシュ（不要ならスキップ）
たいしたものはない。油菜（ヤウチョイ）付け合せの季節野菜。たいてい1本チンゲンサイくらいがデフォルトで丼にのるが、野菜が食べたいときは追加で。安くて大量。私は常にタッパー持参。3日くらい冷蔵庫で持つので、滞在中ときどきつまむ。
例湯（ライトン）日替わりスープ。ごくたまに「当たり」があるけど、あまり期待しないで。
飲物なんかも聞かれるかもしれませんが、お安くするには持ち込みで。


初めてこの種のお店に行く日本人観光客にお勧めなのは、
１　骨を避けたい場合　「叉焼・焼肉飯」「一椀」とメモに書いて渡す。
２　しかし、より深く香港の味を楽しみたかったら、叉焼か焼肉のどちらかをはずして、その替わりに「切鷄」を行く。しょうがねぎソースは、どこのでも感心するうまさ。
これで、まずはずれはないでしょう。

で、一杯が大体２５HK$前後くらいなのですが、初めての方には５０HK$札を用意して、お釣りをもらうことを勧めます（100HK$札可、500以上不可）。早口で値段を告げられますが理解は難しいし、あと香港人お釣りごまかしませんから。

さて、今回は連れが切鷄飯、私が叉焼飯（痩）いずれも一椀ずつ。油菜をサイドで。
もっとうまいもの食いたい、と顔に書いてある連れを尻目に、私はご満悦です。

京都には私のいきつけの豆腐屋さんあります。でもそれは、そこが飛び切りおいしいから、じゃなくて、勤務先と自宅の中間にあるから。つぶれちゃ困るから通ってます。
同様に、この長旺さんよりはるかに上質の同業店が香港に少なからずあることは知っています。でもこの近場にあって、なかなか（たしか１５年以上）つぶれないのはありがたい。フードコートに14店舗もあって、1軒くらい焼臘飯店ないとね、という感覚なのでしょうか。
でも、時々、大量のワインボトルかかえて、アヒル半羽！乳豬半隻！肥叉（チャーシューの脂乗った部分）半斤！あと焼鵝100HK$！と摩訶不思議な注文方法で肉をゲットし、5人くらいでテーブル占拠して宴会始めるおやじとか、います。ここはやっぱり平民大堂なんですね。

これは私の個人的メモ書きであると同時に、おそらくほとんどの香港にある同種のお店にも共通することですので、ある意味マニュアルとしてお使いいただければ、と思います。長文失礼いたしました。