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僕らが旅に出る理由(安藤裕子ヴァージョン)
突き出しのカシューナッツ…なんだけど飾りのヤム芋の揚げたのの方が目立つ(笑
蜜汁叉焼。我が独断と偏見で「香港一」旨し!
おさかなの唐揚げに椒鹽粉風味。料理の組み立ての割に非凡な仕上がりなのがさすが
蘭度百合炒斑球。これも組み合わせとテクスチュアの妙。
順徳煎排骨。万世の職人さんに修行に来て欲しい。
燩湯の中身。旨味はスープに完全に移ってしまっていてヌケガラ。モミジ、鶏、バイ貝みたいな平凡なもので超絶美味を絞り出してくるからタマゲるばかり
蝦醤五話腩煲飯を取り分け、飯碗によそってもらったところ。シヌホドビンボー! ではなく、死ぬほど旨し!
天狗物産割烹研究所「鮭釜飯」rev.1 鮭は風味の勝つ、エチゴ村上の塩引き鮭を採用。飯と鮭の間に隠し味の「アンチョビペーストを敷いた」
#食べログ的に撮るとこうなる。
炊きたての図。
二合炊きでちゃんと飯が踊るよう、雪平鍋は18センチ直径にアップ。
家常菜とクラシックとデリカシー
湾仔の香港展覧中心(こんべんしょん・あーんど・えきしびしょん・せんた)に併設された萬麗海景酒店(るねさんす・はーばぁびゆー・ほてる)の中にある粤菜、というか、中国大陸、否、世界中どこを探しても存在しない「香港料理」が全盛を極めた頃の空気を現代に伝える店。
駐在時代から廿年ほど通っている。
天井の高い、いかにもホテルの中華といった感じのダイニングは、ジノリの器にシャンペーン・フルートが似合う「例のやつ」であるが、大きく切られた窓から一望できるヴィクトリア湾や対岸の尖沙咀の夜景が、目への煩さを和らげ、落ち着きを与えている。
御菜はどれも香港上等料理の王道「湯(出汁)をしっかり含め、素材を虐めず適切に加熱し、それぞれの舌触り、歯ごたえを程よく残す」手法。
今となっては「チョッと古い」20世紀終わり頃の味の組み立てかもしれないが、その手法を元に、更に時代を遡ったオールド香港な、鹹魚雞粒煲仔飯だの脆皮龍崗雞*など、イマドキの酒店、酒楼では
「勘定が高くとれないからメニューに載せたがらない」
ものを頼んでみる(ココにはあるンである! )と、改めてその烹調の確かさとデリケートさにハッとさせられる。
お醤油と麦芽糖でしっとりと仕上げた、当店独特の叉焼を一口、そして軽く飲ませる蘇眉茶を口に含み、先にご案内のハーバービューをぼーっと眺めていると、忙中閑あり、ではないが、多少浮世離れした気にもなる。
浮世離れした店では三杯酒桶蠔に決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。
もしあるとすれば、これも又、オールド香港スタイルな家常菜「薑葱桶蠔煲」に、台湾名物「三杯雞」の調味をクロス・オーヴァー(死語 させつつ、しかし玩具っぽいキッチュな仕上がりではなく、現代に通用する堂々とした港菜(と、あえて書いてしまおう)に仕上げている様が好ましいから、とは、香港レストラン予約サイトOpenRiceのレビューからの直訳みたいだから黙っている。
そう思いながら美國か澳大利から輸入されたと思しき桶蠔(しゃくと・おいすたぁず:剥き牡蠣)が、砂糖で多少カラメル化しているところに醤油と黄酒、胡麻油の香りをまとわせ、そこにふわりと生姜と葱の風味が浮き上がっているところはなんとも言いがたく、歯を当てると、カラメルのちょっとした抵抗、そしてクニュリとくる加熱牡蠣特有の歯ざわりが艶っぽく、というより有り体に言うとエロく、うっしっし、食事の後は駱克道(ろっくはーとろーど)のバー街でフィリッピン・ミンダナオ沖民間ODAに突撃だゼ! と、ケシカラぬ計画を立てない、事もない。
*別名炸子雞。龍崗は大陸深圳の村名。同地での養鶏が秀逸という事になっているため、香港ではこの名前が冠されることがある。
卓上に自家製XO醤が無造作に置かれるのが自信の証拠
個人的に香港でここ以外の叉焼は食べなくてもいい。
香港家庭料理「薑葱桶蠔煲」に台湾の三杯雞の味付けを応用した三杯酒桶蠔。この手があったか! 因みに桶蠔は「剥き牡蠣」の意味。
しっかり干して水分を飛ばし、然るのち揚げた脆皮炸子雞。古典に忠実でしみじみ旨し。最近こういう風にちゃんと作るところが減って…とは、地元エージェント氏のお言葉。
いびは当たり前に背わたを取り、潰し玉子で洗い、滑油の後、炒める。驚く事にこういう仕事が香港でもなくなりつつあるから、こちらが嬉しい。
取り分けられた鹹魚雞粒煲仔飯。煲仔飯みたいな旧い家庭料理がしっかり「レストラン」の味に昇華され、メニューに入っている事がこちらの性格を表している。
台山焗豆腐。揚げ出し豆腐みたいなのにそぼろ餡が掛かり、オーブンで焼いて出て来る。しみじみ旨し! 日本でも流行りそうな味。この夜の粵日混合チーム一番の評価。
香港では剥き牡蠣を桶蠔と言うが理由はコレだ!
港式粤菜の基本形にして発展形
香港といえば焼味(烤:すなわち竈による輻射熱加熱を施した家禽、家畜の肉)である。
これは高級店の小碟(あぺたいざ)に限らず、街々の焼臘飯店の店先に吊るされた叉焼をブツ切りにし、飯椀の米飯に目玉焼きニ個とともに載せた「叉焼雙蛋飯」に至るまで、広くあまねく浸透している、当該地区における民俗食の基本形であり、社会通念であり、ワールド・ヴァリュー(世界基準©副島隆彦)である事、言うを待たぬ。
ではアンタ、どこの焼味がお好みで? という話になると、いや通称大哥の店の叉焼に限る、いや昔の舢舨料理を高度に洗練し、店内にテレヴィ・モニターを置き、常にブルームバーグのハンセン・インデックスを流している金満家向けお大尽海鮮酒家のそれが格調高い、とか、まあ、人により、立場により、味への指向性によりさまざまなのであるが、当方の嗜好を勝手に開陳すれば、こちらの蜜汁叉焼の火入れのデリケートさ、味付けの過不足のなさ、そして表面のメイラード反応具合の艶っぽさに執着しないわけにまいらぬ。
クリスマス期間をマカオでの行商に費やし、ようやく解放され、香港に渡ってくればいうところのボクシング・ディの祝日で、なにやら聖誕祭の残り香で、街の空気が浮かれている。
仕事上がりでこちらも気楽になっているので、現地駐在の友人に声をかけ、年の瀬チョイとおいしいものでお互い慰労しあおうではないか、と誘い合い、数年ぶりに訪問。
焼味雙併、つまり焼き物盛り合わせは、いくつかあるもののなかから叉焼と、湾仔という場所に敬意を表して鳩。
と、なれば紹興酒ではなく、調子の上がる白ワインが欲しくなり、ワインリストを所望すると、ニコライホーフのグリューナ・フェルトリナがあるからこれを一本。
ナマコと葱、木耳の砂鍋煮込み、橄欖干扁四季豆、蠔皇柚皮唐生菜…と、野菜中心の注文になるのは、マカオで猪扒包だのスティクだの肉気のものばかり取っていて、身体が菜っ葉を求めていたから、と、気づいた途端、じぶんが随分、年を取ったなと、実感する。
そう思いながら、柚皮とはゆずの皮の香りを利かせたオイスタソースくらいのつもりでいたら、南洋の果物「ポメロ」の皮に水を含ませ柔らかくし、出汁とソースを含ませ、中国レタスに絡めているという工夫や、さやえんどうに橄欖菜、つまり一種のからし菜をオリーブの実と和え、油漬けにしたもので調和を取っている芸の細かさに舌を巻き、そしてそれがこちらの洗練された店内の空気や給仕の具合、そしてなにより先のオーストリーの白ワインとまるで違和感を覚えさせないところに、ヌベルシノワ以降、廿余年を経て、いよいよこの地方の料理が、世界中どこにもない特殊な進化をし、完成されたなあと、改めて思い知らされない、事もない。
当店のシグネチャーディッシュ蜜汁烤叉焼。私見だが香港で一番旨いと思う
湾仔といえば鳩であるのは、一般常識なのだよ、はは
橄欖菜乾煸四季豆 つまり鞘いんげんと油漬けのからし菜とオリーブ、ひき肉を炒めたもの。シャレている。
ナマコは葱の香りをまとい、木耳と供される。味のションだ(エチゴ弁 エリンギの調子も高い
柚皮、つまり東南アジアのポメロの皮を戻し紅焼にして中国レタスと共に。唸るしかない。
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ムササビヒンソー
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| 店名 |
Dynasty Restaurant(滿福樓)
|
|---|---|
| ジャンル | 中華料理 |
|
予約・ お問い合わせ |
(+852) 28028888 |
| 予約可否 |
予約可 |
| 住所 |
香港Renaissance Hong Kong Harbour View Hotel, 1 Harbour Road, Wanchai |
| 交通手段 |
港鐡(MTR)港島綫 灣仔駅 A5出口から空中通路を伝って徒歩8分 |
| 営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
| 予算(口コミ集計) |
|
| 支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX) 電子マネー不可 |
| 席数 |
246席 |
|---|---|
| 個室 |
有 |
| 貸切 |
不可 |
| 禁煙・喫煙 | 全席禁煙 |
| 駐車場 |
有 ランチ2時間、ディナー3時間無料 |
| 空間・設備 | 落ち着いた空間、無料Wi-Fiあり |
| ドリンク | ワインあり |
|---|---|
| 料理 | ベジタリアンメニューあり |
| 利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
|---|---|
| ロケーション | 景色がきれい、夜景が見える、海が見える、ホテルのレストラン |
| サービス | 複数言語メニューあり(英語) |
| お子様連れ |
子供可 |
| ホームページ | |
| 公式アカウント | |
| 備考 |
住所の漢字表記は |
| 初投稿者 | |
| 最近の編集者 |
|
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はい、こちら #言いたいだけ
なぜ旅に出るか? と言われれば理由は一つで「旅商人だから」
産地という金属加工技術集団を背景に抱え、商いを営む事を志向すれば、それまず第一にお客さん、マーケットがある事だよネ、というのは「言わずもがな」
そしてお客さんがいるところ、とは、人口が多く、経済活動が盛んで、広義の「品質」「出来栄え」に対し、価値を見い出し、選び、自らのものにしようとする意思を持つ、コスパ・コスパと低廉さばかりを口にしない、しっかりとした「買い手」がいらっしゃる消費地であるというのは、道理であり、社会通念であり、ワールド・ヴァリュー(世界基準©副島隆彦)である事、いうを待たぬ。
かくして旅に出る。
年に一度の大陸行脚。
上海から深圳、広州経由で佛山…行く先々でおひさしぶりねこんぬつわのご挨拶、商談、新製品提案、今後の販売戦略、そのなかでのプロモーション計画、打ち合わせ後のオナガレチョーダイ・ゴヘンパイ・バイジューカンペー・ボトムズアップ・二軒目で紅酒セブンアップ割・アナザワン・強烈ハングオーバー
…という「定例行事」をこなし、順徳からフェリーで香港いり。
同地でもお取引先と打ち合わせ、但し、食事をしながら、という事になり、指定されたのがこちら。
「だってMSSBさん、ここ好きだったでしょ」
とは、忖度のココロ溢れる、アンダーコントロール・オーヴ・ブリテン時代のホンコン・ホスピタリティを知る、我が代理商氏。
ホントこのひと、心づかいのきめが細かく、彼のアレコレを見ていると、昨今のパップンヤンがいうところのOMOTENASHIとかいうのが、面なし、つまり面子没有、面目ないって意味なんじゃな…いや、なんでもない!
面目ないココロモチの時は、御菜の発注をホストお任せに決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。
もしあるとすれば、
「あー、でも、当店馳名の蜜汁叉焼は外せないよね」
「え? 石斑の清蒸? そんな見栄っ張りのコケおどしじゃなくってさ、実質で行こうよ、そそ、その蘭度(カイランの茎)百合(の根)炒斑(石斑魚)球(日本でいうところのブツ切り)なんかいーんじゃない? 」
「そうそう、実演販売の宿題頂いてる煲仔飯(香港式釜めし)ね、これも久々に食ってみないと味が再現できないから、さ。あ゛、ねぇねぇこれ見て、蝦醤(イビの魚醤)五花腩(豚バラ)煲飯だって! こりゃクサくて旨そうだね。頼んじゃいましょーよ! 」
…などなど、ホストたる代理商氏の持つメニューに首を突っ込み、あれこれ言っていると、結局は自分で好きなものを頼んでいるのと大差ないから黙っている。
そう思いながら、(じぶんではなく)代理商氏推薦の「本日の燉湯(例湯とは別物)」の見た目のクリアさ、味の濁りのなさに、高級食材ではなく手法で食わせる厨師長の腕前に感服しつつ、
「や、さすがDouble BoiledあるいはDouble SteamingのSoupだね、一味も二味も違う」
と #知ってることを全部いう し、魚(名前を聞き分けられなかった)に粉を振り、軽く揚げ、台湾の椒鹽粉みたいなもので仕上げたものに非凡さを覚え、順徳煎排骨なる万世のパーコを100倍旨くし、1,500倍上品にしたような一皿に舌鼓を打ち、あれもこれもおいぴー、おいぴーとおいぴーレビューに終始していると、我ながら知能指数の低さにあきれ返るが、とは言え、本当に巧みな刀工と烹調の妙に当たった時、凡夫としてはこうならざるを得ない #冷酷な現実 に立ち向かい、しまいに先にご案内の「蝦の魚醤味の炊き込みめし」から、湯気と芳香がフワッと立ち上がったところに豚の三枚肉のこってりとくる奴を合わせたものの悪魔的美味ときたら、もうこれはオトウサン辛抱たまらん、といった呈をなし、つい、もーなんでもいう事きいちゃう! とうわ言のように口走ってしまい、12月には香港、澳門二か所で四日ずつ、通算八日の店頭実演販売を約束させられ、さらにその折は「鶏釜めし」のほか、「鮭釜めし」もレシピーを完成させておくように、と念を押され、帰国後改めて、研究にこれつとめない、事もない。