HKDG第４弾。おしゃれだけど正統派の広東料理＠中環 : Mott 32

香港で今もっともヒップでキッチュな（書いてて恥ずかしい）レストラン、といわれているこのお店、我々には縁遠いかな、とも思ったのですが、だめもとでメールにて予約を入れると間髪を入れずにイエスのご返答。これはなかなか好感度高い。（前回Duddel’sでメール予約を試みてひどい目にあったのとは対照的）

さて、時間に余裕をもってセントラルに到着、（地下鉄車内で長毛さんという香港人ならだれでも知っている議員・活動家を見かけました）。場所がすごい。セントラルのど真ん中、渣打銀行（スタンダード・チャータード）という香港三大発券銀行（香港ドルのお札を刷っている銀行）の一つの本店の地下。こういうロケーションは世界中さがしても珍しいでしょう。HPを見ると、事前にお願いすれば、この銀行の地下駐車場から出入店でき、完全にプライバシーを守れるそうです。なんかスターみたい。

ま、我々は、当然ながら歩いて銀行の入口からエスカレーターで入ります。

レストランデザイナーとして有名なジョイス・ワンさんによる内装は、たしかに興味深い。ちょっとごてごてっとした印象だけど、まあこれは好みによります。ちなみにHongkong Restaurant Interior Design Awards 2015でFine Dininng Restaurant部門の金賞を受賞したそうです。（foodie October 2015号　33頁）

サービスステーション（ボーイさんたちが注文を入力するデスク）のすぐ近くという便利なテーブルに2名で12時に着きました。

ホームページで予習してきたのですが、夜のメニューも渡されて、そこからも頼めるとのことでしたのでじっくりと見直し。なお、ディナーだと點心が数種類に限定されるそうです。

そこで、予定していた點心4種、前菜にお肉、さらにアラカルトから野菜を1品という構成にしました。チーフらしきボーイさんがいい選択だとほめてくれました。お世辞だろうけどうれしい。

壽眉茶
化皮乳豬　直火で炙った仔豚の皮
黑豚肉松露鵪鶉蛋燒賣　黒トリュフのせうずらの卵入り焼売
欖菜蒸排骨　オリーヴの葉と豆鼓で蒸した豚ばら肉
水晶蝦餃皇　エビ蒸しぎょうざ
脆皮鮮蝦腸粉　湯葉で包んだエビのライスクレープ
銀杏腐竹炒西蘭花　ブロッコリ、揚げ豆腐、銀杏、紅棗の炒め物

これで様子を見て、場合によってはご飯ものか麵、そしてデザートも。

どれも水準の高い、奇を衒わない正統派の粤菜。素材の上質さ、新鮮さが感じられます。
とくにうずら入り焼売は印象深かった。トリュフを使った中華って、わりと使うために使うような、とってつけたようで何とも言えない違和感、シャツを後ろ前に着ているみたいな感じ、が多いのですが、これは意味のあるトリュフでした。黒豚のミンチ肉ととてもよく合っています。そして、うずら卵も焼売の具にするとたいていはぱさぱさなのですが、これはまた黄身がしっとりしていて美味。蒸しかげんむずかしいでしょこれ。
腸粉も、外側しっとりの米のクレープ、中にぱりぱりの湯葉、そしてその中身のエビが抜群の調和。
野菜炒めは銀杏に味がなかったのが残念、でもそれを残してあとは全部平らげました。

もうお腹いっぱい。デザートもご飯ものも無理です。
さすが、我々が大好きな滿福樓の元エグゼクティブシェフ、馮文業氏が率いるお店だけのことはありました。

問題点をあげると、普通に壽眉茶を頼んだのですが、茶葉の質は平均以下。香りが弱くてあまりおいしくなかった。お金に糸目はつけないから、とびきりの飲茶体験をしたい、という方は、特級茗茶や極品茗茶のリストから選ばれるのがよろしいでしょう。あと、北京料理や四川料理は試していません。そういうのをあわせて楽しみたい、という場合は夜になるでしょうね。（専用の熟成室がそのためにあるという北京ダックも有名ですが、一日前の予約が必要、ランチでも注文可）


香港在住日本人からも注目されています。
http://hk-tokidoki.com/mott-32/
http://ameblo.jp/maiteto1983/entry-12010662763.html


また、香港随一の女子力を誇るサイト？でも紹介されています。
http://www.sassyhongkong.com/mott-32-classic-chinese-cuisine-eatdrink/
CXの香港ガイド（内容充実！）にも載っています。
http://www.cathaypacific.co.jp/hongkong/cool/detail/id/987/

清水真理子　『朝・昼・夜で楽しむ　香港が好きになる本』　「あふれるセンスで中華の新境地を切り開く」ダイヤモンド社　2017年 85頁
VISA　2017年5月号　特集『香港：先取り、新感覚飲茶』「名シェフ、人気店が魅せるプレゼンテーション」22-23頁
『世界のシティガイド　CITI×60　香港』　パイ　インターナショナル　2015年　73頁　なんと設計者のジョイス自身が登場しています。
『香港マカオの歩き方　2016－2017』　「中環・上環」　ダイヤモンド社　91頁
『香港　ランキング＆テクニック　2016－2017』　「モダンダイニングランキング」（1位）ダイヤモンド社　42頁
『Plat 香港』　ダイヤモンド社　2019年　46頁


トイレ　店内にあるが、男女共用のスペースがあり、その奥に男性の小用があるという少し変わった設計です。