フレンチ×中華+日本の食材＝創造性あふれる料理 : VEA

香港に旅行することになり、正統派の中華以外も食べてみようと思い、香港ならではの先進的な料理を提供するレストランをミシュランガイドで検索し、一つ☆のこちらを訪問してみることにしました。フレンチ×中華が売りでして、ふたを開けてみると、加えて日本の食材が存分に使われています。予約は2週間ほど前に公式HPのフォームからです。クレジットカード情報の入力が必須です。

レストランがある30階にエレベーターが到着し、扉が開くとスタッフが待ち構えています。25席もあるカウンターに着席してみると、スタッフの数の多さに圧倒されます。20人くらいはいらしたと思います。完全に分業になっており、それぞれが忙しく、ライブ感があります。まとまりもいいようです。

香港のレストランではどんな高級店でもラフな格好の人がいたりしますが、東京でもあまり見かけないほどのスタイリッシュな雰囲気のこのレストラン、女性は誰もがドレスを着ていて、まるでいわゆる港区女子の集まりかのようです。わたくしのような冴えないおっさんは浮いていたかもしれませんが、半世紀も生きてきて図々しさがだいぶ身についてきたこともありますし、世界の最先端のレストランにいるような気がして、特に緊張もせず、むしろ楽しく過ごしました。いや、西洋人のスタッフの英語がほとんど聞き取れずに、それはちょっと焦りましたが。

料理はオプションをつけたこともあり3万円超え、ドリンクはカクテルペアリングというので約1万円、スタッフの数や日本の食材が多く、このぐらいになってしまうのはやむを得ないかもしれません。

コースの内容はいただいたメニュー表によると以下のとおりです。説明はかなり詳しかったのですが、英語をあまり聞き取れなかったのが残念です。

・スナック数種
・台湾トマト、牡蠣、いくら、車海老
・マナガツオ、四川チリオイル、発酵キャベツ
・ナマコのロースト、カラビネーロ赤海老、フランス産アスパラガス
・ノコギリガザミ、雲丹、スナップエンドウ、リゾット
・ガチョウのスモーク、サトウキビ、漬け中国杏、アミガサタケ
・モンゴル産仔羊、タマネギ、玉子麺、もろこし酢
・パイナップル、シロキクラゲ、モクセイ、ココナッツ
・湯葉、銀杏、パイ生地、大麦
・ミニャルディーズ

全体的な印象としては、食べたことないようなお皿がいくつもあって驚かされながらも、普通のお皿もあり、という感じで、まだまだ発展途上なのかもしれません。意外なことに火入れはごくオーソドックスで、味付けがかなり面白くてなんだかよくわからない複雑なものが美味しくてカバーしている印象です。ジャンルとしては、中華な感じはあまりせず、フレンチ、それもクラシカルなフレンチが近いようです。味と香りを自由自在に操っていたかのようなカクテルペアリングがどれも美味しくてかなりよかったことを加味すると、トータルでは結構満足です。

以下はいくつかの料理の印象です。

☆マナガツオ、四川チリオイル、発酵キャベツ
　これは絶品です。発酵キャベツがいい仕事してくれて、その酸味が四川の辛さと組み合わされて新しい美味しさを感じさせてくれました。マナガツオの火入れがちょっと強かったのが玉に瑕でしょうか。

☆ナマコのロースト、カラビネーロ赤海老、フランス産アスパラガス
　日本ではまずいただけないであろうこの料理をとても楽しみにしていました。ナマコの食感が普通の出来でしたので期待ほどではなかったものの、周りの赤いビスクが濃厚で、海老の身もぎっしりと密度のあるもので、これらとトータルでは満足なお皿です。

☆ノコギリガザミ、雲丹、スナップエンドウ、リゾット
　これはオプションで加えたもので、このお皿だけで1万円以上します。そこまでの価値があるかどうかは別として、魚介類のうまみを上手に組み合わせており、素直に美味しいです。

☆ガチョウのスモーク、サトウキビ、漬け中国杏、アミガサタケ
☆モンゴル産仔羊、タマネギ、玉子麺、もろこし酢
　メインであるはずのこれらが全体の中では普通に感じられました。ちょっと強めの火入れがその要因かもしれません。

☆湯葉、銀杏、パイ生地、大麦
　これは圧倒的に美味しいと感じたスイーツです。おそらくフランス人の女優さんのようなパティシエの説明は残念ながら全く聞き取れませんでしたが、抑えた甘さとやや発酵した感じもする酸味とのバランスが素晴らしいのです。食感も様々なものが組み合わされており、楽しくもあります。こういうスイーツを日本でも味わってみたいものです。

☆ミニャルディーズ
上記スイーツほどではないにせよ、抑えた甘さと面白い食感が楽しめました。