世界各地の料理(?)が日替わりで楽しめる庶民派食堂 : 榮泰美食坊

香港ローカル倉庫街の労働者向けレストラン。豊富なメニューと充実した日替わりメニューに連日満席の人気店です。

この日は8種類の日替わりメニューの中から福建炒飯にチャレンジ。福建風とは何なのかと香港人の友人に聞いても「出てこないとわからない。ギャンブルだ」といわれる始末。
福建料理のイメージといえば「山海の食材、特に魚介とお米を多く使った、やわらかであっさりとした味わいの料理」といったところですが、はたして…。

福建炒飯・＄４２
味なし玉子炒飯に、小エビ、カニかま、キノコ、グリーンピース入りの醤油ベースのあん。
魚介多めにごはんたっぷりのやさしい味付けの一皿、まさに福建料理の定義に当てはまっています。

この日のスープはカボチャ。塩味ベースで素材がストレートに味わえるやさしい味のスープです。

熱奶茶は「香港式ホットミルクティー」。香港では、がっつり濃いめの渋みのある紅茶に、エバミルクを入れて濃厚に淹れるのが一般的。矛盾する表現ですが「庶民派ロイヤルミルクティー」という感じ。

今日は福建風でしたが、毎日なにかしらの〇〇風メニューがアップされるこちらのお店。基本的にはシェフのイメージだけだと思いますが、飽きさせない工夫としてはなかなかです。

※1HKD＝約13.5円（2018年４月訪問時）

香港ローカルエリアの庶民派レストランの人気店。

このエリアの労働者人口と、飲食店の数のバランスが合っていないため、ランチタイムはどこのお店もいつでも満席。その中でも人気なのがこちらのお店。

日替わりメニューのほとんどが40ドル～45ドル(約560～630円)というレンジの中で、たまに50ドルオーバーのものがあったりします。今回のメニューがそれ。

蝦仁牞蛋客反・＄５２
ざっくり言うと「小エビいり玉子炒め」。新鮮な小エビがたっぷりに、ネギとシメジ風のキノコも入っています。味付けはたぶん塩のみ。したがって味もたんぱくであっさり。もちろんごはんはすすみません。

プリプリのエビ、ふわふわのタマゴ、香ばしくシャキッとしたネギ、謎のキノコ…日替わりの中で一番高いメニューは、素材の味わいを活かした一品でした。

※1HKD＝約13.5円（2018年４月訪問時）

香港の倉庫が建ち並ぶ荃湾エリアにある大箱の茶餐廳(≒大衆食堂)。
昼時になると、周りのオフィスや倉庫で働く人で満席になる人気店です。

メニューは、各種セットメニュー、ワンプレート(ごはん＋おかず)、炒飯、麺類、オーブン焼き、サンドイッチ・パンなど種類がとっても豊富。日替わりメニューも20種類くらい。ちなみに「タイ風」「ベトナム風」「ポルトガル風」「日本風」などと書かれたメニューもありますが、基本的にはすべて香港スタイルのオリジナル。
素材感を活かしたやさしい味わいの湯(スープ)は基本的に全員にサービス(遅い時間だとごくたまに品切れ)。濁りのある豚骨ベースの塩味で、ゴロゴロ野菜と肉片入り。

秘製 酸辣米線餐・＄４４
米粉の麺に辛いスープの麺料理。トッピングや辛さはカスタマイズ可能。

≪デフォルトのトッピング≫
・韭菜(ニラ)
・芽菜(モヤシ)
・酸菜(青菜(雪菜)の漬物)
・肉碎(ひき肉)
・香菜(パクチー)

≪選択トッピング≫ 2つ選べます。
・煎蛋(目玉焼き)
・紅腸(腸詰)
・牛丸(牛肉団子)
・墨丸(イカすり身団子)
・腩肉(豚バラ)
・龍蝦丸(エビ団子)
・芝士腸(チーズインソーセージ)
・蟹柳(カニかま)
・雪菜(高菜の塩漬け)
・搾菜(ザーサイ)
・豬扒(骨付き豚ロース)
・雞扒(骨付き鶏モモ肉)
・魚腐(魚のすり身入りがんもどき)
・腸仔(ソーセージ)
※ちなみに欲張って「豬扒」と「雞扒」を選ぶと、それぞれサイズ小さめでやってくるので要注意。

≪辛さ≫
・大辣・中辣・小辣・不辣
※ちなみにホールのお姉さん曰く「大辣・中辣・小辣は適当に作ってるから一緒よ」とのこと。あくまで希望と目安。

スープは、無化調の豚骨ベースの白湯系。辛さの中にしっかりとしたコクと旨みがあってなかなかおいしいスープ。選んだトッピングや雪菜漬などの旨みも次第に溶け出して食べ進めるほどにおいしく変化していきます。
辛味が足りなければ、卓上の自家製辣油で調整できます。

麺は中太のライスヌードル。米粉らしいツルツルなめらかな舌触り。もっちり食感。スープとの相性はバッチリで、麺と麺の間にいろいろなトッピングが絡んでおいしいです。

鉄板のトッピングは「豬扒」と「煎蛋」ですが、今回は「豬扒」と「墨丸」をチョイス。
「豬扒」は、厚さ7～8㎜もある大判の骨付き豚ロースに、下味をつけてから焼いたもの。肉質はとってもきめ細やかでやわらかく、焼きめが香ばしく旨みもしっかり。絶対に選ぶべきトッピング。
「墨丸」は、弾力のあるプリプリ食感。ほんのりと甘みがあって辛いスープにもピッタリ。

米線は香港庶民派グルメのひとつとして、いろいろなところでいただけるメジャーな料理ですが、ここのはその中でも頭ひとつ抜けたおいしさ。

食べ応えがあっておいしい豬扒をトッピングした、豚骨白湯ベースの無化調ピリ辛スープの旨い米線。ときどき思い出しては食べたくなる香港の味です。

※1HKD＝約13.42円（2018年4月）

荃湾の倉庫エリアで働く人御用達の食堂。豊富なメニューと充実の日替わりメニューでピークタイムは常時満席の人気店です。

香港の食堂・茶餐廳などで袋入りのインスタントラーメンを頼むのは一般的。もちろん素ラーメンではなく、お店ごとにトッピングやスープなどのアレンジに工夫を凝らしています。
香港インスタントラーメンのシェアを大きく占めるのが、安価な「公仔麺」と高級な「出前一丁」。

こちらのようなお店で提供されるやきそば(炒麺)も、公仔麺か出前一丁が多く使用されています。
ちなみに高価な出前一丁は、プラスαのオプションで提供されるのが多いようです。

こちらの炒麺は、鶏・豚・牛・叉焼などのバリエーションが6種類。基本は公仔麺で、出前一丁はプラス8ドル(110円)となります。

特式炒公仔麺餐／牛肉炒公仔麺・＄４５
牛モモ肉の薄切りがたっぷりと入ったやきそば。他の具材はタマネギと、気持ちばかりのモヤシとニラ。味付けはやや甘めの醤油味。
やわらかな牛モモは、下味をつけて薄く粉が打ってあるので、しっかりと味が乗っておいしいです。

しっかり味の牛モモたっぷりな具だくさんやきそば。大阪人がごはんのおかずにしそうな味わいです。

※1HKD＝約13.44円（2018年3月）

観光客のいない荃湾の倉庫街にある食堂(もちろん観光客利用も可)。
豊富なメニューと充実の日替わりメニューで、周囲で働く人の胃袋を満たします。

ここは席に着くとまず湯(スープ)が運ばれてきます。スープは基本的に豚骨ベースの塩味白湯スープ。運がよければニンジン、トウモロコシ、白菜、ジャガイモなどの乱切り野菜が入っていることも。卓上のコショウを振るのがおすすめ。

日替わりやセットメニューは温かいドリンク(レモンティー・ミルクティー・レモン水)付き。プラス2ドルでアイスに変更できます。

招牌香辣炒飯・＄４５ ※アラカルト
ざっくり言うと「おすすめピリ辛チャーハン」。
塩味ベースの炒飯にトウガラシのピリッとした辛味が、暑い香港でも食欲をそそります。
具は小エビ、角切りチャーシュー、ハム、ネギ、レタス、タマゴ。パラパラの炒め具合はバッチリ。
タイミングによって量が大きく違うのがこのお店の特徴。今回の量がほぼ基準値。

干妙三̪絲銀針粉・＄４２ ※日替わり
「銀針粉」は香港の家庭や屋台で昔から見かける麺のひとつ。炒めて食べるのは伝統的なスタイルです。
デンプン質の粉(浮き粉？)で作った銀針粉は透明感があり、食感はもっちりプリっとした感じ。
モヤシ、ニンジン、ニラ、タマネギ、ハムと一緒に醤油味で香ばしく炒めてありました。

香港の食堂の料理はスピード感が命。せっかち気味な香港人がターゲットで、さらに労働者向けの店なので、炒飯も銀針粉もあっという間に出てきました。※あきらかに作り置きのときもたまにありますが…。
あと、この手の店はだいたい炭水化物多め。

※1HKD＝約13.44円（2018年3月）

香港・荃湾の倉庫が建ち並ぶエリアにある大箱の食堂。
昼時になると、周りのオフィスや倉庫で働く人が集まってくる人気店です。

出前もやっているのでピークタイムは大忙しながら、店長をはじめベテラン店員たちがグイグイと客まわしをしているので回転率と席稼働率はとても高いです。

メニューは、定食、ワンプレート(ごはんにおかずを乗せたもの)、炒飯、炒麺、汁麺、オーブン焼き、パンなど幅広く、これらの豊富なレギュラーメニューに加えて、日替わりのメニューも20種類くらい。一応「タイ風」「ベトナム風」「ポルトガル風」などと書かれたメニューもありますが、基本的にお味はすべてこの店オリジナル(香港式)。

秘製 酸辣米線餐・＄４４
米粉の麺に辛いスープの麺料理。トッピングは15種類から2つをチョイス。

スープは豚骨ベースの白湯系。辛さは大中小から選べるのですが、だいたい適当らしい(店員談)。
無化調ながらしっかりと旨みがあってなかなかおいしいです。辛味は卓上のトウガラシ入り辣油でプラス調整できるので、注文時はやや控えめで大丈夫かも。

麺は中太。コシやもっちり感はほとんどなく、米粉らしいつるつるとなめらかな舌触り。

選んだトッピングは、豬扒(豚ロース)と煎蛋(目玉焼き)。
厚さ7～8㎜もある豚ロースは下味をつけて一度焼いてあります。やわらかく肉の味わいも感じられてとてもおいしいです。
目玉焼きは2割程度の火入れのとろとろの半熟。黄身は絵の具の黄色のように鮮やかな黄色。かれこれ10回以上食べているのですが、40％くらいの確立で酸味を感じる黄身。

その他デフォルトのトッピングは、モヤシ、ニラ、雪菜漬。薬味は香菜。

麺料理とはいうものの、丼内のインパクトのほとんどをスープとトッピングが占める一品。
自分好みにトッピングの組み合わせや辛さを調整して楽しむ料理といった感じ。
シンプルで飾らない料理は、昔ながらの食堂っぽさ、家庭的な味わいがあります。

毎日でも使えるように豊富なメニューをそろえて常連の胃袋を満たす、香港で働く人のための食堂です。

※1HKD＝約13.44円（2018年3月）