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The Tabelog Award 2026 Silver 受賞店
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| 店名 |
木佐貫
|
|---|---|
| 受賞・選出歴 |
2026年Silver受賞店
The Tabelog Award 2026 Silver 受賞店 |
| ジャンル | 日本料理 |
|
予約・ お問い合わせ |
不明の為情報お待ちしております |
| 予約可否 |
完全予約制 |
| 住所 | |
| 交通手段 |
北鉄金沢駅から2,078m |
| 営業時間 | |
| 予算(口コミ集計) |
¥50,000~¥59,999
|
| 支払い方法 |
カード可 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
| 個室 |
無 |
|---|---|
| 貸切 |
可 |
| 駐車場 |
無 |
| 利用シーン |
|
|---|---|
| 公式アカウント | |
| オープン日 |
2025年4月18日 |
| 初投稿者 | |
| 最近の編集者 |
|
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〈ミトミえもん、インスタもやってるよ!「@mitomi_emon」〉
浅野川沿い、ひがし茶屋街から川を渡った先にひっそりと灯る日本料理店『木佐貫』。令和7年4月に暖簾を掲げたばかりの新店ながら、すでに来年まで予約が埋まるという噂の一軒だ。大将・木佐貫亘生は宮崎出身、17歳で九州を飛び出し、京都の料亭、金沢の「つる幸」、神楽坂「石かわ」、そして日本の頂を争う「片折」で腕を磨き、料理長として店を支えた人物。 その男が自らの姓を看板に掲げた店と聞けば、全国の食いしん坊たちが放っておくはずもない。片折仕込みの世界観に、自分の色を乗せること。『木佐貫』の個性を一言でいえば、出汁で描く北陸の写生画といったところか。
料理の始まりは「能登椎茸と能登の湧水のお香煎」。椀ではなく、まず、飲む出汁で森の香りを立ち上げてくるあたりがこの店らしいアプローチだ。澄んだ湧水に能登椎茸のうま味が静かに溶け込み、口の中が一気に北陸モードへと切り替わる。そのあとに続く「銀杏餅の白味噌仕立て」は、とろりとした白味噌の甘みの中に、銀杏餅のもっちりとした弾力が潜み、香りと食感で秋を描き出す一椀。出汁を軸に季節を重ねていく構成に、京都と片折で学んだ技の積み重ねが見える。
海の幸の扱いは、氷見に毎日通うという仕入れからして気合が違う。「平宗田鰹」と「アオリイカ」の向付は、その鮮度と個性がまっすぐ伝わってくる組み合わせだ。足が早く流通に乗りにくい平宗田鰹は、ここでしか味わえない特別な一枚で、噛むほどに力強い香りと厚みのある旨味が立ち上がる。一方のアオリイカは、歯が吸い付くような粘りと澄んだ甘みがあり、その食感が鰹とはまったく違う魅力を見せる。続く「鰤トロの刺身」は今朝獲れ。鰤とは思えないいかった食感がありながら、脂はしっかりのっていて、その二面性が面白い。噛むほどに旨味だけが静かに残っていく。
温物では「蕪と海老の錦秋蒸し」が印象的。六角形に切り出した蕪の上に、ふわりとした海老をあしらった一品で、立ち上る湯気の段階からもう香りが良い。口に含むと蕪の甘みと海老のうま味が層になって広がり、食感と香りの両面から季節を感じさせる仕上がりになっている。
蟹仕事は、片折譲りの看板パート。まず届けられるのは「加能蟹の蒸し寿司」。ふわりと立ち上る湯気の中に、蟹味噌の濃厚な香りと金沢の芹の青みが溶け込み、蒸し寿司ならではのやさしい温度帯が蟹の甘みを自然と押し上げる。そして「香箱蟹」。甲羅に内子と外子を惜しげもなく詰め込み、土佐酢のクリアな酸味で味を整えることで、複雑な旨味をきれいに立ち上げ、後味はすっと軽く収まる。
中盤に差し込まれる蟹の足を使った真薯のお椀は、白木耳のぷるんとした食感がアクセントになり、澄んだ出汁の中で蟹の甘みが静かにほどけていく。さらに締めに蟹出汁で炊いた「白菜」を重ね、噛むほどに蟹の香りがにじみ出る余韻で物語を閉じる。温度、香り、出汁の濃度を自在に操りながら、ひとつの題材でさまざまな物語を作っている。
「鴨」は、この日の解禁直後の一羽。石川産の葱の香りをまとわせながら火入れされており、肉のしっかりとした弾力に、走りとは思えないほどの脂のりが共存している。噛み締めるほどに野趣と甘みが層になり、季節の移り変わりすら感じさせる味わいだ。続く「里芋団子」は、加賀蓮根の節の部分を使った食感の良さが光り、噛んだ瞬間にほろりと崩れていく柔らかさの中に、旨味の芯がしっかりと残る。金沢春菊のほろ苦さが後味を引き締め、しみじみとうまい。
「小鍋」は、氷見のクエを主役にした贅沢な一杯。土鍋がふつふつと音を立てはじめる頃には、松茸の香りが立ち上がり、旨味が凝縮された出汁が湯気とともに空気を包む。クエの上品な脂が溶け込み、口に入れるとふわりとした身がほどけていく。
食事パートがまた心憎い。珠洲の「能登ひかり」を炊き上げた白ご飯をまずはシンプルに楽しんだ後に、「鰹と鰤の漬け丼」へと一気に深度を増す。さらに「ズワイガニの餡掛けご飯」、鰹節をたっぷりまとわせた「卵かけご飯」、脂の甘みが際立つ「のどぐろご飯」と続き、最後は梅出汁を注ぎ入れる「梅の出汁茶漬け」で着地。米の表情を変奏しながら、小さなコースを組み立ててしまう構成力に、思わずお代わりの手が止まらなかった。
甘味の「胡桃の葛焼き」は、素朴な見た目に反して構成が緻密。葛のぷるんとした弾力の中に香ばしい胡桃のコクが忍び、コース全体の余韻を静かにまとめてくれる。強烈な甘さで押し切るのではなく、出汁の世界からすっと日常へ戻してくれるような、柔らかな着地だ。
木佐貫亘生の料理には、17年に及ぶ修行の足跡がくっきりと刻まれている。京都で身につけた繊細さ、つる幸で鍛えた火入れと出汁の骨格、石かわ仕込みの構成力、片折で磨いた地産地消の感覚。 それらが一本の線になって北陸の食材と結びつき、「片折のDNA」を感じさせながらも、よりしなやかで若々しい世界観を形づくっている。
すでに予約困難店の仲間入りを果たしているが、それは片折ブランドの威光だけでは到底説明できない。氷見へ通い、出汁のバリエーションで季節を描き、米と向き合うことでコースを完結させる。『木佐貫』は、北陸の恵みを出汁のグラデーションで味わわせてくれる、新しい日本料理のかたちだった。ご馳走様でした。