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田町イタリアンの名店ラ・チャウの馬渡シェフが修行したピエモンテ州の ★ラチャウに行っちゃいました。
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この景色が見たくてはるばるピエモンテ
ラチャウのテラス席
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行列のできる
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| 店名 |
La Ciau del Tornavento
|
|---|---|
| ジャンル | イタリアン |
|
予約・ お問い合わせ |
(+39) 0173638333 |
| 予約可否 |
予約可 |
| 住所 |
イタリアPiazza Baracco, 7 - 12050 Treiso (Cuneo) |
| 営業時間 | |
| 予算(口コミ集計) |
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| 駐車場 |
有 |
|---|
| 利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
|---|---|
| ホームページ | |
| 初投稿者 |
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東京田町にあるリストランテ ラ・チャウ。
東京で一番好きなイタリアンのお店です。イタリア・ピエモンテ州の郷土料理をベースにシェフの独創性、センスを生かした魅力的な料理の数々。一番の魅力は、やはり他では味わえないオリジナリティ。小さなサプライズの連続と言ってもいい料理の連続です。それが更においしくなる馬渡シェフの温かい人柄。このお店のHPには、修業先のラチャウのテラス席から撮ったと思われるシーンが登場します。イタリアののどかな、豊かな農村風景。この景色をあのテラスから絶対に見てみたい。いつしか、それがジブンの夢の一つに膨らんでいきました。
オーナーの馬渡シェフが4年半修業したというピエモンテ州トレイソにあるLa ciau del Tornavento。今回の旅の最初の難関は、この店の予約を取ること。
雑誌ブルータス2001年8/1号「イタリアかぶれ2001」。"10年で倍!ワンスター・レストラン急増地帯、ピエモンテ、ターナロ河沿岸のなぜ?"
を入手してラチャウの情報を確認し、店に直接メールを送りました。夕食とロッジの予約。ここで1泊して、ピエモンテのワインを飲み、本家の料理を心おきなくいただく。宿泊施設がある、ということも書いてありましたので安心して飲めます。何日かメールが来なかったので、電話してみようかと思った矢先、メールが飛び込んできました。We confirmed your reservation. よっしゃあ!八重洲ブックセンターでピエモンテ州の地図を買い、着々と準備を進めます。
滞在3日目。レンタカーでミラノを出発し、ピエモンテ州カネッリにある☆リストランテ サンマルコでランチ。
その後、バローロワインの故郷バローロ村にいきます。バローロ村で1軒のエノテカとワイン博物館を訪問し、ラチャウに向かいます。今回訪問したピエモンテのアルバ近郊はワイン製造を主にした農村地帯ですね。田園風景が続く魅力的な場所です。ラチャウがあるトレイソは丘陵にあって、どんどん山を登って行く感じです。店までの距離がどんどん少なくなって行きますが、本当にこんな田舎にワンスターレストランがあるのだろうか、って不安がよぎります。
到着ポイントに車が入っていって、そこは教会広場でした。広場の一角にパーキングの白線を見つけ、車を置いてラチャウを探すことに。広場の一角にラチャウの方角を示す標識を見つけて、やったあ。とうとうここまで来たんだ。
矢印の方角に歩いて行きましたが、行き止まり。また標識まで戻ってくるときに、教会の隣にあるA.D.MCMXXX1-と書かれた大きな建物の入り口にLa ciau del Tornaventoと書かれているのを発見。小さなレストランであるという先入観とADの文字に惑わされましたが何とか夢のレストランを見つけることができました。この建屋はもともと隣の教会の施設だったようですね。それを利用してのレストラン。入口のホールや庭のテントまで使うと150人を超す人数を受け入れられるそうです。
中に入ってみると、若いスタッフが何人もいて、ディナーのセッティングに大童。そのうちの一人に声をかけて宿泊する旨を伝え、ロッジに案内してもらいます。隣の建屋が宿泊施設でした。荷物を運び入れると、16時半。
『レストランの中に入って、あのテラス席から景色を見せてもらおうか。』
20時のディナー開始まで時間があるので、その前にどうしても見たかったテラスからのシーンを確認したかったのです。
レストランに戻り、再び忙しく準備中のスタッフに声をかけて入店。テラス席に出ます。
うぁぁぁ~~。
目の前に、あのHP動画と同じ景色が鮮やかな色で広がります。二人とも大興奮。新緑の緑がきれい。青空。白い雲。葡萄畑。遠くには雪が残っているアルプスの山々が見えてます。あっちがスイスですね。空気がさわやかで、テラス席に置いてある籐のチェアに座って景色を眺めます。そのうち、スタッフの一人が近づいてきて、何か飲みますかと訊いてくれました。オレンジジュースとコーラで。
冬はマイナス20度近くまで下がる年もあるそうです。この景色を見るいとまもなく、若き馬渡シェフは懸命になって料理の習得に励んだのでしょうね。
この後ディナータイムを控え、店内は一層のあわただしさにつつまれます。日本人スタッフのHIDEさんが挨拶に来られました。またディナーでお目にかかりましょう。お礼を言ってお店を出ます。ディナーまでの時間、この小さな村を散策しましょうか。
ディナーは20時で予約をしていました。宿泊のロッジから歩いてすぐです。入口に立って小さな息を吐き、店内へと進みます。口開けで入るつもりでしたが、既にお客さんが入っていてかなり騒々しい状況になっておりました。お客さんは気分が高揚しているのか声高に話をしてます。
お客さんが詰まっているテーブルの間を進み、一番奥の窓際のいい席に案内されます。さ、いよいよです。メニューが渡されました。一番最初の表紙に厚紙を使っていて、このお店のスペシャルティの写真が5枚埋め込まれてました。そのうちの1枚が、どうしても食べたかった干し草に囲まれたラヴィオリ。
田町のラチャウでは藁を使いますが、ここではhay干し草を使う、と言うことがメニューで分かります。
Plin di Seirass raviori stuffed with ricotta cheese surrounded by a nest of hay of May
メニューは60€の郷土料理コースとおまかせコースの80€がありました。どちらにするか?
メニューを見て悩んでいるとHIDEさんがテーブルに来ました。それまで彼に気がついていましたが、まあ忙しい忙しい。まったく止まる間もなく、時には小走りでテーブル間を移動し、お客さんと話をしながらワインを決めているようです。彼の役割はソムリエだったのですね。
分厚いワインリストが渡されました。ワインはダイジョウブ。HIDEさんに頼れる!テーブルに来ていただき、少し話をしてワインはお願いしちゃいました。そして、料理はおまかせの80€にしていただき、どうしても枯草で囲まれたラヴィオリは入れてくださいと頼みます。
これで、ようやくラチャウのお料理がいただける。同行のマイレビュアーさんと話をして、こっちも周りのお客さんと同様にテンションが上がっていきます。食べられるよ~。
ひとりのカメリエーラがこちらのテーブルに来ました。あれ?日本の方?若い女性です。紹介していただき、何とこの人が馬渡さんから聞いていたAYAさんでした。田町のお店からこちらに勉強に来ていてカメリエーラをしています。彼女もものすごく忙しく、この大きなレストランの我々がいる場所の反対側の半分が担当ということで、この日は挨拶に来てくれたのです。元気な姿を見ることができて、これで馬渡さんに報告ができます。
HIDEさんが持ってきたワイン。白のすっきりした味でいながら濃厚です。も~お、1ダース買って日本に送りたい!ピエロブッソと言ってバルバレスコの家族で作るワイン。
フォカッチャがサーブされます。めっちゃおいしいですが、コースの最後まで完遂するには、我慢しなければなりません。コースの最初は、3種のアミューズ。カメリエーラさんが説明をしてくれるのですが、イタリア語?と思う英語でちゃちゃちゃちゃと言ってすばやく立ち去りますので、ちょっと料理の内容を正確にお伝えできず申し訳ない状態が続きました。
料理名はともかく、ぜ~~んぶ旨いよエクスキューズで、どんどんコースは進んでいきました。その旨さには二人とも大興奮。近くのテーブルもなんだか宴会になってきて、あとで誕生日の合唱なんかがあって。もうてんやわんやの店内。5,60人はいたでしょうね。
アミューズは、サーモンがシュー状に乗ったもの、カラスミでコーティングされたもの、兎のレバー入り一口菓子でした。これじゃあ、ワインが進みますよね。フォカッチャも止めようとするんですが、ついつい手が出てしまいます。
次は海鮮のサラダです。これもめっちゃ旨かった。鱈、トマト、セロリ。そしてパイ。
うつくしい盛り合わせの料理が続きます。紙で包まれてサーブされた海老のフライです。衣にはピエモンテ特産のヘーゼルナッツがまぶされてます。これもおいしい。そして、骨がついた小さなチューリップは蛙。小さいので一口でいただきます。熱々でうまいです。おつまみ感覚でいけますね。
散りばめられた野菜も香草でちょっとワイルドだろ、なんて1年前なら言ったでしょうか。
次もピエモンテ州の名物料理タルタルです。お肉をタルタルとローストの2種類でいただきます。タルタルもおいしいのですが、これで一気におなかが一杯になってしまいました。食べているときは牛肉だと思っていましたが、あとでコースメニューを見ると山羊になってましたね。何の肉だったんでしょうか。癖のないおいしい肉でした。
ローストの方も、ローストビーフのようでとってもおいしいのですが。なにしろガツンと来るのでペースも徐々に落ちて行きます。
HIDEさんが赤ワインを用意してくれます。重厚な味わいの赤です。周りのテーブルでは、メインとなる大きな塊の肉をシェフがテーブルの前で切り分けてサーブしてます。彼が、このお店のシェフでラチャウの立役者、伝説のMaurilio Garolaでしょうか。いい顔をしてます。間違いないでしょう。しかし、あの量の肉はとうてい食べることは出来ないでしょうね。でも、めちゃめちゃうまそうです。日本のレストランの3倍の量はありますね。
あれ、どうしよっか。二人で一皿にしてもらう?とか、話していたら、わ~~~お。出ました。
Plin di Seirass raviori stuffed with ricotta cheese surrounded by a nest of hay of May
5月の干し草の巣で囲まれたリコッタチーズ入りのラヴィオリ
これです。これが食べたかったんです。
うああ、ものすごい干し草の匂い。これがいい匂いなんです。この匂いの中でラヴィオリを食べるのですか。すごい!絶対においしいに決まってます。
一ついただきました。トロケル味。自分自身もとろけそうです。チーズの柔らかな味に包まれます。思ったよりも一つが大きい。いやあ、こんなにうまかったんだ。もう止まりませんが、あのメインの肉も気になります。
旨い旨いと呪文のように唱えながら、ふたりで作戦会議。
このラヴィオリを全部食べて肉を申し訳ないけどスルーするか。それとも、ラヴィオリを少し残して肉を半分もらうか。肉の方は2人前で塊で焼いているので、こちらの選択でも結局両方の皿を残すことになってしまいます。
どちらにしろ、シェフの料理を残してしまいますが、本当に食べることが出来ません。ミシュランのお店2軒でランチ、ディナーを食べると言うことは、そもそも計画に無理がありました。大反省です。結局、このラヴィオリが食べたくてここまで来たのですから、残さず食べる選択をしました。
そして、この段階で次のメインをスルーすることを伝えました。
いやあ、これがラチャウだったのですね。素晴らしいピエモンテの郷土料理。感激でした。コースの最後まで辿り着けず、申し訳ない気持ちもいっぱいでした。
団体の2グループのコースが終わり、HIDEさんがテーブルに来てくれました。
『お料理の方はいかがでしたか?』
いやあ、どれもがおいしくて大感激でした。ただ、料理を残してしまって申し訳なく思います。
いえ、そんなことはないですよ。このコースを最後まで食べられるのはドイツ人だけで、イタリア人も最後まで食べれません。よく食べていただいたと思いますよ。隣のテーブルは2皿でギブアップでしたから。
今まで二人に、残したということで重くのしかかっていた憂鬱と自責の念が、このHIDEさんの言葉で一気に飛んで行ってしまいました。この言葉でどれだけ救われたか。
いい思い出ができました。ありがとう、ラチャウのみなさま。
そういう気持ちでロッジに帰りました。
これで物語が終わった、と思っていたところ、実はこれが序章だったのです。翌日、大変なことが起こりました。今でも信じられません。馬渡シェフが苦労したそのお返しがわれわれ二人に振りかけられたのです。
翌日起きたことは、このイタリア編の最終回にでも報告します。