[P.za S.Matteo]ジェノヴァでジェノヴェーゼ4 al pestoは白もあるよ! : La Buca di San Matteo

tipico genoveseを巡る4軒目はまたサン・マッテオ広場の近くです。
この広場を中心に店を探しているわけではないんですが、どうやらこの界隈は美味い食いもんを出すオステリアやトラットリアやバールなどがたくさんあるようで、店の雰囲気とか仕込みの匂いとか五感をフル回転して店を選ぶことを楽しんでいる我々食いしん坊夫婦は自然とこの広場の周辺に吸い寄せられるみたいですｗ

もう一つ、Genovaは坂の街。
リグーリア海に面していて南風が入るので、緯度が高い割には冬も比較的温暖で過ごしやすいのですが（観光シーズンは夏なんだって）、海から急激に立ち上がっている独特の地形で、南北に向かっては坂だらけ、飲食店を含む様々な店舗も坂があるせいか一階の店が半地下っぽい作りになっているところが多いのが面白い。
同じイタリアでも街によって印象が大きく違います（当たり前だ）。

ということで、先日コンシェルジェのジョルジョさんに教えてもらって行ったら満席で入れなかった店に再挑戦です。
この店も入口は薄暗く、奥に向かって半地下の形状になっており、La Buca：穴蔵という店名も頷けます。
入口にメニューが全部？掲げられていて、何食べようかなぁと店に入るまでに10分くらい眺めていましたｗこれが楽しい。

で、店に入ると案外広くて奥に大小のテーブルがたくさん並んでいます。
整然と並んでいなくて丸テーブルだったり四角いテーブルだったりするのが却って良い感じ。
一番奥にあるさらに半地下風の厨房がよく見えるテーブルに案内されました。
シェフらしきハゲのおっさんｗと目があったのでご挨拶、すると笑顔で手をあげてくれました。
何だかちょっと嬉しい。

ではこの数日間ですっかり馴染んだピガートを一本いただきましょう。
TERRAEのRiviera Ligure di Ponente 2022ですが、もちろん飲んだことはありませんｗ
このピガートはややスパイシーでローズマリーのような、シナモンのような香りもします。
味わいはこれまでのピガートと同じ、爽やかでややミネラル感のある美味しいワインです。
自家製のフォカッチャをいただきながら、メニューをあれこれ考えます（さっき店先で考えたのに目移りするんですよねｗ）。

で、あれこれ考えた末、注文を聞きに来た可愛いお嬢さんに、どれも美味しそうなのでアンティパストをミストにできるか聞いたところ、ちょっと待ってねと厨房に聞きにいってくれました。
結果はOKで、楽しみに待ちます。
リストランテだとミストはメニューにないことが多いんですが、聞いてみたら対応してくれる店も多いので、あれこれ食べたい場合は遠慮なく聞いたほうが良いと思います。

盛り合わせは5品。
カルチョーフィのフラン、パキーノ・トマトとオリーブを乗せたブランダクユン、雛豆のパテを敷いた小海老のクロスティーニ、トロペアの赤玉葱とピエモンテ牛を層状にアレンジしたカッポンマーグロ、そしてマテ貝の貝柱とペスト・ジェノヴェーゼのマリナートです。
ブランダクユンは鱈とジャガイモをムース上に練ったジェノヴァの郷土料理だそうで、カッポンマーグロは魚介で作るようですがこちらは牛肉で作るんだとか。
全体的に素材の旨味を押し出した料理ですが、いろいろと細かい工夫がされていて、シンプルなのに飽きのこない味わいでした。
al pesto はやはりバジルの量が多くて大変爽やかですし、香りが素晴らしい。
松の実、ニンニク、パルミジャーノがたっぷり入っているジェノヴェーゼも美味しいですけど、やっぱり主役はバジルなんですね。

ではプリミ。
ここは当然al pestoでしょと思ってメニューを眺めていたら、可愛いお嬢さんから松の実だけの白いal pestoもあると教えてもらいました。
メニューにもTrofie al pesto di pinoli, scampi e maggiorana：松の実とスカンピ（手長海老）とマジョラムのトロフィエ・アル・ペストと書かれていますよ。
バジルじゃないal pestoですか、これは是非食べてみたいぞ。
ワイフはいろいろと迷って、ヴォンゴレに鰡（muggine）のボッタルガ入りのスパゲッティにしました。

白いal pestoは松の実をすりつぶしてパルミジャーノとオリーブオイルでトロトロソースに仕上げたクリーム状のパスタ。
これがトロフィエによく絡んで抜群に美味い。
バジルの爽やかなal pestoはもちろん美味しいですが、この白いal pestoも別物の美味しさです。
要はバジル抜きのal pestoですよね。
ローマにもトマトソースのアマトリチャーナという有名なパスタソースがありますが、トマト抜きのアラ・グリーチャというソースもありますから、それと似たようなイメージですね。
いやぁこれは良い経験をしました。

ワイフの本物のボッタルガを振りかけたヴォンゴレも激うまです。
ボッタルガはトンノ：鮪の卵で作る物の生産量が圧倒的に多いのですが、実はムッジネ：鰡（ボラ）の卵で作る物をボッタルガと呼びます。
トンノよりも味が濃くて旨味が強いのがムッジネですから、生産量が少なくてやや高価でもこちらを使うほうが美味しいです。
これはさすがにサルデーニャ島のカブラスでいただいたヴォンゴレと比較すると可哀想ですが、それでも十分美味しいです。

さて、メインはどうするか・・・ワイフはお腹いっぱいなのでメインはパスしたいと言っていますから、私だけメインに行っても良いんですが、ここは松の実の白いal pestoをお代わりしようかなとｗ
だって美味しすぎるんだもんｗ
ということで、白いal pestoを勧めてくれた可愛いお嬢さんにこれお代わりしたいんだけど・・・Voglio mangiarlo di nuovoと言ってみたら、お嬢さん大喜びｗ
気に入ったの？それは良かったと厨房に報告に行くと、ガラス越しの厨房からシェフのおっさんがこちらにまた手を振ってくれましたｗ

2皿目もしっかり味わって、舌に味を記憶させました。
さっきよりマジョラムが強いのも気に入りました。

食後にはバジルやセージを入れた地元のリキュールをご馳走してくれました。
かなり甘いですが、バジルの香りが素晴らしく、これはジェノヴァ土産にぴったりなので、昨日行った酒屋で買って帰ろうと思います。

今日のCenaはメインをいただかなかったので110€です。
円安でも日本で食べるより段違いに美味しくて似たような値段ですから、コスパも良好ってことで。
ご馳走様でした！！