ビステッカ用のお肉を手に入れるならここです　ちょっと高いけど : Angelo Feroci

行き交う人の目を釘付けにするお肉屋さん、アンジェロ・フェローチです。
宿泊しているホテル（というかレジデンス）の目の前にあるので、毎朝開店直後にショーウインドウを覗きに行って美味しそうなものがあれば（全部美味しそうなんですけど）買ってきてワインのアテにしたりパンに挟んで食べたりしています。
レジデンスにはかなり広いキッチンがついており、オーブンも冷蔵庫も食洗機もエスプレッソマシーンもあるので、近所で買ってきたもので軽く食事をしたり、イータリーやカンポ・ディ・フィオーリなどで買い物して本格的な料理に挑戦したりしてなかなか楽しいです。

毎日覗いているとお店の方とも話すようになりますから、今日は何が良いとかこれがオススメとか聞けるようになりました。
にわかご近所さんです（笑）。
今日はビステッカ用に飛び切り上等の熟成肉を出すから食べてみろと言われました。
じゃあそれくださいというとまだ出してないと。なあんだ。

いつものcinque minutiなので、後で来るから取っといてねとお願いして午後買いに行きました。
いつになるかわからないし。
取りに行くとちょうどお肉を切り出しているところで、丁寧に筋を外して脂を削いで、きれいなお肉に仕上げていきます。どんどん美味しそうに見えてくるから凄いですね。
我々の後ろに行列ができますが、ここで譲ると買えなくなっちゃうのでポジションキープ。
お肉は1kg固まりで買いました。
軽く塩と胡椒をして30分ほど置いて室温に慣らしてから低温でじっくり焼きなさいと教わり、その通りにしたら、まあなんて美味しいんでしょうというステーキに仕上がりました。
塩と胡椒だけなのに、バターのような濃厚な香りと味がします。
1kgなんて焼いたら2人でペロリでした。ああ美味しかった。

ローマは安い肉でも十分美味しいですが、こちらの肉は本当に馬鹿みたいに美味しいです。
牛ですけど（笑）。
ローマで美味しいビステッカを食べたければ、下手なリストランテに行くよりこちらでお肉を買ってレジデンスで焼いて食べるべきかなと。
この後お肉がとんでもなく美味しいトラットリアに出会っちゃったので外で食べるのももちろんありですけど、こちらでお惣菜も買って好きなワイン開けてワシワシ食べるのは至福です。

ローマに行ったら是非のぞいてみてくださいね。
パンテオンの前にあるロトンダ広場の北側、小さいマッダレーナ広場に面したところにあります。
隣のvenciでジェラートを食べるのも良いですよ。

ご馳走様でした！！

お肉屋さんです。
日本でお肉屋さんというと、お肉を売っている店ですが（当たり前だ）、イタリアではお肉自体はもちろん、お肉をメインにしたお惣菜も作って売っており、店によっては高級デリカテッセンの趣があります。
もともとお肉屋さんだった店が発展するパターンはイタリア国内でも数々ありますが、この店はその最も成功した例と言って良いと思います。
初代が開業したのは1918年、いまから99年前です。
東京だと地下鉄銀座線が開業90周年ということで何かと話題になっていますが（なってないか）、それよりお肉屋さんの歴史の方が古いことに感慨ひとしおです。
それだけローマの皆さんに親しまれてきた店だということですね。

パンテオン近くのちょっとした路地（それでも数百年は経ってる路地）にあるのですが、大抵の観光客や通りすがりの方は足を止めるはず。
というのも、そのディスプレイの美しさは肉とは思えないほどで（失礼）、まるでショコラティエのような趣です。
その美しさに惹かれてふらふらと店内に足を踏み入れると、床からカウンターからほぼ全てが大理石で覆われた景観に圧倒されます。
特にカウンターの大理石は創業当時から設置されているそうで、冷蔵庫のない時代、暑い時期でもこの大理石のカウンターに肉を置いておけば、腐らずに長期保存が可能だったとお店のマッシモさんから伺いました。すごいですね。

で、お肉は買ってみればわかりますが、本当に質が高くて、焼いて食べれば即天国に行けるほどです（笑）。
お惣菜も素材を吟味して作ってあるので、お子さんの入学＆卒業、結婚の内祝などとにかく家庭のイベントには欠かせないほどのクオリティを誇ります。
お値段も決して悪くないので、それなりの「ハレの日」に使う店なのだと思いますが、これだけ美味しいものを素材として提供してもらえれば、後は焦げないように焼くか、普通に煮るか蒸すかするだけで美味しくいただけるものがずらりと並んでいます。
お客さんは地元の方、周辺にお住いの方などいろいろですが、なにせローマ人は細く注文するので接客時間が長いです。
日本のように効率よくさばくとか、後ろに並んでいる人のご迷惑にならないようにとは露ほども考えていないので、自分の順番が来るまで辛抱強く待つというイタリア方式に慣れる必要がありますが、美味しいものを手に入れようとする熱意さえあれば確実に美味しいものを手に入れられるという素敵なメリットを得られます。
生ハムも、サルシッチャも、サルーミも抜群です。ローマの中心部だと、カンポ・ディ・フィオーリにあるViolaも大変素晴らしい店ですが、甲乙つけがたい名店として是非お越しいただきたいと思います。

でもスーツケースにしのばせて帰らないようにね（笑）。
私はお腹に収めて帰国してます。