オリスタノで愛されているフランクなトラットリア : La Torre

サルデーニャの中部、西側の海に面したオリスタノという街にやってきました。
サルデーニャが4つの国に分かれていた時の1つ、アルボレアの首都だったのがオリスタノでサルデーニャでは大きいほうの部類に入りますが、空が広くてのんびりした雰囲気の街です。
オリスタノの北にはボッタルガの生産地として有名なカブラスがあります。

午後遅めに到着して（マリアーノ広場周辺では一方通行だらけで駐車場を探すのに苦労しました）ホテルにチェックインし、早速街の中を歩いてみます。
ホテルのレセプションで街の中心はメインストリートのジュリアーノ・マッツィーニ通りを進んだローマ広場辺りと聞いたので、取り敢えずぶらぶら。
街中はもうナターレ一色でtanti auguri! buone feste!の嵐（笑）。
盛り上がっていますが、家族にプレゼントを買う人、これでもかと肉を買う人（本当にそんなに食べるの？という量でびっくりしました）などいろいろとお忙しいようです。
ナターレを皆さん楽しみにしているんですね。我々もとても楽しくなります。

途中路地を覗いたりウインドウショッピングしたりしてのんびり歩いて、15分ほどでローマ広場に到着しました。
それほど広くない広場は人でいっぱい、ワインやパニーニを売る屋台やらナターレの飾り付けを扱う店やら広場近くのスーペルメルカートまでどこも盛況です。
広場の中央にはTorre di San Cristofaro di Mariano IIという塔があります。
高さは20mあるかないかですね。かわいらしい塔です。
塔の周囲にある小径には、テラス席が設けられていてカフェスペースになっています。

ちょっと目に留まったカフェで一休み。
birra alla spina（生ビール）はもちろんIchnusaかと思ったら意外なことにハイネケンでした（笑）。まあいいか。
ビール頼んだだけなのにパーネ・カラザウとプロシュートとサラミがこれでもかと付いてきましたが、どれも驚くほど美味しいので（ホント、サルデーニャってどこで何を食べても当たり前に美味しいです）気にせずパクパク食べました。
それでも2人で7€で済んでしまいました。安過ぎですよ（笑）。

さて、街中をさらに路地伝いにぶらぶら歩き回ること1時間強、ナターレのお祭り気分を満喫しました。
この時期は皆さん本当に待ちに待っていたという気持ちが伝わって来ます。
子供の頃、おせちやらお餅やら食材の買い出しやら大掃除やらと一家総出で支度した正月前の慌ただしさとちょっとした高揚感を思い出しました。
当時はコンビニなんかなくて、どこのお店も（おもちゃ屋さんを除いて）3が日は完全休業でしたから、お酒も野菜もお餅もお肉も、もう何でもかんでも次々と出入りの店が運んできて、デパートの人が掃除手伝う代わりに母に何やら売りつけて（笑）、年末は知らない人が家の中に５〜６人いるのが普通でした。
私はお餅を切るのが仕事で、包丁を大根に浅く切りつけて刃を濡らし、手が赤くなるまでお餅を切り続けたものです。もちろん切ったそばから七輪で熾した炭火で焼いて食べまくりました。
美味しかったなぁ。

なんてことを思い出しながら、オリスタノの街を歩けばお腹が空きます。
トラットリアもリストランテもカフェも結構いっぱいですからちょっと焦りますが、落ち着け、俺は今お腹が減っているだけなんだ・・・と井之頭五郎のように呟きつつ（何ぶつぶつ言ってるの？とワイフに言われましたけど）あてもなく探します。
あてなんてあるわけないよねぇ、初めての街なんだし（笑）。

なので、とりあえず塔の前に戻って辺りを見回したら一軒の店を発見。
入口にベビーカート（イタリアではpassegginoと言います）が置いてあって、家族連れがたくさんいますね。
ちょっと覗いてみると奥に長い店でまだ空席もあります。
ということでこれまでサルデーニャではハズレがないので、入ってみることにしました。
塔のそばだからLa Torreって・・・まんまの店名です。

手前はファミリー席、奥は少人数の客用の席に分かれている様です。
我々は奥側のテーブルに通されました。
入口は小さいのに奥行はかなりありますね。京都の町家みたいです。
早速ArgiolasのCostamolinoというヴェルメンティーノを1本お願いしてメニューを眺めます。
このワインはしっかりミネラルが感じられてドライな感じがいいですね。アペリティーボにぴったりです。
オリスタノはカブラスの隣町なので、やはりボッタルガを使った料理がずらりと並んでいます。
日本ではカラスミというとボラの卵と決まっていますが、ボッタルガはボラ以外にマグロ、メカジキなどでも作っています。もちろん最高級品はボラ：muggineですけど。
でも、明日そのボッタルガ生産地として有名なカブラスに行く予定なので、ここはぐっと我慢。

まずはサラミの盛り合わせとサラダでワインを楽しみました。
ここのブレザオラがとても美味しくてびっくりです。
あれ、こんなに美味しいブレザオラはローマにもないぞとカメリエーレのおっさんに聞いてみると、脂身の一切ないところだけ切り出して店で作っているんだとか。
他のサルシッチャやサラミも作っているそうです。へぇ、自家製なんだ。
奥でピッツァを焼いているお父さんが好きで作っているんだそうです。

注文をしょっちゅうシクるので店には出せないけど、料理の腕はいいよと悪口のような自慢のような話を聞いていたら、ご本人がピッツァを持って「これどこのテーブル？」と聞きにきました（笑）。
息子さんが代わりに運びに行ったので、お父さんにブレザオラがとても美味しいと言ったら冷たい風（北風？）に当てて熟成させるのが美味しくなるコツだと教えてくれました。
少しお話していたらお母さんがやってきて「注文溜まってるんだから遊んでないでピッツァ焼きなさい！」と叱られてしまい、戻りがけにここのテーブルにもカプリチョーザ焼いてとお願いしたらOKとのことでしたが、慌てていたのか注文は通っていませんでした。
おお、息子さんの言う通りだ（笑）。

ということで改めてカプリチョーザとクレマペコリーノ・サルドのスパゲッティ、美味しそうなのでビステッカをいただくことにしました。
食べているうちにだんだんお腹が減ってきたもので。
美味しいものをいただいていると食欲って湧いてくるものなんですね。

ピッツァは、見てくれはあまり良くありませんがとっても美味しいです。
自家製レシピってこういうことなんですね。具材がたっぷりで惜しげも無く使われています。
味も素晴らしいです。ボリュームもたっぷり。
パスタも塩加減が秀逸でチーズの香りが素晴らしいです。
両方とも美味しくてあっという間に胃に収まってしまいました。

ビステッカはサルド牛です。これがまた途轍もなく美味しい！
全くサルデーニャっていう島は、どこに行って何を食べても何を飲んでも全部美味しいから本当に困っちゃう。
お腹も結構膨れているのに、美味しい肉ですからどんどん入ります。
イタリアで体重を増やさずに生きていくことは、本当にとても難しいことです。

お腹が一杯で茫然自失してたらカフェをサービスで出してくれました。
食後の珈琲って胃腸薬ですね。
これでホテル近くのジェラテリアでアイスクリームが入ります（笑）。

あ〜美味しかった。
これじゃあサルデーニャ巡りはやめられそうにありません。

ご馳走様でしたっ！！！