家庭料理を昇華させる先に見える真のイタリアン！ : dal Pescatore

ランチに訪問！
これまでにも何度か来ようと思っていてなかなか来なかった伝説の店。
予約のリクエストをしたら30分後に折り返しの電話があり運よく予約が出来た。
店に到着するとそこは一軒家、周りも畑と川がある田舎でまさにここに食事をするために来るべき場所と言っても過言ではない。
店員の方に案内されてテーブルへと着く。席数はかなり絞られており6席ほどといったところか。
席からは大きな絵画と庭が一望でき雰囲気も良い。
メニューを見せてもらい暫し考えることに。
アラカルトでも注文できるが、一生に一度来れるかどうかなのでここは一番品数の多いdal Pescatoreコースを注文。
他の人はみなアラカルトを4品をほど頼んでいた、まあランチだし妥当か。
コースの中身は英語で全て記載されており、説明も英語でお願いした。
オーナーがまず最初にあいさつに来てくれて暖かい雰囲気でお迎えしてくれる。
コースの前に、前菜として4品ほど出てきた。
じゃがいものポタージュ、パルメジャーノレッジャーノのフリット牛肉のタルタル、サーモン。
コース前の助走にはちょうど良い4品でフィンガーフードささっと食べてしまった。
ここのメニューにある牛肉は自分たちで飼育したものを使用しているという徹底ぶり。
付け合わせのパンは自家製でバターはトレントのバターを使用している。ここからコースが始まる。

Terrina with Lobster, Caviar Oscietra Royal and Extra-Vergin Olive Oil of Tuscany
火の入り加減が絶妙で、半生のロブスターの旨みと甘みをキャビアの塩分がより引き立ててくれる。

Fantasy of vesitables with sea bream marinated and cream of cannellini beans
鯛のマリネに野菜をふんだんに使った一品。
コロナ期間は店を閉めており、この店のさらなる飛躍に自分たちに何ができるかを考えて野菜の自家栽培を始めたとのこと。
その日の予約人数に合わせて、オープン前に畑に行ってその日の分のみ収穫し提供しているとのこと。
野菜は収穫後に鮮度や味が落ちるので、極限まで野菜の新鮮さを考慮した方法である。
タイのむちっとした食感とさまざまな野菜の旨みが相性いい。野菜もここまで徹底されると本来の味が生かされる。

Agnoli(tortellini) avec boillon de poulet
チキンのブイヨンで作ったトルティーニ。こちらは自然な味付けとなっており、特筆すべき点はない。

Foie gras with passion fruit sauce
フォアグラのソテーのパッションフルーツソース。
ソースは甘口ワインで桃を煮詰めて作ったもので、フォアグラの濃厚な味付けと相性抜群。
こってりとしながらもパッションフルーツの酸味で最初から最後までおいしい。残ったソースは余すことなくパンで食べた。

Tortelli with Pumplin, Butter and Parmigiano Reggiano
この店の代表料理と言っても過言ではない、南瓜のトルテッリ。
南瓜の甘みを存分に引き立てて、アマレッティのアーモンドで風味が上がっている。
個人的にあまりトルテッリは好きではなかったが、ここのは一線を画す美味しさ、思わず笑みがこぼれた。

Risotto with pistiles of saffron, spinach and Guernsey milk fondue
サフランのリゾット。美味しいのは間違いないが、イタリアにある別のミシュランが提供するサフランリゾットが、
自分の中では抜けているため感動はなかった。

Grilled Eel with green Chicory from vegetable garden
鰻の白焼き。イタリアで食べた鰻のなかでは一番旨いが、やはり日本の鰻のレベルには及ばず。

Shoulder of heifer with yellow polenta
こちらも自分たちで飼育した牛肉の肩肉を赤ワインで5時間ほど煮込んだシチュー。
ナイフが要らないほどに柔らかく煮込まれており濃厚な味わいでうまい。
付け合わせのポレンタは、触感も残しながら滑らかで今まで食べた中では一番美味しかった。

Selection of Italian Cheese
ヤギのミルクを使ったソルベ、ヤギのチーズ、パルメジャーノレッジャーノ、ブルーチーズの盛り合わせ。
ヤギのソルベとチーズが個人的には気に入った。

Dessert
デザートはアラカルトメニューから好きなものを選んでくださいとのことだったので以下にした。
Maccheroni with pineapple, chantilly cream and raspberries sauce
パイナップルでマカロニの形状を作っており、中には生クリーム、ラズベリーのソースでさっぱりといただく。
アフターデザートで一口サイズのものを5品出してくれた。
最後にエスプレッソでコースは終了。

コースを食べて会計をする際に、お土産で絵画の写真が印刷された大きな紙をいただいた。
開くと、dal Pescatoreの歴史が書かれていた。自宅に帰ってゆっくりと読もうと思う。
会計後に庭を見たいなと思い聞いてみたところ、店員の方が案内してくれた。
庭の説明をしながらこの店の歴史も紹介してくれた。
100年くらいの歴史があり、もともとは一般的な食堂で、店の近くに流れる川で釣った魚をフライにしてランブルスコと
一緒に提供していたようだ。それを長い年月をかけて昇華させていきミシュラン三ツ星の座まで上り詰めたのだという。
バルサミコ酢も自家製で作っており、場所の説明もしてくれた。
ここは家族経営を続けており、帰る際も家族の皆さんがあいさつに来てくれたりと心温まる体験を得られた。
本当に最初から最後まで素晴らしい経験をさせてくれありがとうございました。
ごちそうさまでした。