一定程度のお料理を提供なされる良店でした。ただし、一品、ダメな料理がありました。 : 御料理 光安

昔から訪問したいと思っていたお店です。一人で行動することが
多い私には訪問しづらいお店でした。今回は知り合い二人と
共に訪問させていただきました。
題名通りのお店で感動的な一品はなかったのですが、
落ち着いたお料理のお店でした。
お料理だけの印象からすると、大ベテランの方が作っているような
感じですが、実際、食後お会いするとそのお若さに驚きました。
一品、「全くだめっ」て思うお料理がありましたが、その他は
高級店の一定以上のお料理だと思います。ただし、上にも書きましたが、
ずば抜けて美味しいと思う品は個人的にはありませんでした。
一品、一品見れば、類似の品がある場合は、
他店のどのお店よりも美味しいと思うものはありませんでした。
総合的にお料理が美味しいお店といった感じのお店でした。
長年の高すぎる期待に達するほどのお店(食べログ様の高得点4.30ほどには
感じず。)ではありませんでしたが、雰囲気は好印象ですが、
お値段を考えると、もっと良い料理をと
思ってしまうお店でした。CP的には満足できませんでした。

お造りも悪くはないのですが、ハイレベルの意味ではよくありません。
本当、京都のお店の生の魚のレベルは全体的に全然高くないと感じます。
もっと、全国レベルになって欲しいです。レビューしていないお店も
含めて、京都のお店でお造りで印象に残っているのは「祇園にし」様一軒だけです。

いただいたお料理は、ちょっと、和食の一般的コースの料理の順番と
異なるかと思いますが、適当に当てはめます。

(1) お凌ぎのようなもの

先付としてはヘビーなので、お凌ぎのような感じに感じました。
鯛(淡路)と蕪蒸し(聖護院かぶら)が入っています。鯛は臭みなし(当たり前か？)、
聖護院かぶらはちょっとゆるすぎではないかとは感じましたが、
最初の一品としては無難なレベルと感じました。
全体的には、しっとりとした食べやすい感じの一品でした。

(2) 向付

順番がよくわかりませんが、これは向付としか考えられないです。
また、鯛(明石)でした。高級店としては普通のレベル。
実は日常的に食べているレベルか若干良い程度。
それ以上は何も感じませんでした。黒いものは大徳寺納豆だそうで、
初めていただきましたが、旨味がある醤油味のような味でした。
葉っぱは砂地に生える山菜だそうですが、名前は失念しました。
菊科の植物のような味がしました。

(3) 八寸

これも順番がよくわかりません。盛り付けに独創性を感じました。
全部、コメントを書く気が起こりませんので、印象に残ったものだけを
書きます。海老芋だけ。海老芋の特徴であるシルキーさがあります。ただし、
衣は薄いのですが、もっとパリッと立っていて欲しいです。
その他は、ヒラタケ、安納芋、紅芯大根、人参。どれもまずまずのお味です。

(4) 碗物

これが問題のある一品でした。昆布は利尻昆布を使っていると
思いますが、確認は取れませんでした。他の京都のお店の吸い地よりは
甘くなく、非常にやんわりとした物で、良い吸い地だとは思います。
ただし、中に入っていた二切れの中の一切れのクエがよくなく、
臭みがあります。このお店の品は美味しいだろうと思って食べている時に
急ブレーキがかかりました。
同席した人に唇だけ動かして、無言で「臭い」と言ったら、二人のうち、一人からは
同意が得られました。私は口の中が全体的に臭さに満ちたので、魚のどの部分が臭いかは
もはやそれほど認識する必要もなくなりました(身ではないと感じました)が、
皮と身の部分の間が臭いと言っていました。
吸い地がおとなしい味だけにお料理の全体が臭いものになってしまいました。
高級和食店では名古屋のあるお店以来、4年ぶりでしょうか。
針生姜も入っていましたが、吸い地の味が薄味なだけに、吸い地の味を打ち消してしまう、
針生姜の存在意義も私にはわかりませんでした。(レビュワー様の方々は、
「生姜は臭み消し」だよとか野暮なことは言わないでくださいね。)
臭み、針生姜、吸い地の味という順番で味の強さがあります。
同席した方は大将様が「九州出身だから、クエを使ったんでしょうね」とは
言っていました。ちなみにその方は自分で釣りをして、捌きます。
食べログはやっていません。
また、いずれ、レビューしますが、東京から京都に来たフレンチのシェフが
京都の市場の魚を見て、愕然としたとおっしゃっていました。
30年近く京都で東京と同じくらい、飲食し続けた結論として、
実は京都の多くの日本料理は原理的にレベルが高くなるのは難しいのでは？
とら疑念すら抱いております。
京都で名の知られた魚の卸さんの魚も私はそれほどは素晴らしいとは
感じておりません。近いうちにレビューします。
金沢、富山、博多などの方が全然良いのでは？と今では思っております。


(5) 魚介サラダ？

和食ではあまり見ない立体的な盛り付けに驚きました。
香箱ガニと大根が使われていますが、さして美味しいものとも
感じませんでした。ある程度はおいしいです。


(6) 焼き物1?

自家製カラスミを炙ったものですが、ハイレベルの意味で、
あまり品質の良いカラスミとも感じませんでした。食感はゆるい感じのもので、
レビューした中では例えば、富山の冨久屋様の方が全然良いとは感じました。
味は違いますが、レベル的にはイタリアで今年9月に食べたカラスミと同レベルと感じました。

(7) 焼き物2

甘鯛の焼き物でした。まずまずに感じましたが、さして記憶にも
残りませんでした。京都の焼き物で「お〜」と記憶に残っているのは
レビューしていませんが、8年くらい前にいただいた、
「高松」様のカマスのみだけでしょうか。
手前にあるのは天然せりだそうです。なくて、良いと思います。

(8) 汁物

蕎麦がき白味噌仕立て。山葵が少しありましかね。山葵が
ある部分とない部分では相当味が違います。蕎麦がきはゆるいものです。
これは良い一品でしたかね。ただし、「お〜」とは感じませんでした。

(9) 食事

トラフグの炊き込みご飯でネギと一味があるものですが、
これはありがちな鯛の炊き込みご飯より全然美味しく感じました。
ようやく、素直においしいと感じた一品に出会いました。


(9) 水菓子　

みかんの葛湯でしたが、こちらも素直においしいと感じ、四国のみかん
(確認は取っていません)を使った暖かいみかんジュースと感じました。

まとめますと、良いと感じたのは(7), (8), (9)でした。
その他は高級店としては普通、(4)はだめと感じました。
(4)の味は一生覚えているだろうとは感じています。


京都の高級和食店としてはリーゾナブルな方(約30000円)なのでしょうが、
京都の高級和食店って、東京と同じでお高いですね。一度の滞在で、
延べ15件以上のお店に行く必要のある、私のような庶民には辛いです。
仮に(4)が良かったとしても、味的に割高な感じは拭えないです。
ただし、一日、二組限定ですので、飲食店のお店自体の雰囲気はとても
良いと思います。大将様も女将様も感じがとても良かったです。