豚はたっぷりだが、高い : BANKARA

事務所より一番近い（隣のビルにもう一軒らーめん屋はある）ので、偶に行く。既に４度目のREVIEWであるが、こうもマレーシアに逼塞していて、日本への一時帰国も東南アジアの他の国への出張は叶わず、要するにがんじがらめになっているから同じ店ばかりの其れで、生活面でも何だかおかしくなりそうである。少し前までは落ち着いてたCOVID-19の新規罹患者も昨日は316人と激増。昨日は651人と過去最悪である。
一度は抑え込むのに成功した稀に見る国と住んでいる立場としては喜ばしいと思っていたが・・・
日本でも毎日500人程増えているが、昔と違いNEWSを観ても一向に危機感が無い。人間は劣悪な環境でも慣れるのである。フランクルの「夜と霧」を、今こそもう一度読み返す必要があるかなと思ったりもする。
カミュの「ペスト」は、こうなる半年前に中国で初めて読んで、此処では当然に「宗教」が絡むが、その後に、こんな事態が形態は違えど来るとは予想もしなかったが・・・・
家人より食品等の手配が４度目として10日程前に届いたが、文庫本も幾冊か頼んでいたので、それを読むのが楽しい。
吉村昭「破船」、川端康成「雪国」、大岡昇平「野火」、半藤一利「日本のいちばん長い日」、カポーティ短編集、同カポーティ「夜の樹」の6冊だが、川端康成と大岡昇平は中学生、高校生時代の再読である。今年に入り、雑誌他を除いて文庫丼は38冊読んでいるが、50冊を目標にしている。数多く読めば良いというものではないが、読書をしないよりはする方が余程良かろうし、読まない人間は、読む人間でも浅薄なので更に薄っぺらいであろうという気がする。無論、人間の質がどうであるとかということはまるで別物だが・・・　でも、仕事に忙殺されており真面に読書に集中出来る時間の捻出もままならぬ。

今回は「豚味噌らーめん」
豚肉を甘辛く煮たものがたっぷりと入っててありがたいが、砂糖の使いすぎであろう。甘すぎる。故に味噌のコクのある味わいが減殺されており、何だか、果たしてこれが味噌らーめんかという気もした。もやしがたっぷりと入っているのはありがたいが。勿論、残すのは罪に近いと思っているので全部平らげたが、何やらもう一つであった。値段が1,200円程したのも業腹である。む～、普通の味噌らーめんにしておけば良かったが、後の祭りである。

この日頼んだのは「豚味噌らーめん」。その前に「味噌バターらーめん」を頼んだら、バターが無いと拍子抜けだが正直な返事。何故、バターは無いのだ？　と日本なら質問でもしそうだが、此処は異国。日本から輸入しているとなると今は仕方があるまいと、瞬時に勝手に想像して、これに切り替えた。初めてである。

らーめんには然程執心していない。麺類は大好きであるがらーめんはあまりにも沢山のVARIATIONが多く、一口にらーめんと括ることも難しく、あるらーめんは美味くとも他のものはそうでもないということもあるので、何か確固たる得心が無い。
塩分が往々にして強いこともある。高血圧なので少しだけだが注意している。
だが、今は不可能だが、日本で国内旅行をした際にその土地土地のらーめんを食べるのは楽しいかも知れぬとも思う。

今回は、久し振りに豚骨らーめん。豚骨らーめんを供する店の近くを取ると、豚の臭みが相当に匂う時がありこれはあまり好きでない。果たして食べると美味いのだが、それでもその前にその臭いを嗅ぐと食べる気其の物が減退する気もする。
この店は東京に店を構えるらーめん店の様だが、らーめんの種類は多く、醤油、味噌、塩に加えつけ麺も供する。異国なので、色んな客を呼び込むためにそうしているのだろう。

豚骨らーめんについては、よく麺の硬さを選ぶスタイルが多いが、マレーシアにては流石にそれは無い。ハリガネだとかバリカタだとかそういうものではなく、普通の硬さである。麺は細目のストレート麺。極めてオーソドックスなものだが、海苔が入るのは豚骨らーめんではよくあるものだろうか。見当が付かぬ。
それなりに濃厚なコクもあり、かなり久し振りなので楽しめた。家で簡単な自炊で麺類も頻繁に食べるが、麺のみを買ってきて茹でたりはしない。いつもカップ麺で日本の日清他の輸入されているものか、現地系のMAGGYや、韓国の辛らーめん等んばかりである。こちらの方が塩分が強いのではないかとも疑っているが、スープ迄完全にいつも飲み干す。

そういうものに比せば、当り前だが、店できちんとしたものを食べる方がやはり美味い。写真には反映されていないが卓上に紅生姜もあり、ちゃんと乗せて食べた。スープに紅生姜の色が馴染むのを見るのはあまり好きではないが、気にしない。無いより有る方が断然に締まる感じがする。

麺類は好物なので、マレーシアにいても、素麺、うどん、パスタ、蕎麦は家で独りで頻繁に食べる。熱帯の国なのでいずれも冷たいものばかりで、熱い麺は専ら熱湯を注いで食べる即席麺のみである。
日本でも春と秋は以前に比してかなり短くなり、何だか暑いか寒いかという感じだがそれでも四季はある。マレーシアでは勿論そんなことはなく、夕立も頻繁にあるし、年がら年中暑いので、季節による「旬」というものを味わえないのは何だか不幸である。COVID19の影響で、今年に入り日本に一度も帰ることが叶わず、煦煦たる眠気を誘う春も勿論無いし、今の日本の様に、日がな降雨で、家の中で大人しく、その雨だれの音を静かに楽しむなんてことも不可能で、やはり、日本の季節の移り変わりというのは良いことだと思う。

そんな暑いマレーシアで、此れ迄に6軒程、ラーメン屋のREVIEWをしているのは、異国故限られた日本飯にしかありつけない帰結で、日本でラーメン屋を利用することはかなり少ないのだが、マレーシアでも久し振りに訪れた。今回食べたのは「味噌らーめん」。
酒は、COVID19での在宅勤務の最中には1週間に1度程しか飲まず、以前はその逆で6日程飲んでいたのだが殆ど出歩きも出来ないので、健康を慮ればそれで構わない。ウィスキーを一瓶求めると3日で空けてしまうので、マレーシアでは高いのもあり止している。既往症も無いが高血圧だけは宿痾の様だが、降圧剤も底を尽き、どうしようもない。
なので、塩分は控えめにしているのだが・・・

偶に、ラーメンを食べるとやはり塩分は概して濃い様だ。スープを全部は飲み干さないが、ある程度は飲む。コクが無いと味気ない。味噌ラーメンのそれとなるとコクを満たすとやはり塩分は増える様で、とても久し振りの外食でのラーメンだったので、満足したのだが、後で、偶々だろうがエスカレーターに乗り、事務所に戻る際に、何だか躰がぐらんぐらんする様で、時々起こす貧血の予兆かと思い、総身がぞうっとする様だった。深呼吸を幾度もして、事務所に戻り水をがぶがぶ飲んで、空いている会議室の椅子に座り、休んでいると落ち着いた。何だか常に強迫観念に圧迫されている様で、まるで気が休まることがない。如何ともしがたい。勿論、ラーメンのせいでも何でもない。ラーメンそのものは美味しく楽しんだ。

事務所が入る（正確には隣接か？）KLのミッドバレーは巨大なショッピングモール。ファッションやジュエリーこそ有名ブランドの店舗は無いが、無印良品やUNIQLOやONITSUKA TIGER等も有るしAEON MALLもある。故に飲食店も多く、昼食は外出をしていない限りは此処の何処かで済ますことが多い。

麺類は好物で、うどん、蕎麦、ちゃんぽん、皿うどん、冷やし中華、冷麺等こよなく愛しているが、らーめんに関しては然程の執着が無い。日本でも決め打ちで訪れることは皆無だが、異国となると日本飯を求めるとなると、どうしてもらーめんもその中に介在してくることになる。
日本が生んだ代表的な食が、此処クアランプールでもペナンでもジョホールバルでも何軒か此れ迄に訪れている。この店は事務所に一番近いそれである。

日本でも名の通ったならーめん屋は数多くあるのことは知っているが、ほんの少しでまるで不案内だが、駐在を始めて直ぐに案内されたのがこの店。
写真を見ても、何らーめんだったかがまるで判然としない。2か月近くも経つと記憶も曖昧で何だか己の脳の凡庸さを感じ入るばかりだが・・・　恐らく醤油味がベースで背油がそれなりにという程度で、味としての印象がふむそうだったかなという茫洋としたものだった。

従って、参考にならぬこと甚だしいが、幾種類ものらーめんがあったのは確かで、価格も500円を少し超えるところである。嗚呼、久し振りに生きたいなと思うこともないが、日本の店が異国で頑張っているのは尊いこと。