【地焼き限定】阪堺電車沿線の鰻の名店・5選

出典:kurodaさん

【地焼き限定】阪堺電車沿線の鰻の名店・5選

お店での調理に向いている江戸焼き鰻の勢力拡大に押され、大阪では今や地焼きより江戸焼きのお店の方が多くなってきました。しかしその独特の香ばしさは地焼き鰻にしかない魅力です。大阪に残る唯一の路面電車・阪堺電車の沿線で味わえる、上方地焼き鰻の佳店をここに紹介します。

更新日:2021/09/10 (2018/08/03作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる872の口コミを参考にまとめました。

「まんべん返し」が地焼きの基本

 関東の江戸焼き鰻は背開きにして頭を落とし、焼く際に蒸しの工程が入ります。いっぽう関西では鰻を腹開きにし、頭を残したまま蒸さずにそのまま焼き上げます。
 江戸焼きの方は蒸すことにより脂が抜けるので、さっぱりとした風味でふんわりした食感が楽しめること、さらにある程度の下拵えができるのでお店で素早く提供できることから、最近では関西でも江戸焼きのお店が多くなってきています。
 いっぽう、じっくり丁寧に焼くことで脂を落とす地焼きは、何度も何度も裏返す必要があることから、手間がかかるし時間もかかるので、提供してくれるお店が少なくなってきました。
 しかし、炭火に落ちた脂が煙となり、一種の燻製ともいえる地焼きには、その独特の香ばしさがあることから、江戸焼きでは物足りなく感じる方もおられます。
 大阪に残る唯一の路面電車・阪堺電車の沿線で味わえる、上方地焼き鰻の佳店をここに紹介します。レトロな電車に乗って、美味しい鰻を味わってみませんか?

[腹開き・背開き]
 関東での鰻は背側を裂くのに対して、関西の鰻は腹側を裂きます。これは武士の文化である江戸では切腹に通じる腹開きを嫌ったから。いっぽう商人文化の大阪では、腹を割って商談をすることから腹開きになったという説があります。
 しかしこれでは、江戸の武士は腹開きにする他の魚を食べられないことになってしまうし、関西でも穴子は背側から裂くのが一般的です。なのでこれは東西の文化の違いを面白おかしく語るための俗説なのではないでしょうか。
 蒸しの入る関東では、蒸す際に串から外れないよう、身の堅い背びれの部分を外側にするため、背開きにしたという説が有力です。

[まむし]
 関西では昔から鰻丼のことを「まむし」といいます。鰻の上にご飯を塗すことから「まぶし」 転じて「まむし」という説や、「飯(まま)で蒸す」から「ままむし」から転じたという説など、諸説あります。けっしてヘビのマムシではないので、安心して召し上がってください。

川上商店

川上商店

 阪堺電車の起点・恵美須町駅から西方向。民営の卸売市場「木津市場」の中にある鰻の専門店です。
 店頭では持ち帰りの鰻の販売を行っているが、店内に4人掛けテーブルが3卓とカウンター少々のイートインのスペースがあります。

川上商店

 特上まむし(1,800円)は丸ごと一匹分。お重の蓋を開けるとお重に鰻がギュウギュウに詰まっています。
 鰻は三河産の養殖で、焼きは関西風腹開きの地焼きです。一口含むと炭火の香ばしさが先ず直撃。じっくり味わうと鰻の脂の甘さがジワジワ広がってくる…これは旨いな。

川上商店

 一匹分の鰻なのでボリウムの充分。タレは割合あっさりとしていて、鰻本来の風味を邪魔しないのがいいな。
 頭がついたまま炭火焼された鰻は、備長炭ならではの上質な香ばしさがあります。外はパリっとして中はふんわり、鰻のもつ美味しさを良く引き出されています。

住吉うな吉

住吉うな吉

 阪堺電車の我孫子道から商店街を東へ、阿倍野筋に突き当たって南へ少し歩いたところにある鰻屋さんです。
 店内は5席ほどのカウンターと2卓ばかりのこ上がりがあるだけの小さなお店です。

住吉うな吉

 上うな重(2,200円)は、注文を聞いて鰻を捌くようで、キュッキュッと開く音が聞えてきます。そこから焼きに入るので出来上がるまで少し時間がかかるが、こういう時間は全然退屈ではない。
 お重の蓋を開けるとご飯の上に美味しそうな鰻が一面に横たわっています。肉厚で表面はカリカリと香ばしいが、反面、身はふっくら柔らかい。蒸しが入らない地焼きでここまでふっくらとは…これは旨いな。タレは甘みが控え目ですっきりしている。これは大好きなタイプです。

住吉うな吉

 きも吸(250円)は出汁が秀逸。きのこ類の具も豊富で柚子で味を締めていて、実に旨い。ご夫婦2人で切り盛りされていて、どちらも実に丁寧で腰が低い。大阪の商売人らしいですね。
 なお、現在は店での料理提供は辞められていて、持ち帰りのみとなっています。

双葉

双葉

 阪堺電車・上町線の起点、天王寺駅前駅の横、あべのキューズモールの北側の一角、ヴィアあべのウォークにあるお店です。
 ここは昔から阿倍野筋にあった老舗ながら、阿倍野再開発の影響で、しばらくの間、近隣で転々と仮営業されていたんだが、ようやく元の位置に戻ってこられました。

双葉

 「【上】鰻丼セット」(2,790円)は、肝吸いと香の物がセットになっています。期待に胸ふくらませながら丼の蓋を開けると、黒光りしたご飯の上に鰻が二切れ載っています。蓋を開けるときのふわっと立ち上がる香りがたまりません。
 炭火でしっかり焼きが入った鰻は、自身の脂で燻されて実に香ばしく、さりとて堅くならずにふっくら。地焼きの力強さを感じる仕上がりです。

双葉

 関西風の腹開きの鰻はしっかり焼けた身が実に香ばしく、脂も乗っている。堅さを保ちながらも、口に含むとふんわり感もある…ウーン、これこれ!やっぱり鰻はこうでなくっちゃ。

双葉

 スタンダードのまむしを注文し、期待に胸膨らませて丼の蓋を開けると……無いっ!!ってことがあります。ご飯だけしか入っていない丼に一瞬たじろぐが、肝心の鰻はご飯の中に埋もれています。
 これが大阪の「まむし」。鰻がご飯に包まれて蒸された状態になる。こうすると鰻から脂が抜けるし、ご飯にはコクが移るしの一石二鳥。実に合理的です。

いづもや(住吉)

いづもや

 阪堺電車・住吉電停の直近、南海本線・住吉公園駅からも近いですね。住吉大社のはす向かいにある鰻の老舗です。
 店内は戦後の昭和から時間が止まったような佇まいで、4席のカウンター席と、4卓のテーブルがある全20席。ご家族で営業されている様子です。

いづもや

 「鰻まむし」(1,500円)は、胡瓜の浅漬けとともに出されます。蓋を開けると、芳しい香りとともに艶やかな照りを帯びた鰻がす姿を現しました。ご飯はタレを混ぜ込んでいて一面茶色です。
 炭火でしっかり焼きが入った鰻は、自身の脂で燻されて実に香ばしく、さりとて堅くならずにふっくら。地焼きの力強さを感じる仕上がりです。
 タレは色こそ濃厚だが味は淡泊。じっくり焼かれた鰻の皮目のスモーキーな香味とほのかな苦みが、上質な脂の甘みとタレの熟成感とが交錯してなんとも言えない旨みとなります。

いづもや

 ご飯だけ食べてもしっかり旨みが移っていて、実に食べごたえがあります。
 きも吸い(200円)はえのき茸と三つ葉、そして肝が3個も入っています。出汁の旨みと肝の滋味が合わさって、こちらも上々。今どきこの値段。かなり得した気持ちになります。

うなぎ料理 う玄武

うなぎ料理 う玄武

 阪堺電車・宿院電停と寺地町駅との中間ぐらい、堺市中心部を南北に貫通する紀州街道沿いにあるお店です。
 店内は中央に大テーブル席とその周囲にテーブル席、そして20席ほどのお座敷の、合わせて45席ほどです。

うなぎ料理 う玄武

ランチメニューの「おもかげ」(2,200円)は、上うなぎ丼、一品、お吸物、香の物からなる定食です。

丼の蓋を取ると立派な鰻が2枚敷かれています。鰻は愛知県の一色産を腹開きしています。

うなぎ料理 う玄武

 ご飯とともに口に運ぶと、適度な食感と脂の甘みを感じさせた後に形を失し、口の中には旨みと香ばしさだけが残ります。ご飯は石川県七尾産限定の「ワカバコシヒカリ」だそうで、やや硬めに炊き上げています。
 たれも薄すぎず濃すぎず、熟成された感があります。

うなぎ料理 う玄武

 +385円でお吸い物が肝吸いにアップグレードできるとのこと。
 ふたを開けると三つ葉の香りがふわっと。出汁の旨味も濃厚です。肝は大きなのが沈んでいて、肝独特の風味と食感が存分に楽しめます。

※本記事は、2021/09/10に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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