テレビにも登場、シェフが印象的な東京フレンチの名店
料理のレビューとは別に、シェフについて印象的なエピソードを、フレンチの名店に絞ってまとめてみました。
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このまとめ記事は食べログレビュアーによる7086件の口コミを参考にまとめました。
目次
いろいろなお店を食べ歩く楽しみの1つに、魅力的なシェフとの出会いがある。ちょっとした会話を交わすだけでも、それが印象深く残ることもある。テレビや雑誌のインタビューなどで、シェフやお店のことを詳しく知ってみると、そのお店の料理に対する理解が深まり、料理をよりきちんと味わって食べられるようになることもある。
以下、これまでに行ったことのあるフレンチレストラン(一部イタリアンも)の中で、その後テレビ番組を見たりして印象深いシェフとそのお店についてのエピソードを紹介します。
出典: tabelog.com
シェフ:岸田周三
テレビ出演:2008年2月5日 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、2017年1月28日 日テレ「世界一受けたい授業」
カンテサンスは、2008年以来、14年連続でミシュラン3つ星を取り続け、最も予約が取れないフレンチの1つ。私も2016年に奇跡的に電話がつながり、1度だけ訪店できた。出てくる料理すべて、非の打ちどころがなく、幸せな気分で店を出ようとした時に、思いもよらないオチが待っていた。出口近くに来たとき、岸田シェフが奥の方から出てきた。ところが、なぜか何も言わない。にこりともせず、無表情で黙って突っ立っているだけだ。微妙な空気が漂い、こっちは理解不能な状況に当惑してしまった。“え?『いかがでしたか』とか何とか言わないの?・・・ほんとに何も言わんのかい!”と思いつつ、シェフが相変わらず黙っているので、仕方なく「お・・おいしかったです。NHKのテレビ、拝見しました・・」などと言ってどうにか間をもたせた。まさかの“塩対応”だった。
岸田シェフは、「店が開いているときで、自分が厨房に立たなかったことはない」と言うほど店の仕事に専念する人だった。その後、テレビに出演したり、ドラマの監修をしたり、マスコミへの露出が増えて、愛想がよくなったように見える。帰り際の客に言葉をかけるトークも、“神対応”に変わったのだろうか。コロナが収束したら、また行ってみたいが、相変わらず予約が取れそうにない。



1839人
139856人
03-6277-0090
出典: tabelog.com
シェフ:ティエリー・ヴォワザン
テレビ出演:2018年11月17日 NHK-BS1『人生は旅だ 料理も旅だ ~三ツ星シェフが見つけた日本~』
本場フランスで3つ星を獲得したフランス人シェフが、新たな料理と人生を求めて日本に渡り、帝国ホテルのフレンチ「レセゾン」のシェフに転身した。その料理や日本への思いを描いたNHKの特番は、なかなか感動的だった。シェフがどんな人で、どんな料理なのか知りたくて、2020年1月に行ってみた。料理は、さすがにどれも堂に入ったものだった。サービスも、他のレストランとはひと味違った、いかにも帝国ホテルらしいものだった。何よりも面白かったのは、食事の途中に、突然、シェフがやってきて、テーブル1つ1つを回り、客全員と握手をしたことだ。後でギャルソンさんに聞いたところ、シェフは客の様子にすごく気を配っており、自分で客を見ておきたくて、手があいた時を見計らい、厨房から出てくるのだそうだ。シェフ・ヴォワザン氏は、結構立派な体格で、にこやかな笑顔で差し出された手は大きくて、握手した瞬間、がっちりした力強さと温かみが伝わってきた。
栄光のキャリアと生活を捨てて、わざわざ日本に来たぐらいだから、すごくいい人に違いない。そしてその料理もまた、味わい深いものに相違ないだろう。



984人
39530人
03-3539-8087
シェフ:村山太一
2021年2月15日放送 NHK「逆転人生」ー「一つ星店シェフの覚醒 副業に成長のチャンス!?」
目黒にあるイタリアンの1つ星店。2019年11月に訪問した際、若い女性スタッフ2人のことが、妙に印象に残った。1人は料理人で、もう1人はフロア担当だが厨房と掛け持ちしているように見えた。2人の生き生きした姿に心引かれるものがあり、帰り際に2人が挨拶に出てきたときも笑顔がすごくよくて、もっといろいろ話をしたい気がした。料理自体もリーズナブルに満足できて、すごくいい店だな、という愉快な気持ちがした。その後、NHKの番組で、この店のことを知った。以前のシェフは、人の意見を聞かないワンマンなパワハラ的上司で、スタッフが次々辞めて、店は苦境に陥った。が、シェフが気持ちを入れ替え、スタッフと対話し意見を採り入れて店の経営を立て直し、コロナ禍の中でも黒字出すまでになった。シェフは、店の運営をイチから見直すために、サイゼリアでアルバイトまでしたという。そして、シェフを変えるきっかけになったのは、若い女性料理人の言葉だった。彼女は、その後、料理長に抜擢された。そういう話を聞くと、店で見て感じたことが、なるほどそうだったのかと理解できた。チームワークが人を変え店を変え、それが客にも伝わる。料理を作る「ヒト」の大切さを改めて考えさせられた。



293人
22784人
出典: tabelog.com
シェフ:今橋 英明、パティシエ:平瀬祥子
テレビ出演:2021年2月5日 NHK「あさイチ」
東麻布にある1つ星のフレンチ店。2020年1月に訪問した時、まず、オープンキッチンにシェフの他は女性スタッフが2人いるだけというのが目を引いた。料理の世界は基本的に男性社会で、シェフを頂点とした上下関係もはっきりしていることが多い。だから、男性スタッフがいなくて、シェフが、女性スタッフと穏やかで対等な姿勢で接している姿が新鮮に映った。女性スタッフのうち1人は厨房内で、主にパンとデザートを担当していて、デザートは、流れるような動きのあるアーティスティックな作品だった。それから約1年して、テレビを見て、そのときのパティシエが、2020年ゴエミヨ日本のベストパティシエ賞を受賞した平瀬祥子氏で、シェフと夫婦であることを知った。また、女性スタッフが子育てしながら仕事が続けられるように勤務に配慮し、女性が働きやすい店作りをしていることもわかった。
何事も、事情を正しく知って理解しないといけない。最初、このシェフはもしかして、女性をはべらせるのが好きなのか?とつい下世話な想像をしてしまった。ではなくて、女性の気持ちや立場をきちんと理解し尊重する、いたって誠実な人だ。こういうお店は、応援したい気持ちになるし、料理の世界にも働き方改革が必要な時に来ているのだろう。



194人
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出典: tabelog.com
シェフ:室田拓人
テレビ出演:2019年7月8日 BS朝日「土井善晴の美食探訪」ー大人が楽しめる奥渋谷 “美味しいに決まっている店”
ラチュレは、渋谷(最寄り駅は表参道)にある1つ星のフレンチ店で、食べログでも高評価を得ている。「土井善晴の美食探訪」をテレビで見て興味を持ち、2019年8月にお昼に訪問した。カウンターにすわると、目の前の狭い厨房は活気があって、若い料理人たちが何だかすごく楽しそうに仕事をしている。で、シェフはというと、厨房にはほとんど入らず、もっぱらフロアで接客をし、客の様子を見て厨房に進行の指示を出していた。すべてシェフが自ら料理する店は多いが、シェフが全然料理しない店は他に覚えがない。ランチでは、スタッフに任せると同時に、客との接点を持とうという意図なのか。とにかく、任された若い料理人たちは、みな生き生きとしていた。テレビではシェフが1人で料理していたから、これは行ってみないとわからない光景だった。また、テレビで見るよりも雰囲気がカジュアルで、ビストロっぽく感じた。シェフにそのことを話すと、ディナーの時は白いクロスを出して、雰囲気を変えるのだそうだ。料理も、昼と夜ではだいぶん違うのだろう。ランチだけでは料理の実力はわからなかったが、お店の様子をながめ、シェフと話をするのも、レストラン巡りの大きな楽しみの1つだ。



2731人
130495人
03-6450-5297
出典: tabelog.com
シェフ:谷昇
テレビ出演:NHK「あさイチ」、TBS「はなまるマーケット」など多数
ル・マンジュ・トゥーは、神楽坂にあるフレンチの2つ星店。飾らないシンプルな見た目ながら、奥深く研ぎ澄まされたソースは、巨匠・谷昇シェフの真骨頂だ。開店当初の90年代は、本格的なディナーが4千円ぐらいからという格安で、理髪店を改装した当時の店は、昔ながらの床屋の風情のままだった。家庭でもできるフランス料理を紹介する番組に多数出演し、わかりやすく穏やかな語り口には、説得力がある。ポークソテーについて語った「肉は焼かない。焼くのは脂身」という言葉が印象に残っている。今の場所に移転してからは2回訪れた。ソースは、単なる彩りではなく、素材を生かす入魂の存在感があり、感銘を受けた。そして、食事が終わって2階のダイニングから1階に降りて、調理場の前を通ると、谷口シェフが立っている。言葉を交わしてみると、テレビで見た通りに、渋みのある心地よい低音で、料理についていろいろと話をしてくださった。
谷シェフの息子さんの妻・谷真海さんは、東京五輪招致の最終プレゼンで、パラアスリート代表として登場した人だ(旧姓佐藤)。



320人
36959人
03-3268-5911
出典: tabelog.com
シェフ:渡辺雄一郎
テレビ出演:TBS「ジョブチューン」に「一流料理人」としてしばしば出演。
このところ、TBSの「ジョブチューン」(ファミレスやコンビニの料理やスイーツをジャッジする番組)で、よく見かける。「一流料理人」が名を連ねる中、恵比寿にあるロブションの店の総料理長として、2008年から9年連続3つ星獲得、2016年にナベノイズムを開業してから5年連続で星を獲得して、現在は2つ星、という圧倒的な実績を誇る。隅田川に面したお店は、隅田川花火大会の打ち上げ場所の真ん前の特等席だ。2019年2月に初めて訪問したとき、ディナーのショートコースだったが、特にスープの料理が秀逸で、メインの肉料理にまでお皿の全面にスープがたっぷりはってあった。ロブションらしい新しさや独創性がありながら、フレンチの伝統を踏まえた風格や美しさも感じられる料理だ。お店でお会いした渡辺氏は、気さくで饒舌で、いろいろな話をしてくれた。ジョブチューンのジャッジは難しいとも言っていた。テレビを見ていると、すごく慎重に言葉を選びながらコメントしているのがわかる。21年間ロブションを支え続けて苦労を重ねて頂点に立った人だから、商品の作り手の苦労と料理の難しさや厳しさへの思いが言葉の端からうかがえる。渡辺氏は、再度3つ星を狙っているかもしれないが、今の店は手頃な料金も魅力だから、このままでいてほしい気もする。



725人
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03-5246-4056
※本記事は、2021/05/08に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。