【関東】ニッポンの独断場!!精密ケーキ選手権

【関東】ニッポンの独断場!!精密ケーキ選手権

精密機器大国ニッポン。何処の誰が何と言おうと、精密工業製品の研究開発能力で喰ってきたニッポン。ケーキだって例外じゃないのであります。

記事作成日:2015/04/20

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる5139の口コミを参考にまとめました。

精密ケーキとは何ぞや?

エンジニアとして25年間飯を喰ってきた私としては、買ったケーキ1個にしても「はて?こいつどーやって組立てられたのか?と、先ずはフォークを突き立てる前に思っちゃうのです。そんな分解フェチがケーキを食べ歩いてると、中には思わず溜息が漏れきて、思わずパティシエ殿に拍手喝采したくなる、凝った作りの精密ケーキに出会います。パティシエ殿の意地の結晶、技巧の果ての精密ケーキをセレクト。ハイ、お察しの通り120%ヲタクなまとめです。

北区トロンコーニのシシリー

お願いだから、フォークでぶった切ってパパパ~っと食べないで欲しい。食べる前に良く見て!!この十二単ケーキを。他に類を見ない超絶積層体は、1層目がピスタチオクリーム、2層目がスポンジ、3層目がピスタチオクリーム、4層目がピスタチオムース、5層目がピスタチオクリーム、6層目がスポンジ、7層目がチョコレートムース、8層目がスポンジ、9層目がラズベリームース、10層目がラズベリーゼリー、11層目がラズベリームース、最後の12層目がチョコレートコートスポンジ。もはや根性の産物である。

目黒区カカオエット・パリのなみせん

何と言ってもチョコ波板。ほとんどトタン板並みの均一薄さを保ちつつ美しくsinカーブする、もはやケーキの世界とは異質の美しさ。この極薄チョコトタン板二枚で、星型に連続押出し成型されたミルクチョコクリームの骨材をサンドした、これは高強度軽量複合構造体であって、かなりのハイテク建材なのだ。ベースも丁寧に焼き込まれており、上層はフィヤンティーヌ(極薄焼きクッキーを砕いてチョコでサクッと固めたもの)、下層はフィナンシェの二層積層体で、もう尻尾の先まで凝りに凝りまくっている。

習志野市ル・パティシェ ヨコヤマのシシリー

圧倒的存在感の源泉は、まるでフレスコ画のような古代壁画をそのまま切り取ってきたかのような断面。一目して「何じゃこれ~!!」なのである。若草色のピスタチオクリームに埋め込まれた全ての苺が、ほぼセンターで真っ二つに分断されている技工にはため息も交じる尊敬の念。よもや物差しで測りながら苺を積んでるんじゃないの?と思いたくなるほど。綺麗な断面を出すために、苺の配置精度をミリ単位まで追い込んでるのは、これこそパティシエ殿の執念。ここまでやらぬと輝きを発しない事を、百もご承知なんである。

世田谷区パーラー ローレルのスフェール

何でまん丸じゃなきゃいかんのじゃ~!!と、ヒネクレ者の私はそう突っ込む。詰まるところ、この球体にケーキとしての必然性は無い。キッパリと言う。外殻はホワイトチョコの極薄層で、これに得体の知れない橙色のパウダーがスプレーされた、アナログな人手でこさえるには、恐らくこれ以上無理だろう、ほぼ真球体は殆ど赤色矮星だ。2015年宇宙の旅。ベースのチョコブリックにガッチリ接着されて微動だにせぬ辺り、もはや机上オブジェ的な趣で、フォークを立てるのにこれほど罪悪感を伴うケーキもそうは無い。

目黒区パリ セヴェイユのムッシュアルノー

もうここまで来ると、パティシエ殿空想の世界か?ケーキと言うものに抱く、一般人のデザイン観念など、軽く笑い飛ばすような隔絶した小宇宙観。この積み上げに何の必然性が?と問うてみたところで無意味なのかも知れん。それでも魅せられてしまうのは、この一個が立派に、いやもの凄く旨いから。口に運んでみて初めて分かる、この構造の必然性。確かに食べ難い。皿無し外ケーだと、バラバラ事件にならぬように食べきるのも相応の技術を要する。そんな作り手からの挑戦状も、分解フェチには堪らないのである。

※本記事は、2015/04/20に作成されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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