【一度は食べたい!!】八王子のラーメン屋さん7選

【一度は食べたい!!】八王子のラーメン屋さん7選

八王子市を代表するご当地ラーメンを食べ歩きました. “刻み玉ねぎ×醤油清湯” の古典から,鴨香る新潮流まで—— 街の地形そのものがラーメンで見えてくるような,奥行きある一杯たちです.

記事作成日:2025/11/25

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる8790の口コミを参考にまとめました。

八王子ラーメンの原点と現在地——一度は食べたい7杯の地図

東京の西端・八王子には,「玉ねぎの街」と呼びたくなるほど独自に進化したラーメン文化が息づいている.
その中心にあるのが——八王子ラーメン.

醤油だれをベースに澄んだ清湯スープ,生の刻み玉ねぎ,そして表面を覆うラード(香味油).
この三要素が八王子ラーメンの定義だ.
中細ストレート麺に,チャーシュー・メンマ・海苔という最小構成の具材が合わせられる.
玉ねぎの辛味をラードで包み,まろやかな甘味へと転化させる——その発想こそが,八王子ラーメンの哲学である.

元祖は「初富士(はつふじ)」.
1959年(昭和34年),八王子・北野で創業した惣菜店が,北海道で出会った刻み玉ねぎラーメンをヒントに,ラードを加える技法を生み出した.
この発明が,いまに続く“八王子スタイル”の原型を形づくったと言われている.
なお,「みんみんラーメン」は象徴的な名店でありながら,元祖ではなく,その美学を洗練させた後継の代表格である.

そして近年,この地ではもう一つの流れが芽吹いている.
伝統の醤油清湯に対し,鴨出汁のラーメンという新しい波だ.
鴨の芳香と澄んだスープが融合し,八王子の味の地図を再び更新しはじめている.

今回は,そんな八王子の丼文化を象徴する7軒——
王道の「タンタン」「みんみんラーメン 本店」「中華そば 吾衛門」,
進化系の「煮干鰮らーめん 圓 八王子本店」「麺笑 巧真」,
そして新風を吹き込む「中華そば 鴨福」「鴨中華そば 楓」——を実際に食べ歩いた.

八王子ラーメンの原点と現在地,そして次の時代への呼吸を,一杯ずつ味わっていきたい.

ご当地の核をなす 3軒

タンタン

タンタン

八王子駅から南へ歩いた住宅街の一角.
大行列の後,昼どきの暖簾をくぐると,どこか懐かしい湯気と笑顔に包まれる——老舗「タンタン」で『ラーメン 並』をいただきました.

創業は1980年.
先代の女将が立ち上げ,その味を娘さんへ,そして孫世代へと受け継いできた三代の女性スタッフのお店.
壁には,初代と思しき女性の写真が穏やかに微笑み,その眼差しの下で,今も女性スタッフだけが鍋を操る.

ラーメン 並

タンタン

琥珀色の澄んだ醤油スープ.
油の粒が細やかに散り,刻み玉ねぎがふたつ,やわらかな光を受けて浮かぶ.
鶏ガラと豚の旨味が重なり,香味油のコクを玉ねぎの甘みがやさしく和らげる——それが八王子ラーメンの本懐.
麺は細めのストレートで,するりと喉を抜け,チャーシューの柔らかさとともに,懐かしい余韻を残していました.

一口すすれば,単なる“老舗の味”を超えた“生活の記憶”が広がる.
この町で生まれ,この町の女性たちが守ってきた味.
湯気の向こうに立つその姿が,「ラーメン」という食の風景を静かに支えていました.

みんみんラーメン 本店

みんみんラーメン 本店

西八王子の街道沿いに,湯気が静かに立ちのぼる一軒.

創業は1982年.
八王子ラーメンの源流を語るうえで,欠かすことのできない名店だ.

ラーメン

みんみんラーメン 本店

丼を覆うのは,深い琥珀色のスープ.
醤油の香りとラードの厚みが溶け合い,表層には細やかな油玉がゆらめく.
ひと口すすると,まろやかな旨みの奥に,キレのある醤油の輪郭.
後半には刻み玉ねぎがじんわりと溶け,重心の低い味わいに清涼感を添える.

麺は細めのストレート.
ほどよいコシを残しながら,スープをまとって軽やかに啜らせる.

チャーシューは,脂の旨みと肉の繊維がほぐれる瞬間がたまらない.
メンマの食感,海苔の香り,そして玉ねぎの甘み――それぞれが一杯の中で呼吸をしている.

中華そば 吾衛門

中華そば 吾衛門

西八王子駅から徒歩3分ほどにある,こぢんまりとしたラーメン店「中華そば 吾衛門」.

創業は1996年.
今回は名物の「中華そば」に、お店の方にオススメされた「玉ねぎ増量(玉ねぎ多め)」 でオーダーしました。

中華そば 玉ねぎ多め

中華そば 吾衛門

丼を覆うほどの細かく刻まれた玉ねぎが目を惹き,まずビジュアルで心をつかまれます.
スープは豚骨+魚介のバランスが絶妙で,ラードのまろやかな油膜がコクをプラス.
そこに玉ねぎのシャキシャキした食感とほのかな甘みが加わり,ひと口ごとに違った表情を見せてくれます.

麺は細めストレートで,最初は”しっかりした歯ごたえ”,後半はスープと馴染んで”しっとりすべり込む”感じ.
チャーシューもしっかり存在感があり,海苔・メンマもほどよく配置されています.

玉ねぎ好きならこの「玉ねぎ多め」はぜひ試す価値あり.
価格も良心的で,ひとりでも立ち寄りやすい雰囲気です.
ただし席数が少ないため,混雑時間帯を避けると快適に楽しめるでしょう.

香りの抽象度を上げる 2軒

煮干鰮らーめん 圓 八王子本店

煮干鰮らーめん 圓 八王子本店

八王子の裏通りで,ふっと鼻先をくすぐる煮干の香り.

『煮干鰮らーめん 圓 八王子本店』の「背脂煮干鰮らーめん」は,丼一面の背脂に煮干が疾走する、“こってり×清澄”の二律を両立させた看板作です.

なお,現在は原点回帰されており,『煮干鰮らーめん』と『煮干鰮つけ麺』の提供となっています.

背脂煮干鰮らーめん

煮干鰮らーめん 圓 八王子本店

ベースは動物系にたっぷりの煮干を重ねた醤油清湯.
粗めの背脂が表層を覆いながら,口あたりは意外なほど軽い.
飲み進めるほど,醤油の輪郭と魚介の余韻が折り重なっていきます.

麺は「国産小麦の中太手もみ」.
波打つ縮れにスープと背脂がよく絡み,啜り出しはもっちり,噛めば反発.
後半までダレにくく,丼の重心をしっかり支える設計.

低温気味に仕上げた大判チャーシューは,脂の溶け出し方が上品で,スープを濁らせない.
コリッとしたメンマ,潮の香を運ぶ茎わかめ,香りのアクセントとなる海苔.要素は多くないのに,役割分担が明確で,“整った一杯”に収斂します.

前半は背脂をあまり撹拌せず,煮干の透明な旨みを.
中盤からレンゲで背脂層と醤油ダレを軽く混ぜ,甘みとコクを引き出す.
最後は海苔で麺をひと巻きにし,タレ香をきゅっと凝縮.
スープ完飲の罪悪感を忘れさせる,危うい吸引力でした.

麺笑 巧真

麺笑 巧真

2020年の開店以来,八王子で注目を集める「麺笑 巧真」.
瞬く間に食べログ「TOKYOラーメン百名店」に名を連ね,ファンも絶えない一軒.

塩ラーメン

麺笑 巧真

丼を前にすると,まず目を奪われるのは透き通る黄金色のスープ.
鶏や豚の動物系と,節・昆布などの魚介系を重ねたダブルスープは,雑味がなく澄み切っている.
ひと口含むと,ふくよかな旨みがじんわりと広がり,後口には山椒の爽やかな香りが立ち上がる.
香りとキレで味わいに奥行きを添えているのが巧真らしさだ.

麺は中細ストレート.
しなやかで歯切れよく,スープとの相性は申し分ない.

具材も存在感が際立つ.
低温調理された大判のチャーシューは,しっとりと柔らかく肉の旨みを存分に楽しませてくれる.
極太メンマはコリッとした食感でアクセントに.
刻みネギが清涼感を添え,全体をすっきりとまとめ上げている.
どのパーツも突出しすぎず,バランスの取れた一杯に仕上がっているのが印象的だ.

八王子に吹く“鴨”という新しい風 2軒

中華そば 鴨福

中華そば 鴨福

東京・八王子に佇む,隠れ家のようなラーメン店「中華そば 鴨福」.
店内ではJAZZが静かに流れ,訪れただけで “ただならぬこだわり” が伝わってくる空間.
今回は,その期待を胸に『中華そば 塩』をいただきました.

お店はJR八王子駅北口から徒歩14分ほど.
センスある佇まいで,レトロな和モダン風の内装も相まって,ラーメン屋という枠を超えた “食体験” の場といった印象でした.

中華そば 塩

中華そば 鴨福

澄んだ黄金スープに浮かぶのは,しなやかな手揉み麺.
青菜,貝割れ,葱の輪切りが彩りを添え,別皿には三種のチャーシュー,生卵黄,タレ,塩が並びます.
「このままでも、味変してもどうぞ」という心配りが嬉しい.

スープは,塩ダレの輪郭をやわらかく包み込みながら,“鴨だし” の豊かな旨みが芯にある.
魚貝と乾物の出汁が静かに支え,鴨が主役でありながら決して前に出すぎず,全体の調和を感じさせます.

麺は自家製の手揉み.
レンゲで掬うたび,スープの香りがふっと立ち,持ち上げた麺はしっかりとスープを纏いながら,噛むほどに心地よい弾力.
スープとの一体感が見事でした.

中華そば 鴨福

トッピングの別皿も印象的.
鴨のロース,豚チャーシュー,鶏チャーシュー.
三種それぞれの個性が際立ち,塩や卵黄を添えながら味の変化を楽しめます.

「ただのラーメンではない一杯」.
入口で感じた “ただならぬこだわり” が,食べ進めるほどに実感へと変わっていきました.
時間に余裕を持って臨みたい,八王子の名店です.

鴨中華そば 楓

鴨中華そば 楓

京王八王子駅のほど近くに佇む「鴨中華そば 楓」で,『中華そば 塩』をストレート麺でいただきました.

凡庸なラーメンの枠を軽やかに飛び越える,端正で静謐な一杯でした.

中華そば 塩

鴨中華そば 楓

澄み渡る塩スープに浮かぶ,淡いピンクのチャーシュー.
その上に添えられた柑橘系のゆず胡椒が,香りの輪郭を静かに引き締めます.
透明に近いスープは,鴨の深い旨味を湛えながら舌を撫で,後口にはゆずの余韻がふわりと抜けていきました.

麺は細くまっすぐ,芯に確かな張りをもつストレート麺.
「塩」という設計テーマを見事に捉え,スープとの調和を崩すことなく,最後まで美しく寄り添います.

具材も隙がなく,鴨チャーシューは噛むほどに旨味が滲み出し,青ねぎの清涼感がその余韻を整えていました.
メンマの軽やかな歯ざわりが,構成にリズムを刻みます.

※本記事は、2025/11/25に作成されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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