東京近郊で食べられる旨い汁なし麺(その2:武蔵野進化系編)

東京近郊で食べられる旨い汁なし麺(その2:武蔵野進化系編)

最近のラーメン屋さんでよく見る「汁なし」「油そば」「和えそば」「まぜそば」というキーワード。一体何が違うの? 今回は、東京近郊で食べられる種々の「汁なし麺」のうち、前回ご紹介した「武蔵野油そば」を現代の感覚で再構築した名作たちにフォーカスしてみます。

更新日:2015/01/05 (2014/12/25作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる4651の口コミを参考にまとめました。

「武蔵野進化系」とは?

丼の底のタレを麺と食べ手が混ぜるという武蔵野油そばのスタイルをベースとし、タレや麺、トッピングを現代のセンスで進化させたお店の汁なし麺を指します(あくまで個人的な造語/分類であることをご了承ください)。
自家製麺を売りにするお店や豚骨魚介ラーメンの名店が手がけるもの、一方では洋風なエッセンスを取り入れる斬新な発想のお店等も登場し、提供するお店の数としては現在最も多いと思われます。

燦燦斗

燦燦斗 - 外観 手前の道路と段差の通り、結構急な坂道沿いです。

先月発表されたTokyo Ramen of the Yearの汁なし部門で1位を取得した名店。
東十条の路地裏にひっそりと店を構えていますが常に行列が絶えません。
※現在夜営業のみなので注意!

油そば(700円)+味玉(100円)

燦燦斗 - 油そば(700円)+味玉(100円)

モチモチな自家製麺を軸とした進化型・武蔵野系油そばな一杯。
油そばというとジャンクなイメージがありますが、こちらは、丁寧に仕上げられた具材の旨さもあって、ワンランク上の上品な油そばという印象です。

うーん、なんかすごいいい香りなんですけど!
油そば特有の、あのラードと醤油ダレが織り成す香ばしい香りがガンガンに鼻腔を刺激してきます。

出典: タム6000さんの口コミ

とにかく麺が絶品!

燦燦斗 - モッチモチの太麺@油そば(700円)

表面がツルツルした丸断面中太ストレート麺は熱盛りでの提供、ネチッとした粘り腰のある噛みごたえが特徴的です。
熱盛りということで、モチモチの柔らかめの口当たりですが、きちんとコシも感じられ、麺味もしっかり。なかなかいい麺だと思います。

醤油ダレは甘みを感じる比較的シンプルなものですが、そこにラードの香りと旨味がガツンと加わります。
醤油ダレの香ばしさやキレで食わせるというより、油の包み込むような旨味で食わせる感じかな?
化調サポートもおそらくあるでしょうが、武蔵野系の古典油そばを上品にしたような感じで、こりゃ旨いなぁ。。

出典: タム6000さんの口コミ

チャーシューはピンク色の低温調理系。ラストは卵黄を投入しまろやかに

燦燦斗 - レアチャーシュー@油そば(700円)

ムッチリした歯ごたえとしっとりしたレア肉の旨味がたまらんですねぇ。
タレによる味付けも最低限で、ほぼ赤身ながら、肉本来の旨味がしっかり楽しめます。

途中から卵黄を落とし、敢えて荒く混ぜつつ麺をズバッと啜りましょう。
・・おぉ、こりゃいいですね!うどんを思わせる熱々のモチモチ麺+醤油+卵=そう「釜玉」!
まさにこりゃ釜玉だわ。卵のまろやかなコクと醤油ってなんでこんなに合うんでしょうねぇ。

出典: タム6000さんの口コミ

麺がラスト1/4ほどになったところで卓上のお酢をドーピングしてグッチャグッチャと混ぜると、卵+酢=そう「マヨネーズ」!

出典: タム6000さんの口コミ

兎に角

兎に角 松戸本店 - 店舗外観

松戸に本店がある豚骨魚介の名店。
亀有と柏の葉キャンパスに支店を構えます。
ラーメン、つけ麺と共に三本柱を構成する「汁なし」は、シンプルに「麺+タレ」のコンビネーションを追求した武蔵野系油そばの正統な進化版という印象。

油そば(700円)+温玉(100円)

まず見た目が非常に美しい。
鰹節、刻みネギ、ほぐしチャーシュー、そして温玉、大きなチャーシュー、海苔、メンマが整然と並びます。

白眉は魚介の華やかな香りとタレ

麺に予め絡められたタレは、かなり旨い。
醤油のまろみが強く、同時に化調、液体油によるコク、さらにニンニク、黒胡椒の香りもかすかに。
塩辛さはなく、「甘辛い」系のしっとりした味付けですね。

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-346.html

節がいい存在感を発揮してますね~。
醤油ダレ一辺倒だとどうしても味がノッペリしてしまう所を、節のダークな旨味により、一気に味が立体的に。

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-346.html

〆の割スープはなんと豚骨魚介

こちらの油そば、スープ割ができるらしいので、1/4ほど食べ終わった時点で、スープをお願いします。
スープは「割られる」のではなく、小さな容器で別サーブされるのですね。
さて、スープを一口味見をしてみると・・・え?しっかり旨いんだけど!
出汁だけが出てくるかと思いきや、きっちり塩気も加わった立派な「豚骨魚介スープ」じゃないですか!

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-346.html

スープを残った油そばに入れると。。。おぉ~、立派な「濃厚豚骨魚介ラーメン」になりますね~。
油そばをスープで割った時によく感じる「味が薄くなったことによるちょともったいない感」は全くなし。これはむしろ、コチラのお店の「ラーメン」を食べたくなるような、かなり旨い一杯に仕上がっていますね。

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-346.html

ラーメン雷鳥

ラーメン雷鳥 - 人通りの少ないところにお店があります。

水天宮と茅場町の間の裏路地に店を構えるお店。
店外から製麺機の姿が見え、麺に対するこだわりを感じます。

店主さんが前述の「兎に角」出身と言われているお店です。

4号油そば(780円)

ラーメン雷鳥 - 4号油そば(780円)

こちらのラーメンは、店名「サンダーバード」にちなんで、1号から6号までナンバリングされています。
油そばは4号。

出身店を彷彿とさせる油遊ばですが、トッピングでオリジナリティを発揮。
まず目につくのは巨大なチャーシュー。周りを取り囲むのは青菜、ネギ、ほぐしチャーシュー、メンマに海苔。

やはり主役は自家製麺

ラーメン雷鳥 - 4号油そば(780円)

もっちりとした麺は自家製麺の角断面極太縮れタイプ。あつもりなので熱々。
加水は高めでモッチモチの歯ざわりが実にいい感じ。麺味もしっかりしてますね。縮れのおかげでタレもよく絡み、口いっぱいに頬張ると至福の時。

イヤらしくならない程度にほんのり効いた黒胡椒のスパイス感がまた絶妙!全く飽きずにズバズバ食べ進められます。

出典: タム6000さんの口コミ

温玉とスープが付いてくるのも魅力

武蔵野系油そばをベースとしつつも、麺と具材双方を大幅にグレードアップしたデラックス汁なし麺な一杯と言えます。温玉とスープ付きでこの満足感ならC/Pも十分。

出典: タム6000さんの口コミ

構成としては王道ながら、全ての要素がどれも高品質で、かつ抜群のバランス感で組み合わされてるのがこちらの魅力なんだと思います。

出典: タム6000さんの口コミ

俺の麺 春道

俺の麺 春道 - ”俺の麺 春道”の外観。

西新宿の入り口あたりにある小さなお店。
西新井の名店「椿」出身で、この超激戦区で生き残っているのはやはり実力でしょう。

どっしりした豚骨魚介ラーメン&つけ麺がメインですが、油そばも密かな人気メニューです。

まぜそば並(700円)

麺の上には、チャーシュー1枚、メンマ3本、刻みネギ、ナルト、そして海苔1枚と、その上には魚粉。

名店のDNAを残しながらも新たな進化を遂げた、シンプルながらも軸がしっかりと定まった「渋い」まぜそばです。

酸味の効いたタレが絡む麺が絶品

丼の底にあるドロリとしたタレを舐めてみます。
お、酸味がキリリと強めに効いていますねぇ。お酢?いや、こりゃ梅酢、梅ペーストか。
醤油ダレの塩気も強いのですが、それよりも梅の酸味、そして魚粉の旨味が強めに出てくる感じ。全体的にかなりエッジの効いた濃厚なタレですね。

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-260.html

麺は丸断面の中太ストレート。コシが強く、パッツンと切れるパスタのような食感が特徴。
本家「椿」も中太麺を使っていましたが、あちらのモチッとしたタピオカ麺に対し、こちらはよりソリッドでそっけない食感。結構こういう麺好きですね。

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-260.html

全体を混ぜるとまた世界が変わる

店員さんの指示通り、全体を良く混ぜていきます。
ん、旨いなーコレ。
口中に広がる鰹節のスモーキーな風味と、醤油のダークな旨味の中から、パッと飛び抜ける梅の酸味。
そして、それらを纏う麺のそっけない食感。

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-260.html

・・・うーん、なんというか、食べ手に媚びないハードボイルドな感じとでも言うんでしょうかねw
甘みはほとんどなく、虚飾を廃したドライな「大人の男」な雰囲気が漂いますね(なんだそりゃ)。
豚骨魚介のお店ですが、ブタな感じはほとんどないです。酸味を軸としたタレで食べさせるタイプ。しかも、このタレに全然飽きが来ない。

出典:http://tam6000.blog.fc2.com/blog-entry-260.html

新橋 大勝軒

つけ麺の開祖「東池袋大勝軒」の流れを汲む名店。
開店は比較的新しいですが、チーズナポリ、スタミナ、ソース、カレー、明太マヨ等、油そばに数々のアレンジを加えたユニークな「創作油そば」シリーズはラヲタの度肝を抜きました。

従来の大勝軒スタイルにとらわれないぶっ飛んだ方向性を、ラヲタはこう讃えます「変態大勝軒」と!

チーズナポリ油そば・大盛(850円)

新橋 大勝軒 - チーズナポリ油そば・大盛(850円)

結構たっぷりめのトマトソースが太麺に絡められ、その上にはチャーシュー、メンマ、刻みタマネギ、そして粉チーズと非常にシンプル。

・・・うん、ひと目でわかりますが、「ナポリ」という名の通り、油そばをナポリタン風にアレンジしてチーズをかけたもののようです。さすが変態大勝軒!

やはり麺は大勝軒クオリティ

新橋 大勝軒 - チーズナポリ油そば・大盛(850円)

あつもり状態の麺を引きずり出して一口。
お、意外にいいじゃんw
麺は角断面太ストレート。加水は高め、食感はモッチリプリプリ・ソフト食感で、いかにも大勝軒系という雰囲気。麺量は大盛300gで必要十二分です。

豚魚スープがベースのまろやかトマトソースが意外にいい

ナポリソースは、豚魚スープでケチャップ&ホールトマトを伸ばしたようなもの。甘みが結構強めですね。
見た通り量は多めで麺がヒタヒタに沈んでいるくらいはあります。ソースの中にはダイストマト的なものも確認。

出典: タム6000さんの口コミ

ナポリタンにおけるケチャップのような強烈な存在感はなく、かといってトマトの酸味も強くなく比較的マイルドに仕上げられています。
この「味変アイテムが映えそう」なニュートラルな感覚はやはり「油そば」な立ち位置ですね。ソースの粘度は高くねっとりした感じ。

出典: タム6000さんの口コミ

油そばのお約束「味変アイテム」も豊富!

油そばシリーズにのみ提供されるカゴ入りの味変調味料セット(ラー油、醤油ダレ、マヨネーズ、タバスコ)を使ってみましょう。
元々の卓上調味料も豊富だし、なにより麺がたっぷりあるので、いろいろと味変しながら楽しんで食べ進めることができますな。

出典: タム6000さんの口コミ

新橋 大勝軒 - チーズナポリ油そば・大盛(850円)

マヨラーとしては最後にこれをやらなければ締まりませんw

※本記事は、2015/01/05に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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