村上を丸ごと味わう“火入れの魔術” — 新多久で出会った圧巻の夜 : 割烹 新多久

おまかせコース 22,000円

村上の山海を軸に構成されたこのコース、最初から最後まで火入れと素材使いの巧みさが光る“匠のフルコース”だった。

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■春菊の茶碗蒸し
出汁がふくよかに香る茶碗蒸しに、春菊ソースをひとさじ。爽やかな苦味がふわりと広がり、驚くほどの相性の良さ。

■まはたの塩揉み
水分を抜くことで旨味がギュッと凝縮。添えられた煮凝りはゼラチン不使用で、舌の上でスッと溶ける自然な美味しさ。

■鮭の小皮煮（椀）
澄んだ出汁に、鮭の身と皮を叩いて作ったふわふわのつみれ。雑味が一切なく、椀物としての完成度が高い。

■アオリイカ刺身
ねっとりした甘味に、ほんのり添えた柚子の香りが極めて上品。余韻が長い。

■里芋の蒸し物
驚くほど軽く、クリームのようにほどける食感。こんな里芋は初体験。

■鮭の焼き霜
村上の鮭を炭火で。香ばしさ・脂の溶け具合・皮のパリッと感の“三重奏”。鮭という魚の奥行きを改めて思い知る。

■チンゲンサイと原木なめこ
優しい味に、カマの糠漬けの風味がアクセント。良いリセット皿。

■真鴨とネギ
天然鴨を炭火で絶妙に焼き上げ。外は香ばしく、中はジューシー。甘いネギと合わさると最強の“鴨ネギ”。

■サラダ
こちらは普通。

■クエの炭火焼き
本日決まりすぎた一皿。皮はパリッ、身は肉厚、脂はじゅわり。完璧な火入れで、クエのポテンシャルを120%引き出している。圧巻。

■大根・干し柿・えごまの和え物
カリカリ食感の大根、大量のえごまの香り、干し柿のほの甘さ。延々つまめる中毒性。

■ズワイガニ
香ばしく焼いたカニ爪を、蟹味噌＋蟹身の“旨味の沼”にダイブ。身は半レアでトロッと甘い。下の蟹味噌も濃厚で完璧。

■ツキノワグマの鍋
臭みはゼロ。旨味の濃さが段違いで、出汁の染みたごぼうと椎茸も最高。衝撃のおいしさ。

■ブリの棒鮨
脂のったブリを炭火で炙り、香ばしさととろける脂が口中で爆発する“ブリ祭り”。問答無用でうまい。

■お食事
（ご飯、塩引鮭、はらこ、漬物、猪の唐揚げ、味噌汁）
土鍋ご飯はつやつや。塩引鮭も極上。だが主役ははらこ。
皮は柔らかく、つけ出汁を吸いきっていて、口に入れた瞬間に弾けて消える。今日のハイライト級。

■むかごのアイス
豆腐のように滑らかで、むかごの風味もしっかり。意外すぎるが成立している。

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■総評

食材の多くは村上産、一部は佐渡・県内から。
“村上という土地そのものを食べる”というコンセプトが皿に落とし込まれ、火入れ・香り・旨味の引き出し方が圧倒的。

わざわざ村上まで足を運ぶ理由が、この店には確かにある。

おまかせコース17,600円(税込)
▫️黒もずく
極太もずく。食感がコリコリしており美味しくて良き。今までのもずくとは一味どころか三味は違う。

▫️山菜3種
胡麻和え、胡桃和えなどなど。
素材の味が出ており、臭みやエグ味は除去されており良き。

▫️いしもちの塩揉みと魚の煮凝り
煮凝りは魚魚魚魚魚！！のどーーーん味。ナンテコッタ。ゼラチンを使用しない煮凝り。複数の魚をこのサイズにギューーーッと凝縮している。いしもちの塩揉みはとんでもないもちもち食感。味わいが深過ぎます。

▫️ボタンエビとめかぶのしんじょ
ボタンエビは半生で。エビの甘味が出て、とろとろ。めかぶ自体の味も濃く、ねっとりした食感にエビとめかぶと出汁の三位一体を味わえる。

▫️サクラマスの刺身
脂乗っており、もっちりした食感。サーモンとはまた違った味わい。脂っこさが残らないのがこのサクラマスの特徴か。

▫️高野豆腐
塩分強め。うーーん。

▫️ノドグロの腹の炙り刺し
脂のノリはすごいし、なんせ火入れが天才的。
絶妙に溶け始めた脂が舌の上で大暴れ。美味過ぎて悶絶。そこらへんの炙りを出している店は反省した方がいい。

▫️葉わさびと山菜のお浸し
箸休め。葉わさびの香りと刺激。エグ味やクセがなく食べやすい山菜。

▫️大穴子のコシアブラご飯
大穴子はふっくら炊かれておりホロホロでうまうま。山菜のコシアブラが入ったご飯香りよく、相性よき。もう山菜マジシャンやん。

▫️あおさの茶碗蒸し
初見は抹茶かと思う見た目。
あおさのりがどーーーーーん。香りすごい。
卵は緩めで出汁多め。あおさのりの香りと出汁が最高。

▫️サクラマスの焼き物
脂ノリノリ。皮目パリパリ。やっぱり火入れが天才的だわ。美味すぎなんだわ。ずっと食べていたい。サクラマスなのか！？となってしまう脂と旨み。好き過ぎる。

▫️イノシシのサラダ仕立て
イノシシ！？となるが、臭みや癖はなく。赤身の味もしっかり。まるでローストビーフ？
葉物やナッツとの相性もよく美味しい。
こちらのイノシシは大将の弟さんが狩猟で仕留めたもの。

▫️うっかりカサゴの甘草ジュレ(酢の物)写真忘れ。
うっかりしてるカサゴなのかは分からんが、モチモチした食感と甘草の香りとの相性も良き。苦手な酢の物とはいえ、食べやすく美味しい。

▫️焚き合わせ
ゼンマイの揚げたもの、ふきのガンモ、葉物にカブ。優しい味わいで美味い。山菜の調理がやはり絶妙。

▫️草人参の炊き込みご飯、イノシシのすき焼き、イシモチの炙り焼きなど
そろそろお腹いっぱい状態。なのに、今から定食始まりますっていう。
ご飯は草人参という山菜との炊き込み。イノシシのすき焼きはもはや牛より美味いとも思える脂の旨さ、赤身の味の濃さ。イシモチの焼いたやつもタレがうまくご飯が進む。
これだけで2,500円でやって欲しいww

▫️ヨモギアイス
ヨモギ？となるが、まったりとした舌触りの美味しいアイス。うーーん満足。　

村上地方のオールインクルージブともいえる、すべての食材が村上のもの。
また、魚の焼きのレベル、山菜の使い方が天才的といえる。
素材の味を活かしながらも、我々が食べにくい嫌な味が出ない食材をチョイスしている。
ジビエは弟さんが自ら射止め、捌く。
山菜は取りに出かけ、他の食材も村上から仕入れる。

村上といえば、牛と鮭だが、あえてそれを一切使わないのも面白い。

これが新潟No.1割烹と言われる所以か。
天才的な焼きと山菜マジシャン。

ごちそうさま