酔狂老人卍さんが投稿した赤坂とゝや魚新(東京/赤坂)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

『此世をハ と里(り)や お暇尓(に) せん古(こ)う能(の) 煙りと供尓(に) 者(は)ひ 左樣なら』 (十返舎一九)

メッセージを送る

酔狂老人卍 (70代以上・男性) 認証済

この口コミは、酔狂老人卍さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

赤坂とゝや魚新赤坂、赤坂見附、溜池山王/日本料理、海鮮

2

  • 昼の点数:4.0

    • ¥3,000~¥3,999 / 1人
      • 料理・味 3.8
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク -
2回目

2024/03 訪問

  • 昼の点数:4.0

    • [ 料理・味3.8
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥3,000~¥3,999
    / 1人
  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》の内容(うちわけ)

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"粳飯(うるしいひ)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"馬鮫魚(さはら)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"馬鮫魚(さはら)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"蕃茄(あかなす)"+"黑螺(くろつぶ)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、瓢雞蛋糕(ひさごがたのたまごやき)

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"茄子(なすび)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"芋(さといも)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"菹(にらぎ)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"柬埔塞瓜(かぼちやうり)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"北國赤鰕(ほつこくあかえび)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"棘鬣魚(まだひ)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"基圍蝦(くるまえび)"

  • 《炭籠辨當(すみかごべんたう)》、"螢烏賊(ほたるいか)"

  • "椀(わん)"

  • "アイスクリン"

  • "アイスクリン"

  • "茶(ちや)"

2024/10/08 更新

1回目

2013/08 訪問

  • 昼の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥1,000~¥1,999
    / 1人

とゝやこの 燒きたる魚(うを)を 啖(くら)ふには しるもしらぬも 赤坂のせき

【2013-08-02追記】:
久方(ひさかた)ぶりの『とゝや魚新』。
晝(ひる)の板場(いたば)を預(あづ)かる菊池(きくち)さんが『にほん者゛し』に赴任(おもむ)き、
入(い)れ替(か)はりに『にほん者゛し』の村松(むらまつ)さんが當舖(こちら)に、、。
職人(ひと)も(はし)も變(か)はり、裝(よそほひ)を新(あら)たむ。

その餘(ほか)は、矢床鍋(やッとこなべ)の鏡(かゞみ)のごとき容(さま)も、赤出汁(あかだし)も、
叮嚀(ねんごろ)に漬(つ)けられたる(かう)の物(もの)も、(ちや)も、菓子(くわし)の類(たぐひ)も、
往古(そのかみ)に寸毫(つゆ)異(こと)なるところなし。
給仕(きふじ)に擔當(あた)る方々(かたがた)の優(やさ)しき管待(もてなし)ぶりもまた然(しか)り。

米(こめ)は近會(ちかごろ)夙(つと)に名高(なだか)き"ゆめぴりか"。
纔(わづ)かに濃(こ)いめの味附(あぢつ)けが、能(よ)く米飯(こめのいひ)に適合(あ)ふ
生憎(あやにく)、この日(ひ)の"鮎竝(あゆなめ)有馬燒(ありまやき)"は今一(いまひと)つ。
やはり、當店(こちら)、佳(よ)き魚(うを)の"(かぶと)"、"かま"に限(かぎ)る。

そもそも、鮎竝(あゆなめ)は煮付(につけ)が最適(もッともこのまし)く、
(くづ)を打(う)ち(わん)と爲(な)すがこれに次(つ)ぐ。
とは云へ、これはこれでなかなかのもの。
板場(いたば)を預(あづ)かる方(かた)と給仕(きふじ)の方們(かたゝち)とはにこやかに辭別(いとまごひ)。

--------------------------------
【照相機】:富士胶片(ふじふいるむ) XE-1無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれすかめら)
【鏡頭】  :蔡司(Carl Zeiss) Touit Planar T* 1.8/32 @F2.2 (By Carl Zeiss AG)

【2012-05-07追記】:
此度(こだみ)は味神樣(あぢがみさま)と、、。
幸運(さいはひ)にも、"甘鯛(あまだひ)"と"櫻鱒(さくらます)"の兜(かぶと)がうち揃(そろ)ひしかば、
これを各々(おのおの)一(ひと)つづゝ注文(たのむ)。
近會(ちかごろ)では"かま"を求(もと)むる客(きやく)が増(ふ)へ、仕入(しい)れも一苦勞(ひとくらう)とか。

最初(いやさき)に先附(さきづ)けのごとき一皿(ひとさら)。
"肝煮(きもに)"に"黒鯟(くろむつ)の白子(しらこ)煮凝(じゆれ)がけ"、"豌豆(ゑんどう)"。
"肝煮(きもに)"は漬込(つけ)みのごとく寢(ね)かせて味(あぢ)を滲(し)み込(こ)ませたるものと云ふ。
彩(いろどり)鮮(あざ)やかにして、滋(いつくし)みある味(あぢ)はひ。

霎時(しばし)待(ま)つほどに、件(くだん)の品(しな)運(はこ)ばれ來(きた)る。
米飯(こめのいひ)、香(かう)の物(もの)、赤出汁(あかだし)附(つ)き。
香(かう)の物(もの)は紅椒(ぱぷりか)、黒皮蘿蔔(くろかはすゞしろ)、青菜(あをな)。
赤出汁(あかだし)は豆腐(とうふ)と見紛(みまが)ふばかりの賽(さい)の目(め)鶏卵(たまご)。

案下某生再説(それはさておき)、肝腎(かんじん)の燒魚(やきうを)。
直前(すぐまへ)の旅(たび)にて、三度(みたび)啖(くら)ひし"櫻鱒(さくらます)"。
一(ひと)つは、『めくみ』の鮓種(すしだね)として、今一(いまひと)つは『繩屋』の鍋(なべ)、
殘(のこ)る一(ひと)つは『さか本』の燒物(やきもの)。

どれもなかなかの出來榮(できばえ)にて、
就中(わきても)、『めくみ』の醤油漬(しやうゆづ)けは忘(わす)れ難(がた)き一品(ひとしな)。
火(ひ)の通(とほ)る刹那(せつな)に鍋(なべ)より引(ひ)き揚(あ)げこれを供(いだ)す『繩屋』、
金串(かなぐし)を打(う)ち業務用天火(さらまんだ)にて叮嚀(ねんごろ)に燒(や)く『さか本』。

それぞれ際立(きはだ)ちたる特徴(しるし)こそあれ、
鹽燒(しほやき)せし兜(かぶと)に啖(くら)ひつきて、身(み)を食(は)み、骨(ほね)を舐(ねぶ)り
思(おも)ふが儘(まゝ)貪(むさぼ)り盡(つ)くすに如(し)くはなし
最後(いやはて)の黒胡麻豆腐(くろごまどうふ)にて〆。

【2011-07-30追記】:
相知(なじみ)の少女(むすめ)が甚(いと)怪(あや)しげなる活動冩眞(かつだうしやしん)の端役(はやく)に、、。
舞臺挨拶(ぶたいあいさつ)にも列席(れつせき)との報(しらせ)ありて、俄(には)かに色(いろ)めき立(た)つ。
場所(ところ)は内藤新宿(ないとうしんじゆく)にもほど近(ちか)き四谷大京町(よつやだいきやうちやう)。
さらば、晝飧(ひるげ)は、荒木町(あらきちやう)、信濃町(しなのまち)、、と惱(なや)み、赤坂(あかさか)に。

狙(ねら)ふは鮓(すし)の『喜久好』。
かの藤本繁藏(ふじもとしげざう)の技藝(わざ)を繼承(うけつ)ぐ數少(かずゝく)なき手煆煉(てだれ)。
手(て)の素早(すば)きこと、巾着切(きんちやくきり)かと疑(うたが)はれ、
握(にぎ)りの端正(すがたうつくしき)こと、さながら鮨教本(すしきやうほん)を覧 (み)るがごとし。

後(あと)を繼(つ)ぐものあらざれば、いづれは店(みせ)疉(たゝ)むほか方策(すべ)なからん。
近傍(ちかく)の書肆(ほんや)で頃合(ころあ)ひを見計(みはから)らひ、
店(みせ)の前(まへ)に着(つ)きしは、西洋時辰儀(せいやうどけい)十一字半(じふいちじはん)。
無情(むじやう)にも、『七八月(しちはちがつ)は土日晝(どにちひる)休(やす)み』なる貼(は)り紙(がみ)。

かくて、已(や)む事(こと)を得(え)ずして當店(こちら)『とゝや魚新』に、、。
暖簾(のれん)潛(くゞ)るは大約(およそ)二年(ふたとせ)ぶり。
板場(いたば)で迎(むか)ふるは見慣(みな)れぬ三番手(さんばんて)。
見(み)るからに風前(ふうぜん)の艸木(くさき)のごとく女(をんな)も靡(なび)く色男(いろをとこ)。

品書(しなが)きを前(まへ)に躊躇(たゆた)ふこと暫(しば)し。
何者(なんとなれば)、かつて僕(やつかれ)が嗜(この)むものは阿吽(あうん)の呼吸(いき)なりしかど、
品書(しなが)きには一(ひと)つとしてそれらしきものあらざればなり。
鹽燒(しほやき)』は『(すゞき)』に『たかべ』。

それとなく二番手(にばんて)職人(しよくにん)を懐(なつ)かしむや、
奧(おく)より現(あらは)れ出(いで)し二番手(にばんて)菊池某(きくちなにがし)さん。
僕(やつかれ)が嗜(この)みを識(し)り拔(ぬ)き、能(よ)くわが意(こゝろ)を覺(さと)る。
かくて『(すゞき)のかま』を鹽燒(しほやき)にしてもらふことに、、。

先(ま)づは先附(さきづ)け。
海鰻(はむ)の卵巣(こ)に浮袋(うきぶくろ)を混(ま)ぜて固(かた)めたるものにて、
ほどよく出汁(だし)が效(き)ゝ、味(あぢ)はひ頗(すこぶ)る爽(さは)やか。
傍(かたは)らの燒(や)き茄子(なす)もまた然(しか)り。

今(いま)や遅(おそ)しと待(ま)つほどに件(くだん)の『(すゞき)のかま』。
附(つ)け合(あ)はせは、獨活皮(うどかは)の金平(きんぴら)に枝豆(えだまめ)。
纔(わづ)かに鹽(しほ)強(つよ)めなるも、白米(しろきこめ)の飯(いひ)には好適(かうてき)。
淡味(うすあぢ)なるものとの相比(たがひ)が、舌(した)を震(ふる)わせ、目(まなこ)を刮(こそ)ぐ。

眼球(めんたま)周圍(まはり)、(ほゝ)、(あぎと)、、、。
骨(ほね)を殘(のこ)して、悉(ことごと)く啖(くら)ひ盡(つ)くし舐(ねぶ)り盡(つ)くす。
先頃(さきごろ)口(くち)にせし三州(さんしう)吉田(よしだ)の鱸(すゞき)とは、
月(つき)と泥龜(すつぽん)、挑燈(てうちん)に鐘(つりがね)。

赤出汁(あかだし)、(かう)の物(もの)、菓子(くわし)も、
巷(ちまた)のそれとは雲壤(うんじやう)の相違(たがひ)。
就中(わきても)菓子(くわし)は手(て)のかゝりし逸品(しな)。
小赤豆(あづき)は丹波大納言(たんばだいなごん)、牛蒡(ごばう)も手(て)の込(こ)みたる品(しな)。

眩(まばゆ)いばかりの達磨鍋(だるまなべ)に、雪(ゆき)と見紛(みまが)ふ上(うは)ッ張(ぱ)り
手入(てい)れ行(ゆ)き屆(とゞ)きて妖(あや)しき光(ひかり)を放(はな)つ疱丁(はうちやう)
それだけで口味(あぢ)の佳(よ)さ、力量(うで)の確(たし)かさには極印(きはめいん)。
以爲(おも)ふに、汚穢(こぎたな)き廛(みせ)に美味(うまきあぢ)は稀(まれ)

【2009-06-17追記】:
一日(あるひ)、卑彌呼(ひみこ)さまの御伴(おとも)を仰(おほせつか)り久々(ひさびさ)のとゝや魚新
侮(あなど)りてふらり立ち寄るに、板場前(いたばまへ)は悉(ことごと)く埋(う)まりて空(あ)きはなし。
馴染(なじ)みの板前(いたまへ)捕(つか)まへ、質(たゞ)す一言(ひとこと)『カマはござるや?』。
『甘鯛(あまだひ)に眞名鰹(まながつを)..』とのことなれば、各々(おのおの)一つづゝ。

厚(あつ)さ四寸はあらうかと云ふ坐椅子(ざいす)に腰(こし)を下(お)ろし、四方山話(よもやまばなし)。
先附(さきづ)けに舌鼓(したつゞみ)を打ち、時(とき)に庭(には)に目を遣(や)る。
話(はなし)は盡(つ)きねど、ほどなくして待ちかねたる品々(しなじな)運(はこ)ばれ來(きた)る。
二品(ふたしな)より卑彌呼(ひみこ)さまの選(えら)びたまひしは眞名鰹(まながつを)照(て)り燒き。

某(それがし)は、甘鯛(あまだひ)鹽(しほ)燒きにて眞名鰹(まながつを)より聊(いさゝ)か小ぶり。
目玉(めだま)を卑彌呼(ひみこ)さまに殘(のこ)し、只管(ひたすら)これを貪(むさぼ)り盡(つ)くす。
卑彌呼(ひみこ)さま、いとも巧(たく)みに箸(はし)を操(あやつ)りて骨(ほね)までしやぶりたまふ。
眞名鰹(まながつを)、身・皮(みかは)終(を)はりて、瞬(またゝ)く中(うち)に骨(ほね)となる。

坐敷(ざしき)に現(あらは)れ畏(かしこ)まるは晝(ひる)の板場(いたば)を預(あづ)かる板前(いたまへ)、。
板場前(いたばまへ)に空(あ)きなきを詫(わ)び、只管(ひたすら)赦(ゆる)しを乞(こ)ふ。
女將(おかみ)、また、つぶさに皿(さら)を檢(あらた)め大(おほ)いにこれを悦(よろこ)ぶ。
遑(いとま)を乞(こ)ひ向(む)かひし先(さき)はアラボンヌなる洋菓子屋(やうぐわしや)。

【2008-02-28追記、上方修正】:
ぶらりと覗(のぞ)き導かれし儘(まゝ)カウンタの奧に坐る。晝(ひる)の板場を預(あづ)かる職人、こちらの顏を憶えてをり、問はずに語る、時季の魚、蔬菜、割烹法。この日の燒き魚は「のどぐろ(赤むつ)」。燒き上がりを待つ間、鮃昆布〆肝乘せポン酢ジュレ添へ、を味はふ。鮃は昆布の香、ポン酢の酸味を前に顏色なし。

四方山話に花が咲き、やがて來たりし「のどぐろ(赤むつ)」一皿。小さめながらも脂乘りは上々。一口するや、旨み、忽(たちま)ち口の中へと奔(ほとばし)る。澄みたる脂、なほも滾々(こんこん)と湧き出で舌に纏(まと)はる。水菓子はこの時季ならではの「甘酒ソルベ」。菱葩餠(ひしはなびらもち)のごとき牛蒡(ごばう)添へ。

【2006-11-21追記】:
この日久々に訪ねて「燒き魚定食(鰆西京燒き)」。先附として、食用菊の煮凝(にこゞ)りと、鯊(はぜ)の甘露煮。食用菊煮凝(にこゞ)りには黄身酢が添へてあり、酸味が確(しつか)りしてゐる。食感もなかなかに宜(よろ)しい。鯊は乾して炙(あぶ)りし後(のち)煮込みたるとの由。甘味少なき點は大いに好感が持てる。

やはり數年前に比べ鰆の質は隨分と落ちてゐる。だが、五分に迫る身の厚さと燒きの叮嚀さは格別。味の強さまたほどよい。附け合せは大根を油で炒め焦げ目を附けてから煮込んだものと蘿蔔(すゞしろ)の菊花造り。香の物は山芋梅酢和へ、乾し大根、それに青菜。どれもこれも手間が掛かつてをり眺めるだけで嬉しくなる。

この日、赤出汁の具は舞茸と蘿蔔(すゞしろ)に。あしらひとして芽葱の小口切り。蘿蔔(すゞしろ)の切り方・厚さには磨き拔かれし技を感じる。仄(ほの)かなる山椒がまた絶妙。生臭物が入つてゐないにも拘(かゝは)らず敢(あ)へて山椒用ゐる感覺には脱帽。水菓子は柿ソルベ。心地よき柚子の香(かをり)鼻腔を穿(うが)つ。

嘗(かつ)ては席に坐るや仲居が新聞を持つて來たのに、そんな氣遣(づか)ひも失せた。「燒き魚定食」にも水菓子が附くやうになつたのは歡迎。二番手と思(おぼ)しき職人、面立ち端正にて服裝や髮型に至る迄卒がない。話し出すや忽(たちま)ち今風の言葉遣(づか)ひが飛び出すものゝ、何處(いづく)の店でも同じこと。

【2005-12-17記、拔粹】:
赤坂圓通寺通りに佇(たゝづ)むとゝや魚新。店の濫觴(はじまり)、明治廿三年創業の魚屋に遡(さかのぼ)ると云ふ。板場に「とゝや魚新」、奧座敷入り口には「二合半(こなから)亭」なる扁額(へんがく)が掛かる。夜は訪ねたる例(ためし)なしと云えど、晝(ひる)は、五千圓、七千圓級のコース料理の他、以下の品が揃(そろ)ふ。

 ・「燒き魚定食」、値一千八百九十圓也。
 ・「二合半(こなから)辨當」、値一千五百七十五圓也。
 ・「炭籠辨當」、値二千六百二十五圓也。
 ・「松花堂辨當」、値三千九百九十圓也。

がある。この中で最もよく味はふは「燒き魚定食」。旬の燒き魚に、香の物、赤出汁、御飯が付く。魚は季節と仕入れに據(よ)り、「鰆の幽庵燒き」、「黑むつ幽庵燒き」、「甘鯛(ぐじ)若狹燒き」等樣々。感じ入るのはお馴染みの「銀鱈(ぎんだら)」など俗に阿(おもね)る異朝の魚に賴らず、近海で漁(すなど)られし魚だけ出すこと。

去年・一昨年あたりは身質や切り方が頗(すこぶ)る立派で鰆や甘鯛等感動物だつた。だが近頃は質・量ともに落ち氣味。嘗(かつ)ては、甘鯛(ぐじ)を注文すると必ず「頭か胴か?」問ひ返されたと云ふに、近頃はつゆ問ひ返されれた例(ためし)なし。小さく痩せた甘鯛の半身ゆゑ選ぶ餘地なくなつたからと云ふのがその理由。

「二合半辨當(こなからべんたう)」と稱(とな)ふるは燒魚と旬の蔬菜からなる洒落た辨當(べんたう)。これに赤出汁と水菓子が付く。朱漆の六角形二段重にて、下の段に御飯(+香の物)、上の段には、燒き魚、蔬菜類(煮物が主)、瓢箪(へうたん)型の出汁卷き玉子が入る。女の客の半(なか)ば、迷ふことなくこれを注文。

この日、燒き魚は鰆幽庵燒き。蔬菜は、筑前煮(里芋、牛蒡、金時人參、蒟蒻、鷄肉、鞘隱元)、醋の物(靑菜、蟹)。前に伺(うかゞ)ひし折は、鮭、蔬菜煮物(筍、小玉葱、新馬鈴薯、菜の花)、自家製練り物、と鯛卵の煮凍り。煮物は味が濃い。甘みは抑へられてゐるものゝ醤油が濃い。人參と里芋は聊(いさゝ)か火の通り過ぎ。

赤出汁の具は蘿蔔(すゞしろ)。水菓子は柿シャーベットにて賽(さい)の目の柿添へ。食前に焙じ茶、食後には上質の煎茶で客あしらひ頗(すこぶ)る叮嚀。魚を燒き上げるので時間が掛かり、一人客には新聞を持つて來る。雪平は鏡の如く、包丁・俎板も眩(まば)ゆいばかり。カウンタは節だらけの一枚板にニス塗り。楊枝も竹。

  • 二番手(にばんて)菊池(きくち)さん 【撮影許可濟】

  • 二番手(にばんて)菊池(きくち)さん 【撮影許可濟】

  • 三番手(さんばんて) 【撮影許可濟】

  • 箸(はし)

  • 鰯(いはし)

  • 鮎魚女(あゆなめ)有馬焼(ありまやき)

  • 香(かう)の物(もの)

  • 茶(ちや)

  • 青梅(あをむめ)寒天寄(かんてんよ)せ

  • 先附(さきづけ)、スナップ豌豆(ゑんどう)、肝煮(きもに)

  • 先附(さきづけ)、黒鯟(くろむつ)白子(しらこ)

  • 櫻鱒(さくらます)兜(かぶと)鹽燒(しほやき)

  • 甘鯛(あまだひ)兜(かぶと)鹽燒(しほやき)

  • 香(かう)の物(もの)

  • 赤出汁(あかだし)

  • 菓子(くわし)、黒胡麻豆腐(くろごまとうふ)

  • 醤油(しやうゆ)

  • 胡瓜(きうり)の漬物(つけもの)を切る

  • 先付(さきづ)け

  • 鱸(すゞき)のかま鹽燒(しほやき)

  • 鱸(すゞき)のかま鹽燒(しほやき)

  • 鱸(すゞき)のかま鹽燒(しほやき)

  • 赤出汁(あかだし)

  • 煎茶(せんちや)

  • 菓子(くわし)

  • 淡口醤油(うすくちしやうゆ)

2015/04/05 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ