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梅鉢流まみい弘明寺(京急)、弘明寺(横浜市営)/たこ焼き、たい焼き・大判焼き、洋菓子
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昼の点数:4.0
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~¥999 / 1人
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料理・味 3.5
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|サービス -
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|雰囲気 -
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味3.5
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| サービス-
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| 雰囲気-
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク- ]
これやこの 蛇(へび)も蛙(かへる)も 喰はれては さほどかはらぬ あふさかの章魚(たこ)
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店の構へ
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蛸焼きの姿
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2009/05/08 更新
【2009-05-08追記、評價上方修正】:
弘明寺驛で降り、こちら覗(のぞ)かざる例(ためし)なし。
母娘二人、來る日も來る日も默々と鐵(くろがね)の板に向かひてたこ燒き・今川燒を燒く。
女將(おかみ)に千圓(=一みなほん)札を渡(わた)すや、すかさず「はい、一千萬圓」と拔かりなし。
鹽(しほ)・旨味(うまみ)とも聊(いさゝ)か強(つよ)めながら、駄菓子(だがし)なればそれもまたよし。
【2009-03-22追記、評價確定】:
章魚(たこ)燒き檢(あらた)むるに、紅生姜(べにしやうが)の茜(あかね)眼(まなこ)を射(ゐ)抜く。
皮にはほどよき粘(ねば)りを伴(ともな)ひ、心地(こゝち)よく奥齒(おくば)に纏(まと)はる。
やゝ品を缺(か)くとも思へるほどの多目(おほめ)の鹽遣(しほづか)ひの巧(たく)みさに舌を卷(ま)く。
これに素乃味(もとのあぢ)と思(おぼ)しき旨(うま)み加(くは)はりて瞬(またゝ)く間に胃の腑(ふ)に。
【2009-03-12登録】:
休みの日、常(つね)の倣(なら)ひで上大岡から一驛戻(もど)り弘明寺(ぐみやうじ)驛に。
目の前なる「阿倍野筋一丁目發、最高級の味、梅鉢流まみい、たこ燒き、今川燒き」に眼(まなこ)釘附け。
値(ね)の安きに堪(たま)りかね、思はず飛び込むその先に章魚(たこ)燒きの姿(すがた)なし。
女主(をんなあるじ)にその行方(ゆくえ)を訊(たづ)ぬれば今燒いてござりまするとの由(よし)。
傍(かたは)らには娘(むすめ)侍(はべ)りて只管(ひたすら)鐵(くろがね)の板に向かふ。
手際(てぎは)よく丸(まろ)き穴に溶きたる粉を流し章魚(たこ)の缺片(かけら)を抛(はふ)り込む。
ほどなくして固まりかけたる生地(きじ)を千枚通しにて返すも出來上がりには猶(なほ)暫(しばら)く。
やむなく、出直しを固(かた)く誓(ちか)ひて暇(いとま)乞(ご)ひ。
某(それがし)大坂に足踏み入れたるは僅(わづ)かに梅田・日本橋邊(あた)りに限り阿倍野を知らず。
嘗(かつ)てこの地には「あべのスキャンダル」なる店ありて天下(てんげ)にその名を轟(とゞろ)かす。
猿股(さるまた)穿(は)かざる若き娘(むすめ)茶を運びて男(をのこ)ども蟻のごとくに群れ集(つど)ふ。
瞬(またゝ)く間(ま)に遍(あまね)く津々浦々(つゝうらうら)に廣まり、東都にもこの類(たぐひ)の店が。
歌舞伎町に「六花」なる店ありて某(それがし)も誘(さそ)はるゝ儘(まゝ)に訪(たづ)ねし憶えあり。
うら若き娘(むすめ)、腰卷(こしまき)に似たいとも短(みじか)き揃(そろ)ひの裙(もすそ)姿(すがた)。
床(ゆか)鏡張(かゞみば)りなれば、皆齊(みなひと)しく下を向きて股坐(またぐら)に喰(く)ひ入る。
足繁(あしゝげ)く通(かよ)ひし輩(ともがら)、その數(かず)を知らず。
章魚(たこ)燒きの嚆矢(はじめ)、昭和八葵酉(みづのとゝり) 年大坂は會津屋が魁(さきがけ)と云へり。
熟々(つらつら)その源(みなもと)を尋(たづ)ぬるにラヂヲ燒きに辿(たど)り着(つ)く。
ラヂヲ燒きとてさほど古きものにあらず、更にその先を遡(さかのぼ)ればばちよぼ燒きに至(いた)るとか。
ちよぼ燒きとは章魚(たこ)燒きとは異なり差し渡し七分、厚さ二分ほどの碁石のごとき姿(すがた)。
某(それがし)ラヂヲ燒きの何たるかを知らざるも、ちよぼ燒きの味と姿形(すがたかたち)を能(よ)く知る。
その所以(ゆゑん)、某(それがし)が父、明治三十九丙午(ひのえうま)年攝州神戸生まれなればなり。
炭火を熾(おこ)して鐵(くろがね)の箱(はこ)に敷(し)き銅(あかゞね)の板を置きて溶(と)きたる粉を燒く。
銅(あかゞね)の板には淺(あさ)き窪(くぼ)みありて溶(と)きたる粉を此處(こゝ)に流し込む。
葱(ねぎ)、鰹節(かつをぶし)など思ひの儘(まゝ)の具(ぐ)を用ゐ、味附けは醤油(しやうゆ)。
さりながら敢(あ)へちよぼ燒きにその源(みなもと)求むるは鯨(くぢら)を魚(うを)の血筋となすがごとし。
あるいは、萬(よろづ)の物事(ものごと)の濫觴(はじまり)を天主(でうす)の業(わざ)となすに似たり。
寧(むし)ろ明石「玉子燒き」を章魚(たこ)燒きの祖(そ)とするがものゝ理(ことわり)に適(かな)ふ。
某(それがし)章魚(たこ)燒きの味を初めて知るは昭和三十九甲辰(きのえたつ) 年のこと。
攝州の親類宅で章魚(たこ)燒きの何たるかを問(と)はゞ、娘(むすめ)忽(たちま)ち買ひに走る。
今に通(つふ)ずるソース味(あぢ)なれど、初めてなれば味の良し惡(あ)しは詳(つまび)らかならず。
その後(のち)、章魚(たこ)燒きは「大坂名ぶつ」として世(よ)に普(あまね)く知らるゝところとなる。
下(くだ)ること十九年(とゝせあまりこゝとせ)、今を遡(さかのぼ)ること二十六年(はたとせあまりむとせ)。
偶(たま)さか入(はい)りたる梅田の屋臺で驚(おどろ)くべき章魚(たこ)燒きに出喰(でく)はす。
口に含(ふく)むや、醤油の味(あぢ)舌を捉(とら)へ、その香(かをり)鼻腔(はな)を穿(うが)つ。
あまりの旨(うま)さに、氣もそゞろ、忽(たちま)ちその虜(とりこ)に。
さるほどに、東都にては築地銀だこなる連鎖店現(あらは)れ巷(ちまた)に蔓延(はびこ)る。
中(なか)凝乳(クリム)のごとく滑(なめ)らかで、外(そと)油で揚げたるがごとき硬(かた)さを守る。
連鎖店とは云ひながら花鰹(かつを)も櫻色(さくらいろ)を帶(お)びなかなかに佳(よ)き品(しな)。
榮華きはめし築地銀だこに昔日(むかし)の俤(おもかげ)なく、もはや風の前の燈(ともしび)に異ならず。
七日(なぬか)の後(のち)再(ふたゝ)び梅鉢流まみいを訪(たづ)ね改めて章魚(たこ)燒きを求む。
一舟(ふね)に六つ入(い)りて、その値(あたひ)零點二八みなほん。
その器(うつは)、昔懐(むかしなつ)かしき經木(きやうぎ)の舟(ふね)。
章魚(たこ)燒きは梅干しのごとく萎(しほ)れ、箸(はし)で扶(たす)け起こすもなよなとして力なし。
楊枝を手に、加藤清正の槍(やり)にも勝(まさ)る素早さで突く。目にも止(と)まらぬ早業(はやわざ)。
徐(おもむろ)にこれを口に含むや滑(なめ)らかなる舌觸(したざは)りに魂(たましひ)を失(うしな)ふ。
鹽氣(しほけ)聊(いさゝ)か強しと云へど、寧(むし)ろその巧(たく)みさに舌を卷(ま)くばかり。
攝州生まれの坐敷童(ざしきわらし)に章魚(たこ)燒きの出來を問はゞ「紅生姜なきが玉に瑕(きず)」と。