酔狂老人卍さんが投稿した寛八 本店(東京/新御徒町)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

『此世をハ と里(り)や お暇尓(に) せん古(こ)う能(の) 煙りと供尓(に) 者(は)ひ 左樣なら』 (十返舎一九)

メッセージを送る

酔狂老人卍 (70代以上・男性) 認証済

この口コミは、酔狂老人卍さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

閉店寛八 本店仲御徒町、新御徒町、御徒町/寿司

2

  • 昼の点数:4.2

    • ¥4,000~¥4,999 / 1人
      • 料理・味 3.6
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク -
2回目

2017/01 訪問

  • 昼の点数:4.2

    • [ 料理・味3.6
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク-
    ¥4,000~¥4,999
    / 1人

吹(ふ)く風(かぜ)に 靡(なび)き流(なが)され 徘徊(さまよ)へば こゝ『寛八』に あらまたフラリ

"ふらり"と寄(よ)れる鮨店(すしや):
今(いま)や、
風(かぜ)に搖(ゆ)らぐ蝋燭(らふそく)の火(ひ)
晨(あけがた)、陽光(ひのひかり)に照(て)らさるゝ霧(きり)に異(こと)ならず。

創業(あきなひをはじ)めて一年餘(ひとゝせあまり)の『鶴八 分店』すら、
已(すで)に晝(ひる)の商賣(あきなひ)を中止(や)め、
夜(よる)とて、ふらり立寄(たちよ)るは叶(かな)はぬ現況(ありさま)。
南無三寶(なむさん)!

尋常(つね)のごとく、
"特松(とくまつ)"、二千九百五十圓(にせんきふひやくごじふゑん)に、
"眞鰺(あぢ)"と"章魚(たこ)"を追加(くは)へ、
對價(あたひ)、四千五十圓也(よんせんごじふゑんなり)。

内容(うちわけ)は↓冩眞(ゑ)のごとし。
米酢(よねず)と想像(おぼ)しき白(しろ)き舎利(しやり)は、
纔(わづ)かに水氣(みづけ)が殘存(のこ)り、鹽(しほ)も醋(す)も控(ひか)へめ。
すなはち、現代(いま)を流行(ときめ)くそれとは半點(いさゝか)相違(ことなる)

往古(いにしへ)の流儀(やりかた)とは云へ、
街場鮓(まちばずし)とも、鄙鮓(ゐなかずし)とも異質(ことなる)。
鮓種(すしだね)・舎利(しやり)ともども
そこそこに洗煉(あかぬ)けし、啖(くら)ふに堪(た)へる水準(たかみ)

初音鮨』・『豬股』のごとき傾奇者(かぶきもの)とは、對極(おほいにことなる)。
陽(ひ)と陰(つき)、水(みづ)と油(あぶら)、海(うみ)と陸(くが)、
龍(りよう)と虎(とら)、太閤(たいかふ)と利休(りきう)、
一橋派(ひとつばしは)と南紀派(なんきは)、入齒(いれば)と砂場(すなば)。

鮓(すし)を漬(つ)くる職人(かた)は、近藤(こんどう)さん。
親方(おやかた)の右腕(みぎのかひな)として、幾十年(いくとゝせ)。
"(ひらめ)"を"シラメ"と發音(い)ふを耳(みゝ)にし、
無意識(しら)ず、口許(くちもと)が綻(ほころ)ぶ。

"鮪醤油漬(しびしやうゆづけ)"は、親方(おやかた)による噺附(はなしつき)。
曰(いは)く、
「冰箱(ひむろ)なき頃(ころ)よりの技法(やりかた)にて、、云々(うんぬん)」
その名調子(たくみなるかたりぐち)、寔(まこと)、心持(こゝち)よき限(かぎ)り

山薯蕷(いも)を不使用(つかは)で、芝蝦(しばえび)のみ
と説明(い)ふ"雞卵燒(かひごやき)":
芝蝦(しばえび)を寸々(ずたずた)に微塵(こまか)く切刻(きりきざ)み、
叮嚀(ねんごろ)に擂鉢(すりばち)以(も)て當(あ)たる。

"(やき)"は、「片面(かためん)十分(じつぷん)」。
薯蕷(いも)用(つか)ふや、フアフアとして齒應(はごた)へを喪失(うしなふ)
とは、近藤(こんどう)さんの辯(はなし)。
實(げ)にも!

"眞鰺(まあぢ)"には醋洗(すあらひ)を施(ほどこ)し、
"章魚(たこ)"は鍋(なべ)に密封(かたくとぢこ)め、
長時間(ながら)く燉之(これをにこむ
)。
「これ、臼齒(おくば)に頼哩(あらが)ふことのなき縁由(ことのよし)」とぞ。

疑義(うたがひ)もなく、
當家(こちら)、今(いま)や稀有(まれ)なる「"ふらり"と寄(よ)るゝ鮨店(すしや)」
老翁(おきな)兩個(ふたり)、赫奕(かくやく)として漬場(つけば)に立(た)つは、
一見(ひとめみる)に値(あたひ)する光景(けしき)。

---------------------------------------
【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2~F2.8
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 2/21 @F8

  • 亭主(あるじ)【撮影許可濟】

  • 亭主(あるじ)【撮影許可濟】

  • 亭主(あるじ)【撮影許可濟】

  • 職人(しよくにん)近藤(こんどう)さん【撮影許可濟】

  • 冰(こほり)

  • 鮓種(すしだね)

  • 鮓種(すしだね)

  • 若布(わかめ)醋物(すのもの)

  • 生薑(はじかみ)

  • 出汁巻雞卵焼(だしまきかひごやき)

  • 鮃(ひらめ)

  • 鮪(しび)肥肉(あぶらみ)

  • 車蝦(くるまえび)、巻(まき)

  • 赤貝(あかゞひ)

  • 穴子(あなご)

  • 鮪(しび)醤油漬(しやうゆづけ)

  • 鮭腹子(さけはらこ)

  • 鐵火卷(てつくわまき)

  • 雞卵焼(かひごやき)

  • 花豆(はなまめ)甘露煮(かんろに)

  • 章魚(たこ)柔(やは)らか煮(に)

  • 眞鰺(まあぢ)

  • 醤油差(しやうゆさし)

  • 黑文字(くろもじ)

  • 招牌(かんばん)

  • 外觀(かまへ)

2017/02/09 更新

1回目

2014/08 訪問

  • 昼の点数:4.2

    • [ 料理・味3.6
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク-
    ¥6,000~¥7,999
    / 1人

寛(くつろ)ぎつ 間髮(かんはつ)入れず 喰らふ鮨 ネタは今一 値段はぴか一

【2015-10-06追記】:
大約(およそ)一年(ひとゝせ)ぶりの『寛八』。
十一時半(じふいちじはん)少(すこ)し前(まへ)、
已(すで)に暖簾(のれん)がかゝり、賈内(なか)に入(い)らんとするに、
東道(あるじ)、現(あら)はれ出(いで)、小人(それがし)を招(まね)く。

此度(こだみ)も"特松(とくまつ)"。
鮪(しび)、間八(かんぱち)、卷(まき)、赤貝(あかゞひ)、穴子(あなご)、
鰹(かつを)、鮭腹子(さけはらこ)、鶏卵燒(たまごやき)、鐵火卷(てつくわまき)。
追加(つひか)で、眞鯖(さば)に小鰭(こはだ)。

舎利(しやり)は纔(わづ)かながらも冷(つめ)たく
醋(す)・鹽(しほ)ともに穩(おだ)やか
粒(つぶ)が立(た)ち、しかも、舌(した)に滑(なめ)らか
鮓種(すしだね)との馴染(なじ)みも好(よ)く、なかなかの味(あぢはひ)

典型的(よくある)老舖鮓店(しにせすしや)。
人形町(にんぎやうちやう)『喜壽司』、銀座(ぎんざ)『ほかけ』、『新富壽し』、
鶴八』各店(かくてん)、神田(かんだ)『笹鮨』、そして當家(こちら)。
尖鋭(きはだち)たるところなしと云へど、實(げ)に、心和(こゝろなご)むものあり。

----------------------------------
【照相機】:旭光學賓得士K-三數碼單鏡反光照相機
【鏡頭】 :smc 賓得(Pentax)A 微距(Macro)2.8/50 @F2.8

【2009-09-06記】:
この頃鮨屋に流行(はや)るもの、幼稚(えうち)デジカメ不知恥(はぢしらず)、
俄(には)か鮨好(すしず)き戲(たは)け者、首を傾ぐる半可通(はんかつう)*)。
生魚(なまうを)寢かしに赤ワイン、入道天窗(にふだうあたま)に海葡萄(うみぶだう)、
お仕着せお任せ吟釀酒(ぎんじやうしゆ)、星に血眼(ちまなこ)へぼ職人(しよくにん)。


近會(ちかごろ)妄(みだ)りに値の張る「お任(まか)せ」ばかり出(だ)す者多し。
とは云へ、御繩(おなわ)戴くほどの贅澤鮓(ぜいたくずし)は江戸(えど)の昔から。**)
その雙璧(さうへき)は兩國與兵衞鮓に安宅砂子鮓(いさごずし、=松の鮓)。
この頃、屋臺店(やたいみせ)では握り一つ八文、玉子燒(たまごや)きに限り十六文。

江戸の前海(まへうみ)より魚や貝が姿(すがた)を消して久し。
かつては「場違(ばちが)ひ」と調弄(からか)はれた地のものすら、値あがるばかり。
拙(つたな)き者、佳き種(たね)を競ひ用(もち)ゐて百姓(たみ)を欺(あざむ)く。
されば、値は愈々(いよいよ)騰(あが)り、暖簾(のれん)下ろす者後(あと)を絶たず。

技(わざ)ありて値も廉(やす)く口に佳き鮓(すし)は、今や稀(まれ)。
晝(ひる)の溜池寿々、夜(よる)なればくま寿司など指を折りて數(かぞ)ふるほど。
親の因果(いんぐわ)が子に報ひ、音に聞く代澤小笹寿しは伺(うかゞ)ひたる例(ためし)なし。
新橋烏森稻荷新橋しみづにかつての俤(おもかげ)なく、青空もすこぶる難入(いりがたし)。

さるほどに、御徒町に寛八本店なる鮨屋あるを知れりしは暫(しばら)く前。
思へば、かつて不忍通りに寛八なる鮨屋(すしや)ありて氣にかゝりし儘(まゝ)。
已にこの店の姿なく、寛八本店との繋(つな)がりも不詳(つまびらかならず)。
ある日、停車場(ていしやば)で降り「多慶屋」を過(す)ぎて、迷ふことなくこちらに。

暖簾潛りて中を見遣(みや)れば仲睦(なかむつま)じき夫婦(めをと)三組(みくみ)。
漬け場は親方(おやかた)と二番手(にばんて)が守り、握るは專(もつぱ)ら親方。
親方、齢(よはひ)七十路(なゝそぢ)を越えながらも今猶矍鑠(かくしやく)。
品書き持ち來たりしは、同じく古稀(こき)過ぎと思(おぼ)しき翁(おきな)。

熟々(つらつら)品書き眺(なが)むれば、目の前には蔬菜(あをもの)の膾(なます)。
氣色ばみ、「お好みのつもりなればかくのごときものは波斯(ハルシヤ)***)」。
俄(には)かに青筋(あをすじ)立つるも、「蛙(かはづ)の面(つら)に尿(いばり)」。
慮(おもんばか)るとこありて、「特松握り」二點八みなほんに、足らざるを加ふることに。

「特松握り」は、鮪(しび)脂身、縞鯵、小柱(こばしら)、赤貝(あかゞひ)、
鰹(かつを)、卷き、穴子(あなご)、玉子燒(たまごや)き、卷物(まきもの)。
加ふるに、鮃、小鰭、鮑(あはび)、鮪(しび)醤油漬(しやうゆづ)け、鱚(きす)、
鯵、章魚、墨烏賊(すみいか)、握り十六(とあまりむつ)、酒一合、七點七五みなほん。

一通りの後、澤庵漬(たくあんづ)け胡麻塗しに花豆(はなまめ)など。
手づからと云ふ花豆は、小人(それがし)の嫌(きら)ふ韻松亭が勝る。
むしろ舌を卷きしは、寒天(かんてん)にて固めたる崩(くづ)れ豆(まめ)。
魚(うを)の切れ端すら妄(みだ)りに捨てず、酒菜(さかな)に遣(つか)ふとか。

舎利(しやり)は酢・鹽とも控へめながらも、粒が立ちて舌(した)に滑(なめ)らか。
ポイ舎利(しやり)****)を嫌ひ、その手捌きたるや、一つとして無駄(むだ)なし。
鮨の姿容(すがたかたち)を檢むれば、見事なる扇(あふぎ)の地紙(ぢがみ)。
惜(を)しむらくは、生姜(しやうが)の聊(いさゝ)か甘(あま)きこと。

廣く煮切りの引かれたる鮪(しび)の脂身(あぶらみ)はなかなかの味(あぢ)はひ。
このやり方、鮪(しび)はともかく、縞鯵(しまあぢ)には多(おほ)きに過(す)ぐ。
赤貝(あかゞひ)、鰹(かつを、卷(ま)きと、何れも名のある店(みせ)に劣(おと)る。
盛(さか)り過ぎたる穴子に眞鯵(まあぢ)・鮑(あはび)は今一つ。

鮑(あはび)は細やかなる庖丁(はうちやう)を波型(なみがた)に入れ、肝を上に。
口惜(くちを)しきかな、煮詰めの甘きは、持ち味を粗方(あらかた)損(そこ)なはん。
先に青空にて味はひし芳醇馥郁たる鮑(あはび)とは月(つき)と鼈(すつぽん)。
白鱚は、寿々の昆布〆を前に顏(かほ)の色を失(うしな)ふ。

玉子燒(たまごや)きは、青空などすきやばし次郎一門や寿司幸に遲れを取る。
穴子もまたすきやばし次郎一門(いちもん)・鶴八一門に遠く不及(およばず)。
鮪(しび)醤油漬けは喜久好に輪をかけて鹹(しほから)く顏顰むるばかり。
魂消(たまげ)しは、なかば無理強ひされたる蛸(たこ)の思ひもかけぬ旨(うま)さ。

小鰭(こはだ)は二枚漬(にまいづ)けの新子(しんこ)。
わざわざ背鰭(せびれ)を去り、二尾(にび)を四枚に重ぬるぞいと珍(めづら)し。
鹽・酢ともにほどよく、思はず鳴らすは雷(いかづち)のごとき舌鼓(したつゞみ)。
主(あるじ)、この背鰭(せびれ)もまた捨てずに煮附け、酒菜(さかな)にと鼻高々。

「生」と稱(とな)ふる鱚(きす)・鯵(あぢ)のさりげなき鹽(しほ)に瞠目。
時季(じき)に早き鮃(ひらめ)がなかなかで、前の日〆たと云ふもその身なほ活き活き。
無暗(むやみ)な酢橘(すだち)、鮑殺しの煮詰めなど、首傾(くびかし)ぐるものも。
とは云へ、この値でこれだけの鮨となれば、普段遣(づか)ひに十分(じゆうぶん)。

親方、近頃(ちかごろ)の若手の阿漕(あこぎ)さを憂(うれ)ひ歎(なげ)く。
花一輪を慈(いつく)しむと、青空高橋青空ばかりは襃(ほ)めそやすこと頻り。
歸(かへ)り際、親方、顏(かんばせ)綻(ほころ)ばせ、外まで見送(みおく)りに。
今をときめく鮨にはあらねど、鮨(すし)の良し惡しは味(あぢ)のみにあらず。

-------------------------------------------
*)小人(それがし)がこと。
***)要(い)らん、要(い)り申(まう)さぬ。
****)俗(ぞく)に言ふ「捨(す)て舎利(しやり)」をかく號(よびな)す。
   かく號(なづ)けしは言靈(ことだま)の巫女(みこ)みなほさま。

  • 出汁巻(だしまき)鶏卵焼(かひごやき)

  • 生薑(はじかみ)

  • 招(まね)き猫(ねこ)

  • 醤油差(しやうゆさ)し

  • 黑文字(くろもじ)

  • 花(はな)

  • 山葵(わさび)を卸(おろ)す

  • 鮪(しび)

  • 間八(かんぱち)

  • 巻(まき)

  • 赤貝(あかゞひ)

  • 穴子(あなご)

  • 鰹(かつを)

  • 鮭腹子(さけはらこ)

  • 鶏卵焼(かひごやき)

  • 鐵火卷(てつくわまき)

  • 眞鯖(さば)

  • 小鰭(こはだ)

  • 花豆(はなまめ)

2015/10/06 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ