酔狂老人卍さんが投稿した精進料理 醍醐(東京/神谷町)の口コミ詳細

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『此世をハ と里(り)や お暇尓(に) せん古(こ)う能(の) 煙りと供尓(に) 者(は)ひ 左樣なら』 (十返舎一九)

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精進料理 醍醐神谷町、御成門、虎ノ門ヒルズ/日本料理

1

  • 昼の点数:4.5

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク -
1回目

2010/07 訪問

  • 昼の点数:4.5

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.5
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

醍醐さん 竹の下より 山の上 汗して登る 若(わか)き氣苦勞(きぐらう) 

今(いま)は昔(むかし)、僕(やつかれ)まだ白面書生(あをにさい)の砌(みぎり)。
家(いへ)貧(まづ)しくして、書籍(しよじやく)沽(か)ふだに甚(いた)く難儀(なんぎ)。
口(くち)に糊(のり)せんとて、休(やす)みの度(たび)この近邊(あたり)に通(かよ)ひし憶(おぼ)えあり。
手間賃(てまちん)こそ一時間(じかん)一百五十圓ほどながら、月謝(げつしや)も纔(わづ)かに一千圓。

「高(たか)きこと東都一(とうといち)」と譽(ほま)れも高(たか)き愛宕山(あたごやま)。
いざ「馬(むま)にうち跨(またが)りて男坂(をとこざか)一息(ひといき)に驅(か)け上(のぼ)り、、、」、
と云ふは眞(ま)ッ赤(か)な虚談(うそいつはり)にて、
新橋停車場(すてんしよ)より徒歩(かち)で登(のぼ)りし蝉時雨(せみしぐれ)の女坂(をんなざか)。

山(やま)の上(うへ)よりの眺望(ながめ)は上々(なかなか)。
周邊(あたり)を壓(あつ)する芝(しば)増上寺(ぞうじやうじ)脇(わき)の電波櫓(でんぱやぐら)に、
後方(しりへ)に控(ひか)へし葱坊主(ねぎぼうず)は露西亞料理(ろしあれうり)の「ヴォルガ」。
就中(わきて)も白眉(はくび)は、眞下(ました)なる「青松寺」と境内(なか)の「醍醐(だいご)」。

この日(ひ)勇(いさ)みて向(む)かひし豫(かね)て願(ねが)ひの「醍醐(だいご)」さん。
既(すで)に「青松寺」も「醍醐(だいご)」も新裝(あらた)まりて混凝土(こんくり)造築(づくり)に。
入(い)り口(ぐち)近(ちか)くに至(いた)るや、
忽地(たちまち)下足番(げそくばん)罷(まか)り出(いで)、「●●さん?」と、まさかの誰何(すいか)。

車停(くるまど)め預(あづ)かる下足番(げそくばん)とは云ひながら、
時(とき)に藍染(あゐぞめ)、法被姿(はつぴすがた)も凛々(りゝ)しき案内人(あないにん)。
導(みちび)かるゝ儘(まゝ)電梯(えれべいた)にて賈(みせ)の中(なか)へと輾(まろ)び入(い)る。
庭(には)に面(めん)して、約定(さだめ)の、夜這(よば)ひ、蹲(つくばひ)、護摩(ごま)の灰(はい)。

最初(いやさき)に切子(きりこ)の掃愁箒(さうしうさう)で暑(あつ)さ拂(はら)ひて一息(ひといき)。
俗(ぞく)に「梅酒(むめしゆ)」、「麥酒(びいる)」、「酒(さけ)」と號(よびな)す品々(しなじな)。
竹豆腐(たけどうふ)より、羹(あつもの)と續(つゞ)き、精進(しやうじん)の辨當(べんたう)。
最後(いやはて)は素麺(そうめん)に水菓子(みづぐわし)で一通(ひとゝほ)り。

箸袋(はしぶくろ)には薄墨(うすゞみ)で「雷除箸(かみなりよけばし)」。
これを押しひらむるや、中(なか)より出(いで)し膚(はだ)も滑(なめ)らか製(あらゝぎ)の箸(はし)。
嘗(かつ)て、大鷦鷯天皇(おほさゞきのすめらみこと)この木(き)で笏(しやく)をつくらせたまひ、
正一位(しやういちみ)を授(さづ)けたまひしかば、それより「一位(いちい)」と號(よびな)すとかや。

熟々(つらつら)塗物椀(ぬりものわん)なる羹(あつもの)を覽 (ながむ)るに、
麩(ふ)を一旦(いつたん)油(あぶら)で揚(あ)げ、
海苔(のり)に適量(ほどよ)き山葵(わさび)を加(くは)へ貝割蘿蔔(かひわれすゞしろ)あしらひたるもの。
なかなかの口味(あぢはひ)に、知(し)れず、頬(ほゝ)緩(ゆる)みて舌(した)も滑(なめ)らかに。

辨當(べんたう)は中央(なか)に胡麻豆腐(ごまどうふ)を配(はい)した圓(まろ)き姿形(すがた)。
八寸(はつすん)とも松花堂辨當(しようくわだうべんたう)とも異(こと)なり、
浮屠家(ほとけ)の教(をし)へを聯想(おも)はす、愼(つゝ)ましくも儚(はかな)げなる佇(たゝづ)まひ。
南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)、南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)、南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)。

胡瓜(きうり)の酢(す)の物(もの)も徒(いたづら)に醋(す)の角(かど)が立(た)つことあらで、
心地(こゝち)よく咽喉(のみど)を過(す)ぎて胃(い)の腑(ふ)に。
かど」に立(た)つのは、「門松(かどまつ)」、「夜鷹(よたか)」に「あの旦那(だんな)」。
蒟蒻(こんにやく)の精進揚(しやうじんあ)げには巧妙(たく)みで適當(ほどよ)き下味(したあぢ)。

鬼燈(ほゝづき)の中(なか)はと檢(あらた)むれば、青梅(あをむめ)の甘露煮(かんろに)。
蓋(けだ)し、主人(あるじ)が粹(いき)な意(こゝろ)の顯現(あらはれ)ならん。
押(お)し竝(な)めて、精進(しやうじん)とは思(おも)へぬ確(しッか)りした出汁(だし)。
その味附(あぢつ)け、濃(こ)すぎず淡(うす)ゝぎず、能(よ)く躬(み)が舌(した)に馴染(なじ)む。

惜(を)しむらくは胡蘿蔔(にんじん)が「五寸胡蘿蔔(ごすんにんじん)」なること。
「西洋胡蘿蔔(せいやうにんじん)」とも呼(よ)ばるゝ阿蘭陀渡來(せいやうわたり)の貨物(しろもの)。
昨今(ちかごろ)、本來(もと)のものは「金時胡蘿蔔(きんときにんじん)」と分(わ)きて號(よびな)さる。
丑(うし)の刻(こく)參(まゐ)りでもあるまいに、「五寸(ごすん)」では工合(ぐあひ)が惡(わる)い

一際(ひときは)眼(め)を睜(みは)るは素麪(そうめん)の出來(でき)。
世(よ)に素麪(そうめん)數多(あまた)あれど、
その、細(ほそ)く嫋(たを)やかなる煌(きらめ)き、天女(てんによ)の髮(かみ)かと誤認(あやま)ち、
乙女(をとめ)紡(つむ)ぎし絹(きぬ)の絲(いと)かと見紛(みまが)ふ。

水菓子(みづぐわし)の甜瓜(めろん)にも細(こま)やかなる心遣(こゝろづか)ひ。
麝香(じやかう)のごとき芳香(かぐはしきかをり)こそあらねど、適切(ほどよ)く熟(う)れ、
一度(ひとたび)口(くち)に含(ふく)むや、爽(さは)やかなる甜味(あまみ)舌(した)に奔(ほとばし)り、
二度(ふたゝび)齧(かじ)りつくに、瑞々(みづみづ)しき果汁(くわじふ)咽喉(のみど)に汪溢(あふ)る。

仲居(なかゐ)は兩個(ふたり)。
三年目(みとせめ)と云ふ若(わか)き仲居(なかゐ)ですら、一(ひと)つとして知(し)らざるはなく、
膳(ぜん)の上(あ)げ下(さ)げから客(きやく)あしらひまで聊(いさゝ)かの手拔(てぬ)かりもなし。
心附(こゝろづ)け上乘(うはの)せする厚(あつ)かましき老舖(みせ)とは雲壤(うんじやう)の違(たが)ひ。

近頃(ちかごろ)、産地(さんち)を謳(うた)ひ、素材(そざい)を誇(ほこ)る賈(みせ)少(すく)なからず。
懐石(くわいせき)なれば松茸(まつたけ)、獸肉屋(もゝんじや)なれば牛(うし)。
魚(うを)の良(よ)し惡(あ)しを諍(あらそ)ふ鮨(すし)は勿論(いふもさらな)り。
小鰭(こはだ)の新子(しんこ)は初物(はつもの)で一貫匁(いつかんめ)三十萬圓に及(およ)ぶとか。

味佳(あぢよ)く値(ね)も張(は)る魚(うを)も牛(うし)も用(つか)へぬ精進料理(しやうじんれうり)。
よしや最佳品(もつともよきしな)使(つか)ふとも高(たか)ゞ知(し)れたもの。
いかで舌(した)の奢(おご)りたる客(きやく)を悦(よろこ)ばせ、暖簾(のれん)を守(まも)るべき?
これ、豫(かね)てより氣(き)に懸(か)ゝりしこと。

熟々(つらつら)當店(こちら)の商(あきな)ひの手法(やりかた)を惟(おもんみるに、
叮嚀(ねんごろ)ながらもくどさなき饗應(もてなし)ぶりに加(くは)へ、
一筋(ひとすじ)の繩(なは)で括(くゝ)れぬ出汁(だし)、巧妙(たく)みなる下味(したあぢ)、
時季(じき)ごとに眼(め)を愉(たの)しましむる獻立(こんだて)など膝(ひざ)を打(う)つこと頻(しき)り。

  • 仲居(なかゐ)さん  【撮影許可濟み】

  • 仲居(なかゐ)さん  【撮影許可濟み】

  • 蹲(つくばひ)

  • 床の間

  • 庭(には)

  • 部屋に續く中庭(なかには)

  • 部屋に續く中庭(なかには)

  • 床の間

  • 箸袋(はしぶくろ)

  • 般若湯(はんにやたう)、俗に云ふ梅酒(むめしゆ)

  • 竹筒入りの豆腐(とうふ)

  • 竹筒入りの豆腐(とうふ)

  • 掃愁箒(さけ)

  • 唐茶(たうちや)

  • 一位(いちい)の箸(はし)

  • 揚(あ)げ麩(ふ)入りの羹(あつもの)

  • 辨當(べんたう)

  • 辨當(べんたう)

  • 辨當(べんたう)

  • 辨當(べんたう)

  • 辨當(べんたう)

  • 素麪(そうめん)

  • 素麪(そうめん)浸(つ)け汁(じる)

  • 茶(ちや)

  • 水菓子(みづぐわし)の甜瓜(めろん)

  • 混凝土(こんくり)造築(つくり)の長屋(ながや)

  • 入り口

  • 入り口近邊(あたり)より遙か芝の電波櫓(やぐら)を望む

2010/07/21 更新

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