酔狂老人卍さんが投稿した初音鮨(東京/蒲田)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

『此世をハ と里(り)や お暇尓(に) せん古(こ)う能(の) 煙りと供尓(に) 者(は)ひ 左樣なら』 (十返舎一九)

メッセージを送る

酔狂老人卍 (70代以上・男性) 認証済

この口コミは、酔狂老人卍さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

初音鮨蒲田、蓮沼、京急蒲田/寿司

1

  • 夜の点数:4.4

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.2
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
  • 昼の点数:4.4

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.2
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2014/12 訪問

  • 夜の点数:4.4

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人
  • 昼の点数:4.4

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

生(なま)忌めど 香住(かすみ)の蟹は 子澤山(こだくさん) この世はつねに 謎と不可思議

【2014-12-12追記】:
櫃臺前(かうんたまへ)に坐(すは)ると同時(ひとし)く、カタコトと小氣味(こきみ)よき音。
主人(あるじ)、飯切(はんぎり)に炊上(たきあ)がりたる飯(いひ)を空(あ)け、
醋(す)を合(あ)はす作業(しごと)に大童(おほわらは)。
鮓店(すしや)として異質(いしつ)、あまりに異様(いやう)なる行爲(ふるまひ)。

およそ舎利(しやり)と云ふもの、
始(はじ)めは醋(す)親和(なじ)むことなく
やがて落着(おちつ)き、馴染(なじ)み
終(つひ)には冷(さ)めてボソボソとなるが通常(つね)。

故(ゆゑ)に、(ちまた)の鮓舖(すしや)は樣々(さまざま)なる手段(てだて)を凝らし、
親和(なじ)ませた上(うへ)で保温(あたゝかさたも)たんと四苦八苦(しくはッく)
ある舖(みせ)は(わら)の"(ふご)"、またある廛(みせ)は"電子ジャー"、
また別(べつ)の鋪(みせ)は櫃(ひつ)ごと"湯煎(ゆせん)"と云ふ工合(ぐあひ)。

倩(つらつら)東都(えど)で高名(なだか)き鮓店(すしや)を覽(み)るに、
開店(みせびらき)より遡(さかのぼ)ること、
西洋時辰儀(せいやうどけい)一時間(いちじかん)乃至(ないし)三時間(さんじかん)、
豫(あらかじ)め醋(す)を親和(なじ)ませ、保温(あたゝかさをたもつ)が習慣(ならひ)。

亭主(あるじ)、かくのごとき因習(ならはし)を侮(あなど)り譏(そし)る。
曰(いへらく)、「保温(ほおん)とは低温火傷(ていおんやけど)に異ならず」、と、、。
當家(こちら)の流儀(やりかた)に遵(したが)ふなら、
最初(いやさき)は熱(あつ)く、最後(いやはて)は冷(つめ)たきに過ぐるが理(ことわり)。

然(しか)るに、最初(いやさき)より最後(いやはて)に至(いた)る二時間(にじかん)
一(ひと)つとして首傾(くびかし)ぐる品(しな)なかりき
東道(あるじ)、温度(あたゝかさ)に應(おう)じ、親和工合(なじみぐあひ)に從ひ
鮓種(すしだね)を擇(えら)み、烹調法(やりかた)を組合(くみあ)はす

鮓種(すしだね)は傳統(いにしへからのやりかた)を踏(ふ)まへつ
時(とき)にそれに囚(とら)はるゝことなく
時季(じき)に適(かな)ふ上質(よ)きものばかりを嚴選(えらびぬく)
(なつ)の車蝦(くるまえび)を(ふゆ)には楚蟹(すはへがに)、と云ふ工合。

鮪(しび)、鰆(さはら)、鰤(ぶり)、雲子(くもこ)、鮭腹子(いくら)、牡蠣(かき)、
何(いづ)れもこの時季(じき)ならでは。
鮪(しび)は手を變(か)へ品を變(か)へ吾儕(わなみ)が舌(した)に迫(せま)る。
小鰭(こはだ)は〆淺(あさ)きものと、熟(う)れたるものゝ二種(ふたくさ)。

就中(わきても)魂消(たまげ)しは(しび)醤油漬(しやうゆづけ)。
亭主(あるじ)に遵(したが)ひ口中(くちのなか)に留(と)め置(お)くこと霎時(しばし)。
忽地(たちまち)、芳香(かぐはしきかをり)四方(よも)に漂ひ鼻竅(はな)を穿(うが)つ
宛然(あたかも)、最上質(いとよ)き燻製(くんせい)でも啖(くら)ふがごとし。

(ひらめ)は振鹽(ふりじほ)施(ほどこ)して五日(いつか)。
さりながら、倣(なら)ひの昆布(こぶ)〆を忌嫌(いみきら)ふ。
生の儘(まゝ)とも昆布(こぶ)〆とも異(こと)なる主人(あるじ)ならではの鮃(ひらめ)。
見目(みため)に逆(さか)らひ佳味(よきあぢ)なるは勿論(いふもさらなり)。

山葵(わさび)卸(おろ)すは銅製(あかゞね)
擂(す)ること都合(あはせて)纔(わづ)かに二度(ふたゝび)。
鮫皮(さめがは)は割烹修業(かッぱうあがり)、鮓修業(すしや)なら銅(あかゞね)」、
「何者(なんとなれば)、角(つの)立(た)つを嫌(きら)へばなり」と説(と)く。

実家(いへ)と加州(かゞ)の地(ち)にて料理(れうり)を習得(ならひおぼ)へ、
今(いま)や斯界(そのみち)では、紛(まが)ふ方(かた)なき手煆煉(てだれ)。
かく腕(うで)を持ちながら、敢(あ)へて"摘(つま)み"の類(たぐひ)を避(さ)け
鮓(すし)にその技藝(わざ)全(すべ)てを傾注(そゝぎこむ)

これ宛然(あたかも)、劍(けん)の達人(たつじん)が刀(かたな)を捨(す)て
徒手空拳(としゆくうけん)にて荒(あら)くれ者(もの)に立向(たちむか)ふに似たり。
あるいは、高名(たかきな)を捨(す)て世俗(よ)を嫌(きら)ひ
奥山(おくやま)の方丈(はうぢやう)に棲(す)まふ仙人(せんにん)と云ふべきか?

以爲(おも)ふに、徒(いたづら)なる保温(ほおん)避(さ)くるは、
水(みづ)の高(たか)きより低(ひく)きに流(なが)れ、
夏(なつ)の暑(あつ)きを避けず、冬(ふゆ)の寒(さむ)きを愉(たの)しむがごとし。
自然(じねん)を敬(うやま)ひ、天道(てんたう)に逆(さか)らはず

これほど自然(じねん)の攝理(せつり)に遵(したが)ひつゝも、
温度(あたゝかさ)を檢知(し)るに、勘(かん)に頼(たよ)らずセンサを用(つか)ふ
傳統(ふるき)を尊(たふと)び、新(あらた)なるものを拒否(こばま)ぬ姿勢(すがた)。
これ、今(いま)をときめく凄腕(すごうで)杜氏(とうじ)に彷彿(さもにたり)。

【2011-12-18記】:
"獨善(どくぜん)"と"獨創(どくさう)"の相違(たがひ)は紙一重(かみひとへ)。
この日(ひ)の開店前(みせびらきまへ)當店(こちら)に伺(うかゞ)ふに、
鮨飯(すめし)を飯臺(はんだい)の上(うへ)に切(き)る杓文字(しやもじ)の音(おと)
これ一(ひと)つ目(め)の驚(おどろ)き。

高名(なのある)廛(みせ)なれば、
一時間三時間は舎利(しやり)馴染(なじ)ますが尋常(つね)。
しかるに、小さな櫃(ひつ)に移し、蓋(ふた)開(あ)けた儘(まゝ)それをうち遣(や)る
これ二(ふた)つ目(め)の驚(おどろ)き。

小振(こぶ)りの中伊豆産(なかいづさん)山葵(わさび)の皮(かは)を剥(む)き、
完(まる)ごと一氣呵成(ひといき)に擂(す)り卸(おろ)す。
最後(いやはて)まで再(ふたゝ)び卸(おろ)すことなく、氣の拔くるに任(まか)す
これ三(みッ)つ目(め)の驚(おどろ)き。

四(よッ)つ目(め)の驚(おどろ)きは疱丁(はうちやう)。
手煆煉(てだれ)が嗜(この)む本燒(ほんやき)と異(こと)なるみすぼらしき品(しな)。
一尺三寸(いッしやくさんずん)の柳刄武州馬込(ぶしうまごめ)"定康(さだやす)"。
刀鍛冶(かたなかじ)の流れを汲む由緒(すぢめ)正(たゞ)しき家柄(いへがら)とぞ。

舎利(しやり)・生薑(はじかみ) は勿論(いふにおよばず)、
煮切(にき)りまでもが寸毫(つゆ)甜味(あまみ)を含まぬキリヽとした口味(あぢ)
主人(あるじ)語るに、「沙糖(さたう)は鮨種(すしだね)の持味(もちあぢ)を殺す」と。
これ五(いつ)ゝ目(め)の驚(おどろ)き。

一(ひと)つとして生(なま)の儘(まゝ)の鮨種(すしだね)はなく、
あるいは煮切(にきり)に漬(つ)け、あるいは鹽(しほ)を打ち、酢(す)に通(とほ)す
墨烏賊(すみいか)、細魚(さより)、赤貝(あかゞひ)、いづれもしかり。
これ六(むッ)つ目(め)の驚(おどろ)き。

加旃(しかのみならず)、煮切(にき)りは雀(すゞめ)の涙(なみだ)ほど纔(わづ)か。
豫(あらかじ)め施(ほどこ)したる鹽(しほ)が生(い)き
かくのごとく僅少(すく)なき煮切(にき)りにても適當(ほどよ)き鹽梅となりつらん。
これ七(なゝ)つ目(め)の驚(おどろ)き。

鮃(ひらめ)は六百十三匁(ろッぴやくじふさんもんめ、=2.3kg)、
鰤(ぶり)四貫三百四十七匁(よんくわんさんびやくよんじふなゝもんめ、=16.3kg)と大振り。
就中(わきても)眞鯛九百七匁(きゆうひやくなゝもんめ、=3.4kg)と、
常識(じやうしき)*)を覆(くつがへ)す大きさ。

眞鯛(まだひ)と(ぶり)は"背側(せがは)"と"腹身(はらみ)"を合(あ)はせ、
(かに)は"楚蟹(すはえがに)"**)と"せいこ蟹"を併(あ)はせて用(つか)ふ。
鮃(ひらめ)の縁側(えんがは)や骨邊肉(あら)を使(つか)ふ景色(けしき)なし。
これ九(こゝの)つ目(め)の驚(おどろ)き。

海苔(のり)は三河(みかは)の"あおさ"入(い)り。
名(な)にし負(お)ひ、音(おと)に聞(き)く舖(みせ)なら炙(あぶ)るが倣(なら)ひ。
仕入(しい)れて炙(あぶ)らぬまゝなれど、香(かをり)と口溶(くちど)けに秀(ひい)づ
これにて十(とほ)の驚(おどろ)き。

半晌(はんとき)經(た)ち、一晌(いッとき)經(た)つほどに、
山葵(わさび)は氣(き)が拔け、舎利(しやり)の冷(つめ)たくなるばかりなれど、
想定外(おもひのほか)に違和感(いわかん)なし
これ十一(とあまりひとつ)めの驚(おどろ)き。

"鶏卵燒(かひごや)き"には大約(およそ)二時間半(にじかんはん)の手間隙(てまひま)。
芝蝦(しばえび)を叮嚀(ねんごろ)に擂(す)り、薯蕷(やまいも)鶏卵(かひご)を加ふ。
燒(や)くだけで一時間十分(いちじかんじッぷん)と云ふ。
これ十二(とあまりふたつ)めの驚(おどろ)き。

この日は、墨烏賊(すみいか)、細魚(さより)、赤貝(あかゞひ)、小鰭(こはだ)、鮃、
眞鯛、鮪(しび)、牡蠣(かき)、眞鯖(さば)、鮭腹子(いくら)、鰤(ぶり)、鰆(さはら)、
鮪(しび)脂身に近きところ、雲子(くもこ)、鮪(しび)脂身(あぶ)、楚蟹(すはえがに)、
鐵火卷(てつくわまき)、干瓢卷(かんぺうまき)、鶏卵燒(たまごやき)。

鶏卵燒(たまごや)きは名(な)のある廛(みせ)のそれが長(た)け、
(ひらめ)はに如かず、縁側(えんがは)骨邊肉(あら)なきは口惜(くちを)しきかぎり。
されど、(しほ)を打(う)ち、厚(あつ)きところを開(ひら)きたる細魚(さより)、
醤油漬(しやうゆづ)けの(しび)脂身(あぶらみ)に近きところは眞(まこと)の美味(びみ)。

漬臺(つけだい)と(まないた)は(ひのき)にて手入(てい)れがゆき屆(とゞ)き、
(ひつ)は誂(あつら)への漆塗(うるしぬ)り。
網代天井(あじろてんじやう)も見事(みごと)なる立派(りッぱ)な普請(ふしん)。
落着きを缺(か)く設(しつら)へながら、これはこれで亭主(あるじ)が嗜(この)み。

亭主(あるじ)の手附(てつ)きに淀(よど)み少なく、舎利(しやり)捨(す)つるは稀(まれ)
左拇(ひだりおやゆび)を效かすことなく、包(つゝ)むがごとくに鮨(すし)を握(にぎ)る。
惜(を)しむらくは、疱丁(はうちやう)を一息(ひといき)に引(ひ)かぬこと
彼(かれ)が"定康(さだやす)"本燒(ほんやき)を凌駕(しの)ぐか審(つまびらか)ならず

此度(こだみ)口(くち)にせし鮨(すし)は合はせて大約(およそ)二十貫(にじッくわん)。
握(にぎ)り十八貫(じふはちくわん)に卷物(まきもの)二種(ふたくさ)。
これで支拂(しはら)ひは二萬圓(にまんゑん)ほど。
銀座(ぎんざ)の☆☆☆よりは廉(やす)く、行きつけの賈(みせ)よりは割高(わりだか)

倩(つらつら)當店(こちら)の流儀(やりかた)を惟(おもんみ)るに、
手に負へぬ "獨善(ひとりよがり)"か、はたまた類稀(たぐひまれ)なる"獨創(どくさう)"か?
久兵衞』、『與志乃』、『鶴八』などいづれの一門(いちもん)・系譜(けいふ)にも屬さず、
東都(えど)の鮨界(すしかい)では異端(いたん)の存在(そんざい)なるは疑ふべくもなし。

同(おな)じ鮨好(すしず)きと云ふとも、
ある人はその異端(いたん)ぶりを許(ゆる)しがたき邪道(よこしまなるみち)と斷(だん)じ、
またある客(ひと)は"目から鱗(うろこ)"、"頂門(ちやうもん)の一針(いッしん)"となさん。
僕(やつかれ)は紛(まぎ)れもなく後者(こうしや)。

-----------------------------------
*)(たひ)は五百匁(ごひやくもんめ、=1.8kg)ほどのものを最善(もつともよし)とす。
**)この日(ひ)は但州(たんしう)"香住(かすみ)"のもの。

2015/11/09 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ