2回
2024/12 訪問
「白璧無瑕(きずひとつな)」しと云へど「一無特徵(きはだつものもなし)」
玄英(ふゆ)の足音(あしおと)"武州都筑郡(むさしのくにつゞきのこほり)"
"外觀(かまへ)"
"肆内(なか)"
《三年物(みとせもの)》ゝ"古酒(こしゅ、=ひねざけ、ふるさけ)"
《宇留麻廼久尓(うるまのくに)》の"海鹽(うみじほ)"
《豆州御殿塲(いづごてんば)》の"山蓼(わさび)"
"鴨脚子(ぎんなん)"
"牙鮃(ひらめ)"
"北國赤鰕(あまえび、=ほつこくあかえび)"
"黑鰒(くろあはび)"、《鹽蒸(しほむし、=さけにこみ)》
"鰤(ぶり)"
"橙醋(ポンス、かぶすいりまめびしほ)"、w/蘿蔔泥(おほねおろし)
"星鳗(はかりめ、=あなご)"
"雌楚蟹(せこがに、=めすのすはへがに)"
"大眼靑眼魚(めひかり、=あをめえそ)"
"鮪(しび)"
"眞烏賊(すみいか、=かふいか)"
"鮪(しび)"、《紅肉(あかみ)》
"鮪(しび)"、《背肥肉(せあぶ、=せがはのあぶらみ、orちゆうあぶ)》
"鮪(しび)"、《大肥肉(はらがはのあぶらみ)》
"茶(ちや)"
"小鰶(こはだ、=このしろのわかうを)"
"對蝦(くるまえび)"
"鰹(かつを)"
"海膽(うに)"
"蜆湯(しゞみじる) "
"星鳗(はかりめ、あなご)" ※ピンぼけ御免
"雞蛋糕(かすていらたまごやき)"
2024/12/27 更新
2014/12 訪問
かの『おとわ』 聞きて久しく なりぬれど 月日(つきひ)流れて 今(いま)食(は)みにけり
有一日(あるひ)、若(わか)き鮓好(すしず)きが評(はなし)に觸發(いざなは)れ、
音(おと)に聞(き)く當家(こちら)『おとわ』の暖簾(のれん)を潛(くゞ)る。
勿驚(おどろくなかれ)、客(きやく)、纔(わづ)に僕(やつかれ)一人(ひとり)。
現今(いま)や晝飧(ひる)も"お任(まか)せ"のみの商賣(あきなひ)。
一人(ひとり)のために米(こめ)を炊(た)き、
鹽(しほ)・醋(す)を調合(あ)はせ舎利(すめし)となしたるは明白(あきらか)。
只管(ひたすら)恐縮(おそれかしこむ)ほかに術(すべ)なし。
支拂(しはらひ)は玉薤(さけ)一合(いちがふ)を含(ふく)め、大約(およそ)一萬五千圓。
■【普請(ふしん)・設(しつら)へ】:
倩(つらつら)賈内(なか)の光景(ありさま)を窺(うかゞ)ふに、
櫃臺(かうんた)は檜(ひのき)、厚(あつ)さ三寸(さんずん)の一枚板(いちまいゝた)。
見上(みあ)ぐれば網代天井(あじろてんじやう)、
見下(みお)ろせば黑文字(くろもじ)に利休箸(りきふばし)と手拔(てぬ)かりなし。
漬場(つけば)には不銹鋼(すていんれす)の機構(からくり)兩個(ふたつ)。
一(ひと)つは茶釜(ちやがま)、今一(いまひと)つは蒸籠(せいろう)、これなり。
この兩個(ふたつ)には火(ひ)入(い)りて常時(つねに)絶(た)えることなし。
隣(となり)には土州備長炭(とさびんちやうたん)を熱源(ねつげん)とする燒臺(やきだい)。
■【舎利(すめし)】:
案下某生再説(それはさておき)、當家(こちら)の鮓(すし)。
握鮓(にぎりずし)が根幹(ね・みきをなすもの)は舎利(しやり)。
舎利(しやり)こそ握鮓(にぎり)の味(あぢ)の決手(きめて)たるは疑(うたが)ふべくもなし。
米(こめ)、醋(す)、鹽(しほ)、沙糖(さたう)、温度(あたゝかさ)、水加減(みづ)、、。
「適當(ほどよ)き含水量(みづけ)にせばや」と、
古米(こまい)・新米(しんまい)を時季(じき)に應(おう)じて混合(まぜあはす)。
口(くち)に含(ふく)むや、忽地(たちまち)解(ほど)けて粒(つぶ)と化(な)る。
その容(さま)、宛然(あたかも)、風(かぜ)に彈(はじ)くる鳳仙花(ほうせんくわ)のごとし。
米(こめ)は粒立(つぶだ)ちて、舌(した)に滑(なめ)らか。
これを吟味(あぢは)ふに、沙糖(さたう)由來(ゆらい)の甜(あまみ)は纔(わづ)か。
亭主(あるじ)に據(よ)らば、沙糖(さたう)は「ほんの一摘(ひとつま)み」。
鹽梅(すとしほのかげん)も僕(やつかれ)が嗜(この)みに秋毫(つゆ)異(こと)なることなし。
醋(す)・鹽(しほ)、ともに、
弱(よは)からず、強(つよ)きに過(す)ぎず、穩當(おだやか)なる味(あぢ)はひ。
『青空』のごとく妄(みだ)りに醋(す)が勝(か)つこともなく、
『二葉鮨』のごとく徒(いたづら)に鹽(しほ)が優(まさ)ることもなき鹽梅(あんばい)。
醋(す)は米醋(よねず)。
今(いま)をときめく赤醋(あかず)避(さ)くるはそれなりの意(こゝろ)ありてこそ。
すなはち、その理由(ことわり)、
「鮓種(すしだね)への邪魔(じやま)を嫌(きら)へばなり」と、、。
主人(あるじ)謂(い)ひて曰(いは)く、
「調合(てうがふ)は握鮓(にぎり)より逆算(ぎやくさん)して半晌前(はんときまへ)、
すなはち、開店(みせびらき)小半晌前(こはんときまへ)に酢飯(すめし)となす。」と、、。
「ジャーを嫌(きら)ひ、櫃(ひつ)を湯煎(ゆせん)にかけ保温(あたゝかさをたもつ)」とも。
握鮓(にぎりずし)漬(つ)くるにあたり、
櫃(ひつ)より小(こ)まめに、より小(ちい)さな櫃(ひつ)へと移(うつ)す。
これを活(い)かすは、慣(な)れたる手附(てつ)き、無駄(むだ)なき手捌(てさば)き。
それを前(まへ)に、形状(かたち)、「沈(しづ)む、沈(しづ)まぬ」は些末(とるにた)らぬ。
■【鮓種(すしだね)に施(ほどこ)す技藝(わざ)】:
最初(いやさき)に小鰭(こはだ)はと檢(み)るに、
鹽(しほ)●●分(ふん)*)、醋(す)●●分(ふん)と眞鯖(さば)竝(なみ)。
でありながら、『壽司政』、『しみづ』のごとき強(つよ)さを感(かん)じさせぬ。
仕込(しこ)みの最中(さなか)、新子(しんこ)のごとき小鰭(こはだ)はその半分(なかば)。
表(おもて)●●分(ふん)、裏(うら)●●分(ふん)と、
『壽司幸』なみに手間暇(てまひま)惜(を)しまぬ鶏卵燒(たまごやき)。
燒斑(やきむら)なく、しかも舌(した)に滑(なめ)らか。
甜(あまみ)・酒精分(さけ)、ともに控(ひか)へめながらも適當(ほどよし)。
烏骨鶏蛋(うこつけいのたまご)に加(くは)ふるは、
生(なま)の芝蝦(しばえび)に大和薯蕷(やまといも)の二種(ふたくさ)。
若(も)しこれらの中(うち)何(いづ)れか一(ひと)つでも缺(か)くれば、
則(すなは)ち、鶏卵(たまご)燒(や)くを斷念(あきら)むるほどの凝(こ)りやう。
人膚(ひとはだ)ほどに温(あたゝか)き穴子(あなご)。
蕩(とろ)けんばかりに茹上(ゆであ)げたるを氷室(ひむろ)に冷(ひ)やし置(お)き、
供(いだ)す間際(まぎは)、件(くだん)の蒸器(むしき)以(も)て温(あたゝ)む。
寔(まこと)、新(あらた)なる試(こゝろ)み。
鮪(しび)は「背上(せかみ)のみ、その外側(そとがは)より用(つか)ふ」となむ。
不圖(はからずも)、『喜壽司』、今(いま)はなき『喜久好』を聯想(おもふ)。
亭主(あるじ)嫌(きら)ふは、近會流行(ちかごろはやり)の長期熟成(ちやうきじゆくせい)。
當家(こちら)、「寝(ね)かしてもせいぜい、●日~●週間」とのよし。
「上質(よ)きものはなるべく生(なま)の儘(まゝ)」を旨(むね)とし、
振鹽(ふりじほ)を避(さ)け、昆布〆(こぶじめ)を嫌(きら)ふ。
但(たゞ)し、魚(うを)の鹽燒(しほやき)はこの限かぎ)りにあらず。
「白鱚(きす)なれば尋常(つね)のごとく昆布締(こぶじ)めとなす」とも、、。
煮切(にきり)は二種(ふたくさ)。
穴子(あなご)が煮詰(につめ)の薄(うす)きこと『すきやばし』に髣髴(さもにたり)。
亭主(あるじ)に據(よ)らば、
煮詰(につ)めもまた「鮓種(すしだね)に從(したが)ひ、これを使(つか)ひ分(わ)く」と。
倩(つらつら)酒菜(さかな)の鹽(しほ)を窺(うかゞ)ふに、
かの南蠻渡來(なんばんわたり)、ゲランド鹽(えん)に瓜兩個(うりふたつ)。
曰(いは)く、「仕込(しこ)みにまで悉(ことごと)くこの鹽(しほ)を用(つか)ふ。
その故(ゆゑ)如何(いかん)となれば、味、能(よ)く鮓(すし)に適(かな)へばなり」。
山葵(わさび)はと着目(み)るに、
鮫皮(さめがは)用(つか)ひ、 圓(まどか)描(ゑが)くがごとくに擂卸(すりおろ)す。
粘(ねば)りに富(と)み香(かを)り豐(ゆた)か。
蓋(けだ)し、最上(もつともよ)き豆州(いづ)眞妻山葵(まづまわさび)なるべし。
■【とりわけ味覺(した)に合(あ)ひたるは】:
・舎利(すめし)
・小鰭(こはだ)
・鮪(しび)
・鶏卵燒(たまごやき)
・鰤(ぶり).............所謂(よに云ふ)"鰤(ぶり)しやぶ"
■【些(いさゝ)か嗜(この)みに合(あ)はざるは】:
・穴子(あなご).........舊來技法(むかしながらのやりかた)が優(まさ)る。
・唐墨(からすみ).......鹽(しほ)勝(か)ちて旨味(うまみ)に缺(か)く。
・柚子(ゆず)・酢橘(すだち)を濫用(みだりにもちゐ)ること。
■【僕(やつかれ)が意(かんがへ)に一致(あ)ふところ】:
・鮓(すし)は舎利(すめし)が命(いのち)。
・白身魚(しろみ)には鹽(しほ)、就中(わきても)ゲランド鹽(えん)が最適(あふ)。
・赤身(あかみ)は醤油(しやうゆ)に限(かぎ)る。
・過度(みだり)に寢(ね)かすは罪(つみ)。
・生(なま)でよきものはその儘(まゝ)とし、徒(いたづら)に弄(もてあそ)ぶを嫌(きら)ふ。
■【僕(やつかれ)が意(かんがへ)に沿(そ)はざるは】:
・「人手(ひとで)足(た)らざるにより鮓(すし)を專(もつぱら)らにす」と言(い)ひ、
海苔卷(のりまき)、椀(わん)供(いだ)すを拒(こば)むも、"お任せ"のみ。
・「客(まらうど)に供(いだ)すものにあらず」とて、骨邊肉(あら)を垂準(さげし)む。
・「素材(すしだね)を活(い)かす」と云ひつゝ、柑橘類(たちばなのたぐひ)に頼ること。
■【管待(もてなし)ぶり、居心持(ゐごゝち)】:
文句(もんく)なし!
この日(ひ)、客(きやく)は纔(わづ)かに僕(やつかれ)一人(ひとり)。
米(こめ)もわざわざそのために炊(た)き、
茶釜(ちやがま)・蒸籠(せいろう)にも常時(つね)に火(ひ)が燈(とも)る。
■【結論(まとめ)】:
"お任(まか)せ"としては尻切蜻蛉(しりきれとんぼ)の恨(うら)みあり。
「鮓(すし)を專(もつぱら)らに」と云ふなら、
"お好(この)み"**)、せめて、數千圓(すうせんゑん)の"握り"を供(いだ)すべき。
その値なら、『壽々』、嘗(かつ)ての『橋口』竝(なみ)、もしくはそれらを凌(しの)がん。
『さいとう』など『かねさか』一門(いちもん)ですら晝(ひる)ならそのくらゐの價格(ね)。
かの『すきやばし』ですら、一昔前(ひとむかしまへ)まで「お決まり」なるものありき。
ともに舎利(しやり)の素晴(すば)らしき『とかみ』も五千圓餘(ごせんゑんあまり)。
"雇(やと)はれ"ながら、『とかみ』佐藤親方(さとうおやかた)も見上(みあ)げたもの。
『うを徳』なら西洋時辰儀(せいやうどけい)にして二~四時間ほど寛(くつろ)ぎ、
玉薤(さけ)と上質(よ)き酒菜(さかな)に潮汁(うしほじる)、
さらには時季(じき)の水菓子(みづぐわし)まで含め大約(およそ) 一萬圓(いちまん)。
唐墨(からすみ)は『おとわ』を凌駕(はるかにしの)ぎ、鶏卵燒(たまごやき)すら優る。
鰹(かつを)、鰻(むなぎ)***)の割烹調理法(あつかひ)も『うを徳』に分(ぶ)。
ともに藁(わら)にて燻す鰹(かつを)も、『うを徳』は大蒜(おほひる)を忌(い)まず。
鰻(むなぎ)、就中(わきても)、皮(かは)の扱(あつか)ひは勿論(いふもさらなり) 。
『おとわ』の雋(すぐ)るは、舎利(しやり)、惜しみなく佳鹽(よきしほ)用(つか)ふこと。
滯在時間(たいざいじかん)一時間半(いちじかんはん)。
般若湯(さけ)こそ貰(もら)へど、
卷物(まきもの)も椀(わん)も水菓子(みづぐわし)もなしに一萬五千圓は廉(やす)からず。
綜合的(すべてくるめ)て判斷(みきは)むるなら、僕(やつかれ)、『うを徳』を擇(えら)む。
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*)亭主(あるじ)が智慧(ちゑ)に關(かゝ)はることでもあり、敢(あ)へて伏(ふ)す。
**)食材(すしだね)の損失(むだ)を考慮(かんが)みるに、それは無理(むり)か?
***)ともに、この日(ひ)の獻立(こんだて)にはなし。
【照相機】:日本光學 尼康(Nikon) Df 數碼單鏡反光照相機
【鏡頭】:.....蔡司(Carl Zeiss) Makro Planar T* 2.0/50 ZF.2 @F2.4
山葵(わさび)を卸(おろ)す
櫃(ひつ)のある漬場(つけば)
山葵(わさび)
手醋(てず)のある漬場(つけば)
庖丁(はうちやう)のある漬場(つけば)
漬臺(つけだい)に鮓下駄(すしげた)
ゲランド鹽(えん)
掃愁帚(さけ)
手拭(てふ)きのある櫃臺(かうんた)
利休箸(ききふばし)のある櫃臺(かうんた)
銀杏(ぎんなん)
鮃(ひらめ)
泥障烏賊(あふりいか)
蝦夷鰒(えぞあはび)
唐墨(からすみ)
鮭(さけ)腹子(はらこ)
蝦夷鰒(えぞあはび)肝(きも)
鰤(ぶり)
生薑(はじかみ)
墨烏賊(すみいか)
小鰭(こはだ)
鮪(しび)赤身(あかみ)
鮪(しび)やゝ脂身(あぶらみ)
鮪(しび)脂身(あぶらみ)
富津(ふッつ)の車蝦(くるまえび)
海松食(みるくひ)
蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
穴子(あなご)
鶏卵焼(たまごやき)
招牌(かんばん)
2015/02/11 更新
有一日(あるひ)、
舊知(むかしなじみ)の知己(しりあひ)ゟ(より)光榮(まことありがた)き誘引(いざなひ)。
目的地(めざす)は、"武州都筑郡(むさしのくにつゞきのこほり)"『おとわ』。
再訪(うらをかへ)すは、大畧(およそ)十年(とゝせ)ぶり。
蒙(それがし)以外(をのぞき)、
「千錘百鍊(きたへぬかれ)」、「一騎當千(ひとなみはづれ)」たる"饕餮(たべて)"揃(ぞろ)ひ。
あるいは"神(かみ)"と呼(よ)ばれ、名匠(なのあるたくみ)も拜跪(そのまへひざまづ)き、
爪(つめ)の垢(あか)狙(ねら)ふ者(もの)不少(すくなからず)。
對峙之(これにむかひあふ)は"相澤裕親方(あひざはひろしおやかた)"。
鮨職人(すしづくりのたくみ)たる父親(かぞ)の血(ち)を引(ひ)く手煆煉(てだれ)。
圓頂白衣(しろきころもにはげあたま)ならねど、
鬢付油(びんつけあぶら)に據(よ)り、亂髮飛散(かみゝだれてとびち)る一無憂(うれひなし)。
當日(このひ)は、
二萬二千圓(にまんにせんゑん)の"套餐(きまりめし)"に、
《三年物(みとせもの)》を標榜(うた)ふ"古酒(こしゅ、=ひねざけ、ふるさけ)"を合算(あはせ)、
對價(あたひ)、二萬三千三百圓也(にまんさんぜんさんびやくゑんなり)。
"古酒(これ)"を選擇(えらみ)し緣由 (ことのよし)、
偏(ひとへ)に、"相澤裕親方(おやかた)"の所信・鮓哲學(おもふところ)を知(し)らんがため。
"古酒(こしゅ、=ひねざけ、ふるさけ)"の用途(つかひみち)・效能(きゝめ)に就(つ)きては、
僭越(おそれ)ながら、"拙稿(やつがれのつたなきかきもの)"を高覽(おめよごし)被下(あれ)。
慢慢地(ゆるり)、この"古酒(こしゅ、=ひねざけ、ふるさけ)"を賞翫(あぢはひ)、
熟々(つらつら)、"鮓(すし)"との親和性(つりあひ・なじみかた)を考慮・思惟(おもんみ)るに、
"米酢(よねず)"+"鹽(しほ)"と云ふ當家(こちら)の"舍利(すめし)"には、
單純(ひねりなき)"新酒(しんしゅ、あらたしきさけ)"が最適解(なにより)なるべし。
因(ちな)みに、
"醋(す)"は、尾州半田(はんだ)《中埜(なかの)》の三ッ判(みつばん)"白菊(しらぎく)"、
"鹽(しほ)"は原來(もとより)"能州珠洲(すゞ)"の海鹽(うみじほ)なりしところ、
かの大地震(おほなゐ)により、"宇留麻廼久尓(うるまのくに)"の海鹽(うみのしほ)に、、。
"大吟釀酒(だいぎんぢやう)"では"芳香(かぐはしきかをり)"强(つよ)きに過(す)ぎ、
"古酒(こしゅ)"も齡(よはひ)重(かさぬ)るほどに、
"味(あぢ)"・"風韻(かをり)"とも"黃酒(もろこしのかもしざけ)"に漸近(ゆるやかにちかづく)。
愚按(やつがれおもふに)、かゝる酒(さけ)、"鮓(すし)"には不適(よろしからず)。
あるいは、三年(みとせ)ほどの"古酒(ひねざけ)"なら許容閾値內(ゆるさるべき)歟(か)?
"相澤裕親方(おやかた)"が眞意(こゝろのうち)不詳(つまびらかならず)。
他方(かたや)、"茶(ちや)"との相性(むつまじさ)たるや、
眞言(まこと)、「比翼鳥(つばさをともにするとり)」、「連理枝(ひとつにつながるえだ)」。
扨(さて)、"鮓(すし)"そのものはと述(い)ふと、
"正統(まとも)"な容姿(すがた)であり、"古來(いにしへよりうけつがる)"ゝ廚藝(わざ)でもある。
風韻(かをり)强(つよ)き"柑橘類(たちばなのたぐひ)"を避(さ)け、
妄(これみよがし)に"刀工(はものづかひ)"を誇示(ほこ)り顯示(ひけらか)すこともなし。
掉尾(いやはて)の"雞蛋糕(かすていらたまごやき)"にも納得(うちうなづきつゝ、ひざをうつ)。
模倣(みやうみまね)で"雞蛋糕(これ)"を試行(ため)す若手職人(わかて)多(おほ)し。
『佐竹』、『猪股』、『三笠鮨』、淺草『壽司淸』など無數(そのかずをしらず)。
然而(しかるに)、精品(しなのよき)は當家(こちら)『おとわ』に『いしまる』くらゐ歟(か)?
習俗(ならひ)の若(ごと)く、
"周氏新對蝦(しばえび)"と"鴨腳薯蕷(×やまといも、〇いちやういも)"を擂込(すりこ)む。
絕妙無比(このうへな)き"火候(ひいれ)"に起因(よ)り、
外緣(そと)櫨色(はじいろ)に炙(や)け、中心(なか)嫩(やはらか)なる儘(まゝ)。
かくの如(ごと)く、
局所微視(ありのめもて、ちかくからこまかにみる)ならば、「白璧無瑕(きずひとつなし)」。
なれど、大域巨視(とりのめにて、とほくからひろくながむる)と、「一無特徵(きはだつところなし)」。
「近所(ちかく)なら、、」、「點菜(このみによるしなえらび)なら、、」と「切齒扼腕(はぎしり)」。
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【暗匣】:日本光學 尼康(Nikon)Zf 無反光鏡可換鏡頭照相機(MILC、みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)APO-LANTHAR 2/50 @F2.8
福倫達(Voigtländer)COLOR-SKOPAR 3.5/21 Asph. @F11