酔狂老人卍さんが投稿した鮨 あらい(東京/東銀座)の口コミ詳細

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『此世をハ と里(り)や お暇尓(に) せん古(こ)う能(の) 煙りと供尓(に) 者(は)ひ 左樣なら』 (十返舎一九)

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酔狂老人卍 (70代以上・男性) 認証済

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鮨 あらい東銀座、銀座、新橋/寿司

1

  • 昼の点数:-

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.2
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP 4.2
      • |酒・ドリンク -
1回目

2015/12 訪問

  • 昼の点数:-

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク-
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

見るからに 紅白舎利(あかしろしやり)の 鹽(しほ)知(し)らば 「よいとこ取(ど)り」の 『あらゐ』と云ふらむ

近來(ちかごろ)鮓店(すしや)に流行(はや)るもの:
"お任(まか)せ"、長尻(ながじり)、木製冷藏庫(きのひむろ)、
紅醋(あかず)、紅本(みすらん)、餐廳博客(たべろがあ)、
成金(なりきん)、愚者(しれもの)、似非食通(えせぐるめ)。

十年前(とゝせまへ)、"餐廳網路日誌(たべろぐ)"出現(あらはれい)で、
八年前(やとせまへ)には、法國(おふらんす)の"紅本(みすらん)"までも、、。
かくして、瞬(またゝ)く中(うち)に巷(ちまた)を席捲(まきこ)み盡(つ)くして、
なほ、飽(あ)くことなし。

今(いま)や、東都(えど)の鮓店(すしや)は樣相一變(さまがはり)
★★★(みつまかろん)に☆☆☆☆超(よんてんごえ)の舖(みせ)には、
有象無象(うざうむざう)の民(たみ)が溢(あふ)れ
中(なか)には、半年(はんとせ)待(ま)ちと云ふ廛(ところ)も、、。

熟練鮓職人(てだれ)の技藝(わざ)が蔑(ないがし)ろにされ、
技倆(うで)なき坊主天窗(ばうずあたま)が彼此(をちこち)に跳梁跋扈(はびこる)
食(た)べ手(て)もまた同樣(しかり)。
もはや、迪士尼樂園(でずにらんど)に異(こと)なるところなき景状(ありさま)。

往古(そのかみ)、
"お好(この)"、"お決(き)まり"、を旨(むね)とせし★★★(みつぼし)すら、
鐵面(あつかま)しくも、"お任(まか)"を強(し)ひ、
法外(おそろし)き價格(ね)にして寸毫(つゆ)羞(は)づる兆(きざし)なし。

況(ま)して、 
猫(ねこ)に木天蓼(またゝび)、肥後(ひご)には芋莖(ずいき)、
否(いな)、否(いな)、否(いな)、
「雨後(うご)の筍(たけのこ)」のごとき小僧(わかて)は勿論(いふもさらなり) 。

かゝる鋪(みせ)にも、
夥(あまた)衆人(もろびと)、評判(うはさ)に踊(をど)り
有象無象(うざうむざう)の民(たみ)、類(にたるともがら)を呼(よ)ぶ
嗚呼(あゝ)、末法(よもすゑ)哉(かな)!

やはり、鮓店(すしや)は"お好(この)"に限(かぎ)る。
ふらりと立寄(たちよ)り、好(す)きなものを幾(いく)つか摘(つ)まみ
そゝくさと去(さ)る(いき)。
澤尻(さはじり)はエリカ樣(さま)、長尻(ながじり)は實(げ)に無樣(ぶざま)

かくて、一昨日(をとゝひ)は下北澤(しもきたざは)『小笹壽し』、
昨日(きのふ)は寺島町(てらしまちやう)『うを徳』、
そして今日(けふ)は、出雲町(いづもちやう)『あらゐ』と、
三日(みつか)續(つゞ)けての、江都(えど)鮓店(すしや)巡(めぐ)り。

うを徳』は鮓店(すしや)と云ふより割烹(かつぱう)の類(たぐひ)なれど、
小笹壽し』、『あらゐ』は、"お好(この)"のある鮓店(すしや)。
就中(わきても)、『小笹壽し』は、"お好(この)"耳(のみ)にして、
豫約(よやく)すら受(う)けぬ、今(いま)や稀有(まれ)なる商賣(あきなひ)。

やはり鮓店(すしや)は"お好(この)"に限(かぎ)る。
この日(ひ)は、眞鯛(たひ)、墨烏賊(すみいか)、小柱(こばしら)、小鰭(こはだ)、
眞鯖(さば)、鰹(かつを)、蛤(はまぐり)、卷(まき)、鮪(しび)二種(ふたくさ)、
穴子(あなご)、鶏卵(かひご)、十二貫(とあまりふたつ)。

掃愁帚(さけ)一合(いちがふ)を含(ふく)み、
勘定(しはらひ)は大約(およそ)一萬五百圓(いちまんごひやくゑん)ほど。
十五貫(とあまりいつゝ)に玉薤(さけ)で一萬一千五百圓(いちまんゑんあまり)の
小笹壽し』より、纔(わづ)かに高價(たかめ)。

髮(かみ)が女(をんな)の命(いのち)なら、
舎利(しやり)は鮓(すし)の命(いのち)
これを檢(み)ずに鮓(すし)を語(かた)るは
宛然(あたかも)、天(そら)を見(み)ずに雨霽(あめはれ)を卜(うらな)ふがごとし。

倩(つらつら)舎利(しやり)の消長(はやりすたり)を窺(うがゞ)ふに、
嘗(かつ)ては、鹽(しほ)を抑(おさ)へて醋(す)を控(ひか)へ
近會(ちかごろ)は、鹽(しほ)を利(き)かせて紅醋(あかず)に靡(なび)く
これ、往古(いにしへ)の技法(やりかた)に異(こと)ならず。

とは云へ、『青空』は米醋(よねず)利(き)かせて沙糖(さたう)を用(つか)ひ、
しみづ』は沙糖(さたう)を避(さ)けて紅醋(あかず)を活(い)かす
紅醋(あかず)際立(きはだ)つ『とかみ』に、
突出(とが)るを嫌(きら)ひ中庸(ほどよ)さを狙(ねら)ふが『さいとう』か、、。

爰(こゝ)で舎利(しやり)の温度(あたゝかさ)を惟(おもんみ)るに、
押竝(おしな)めて、老舖(しにせ)は半點(いさゝか)冷(つめ)たく
中堅(ちゆうけん)・若手(わかて)は温(あたゝ)かめ
されど、適温(ほどよきあたゝかさ)は食(た)べ手(て)によりけり。

扨(さて)、當家(こちら)『あらゐ』:
醋(す)は、紅白(あかしろ)を鮨種(すしだね)に依(よ)りて用(つか)ひ分(わ)く
小鰭(こはだ)、(しび)、(まき)は紅醋(あかず)、
その餘(ほか)は米醋(よねず)と云ふ工合(ぐあひ)。

(しび)も、大(おほ)きさ、熟成度(うれかた)に應(よ)り
米醋(よねず)を用(つか)ふことも、、。
温度(あたゝかさ)への配慮(こゝろくばり)は竝大抵(なみたいてい)でなく、
鮨種毎(すしだねごと)に櫃(ひつ)を變(か)へるか?」と疑(うたが)はるゝほど。

(しほ)の利(き)かせ方(かた)は、
今(いま)はなき千川(せんかは)『すゞ木』に肉薄(せま)り、
木挽町(こびきちやう)『二葉鮨』を彷彿(おもはす)。
何(いづ)れにしても、東都(えど)屈指(ゆびをり)の鹹(しほから)さ

しかはあれど、
西班牙(いすぱにあ)・唐山(もろこし)の"生火腿(なまはむ)"、
能州(のと)"鰒卵巣(ふぐのこ)糠漬(ぬかづけ)"の鹽氣(しほけ)には、
到底(とて)も匹敵(かな)ふところにあらず。

弓手(ゆんで)の拇(おやゆび)を利(き)かせ
捨(す)て舎利(しやり)一(ひと)つせず
最少(いとすくな)き手數(てかず)にて鮓(すし)と成(な)す
故(ゆゑ)に、その姿形(すがた)は、"(あふぎ)の地紙形(ぢがみがた)"。

指(ゆび)に持(も)ちても崩(くづ)るゝ豫兆(きざし)なく
一度(ひとたび)口中(くち)に抛(はう)り込(こ)むや
バラリンズンと瞬時(たちまち)に解(ほど)けて、臼齒(おくば)に幾粒(いくつぶ)
二噛(ふたかみ)するや、瞬(またゝ)く中(うち)に吭(のみど)の奧(おく)に、、。

老練職人(ふるきうできゝ)の容器(うつは)に
中堅(ちゆうけん)・若手(わかて)の美點(よきところ)を盛(も)り
なほも、これを進化(すゝま)せんとする心意氣(こゝろいき)や見事(みごと)。
寔(まこと)、「天晴(あッぱれ)」と言(い)ふほか方策(てだて)なし。

久兵衞』、『すし匠』に習(なら)ひて、『しみづ』を尊敬(うやま)ひ、
とかみ』に似(に)て、なほ、『とかみ』とは差異(ことな)る。
舎利(しやり)を二種(ふたくさ)使(つ)ひ分(わ)くるは『すし匠』、
種札(たねふだ)を下(さ)げ、"お好み"を歡迎(よし)とするは『しみづ』。

とは云へ、『しみづ』とは眞逆(さかしま)なる點(ところ)も、、。
生薑(はじかみ)、小鰭(こはだ)の〆方(しめかた)など、
醋(す)の顯著(きはだ)つしみづ』とは似(に)ても似つかぬ流儀(やりかた)。
敬(うやま)へど、平伏(ひれふ)し崇拜(ふしをが)まぬは見事(みごと)

(はまぐり)、眞鯖(さば)の〆方(しめかた)を見(み))るに、
齒(は)に柔(やは)らかく、舌(した)に滑(なめ)らか
"鶏卵燒(かひごやき)"は、芝蝦(しばえび)のみを用(つか)ひ、
砂糖(さたう)、鹽(しほ)、酒(さけ)、味醂(みりん)にて調味(あぢつけ)。

東都(えど)の"鶏卵燒(たまごやき)"には大別(おほきくわ)けて三種(みくさ)あり。
一(ひと)つは、"鶏卵"のみを用(つか)ふ流儀(やりかた)。
二(ふた)つめは、(えび)や小柱(はしら)を摺込(すりこ)む調理法(やりかた)。
三(み)つめは、これに薯蕷(いも)を加(くは)ふる烹調法(やりかた)。

當家(こちら)は、二(ふた)つめ。
その食感(はごたへ・したざはり)は、『久兵衞』の流(ながれ)を汲(く)む。
小人(それがし)、三(み)つめのもの、
更(さら)に言(い)ふなら、俗(よ)に云ふ"かすていら燒(やき)"を嗜(この)む。

"かすていら燒(やき)"の中(なか)では、
とゝや』、『水谷』、『壽司幸』、『うを徳』などが味覺(した)に合(あ)ふ。
とは云へ、これは好(す)き好(ず)き。
味(あぢ)なら、海鰻(はむ)をも擂込(すりこ)む『喜久好』が白眉(なにより)。

味(あぢはひ)、管待(もてなし)ぶり、居心地(ゐごゝち)、價格(ねだん)。
難癖(けち)つくるところ少(すく)なしと云へど、
唯一(たゞひとつ)氣(き)に障(さは)るは、掌(たなぞこ)打敲(うちなら)すこと。
中澤親方(なかざはおやかた)の惡(あ)しきところでも眞似(まね)たるか?

さはあれ、
かの『さいとう』と同樣(おなじく)、
容易(たや)く缺點(あしきところ)を發見(みつ)け難(がた)き舖(みせ)
それでも、なほ、『初音鮨』のごとき衝撃(おどろき)に缺(か)く

殽(さかな)の類(たぐひ)であれば、『うを徳』に如(し)くはなし。
竝(なみ)の懐石(くわいせき)・割烹(かつぱう)にも雋(すぐ)る技倆(うで)
價格(ね)も居心地(ゐごゝち)も匹敵(なら)ぶ鮓店(すしや)を不知(しらず)
あらゐ』はあくまでも、鮓(すし)を輕(かろ)く摘(つま)まむが吉(よい)

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【照相機】:旭光學賓得士K-三數碼單鏡反光照相機
【鏡頭】 :蔡司(Carl Zeiss) 微距(Makro)Planar T* 2.0/50 ZK @F2.0

  • 親方(おやかた) 【撮影許可濟】

  • 親方(おやかた) 【撮影許可濟】

  • 眞鯛(たひ)

  • 墨烏賊(すみいか)

  • 小柱(こばしら)

  • 小鰭(こはだ)

  • 眞鯖(さば)

  • 鰹(かつを)

  • 俗(よ)に云ふ"蛤(はまぐり)"

  • 巻(まき)

  • 鮪(しび)

  • 鮪(しび)、赤身(あかみ)に近き肥肉(あぶらみ)

  • 穴子(あなご)、鹽(しほ)

  • 穴子(あなご)

  • 鶏卵(かひご)

  • 蜆汁(しゞみじる)

  • 生薑(はじかみ)

  • 生薑(はじかみ)

  • 山葵(わさび)

  • 掃愁帚(さけ)

2015/12/23 更新

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