2回
2017/06 訪問
親方(おやかた)の 代替(か)はれる『橋口』 "奧(おく)"さんの 握(にぎ)りをみれば 余(よ)ぞ滿足(う)けにける
二代目(にだいめ)奥親方(おくおやかた)
二代目(にだいめ)奥親方(おくおやかた)
塀(へい)
大厦高樓(たかどの)の硲(はざま)なる外觀(かまへ)
大厦高樓(たかどの)の硲(はざま)なる外觀(かまへ)
大厦高樓(たかどの)の硲(はざま)なる外觀(かまへ)
開店前(みせびらきまへ)の玄關(げんくわん)
門構(もんがま)へ
玄關(げんくわん)
店内(なか)の表札(へうさつ)
店内(なか)の景状(ありさま)
二代目(にだいめ)の立(た)つ漬場(つけば)
檜(ひのき)の一枚板(いちまいゝた)
檜(ひのき)の櫃臺(かうんた)
公孫樹(いちやう)の俎(まないた)
漬場(つけば)
掃愁帚(さけ)
玉薤(さけ)
御殿場(ごてんば)眞妻種(まづま)の山葵(わさび)
櫡(はし)と箸置(はしおき)
生薑(はじかみ)
竹岡沖(たけおかおき)眞子鰈(まこがれひ)
竹岡沖(たけおかおき)眞子鰈(まこがれひ)の肝臓(きも)
小鰭(こはだ)
墨烏賊(すみいか)
三陸(さんりく)の鮪(しび)
鮪(しび)肥肉(あぶらみ)
九十九里(くじふくり)の蛤(はまぐり)
天草(あまくさ)車蝦(くるまえび)
三陸(さんりく)黒鰒(くろあはび)
鰒(あはび)蒸煮(むしに)の汁(しる)
赤鯥(あかむつ)の燻(いぶし)
出水(いづみ)の眞鰺(まあぢ)
利尻(りしり)の蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
蜆汁(しゞみじる)
江戸前(えどまへ)の星鳗(あなご)
雞卵焼(かひごやき)
鐵火卷(てつくわまき)
茶(ちや)
先代(せんだい)橋口親方(はしぐちおやかた)
2017/06/06 更新
2012/07 訪問
口走(くちばし)る 「田舎鮨には厭き厭き」と 詞(ことば)の端(はし)に 愚痴(ぐち)もたらたら
【2012-07-09追記】:
淺草象潟町(あさくさきさかたちやう)『高勢』亭主(あるじ)の消息(せうそく)が氣(き)にかゝり、
久々(ひさびさ)當家(こちら)に、、。
橋口親方(はしぐちおやかた)に據(よ)らば、何(なん)でも、二郎(じなん)任(まか)せの、
根岸(ねぎし)『高勢』に身(み)を寄(よ)せ、親子(おやこ)兩個(ふたり)して漬場(つけば)に立(た)つとか。
赤坂(あかさか)みすぢ通(どほ)り『喜久好』に續(つゞ)き、
象潟町(あさくさきさかたちやう)『高勢』まで閉店(みせじまひ)とは寂(さび)しき限(かぎ)り。
若手(わかて)ばかりが持(も)て囃(はや)され、
手煆煉(てだれ)職人(しよくにん)が、一人(ひとり)、また一人(ひとり)と消(き)えゆくは寂(さび)しきこと。
案下某生再説(それはさておき)、この日(ひ)の獻立(こんだて)。
眞鯛(まだひ)、眞子鰈(まこがれひ)、鮪(しび)、墨烏賊(すみいか)、海膽(うに)、新子(しんこ)、
平貝(たひらぎ)、小鰭(こはだ)、穴子(あなご)、卷物(まきもの)。
やはり舎利(しやり)は僕(やつかれ)が嗜(この)みに寸毫(つゆ)異(こと)なるところなし。
【2012-06-02追記】:
有一日(あるひ)、相知(なじみ)の鮓店(すしや)でもと狙(ねら)へども、この日(ひ)は貸切(かしきり)。
已(や)む事(こと)を得(え)ずして、『まさる』を窺(うかゞ)へど門前如市(もんのまへいちばのごとし)。
かくて當家(こちら)『橋口』に向(む)かふ。
幸(さひは)ひ、客(きやく)の姿(すがた)は皆無(なし)。
最初(いやさき)に玉薤(さけ)を冷(ひや)で貰(もら)ふ。
奧州(あうしう)合津(あひづ)"國權(こッけん)"の純米大吟釀(じゆんまいだいぎんじやう)。
掃愁箒(さけ)の酒菜(さかな)は眞子鰈(まこがれひ)肝(きも)の炙(あぶ)り。
當店(こちら)、眞子鰈(まこがれひ)も眞鰺(まあぢ)も穴子(あなご)も悉(ことごと)く江戸灣(えどわん)。
この日(ひ)は、眞子鰈(まこがれひ)、墨烏賊(すみいか)、北寄貝(ほッきがひ)、眞鰺(まあぢ)、小鰭(こはだ)、
鮪(しび)二種(ふたくさ)、海膽(うに)、鮑(あはび)、穴子(あなご)、海苔卷(のりまき)。
鮑(あはび)は、かの大原(おほはら)の"眼高鮑(まだかあはび)"を追加(つひか)で、、。
近會(ちかごろ)、彼此(をちこち) で大原(おほはら)の"眼高鮑(また)"を眼(め)にすること少(すく)なからず。
煮汁(にじる)は魚翅湯(ふかひれじる)の椀(わん)となす。
膠原(こらあげん)→明膠(ぜらちん)に富(と)む鮑(あはび)の煮汁(にじる)を活(い)かす試(こゝろ)み。
生憎(あやにく)、"魚翅(ふかひれ)"とは云ひながら、"散翅(はぎれ)"とも呼(よ)ぶべき貨物(しろもの)。
『阿娑縛』など四方山話(よもやまばなし)に花(はな)が咲(さ)き辭別(いとまごひ)。
【2012-05-11追記】:
此度(こだみ)は、江戸灣(えどわん)の眞子鰈(まこがれひ)、墨烏賊(すみいか)、鮪(しび)ニ種(ふたくさ)、
三河(みかは)の鳥貝(とりがひ)、蝦夷(えぞ)の鹽水海膽(えんすいうに)、小鰭(こはだ)、
越前若狹(えちぜんわかさ)の眞鯖(まさば)、穴子(あなご)、海苔卷(のりま)き。
海苔卷(のりま)きの干瓢(かんぺう)は『松波』とは對極(いちじるしきたがひ)。
手捌(てさば)き、鮓(すし)の姿形(すがたかたち)、甜(あま)さ、硬(かた)さ、解(ほぐ)るゝ容(さま)など、
仔細(こまかなること)はさておき、口(くち)に含(ふく)みて甚(いと)心持(こゝち)よき鮓(すし)。
この強(つよ)めの酢(す)、粒(つぶ)が立(た)ちてなほ舌(した)に滑(なめ)らかなる舎利(しやり)は、
口(くち)にするや、忽地(たちまち)背筋(せすじ)が伸(の)び、知(し)らず口許(くちもと)も綻(ほころ)ぶ。
【2012-02-04追記】:
有一日(あるひ)、商賣(あきなひ)のため遠出(とほで)。
最初(いやさき)に、髮結(かみゆ)ひを兼(か)ね腹拵(はらごしら)へせんと淺草(あさくさ)に。
轎(かご)の中(なか)、頓(にはか)に面白(おもしろ)き智慧(ちゑ)が湧(わ)き、
辛(つら)き生業(なりはひ)の中(なか)、一筋(ひとすぢ)の光明(あかり)を見(み)る。
欣喜雀躍(をどりあがりてよろこ)び、晝飧(ひるめし)は久々(ひさびさ)の『橋口』。
鮪(しび)は大間(おほま)から壹岐(いき)へと移(うつ)ろひ、眞鯖(まさば)も九州(きうしう)。
谷町(たにまち)に頼(たよ)ることなく鈔(ぜに)を借(か)り、
吃驚(おどろ)くほどの原價(もと)を掛(か)け當地(このち)で商(あきな)ふは見上(みあ)げたもの。
【2011-11-22追記】:
鮃(ひらめ)煮切(にき)り、鮃(ひらめ)ぽん酢(ず)、墨烏賊(すみいか)、眞鯖(まさば)、赤貝(あかゞひ)、
鮪(しび)脂身(あぶらみ)*二、小鰭(こはだ)、車蝦(くるまえび)、穴子(あなご)、海苔卷(のりま)き。
追加(ついか)で鮃(ひらめ)縁側(えんがは)。
舎利(しやり)、醋(す)、鹽(しほ)、通常(つね)のごとし。
【2011-09-27追記】:
此度(こだみ)は、鮃(ひらめ)、眞鯖(まさば)、墨烏賊(すみいか)、黒北寄貝(くろほつきがひ)、
鮪(しび)、鮪(しび)赤身(あかみ)に近(ちか)き脂身(あぶらみ)、小鰭(こはだ)、車蝦(くるまえび)、
穴子(あなご)、鐵火卷(てつくわま)き、に追加(ついか)で海膽(うに)。
鮃(ひらめ)は今季(こんき)一番(いちばん)、眞鯖(まさば)もなかなか。
何(なに)かにつけ『うを徳』とは對照的(たいしやうてき)。
舎利(しやり)の酢加減(すかげん)は『橋口』が強(つよ)く、『うを徳』は弱(よは)め。
疱丁(はうちやう)の手入(てい)れ、山葵(わさび)の質(しつ)は『橋口』が勝(まさ)り、
居心地(ゐごゝち)と酒菜(さかな)の出來(でき)は『うを徳』が秀(ひい)づ。
【2011-07-22追記】:
土用(どよう)の鰻(むなぎ)なる習慣(ならひ)を冷笑(あざわら)ひつゝも、
その時季(じき)ともなると、そこはかとなく血(ち)が騒(さは)ぐは内心忸怩(ないしんじくじ)たるものあり。
かくて十一字半(じふいちじはん)につるや を覘(のぞ)けど、
已(すで)に『高梁川(たかはしがは)天然鰻(てんねんむねぎ)賣(う)り切(き)れ』の貼(は)り紙(がみ)。
已(や)む事(こと)を得(え)ずして、あの名物親爺(おやぢ)でも伏拜(ふしをが)まんと思(おも)へど、
廛(みせ)の前(まへ)には黒山(くろやま)の人(ひと)だかり。
かくて鰻(むなぎ)を諦(あきら)め鮨(すし)に、、、。
向(む)かふは目(め)と鼻(はな)の先(さき)の當店(こちら)『橋口』。
辭別(いとまごひ)まで僕(やつかれ)一人(ひとり)。
此度(こだみ)は、眞子鰈(まこがれひ)、墨烏賊(すみいか)、北寄貝(ほッきがひ)、縞蝦(しまへび)、
鮪赤身(しびあかみ)、鮪脂身(しびあぶらみ)、赤貝(あかゞひ)、新子(しんこ)、穴子(あなご)、
鐵火卷(てつかま)き、追加(ついか)で眞鰺(まあぢ)。
當店(こちら)でも眞子鰈(まこがれひ)は江戸前(えどまへ)、赤貝(あかゞひ)は豐後(ぶんご)と、
大地震(おほなゐ)の痛手(いたで)、恢復(かいふく)の道(みち)なほ險(けは)し。
通常(つね)なれば、眞子鰈(まこがれひ)は常磐(じやうばん)、赤貝(あかゞひ)は閖上(ゆりあげ)。
鮪(しび)は今季初(こんきはつ)の津輕(つがる)大間(おほま)のもの。
眞鰺(まあぢ)は房州富津(ばうしうふッつ)。
甘味(あまみ)、脂乘(あぶらの)りとも薩州出水(さッしういづみ)が優(まさ)る。
そもそも冷(つめ)たきに過(す)ぎ、甘味(あまみ)を感(かん)じがたし。
眞鰺(まあぢ)は『うを徳』が上(うへ)、凛(りん)とした清々(すがすが)しさでは『橋口』に軍配(ぐんばい)。
【2011-06-29追記】:
鮨下駄(すしげた)が備前燒(びぜんやき)から黒漆(くろうるし)となり面目一新(めんもくいつしん)。
此度(こだみ)は、眞鯛(まだひ)、墨烏賊(すみいか)、眞鰺(まあぢ)、鳥貝(とりがひ)、鮪(しび)、
鮪(しび)脂身(あぶらみ)、小鰭(こはだ)、車蝦(くるまえび)、穴子(あなご)、海苔卷(のりま)き、
追加(ついか)で眞鰺(まあぢ)。
時季(じき)の穴子(あなご)は今一(いまひと)つ。
八百匁(はつぴやくもんめ)と些(いさゝ)か大振(おほぶ)りの眞鯛(まだひ)は能登(のと)のものとか。
今朝(けさ)活(い)け締(じ)めにしたばかりとのことなれど、齒應(はごた)へは弱(よは)め。
干瓢(かんぺう)は今時(いまどき)稀(まれ)な鹹(しほから)さ。
主人(あるじ)の控(ひか)へめなるは、『うを徳』似(に)。
上(うわ)ッ張(ぱ)りの白(しろ)さ、疱丁(はうちやう)の手入(てい)れは當家(こちら)が優(まさ)る。
主人(あるじ)、今年(ことし)滿(まん)で四十(よそぢ)になるとか。
淺草(あさくさ)界隈(あたり)の鰻屋(むなぎや)談義(だんぎ)の後(のち )辭別(いとまごひ)。
【2010-11-11追記】:
半年(はんとせ)ぶりのこの日(ひ)は、鮃(ひらめ)、墨烏賊(すみいか)、赤貝(あかゞひ)、小鰭(こはだ)、
鮪(しび)赤身(あかみ)に近(ちか)き脂身(あぶらみ)、鮪(しび)脂身(あぶらみ)、眞鰺(まあぢ)、
穴子(あなご)、海苔卷(のりま)き。
眞鯖(さば)に床伏(とこぶし)をこれに追加(くは)へ、値(あたひ)四千圓也。
倩(つらつら)舎利(しやり)を覧 (み)るに、醋(す)の輪廓(ふち)は『高勢』よりも慥(たしか)。
解(ほど)け工合(ぐあひ)も心持(こゝち)よく、奧齒(おくば)への殘(のこ)り方(かた)も文句(もんく)なし。
甘醋(あまず)漬(づ)けの生姜(はじかみ)も心(こゝろ)なしか當店(こちら)が爽(さは)やか。
小鰭(こはだ)の優(やさ)しき〆方(かた)は『高勢』に瓜(うり)が二個(ふたつ)の生(い)き冩(うつ)し。
頑(かたく)なに江戸灣(えどわん)の魚(うを)に拘(こだは)るは見上(みあ)げたもの。
穴子(あなご)に松輪(まつわ)の眞鯖(さば)はともかく、富津(ふッつ)の眞鰺(あぢ)に、
鮃(ひらめ)までもが江戸灣(えどわん)のものとは畏(おそ)れ入谷(いりや)の朝顏市(あさがほいち)。
鮪(しび)、色(いろ)變(かは)りやすしとて『ふ』を嗜(この)まず『い』なれど、近會(ちかごろ)『よ』に。
橋口親方(おやかた)、温厚篤實(やさしくおだやか)なる口(くち)ぶりの中(なか)にも、
媒體(ばいたい)の口(くち)から出任(でまか)せ、嘘八百(うそはつぴやく)には呆(あき)れ果(は)て、
時(とき)に憤懣(ふんまん)やるかたなき表情(さま)を露(あら)はに。
親方(おやかた)語(かた)る『高勢』の系譜(ちすじ)は概略(あらかた)如下(つぎのごとし)。
============================================
『高勢』:初代(しよだい)根岸(ねぎし)に廛(みせ)を構(かま)ふ。
初代(しよだい)倅(せがれ)兄(このかみ)二代目として後(あと)を繼(つ)ぐも、
泡沫(うたかた)の夢幻(ゆめまぼろし)と儚(はかな)く消(き)ゆ。
→『新高勢』:初代(しよだい)の倅(せがれ)弟(おと)、淺草に店(みせ)を構(かま)へ、
後(のち)に『高勢』を襲名(なのる)。
→『橋口』:『新高勢』(後の淺草『高勢』)に弟子入(でしい)り。
數年前(すねんまへ)、この地(ち)に店(みせ)を構(かま)ふ。
→『大塚高勢』:初代(しよだい)の弟子(でし)大塚(おほつか)に店(みせ)を構(かま)ふ。
※維納(ういん)の若旦那(わかだんな)述(の)ぶるところに寸毫(つゆ)相違(たがひ)なし。
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【2010-05-11追記】:
この日(ひ)は、眞子鰈(まこがれひ)、松魚(かつを)、墨烏賊(すみいか)、鮪(しび)赤身(あかみ)、
鮪(しび)ほどよき脂身(あぶらみ)、小鰭(こはだ)、莫迦貝(ばかゞひ)、縞蝦(しまえび)、穴子(あなご)、
海苔卷(のりま)き。
追加(ついか)で、眞子鰈(まこがれひ)縁側(えんがは)、蛤(はまぐり)、鮑(あはび)。
三百匁(もんめ)ほどの眞子鰈(まこがれひ)は前(まへ)の日(ひ)に〆たとのことなれど、
なほ身(み)は活(い)き、他店(よそ)では使(つか)はぬ縁側(えんがは)にも強(つよ)き旨味(うまみ)。
漬(つ)け込(こ)みの蛤(はまぐり)は生(なま)かと見紛(みまが)ふ。
湯氣(ゆげ)沸(わ)き立(た)つ鮑(あはび)は小振(こぶ)りながらも香(かをり)豐(ゆた)か。
「淺草 高勢」と比(くら)べても醋(す)の強(つよ)き醋飯(すめし)、
淺(あさ)き漬(つ)け込(こ)みの蛤(はまぐり)、藁(わら)で燻(いぶ)した鰹(かつを)、
滑(なめ)らかに茹(ゆ)で上(あ)げたばかりの香(かをり)高(たか)き「蒸(む)し鮑(あはび)」、、、。
やはり晝(ひる)にこの周邊(あたり)で鮨(すし)となれば竝(なら)ぶものなき廛(みせ)。
【2010-01-13記】:
心(こゝろ)ならずも都(みやこ)落(お)ちしてよりはや一月(ひとつき)近(ちか)く。
田舎(ゐなか)には田舎鮨(ゐなかずし)よりほかになく、まともな鮨(すし)より遠(とほ)ざかりて久し。
已(や)む事(こと)を得(え)ずして、闇雲(やみくも)な淺草(あさくさ)鮨屋(すしや)檢索(さがし)。
鮨 一新は夜(よる)のみの商(あきな)ひ、辯天山美家古壽司、鮨 久いちとは反(そ)りが合(あ)はず。
かくて、ふらりと訪(たづ)ねし鮨 橋口。
家(いへ)の構(かま)へは白金臺鮨匠 岡部を髣髴(おもはす)。
扉(とびら)を開(ひら)くや、鄭重(うやうやし)く迎(むか)ふる四十(よそぢ)近(ちか)くの女將(おかみ)。
漬(つ)け場(ば)を守(まも)るは主(あるじ)、齢(よはひ)四十(よそぢ)斗(ばかり)。
「八海山」を燗(かん)で貰(もら)ひ、暫(しば)しまどろむほどに、
主(あるじ)、「握(にぎ)りで宜(よろ)しうござりまするか?」と僕(やつがれ)に問(と)ふ。
その内譯(うちわけ)を訊(たづ)ぬるに、ほゞ好(この)みの鮨種(ねた)。
さあらば、これを頼(たの)み、足(た)らざるを補(おぎな)ふことに。
【内譯(うちわけ)】:
縞鯵(しまあぢ)、墨烏賊(すみいか)、小柱(こばしら)、ほどよき脂身(あぶらみ)の鮪(しび)二(ふた)つ、
小鰭(こはだ)、車蝦(くるまえび)、穴子(あなご)、鐵火卷(てつくわま)き、未醤椀(みそわん)附(つ)き。
追加(ついか)で、鯖(さば)二(ふた)つに赤貝(あかゞひ)。
酒(さけ)一合(いちがふ)、握(にぎ)り十一(とあまりひとつ)に卷物(まきもの)で、値(あたひ)六千圓也。
劈頭(いやさき)に來(き)たりしは三宅島(みやけじま)にて漁(いさ)りしと云ふ縞鯵(しまあぢ)。
時季(じき)に外(はづ)るゝとは云へ、なかなかの美味(あぢ)。
墨烏賊(すみいか)もまた然(しか)り。
蝦夷(えぞ)の地(ち)で漁(すなど)られたる小柱(こばしら)の大星(おほゞし)は見事(みごと)。
津輕(つがる)の港(みなと)に揚(あ)がしと云ふ鮪(しび)はほどよき脂身(あぶらみ)。
切(き)り附(つ)け、冷(つめ)たさ、何(いづ)れもほどよく、口(くち)に蕩(とろ)けんばかり。
先頃(さきごろ)喰(く)らひし田舎鮨(ゐなかずし)と比(くら)ぶれば月(つき)と鼈(すつぽん)。
煮切(にき)りとの相性(あひしやう)もよく、名(な)のある鮨屋(すしや)の鮪(しび)に迫(せま)る。
小鰭(こはだ)は江戸の海(うみ)で漁(いさ)りし身(み)の厚(あつ)きものを片身漬(かたみづ)けに。
主人(あるじ)、「今(いま)の時季(じき)は、、」と口惜(くちをし)がるとこ頻(しき)り。
芝蝦(しば)の朧(おぼろ)を插(はさ)みたる車蝦(くるま)は茹(ゆ)で置(お)きで口に冷(つめ)たし。
蝦(えび)蝦蛄(しやこ)の類(たぐひ)は、何(なに)より茹(ゆ)で上(あ)げに限(かぎ)る。
羽根田(はねだ)の穴子(あなご)は薄(うす)めに煮(に)て炙(あぶ)り、煮詰(につ)めを垂(た)らす。
煮詰(につ)めは古來(いにしへ)よりも薄(うす)めながら、昨今(いま)となりては竝(なみ)の濃(こ)さ。
江戸前(えどまへ)なるを悦(よろこ)ぶや、主人(あるじ)、 わが意(い)を得(え)たりとばかりに、
「西(にし)の明石、北(きた)に松嶋と云ふも、やはり穴子(あなご)は、、」と顏(かほ)を綻(ほころ)ばす。
椀(わん)は、蜆(しゞみ)と生海苔(なまのり)の未醤汁(みそしる)。
鐵火卷(てつくわま)きは、 四日(よつか)ほど寢(ね)かしたる鮪(しび)の赤身(あかみ)。
金華(きんくわ)鯖(さば)は聊(いさゝ)か小振(こぶ)りながらも、鹽(しほ)・酢(す)ともほどよし。
閖上(ゆりあげ)の赤貝(あかゞひ)はその場(ば)で剥(む)きて、身(み)と紐(ひも)に分(わ)かつ。
【技藝(わざ)】:
舎利(しやり)は粒(つぶ)が立(た)ち、舌觸(したざは)り非常(すこぶ)る滑(なめ)らか。
熱(あつ)過(す)ぎず、冷(つめ)たきに過(す)ぎず、口(くち)欣喜雀躍(おほいによろこぶ)。
酢(す)は白酢(しろず)で、僅(わづ)かなる糖(たう)の類(たぐひ)が加(くは)ゝる。
酢(す)は聊(いさゝ)か強(つよ)く、舎利(しやり)の輪廓(かほかたち)鮮明(あざやか)。
その姿形(すがたかたち)を檢(あらた)むるに、鮨種(ねた)・舎利(しやり)ともに小(ちひ)さめ。
僕(やつがれ)蛇蝎(だかつ)のごとく忌(い)み嫌(きら)ふ捨(す)て舎利(しやり)こそせざるも、
稀(まれ)に手(て)に餘(あま)れる舎利(しやり)を千切(ちぎ)るこそ訝(いぶか)し。
弓手(ゆんで)の拇(おやゆび)を利(き)かさで、指(ゆび)と掌(たなごゝろ)に鮨(すし)を包(つゝ)む。
おし竝(な)めて無駄(むだ)な所作(うごき)はなく、宛然(あたかも)水(みづ)の流(なが)るゝがごとし。
生姜(はじかみ)は甘(あま)きに過(す)ぎず、口(くち)に爽(さは)やか。
山葵(わさび)はそこそこ立派(りつぱ)なものを頻繁(こまめ)に卸(おろ)す。
皮(かは)を大膽(おほきく)剥(む)かず、汚(よご)れをこそげ落(お)とす程度(くらゐ)。
庖丁(はうちやう)の減(へ)り方(かた)に顯著(いちゞる)しき特徴(しるし)あり。
切(き)り附(つ)くるところばかりあやしく凹(へこ)みて變曲點(へんきよくてん)*)を持(も)つ。
嘗(かつ)て藤居親方(あ●き)僕(やつがれ)に謂(い)ひて曰(いは)く、
「庖丁(はうちやう)の砥(と)ぎやうは、能(よ)く職人(しよくにん)の技量(うで)を表(あらは)す」と。
合板(がふはん)と思(おぼ)しきカウンタは安(やす)き普請(ふしん)。
とは云へ、店(みせ)の中(なか)は明(あか)るく、居心地(いごゞち)頗(すこぶ)る良好(りやうかう)。
恭(うやうや)しき神棚(かみだな)が最(いと)眩(まぶ)しく、僕(やつがれ)が眼精(まなこ)を射(い)る。
山(やま)のかみ奧方(おくがた)=女將(おかみ)のほか、奧(おく)には小僧(こざう)さん一個(ひとり)。
惜(を)しむらくは晝(ひる)に鶏卵(たまご)燒(や)きなきこと。
華屋與兵衞の昔(むかし)より鶏卵(たまご)燒(や)きは鮨屋(すしや)の招牌(かんばん)。
鮨下駄(すしげた)に相當(あた)る器(うつは)は誂(あつら)へものゝ備前燒(びぜん)。
聊(いさゝ)か虚假(こけ)脅(おど)し氣味(ぎみ)ながら、なかなかに出來(でき)た代物(しろもの)。
【總評(まとめ)】:
紀尾井町鮨 はしぐちとの所縁(ゆかり)・繋(つな)がりを訊(たづ)ぬるに、
主(あるじ)、「知(し)らぬことゝは云ひながら、多畏(おそれおほ)し」と縮(ちゞ)こまること頻(しき)り。
大言壯語(だいげんさうご)せず謙虚(ひかへめ)なるは壽司處 壽々藤居親方(あ●き)に似(に)たり。
値(ね)に比(くら)べて味(あぢ)の佳(よ)きこと、件(くだん)の壽司處 壽々に肉迫(せま)る。
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*)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E6%9B%B2%E7%82%B9
鮃(ひらめ)
眞鯖(まさば)
墨烏賊(すみいか)
黒北寄貝(くろほつきがい)
鮪(しび)
鮪(しび)、赤身(あかみ)に近き脂身(あぶらみ)
能登(のと)の眞鯛(まだひ)
墨烏賊(すみいか)
淡路(あはぢ)の眞鰺(まあぢ)
鳥貝(とりがひ)
鮪(しび)
鮪(しび)、脂身(あぶらみ)
小鰭(こはだ)
車蝦(くるまえび)
穴子(あなご)
海苔巻(のりま)き
眞鰺(まあぢ)
床伏(とこぶし) 【別向き】
鮃(ひらめ)
赤貝(あかゞひ)
墨烏賊(すみいか)
縞蝦(しまえび)
小鰭(こはだ)
鮪(しび)赤身(あかみ)に近き脂身(あぶらみ)
鮪(しび)脂身(あぶらみ)
眞鰺(まあぢ)
穴子(あなご)
眞鯖(まさば)
床伏(とこぶし)
海苔巻(のりま)き
海苔巻(のりま)き
甘酢漬(あまずづ)け生姜(はじかみ)
この日の電波櫓(でんぱやぐら)百六十四丈三尺(497m)
普請(ふしん)の電波櫓(でんぱやぐら)
車蝦(くるまえび)
縞鯵(しまあぢ)
墨烏賊(すみいか)
小柱(こばしら)
ほどよき脂身(あぶらみ)の鮪(しび)、所謂「中とろ」
小鰭(こはだ)
穴子(あなご)
未醤椀(みそわん)
鐵火卷(てつくわま)き
鯖(さば)-(一)
鯖(さば)-(二)
電波櫓(でんぱやぐら) 八十七丈一尺(264m)
電波櫓(でんぱやぐら) 八十七丈一尺(264m)
2012/07/10 更新
五年(いつとせ)ぶりの『橋口』。
馬道(うまみち)沿(ぞ)ひ、
辯天山(べんてんやま)近傍(ちかく)に移轉(うつ)りてより初(はじめて)。
この夜(よ)、橋口(はしぐち)親方(おやかた)の弔(とむら)ひに、、。
總檜(そうひのき)の數寄屋造築(すきやづくり)。
かゝる見事(みごと)なる建築(たてもの)、
東都(えど)の鮓店(すしや)では『しまだ鮨』と雙璧(ふたつながらにならびたつ)。
いや、あるいは、こちらが上手(うはて)か?
赤坂(あかさか)、向島(むかふじま)の料亭(れうてい)竝(なみ)の設(しつら)へ。
都(すべ)て、故(いまはなき)橋口親方(はしぐちおやかた)が嗜好(このみ)。
この舎(いへ)を守(まも)るは、
二代目(にだいめ)奧親方(おくおやかた)と先代御内儀(さきつおかみ)。
櫃臺(かうんた)は檜(ひのき)の一枚板(いちまいゝた)。
厚(あつ)さと柾目(まさめ)の通(とほ)りこそ『小笹壽し』に不及(およばね)ど、
平滑(なめら)かさでは、東都一(えどでめてにいづるものなし)。
「糠(ぬか)での手入(てい)れを懈(おこた)ることなし」と胸(むね)を張(は)る。
「下手味(げてみ)」と見做(みな)すなら、かゝる設(しつら)へは野暮(やぼ)。
しかはあれど、徳川時代(とくがはさまのみよ)、
第(やしき)構(かま)ふるほどの舖(みせ)"は、
現在(いま)とは比較(くら)ぶるべくもない貴價(たかね)で知(し)らる。
すなはち、
安宅(あたけ)『松が鮓』、兩國(りやうごく)『與兵衞鮓』などなど、、。
『松が鮓』は金澤(かなざは)『松乃鮨』にその技藝(わざ)を留(とゞ)め、
『與兵衞鮓』は『喜壽司』に華(はな)やかなりし頃(ころ)の俤(おもかげ)。
勿論(いふまでもなく)、
橋口親方(はしぐちおやかた)は、
淺草象潟町(あさくさきさかたちやう)『高勢』の出身(で)。
『高勢』高橋親方(たかはしおやかた)は去年(いぬるとし)鬼籍(おなくなり)に、、。
橋口親方(はしぐちおやかた)が兄弟子(あにでし)紺野親方(こんのおやかた)が、
『淺草 高勢』の暖簾(のれん)を守(まも)る。
場所(ところ)は、かつて『橋口』在(あ)りし雷門(かみなりもん)近傍(ちかく)。
『高勢』三代目(さんだいめ)の倅(せがれ)が根岸(ねぎし)『明 高勢』。
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『高勢』:
初代(しよだい)根岸(ねぎし)に廛(みせ)を構(かま)ふ。
初代(しよだい)倅(せがれ)兄(このかみ)二代目として後繼(あとをつ)ぐも、
泡沫(うたかた)の夢幻(ゆめまぼろし)と儚(はかな)く消(き)ゆ。
→『新高勢』:初代(しよだい)の倅(せがれ)が弟(おとうと)、
淺草(あさくさ)象潟町(きさかたちやう)に店(みせ)を構(かま)へ、
後(のち)に『高勢』を襲名(なのる)。
三代目(さんだいめ)なれど、2016、鬼籍入(うせぬ)。
→『橋口』:『新高勢』(後の淺草『高勢』)に弟子入(でしい)り。
雷門(かみなりもん)近傍(ちかく)に店(みせ)を構(かま)ふ。
後(のち)、馬道通(うまみちどほ)りに移轉(うつりぬ)。
橋口親方(はしぐちおやかた)、2017-03、死去(うせぬ)。
奧親方(おくおやかた)が『橋口』二代目(にだいめ)に、、。
→『淺草 高勢』:紺野親方(こんのおやかた)。
三代目(さんだいめ)の弟子(でし)。
→『明 高勢』:高橋明義親方(たかはしあきよしおやかた)
三代目(さんだいめ)の倅(せがれ)
→『大塚高勢』:初代(しよだい)が弟子(でし)、
大塚(おほつか)に店(みせ)を構(かま)ふ。
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この日(ひ)の菜譜(こんだて)は、
"餚(さかな)"一(ひとつ)、"握鮓(にぎり)"十二(とあまりふたつ)、
"卷物(まきもの)"一(ひとつ)に玉薤(さけ)。
對價(あたひ)、一萬二千圓也(いちまんにせんゑんなり)。
眞子鰈(まこがれひ)、小鰭(こはだ)、墨烏賊(すみいか)、鮪(しび)、
鮪(しび)、肥肉(あぶらみ)、蛤(はまぐり)、車蝦(くるまえび)、
黑鰒(くろあはび)、赤鯥(あかむつ)、眞鰺(まあぢ)、星鳗(あなご)、
雞卵燒(たまごやき)、鐵火卷(てつくわまき)、と云ふ構成(ながれ)。
嘗(かつ)ての『橋口』と比較(くら)べ、
歴然(あきらか)に舎利(すしめし)の色(いろ)と味(あぢ)が變化(ことなる)。
米酢(よねず)から紅酢(あかず)へ變貌(かはりぬ)。
與兵衞(よへゑ)に米酢(よねず)を混合(まぜあは)せたるものとか、、。
甘蔗(さたう)も以前(まへ)よりさらに抑(おさ)へ、
鹽(しほ)と同量(おなじかさ)に、、。
口(くち)に抛込(はうりこ)むや、鳳仙花(ほうせんくわ)のごとく四散(とびち)れど、
滑(なめ)らかさは纔(わづ)かながらも後退(しりぞく)。
舎利(しやり)は扇(あふぎ)の地紙形(ぢがみがた)に成形(とゝのへら)れ、
米粒(こめつぶ)一粒一粒(ひとつぶひとつぶ)が屹立(そゝりたつ)。
鮨種(すしだね)との調和(つりあひ)・嵌合(かみあはせ)も良好(よ)く、
生來一身同體(うまれながらにひとつ)と云ふも、あながち嘘僞(うそいつはり)ならず。
鮨種(すしだね)への熟成(うらし・ねかし)を嫌(きら)ふこと、
宛然(あたかも)、吸血鬼(ちすひをに)が陽光(ひのひかり)を忌避(さ)くるがごとし。
とは云へ、鮪(しび)は七日目(なのかめ)、
蛤(はまぐり)は漬込(とけこ)みて翌日(つぎのひ)と云ふ配慮(こゝろくばり)。
朝締(あさじめ)の"眞子鰈(まこがれひ)"も、
「鮓(すし)には硬(かた)きに過(す)ぎ不適(むかず)」
とて、刺身(さしみ)に、、。
味(あぢ)淡(あはし)と云へど、その齒應(はごたへ)には絶句(ことばをうしなふ)。
"鰒(あはび)":
西洋時辰儀(せいやうどけい)にして三時間(さんじかん)、
酒(さけ)、鹵(しほ)、昆布(こんぶ)のみにて蒸煮(むしに)となす。
風味(あぢかをり)・食感(はごたへ・したざはり)とも理想的(このうへなきもの)。
對照的(これとはことな)り、
"蛤(はまぐり)"への火候(ひいれ)は最小限(かすか)。
嫩(やはらか)にして舌(した)に滑(なめら)か。
同(おな)じ貝類(かひのたぐひ)でも、これほどまでの相違(たがひ)。
"車蝦(くるまえび)"には優(やさ)しき甜(あまみ)を随伴(ともなふ)。
「"黄身酢魚鬆(きみずおぼろ)"の類(たぐひ)」との説明(はなし)。
實言(まこと)、かの『奈可久』ばり。
小人(それがし)、"茹上(ゆであげ)"を嗜好(この)むも、これはこれで吉(よし)!
『高勢』とは明確(あきらか)に異形(こと)なる"雞卵燒(かひごやき)":
所謂(よにいふ)「蛋糕燒(かすていらやき)」。
卵白(しろみ)は泡立(あはだ)つほどに攪拌(かきまぜ)、
具(ぐ)に、甘鯛(あまだひ)、芝蝦(しばえび)、薯蕷(やまいも)、胡桃(くるみ)。
その嫩(やはらか)きこと、
棉花糖(マシュマロ)かと疑(うたが)はれ、蛋奶酥(スフレ)かと錯覺(あやまつ)。
甜(あまみ)は『高勢』より控(ひか)へめ。
「先代(さきつおやかた)と試行錯誤(さまざまにこゝろみた)る賜物(たまもの)」
とは云へ、
小人(それがし)が口(くち)には、『うを徳』のそれが優越(まさる)。
甜(あまさ)、燒(やき)、適度(ほどよ)き硬(かた)さ、、。
『與志乃』一門(いちもん)、『壽司幸』また美味也(よきあぢなり)!
『さいとう』同樣(とおなじく)、
缺點(たらざるところ)・瑕疵(かけたるところ)なきは立派(みあげたもの)。
さはあれ、『初音鮨』、『豬股』、『やまだ』のごとく、
驚天動地(よをさはが)し、常識(しきたり)を顚覆(くつがへ)すほどのものもなし。
辭別(いとまごひ)に當(あ)たり、
先代(さきつおやかた)の靈前(たましひ)に線香(せんかう)を手向(たむ)く。
酒好(さけず)きの橋口親方(はしぐちおやかた)の顏(かんばせ)を追憶(おも)ひ、
感慨一入(こゝろはゆれ、おもひいだすことおほかりき)。
さはあれ、「この設(しつら)へ、管待(もてなし)ぶり、味(あぢ)で、
この價格(ね)は破格(おどろくほどのやすさ)」と斷言(いひきる)べし。
小人(それがし)、 日常利用(ふだんづかひ)の鮓店(すしや)として、
餚(さかな)なら『うを徳』、鮓(すし)なら當家(こちら)『橋口』を選擇(えらむ)。
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