タイの洪水は、永い滞留期間のうえ、ようやく終盤となる局面に入りました。
原因はダムの放流ですが、ダムの放流につながったのは、乾期にダムの満水(貯水)を求めてきた歴史風土に帰着します。
雨季が始まると、タイの巨大ダムは貯水を開始し乾期の農業事業に備え始めます。
琵琶湖より大きいダムが複数存在するこのタイで、ダムは治水ではなく貯水のために建設されてきました。
乾期の干ばつで何人もの大臣の首が飛ばされてきた歴史が、貯水の重要性を高めました。
今年、規模と期間において歴史的に想定外だった豪雨は、ダムの水位を決壊寸前まで上昇させ、結果、豪雨のなかの放流という皮肉な大洪水を引き起こさざるをえませんでした。
今後は、治水にも配慮した貯水が求められるでしょうが、バランスが難しく、為政者は叱られることはあっても褒められることはますます激減するでしょう。