2回
2014/02 訪問
小樽最古の酒屋 創業123年の幕が下ります
マイレビュアーでおられる、ふるふるさんやリチャード1958さんが「角打ち」のレビューをされていたことがある。
なるほど、酒の小売屋での立ち飲み=角打ち ってのはこんなもんかあと思っていた。
あれっ?
したっけ、小樽にもこんなのあるしょや!
ということで、歴史ある小樽・角打ちのお店を、酒を満足に呑めない私がレビューに参じたということをまずはお詫びしたい。
真っ昼間からコップ酒という、めたぼ始まって以来の出来事なのである。
街の中心部からやや外れたところではあるが、車の行き来が多い一角に佇まいする、なんとも古い酒屋さんである。
このところの多い雪のせいであろうか、古い引き戸のレールの部分には雪がかんでしまって、うまく開き閉めするのが難しい。
お店の中に入る。
お店のおじいさんが、店の角の事務机でなにやら伝票の整理をしているようだ。
「ごめんください。」
「はいぇらっしゃい。」
「お酒を一杯のみたいんですけど。どのように注文すればよいですか?」
「お酒は、これ(日本酒)と焼酎と缶ビールがありますよ。」
「それじゃあ、日本酒いただけますか?」
酒は呑めないと豪語しているこの私が、昼間っからの日本酒である。
ワンカップや缶ビールという手もあったが、ここは場の雰囲気というものがある。
ううう・・・命がけだぞ、こりゃあ・・・
とりあえず家で昼メシは食った。
あんかけ焼きそばである。
小樽ではAKY(あんかけやきそば)48という町おこしをおこなっている。
しかし私にとっては、その店のほとんどが「ウズラの卵」が載せられていないのである。
なんでさ。なんでだべかなぁ~。
相方もそう思ってるらしく、我が家でのあんかけ焼きそばはウズラの卵が必ず載る。
今日は5つもだ。
・・・とまあ、そんなことはどうでもよい。
とりあえず空腹ではないということ。
悪酔いは少しでも避けたいというのが本心である。
店主からカウンターの上に置いたコップに一升瓶のお酒を注いでもらう。
これが升酒なら「角打ち」にぴったしなのであろうが、皿をひいていないコップに注いでもらっただけでも臨場感にあふれている。
この一角でお客たちは、コップ酒片手にどんな会話をされていたんだろうか。
何十年も使い込まれた丸い角のカウンターからは、さらに円熟というかたちになっているのがよくわかる。
「このお酒はなんですか?」
酒の知識はわからない私。
「この酒は、本醸造の“北の王”ってやつ。」
一升瓶のラベルを見ると、“日本清酒”という札幌の醸造所である。
人生初の 「角打ちコップ酒 in 真っ昼間」を体験することにしよう。
ひと口、キュッとやる。
口に含む。
ううぅ~ん、酒じゃこりゃ。(当たり前だろうが・・・)
酒のことはわからんがここは食べログのレビューをしなきゃいけない。
えーと・・・
日本酒は甘口とか辛口とかフルーティとかあるみたいだけど、この“北の王”というのは辛口。
だって、甘くないんだもの・・・。
コップの飲み口のところがベトベトせず、すっきりとしている。
重たくない。
きっとこういうお酒には、“アテ”があると呑兵衛たちは喜ぶのであろう。
「すみませんが、何か口にするものあるでしょうか?」
「えっとねぇ、 6Pチーズとサンマの缶詰とソーセージ。」
6Pチーズ を注文です。
うわあ、懐かしいなあ、このチーズ。
スーパーで売っているのは知ってるけど、なかなか家で食べることはないもんなあ。
遠足のおやつ以来だなあ、こりゃ。
味は、コクのあるナチュラルチーズ。
昔から変わんない味である。
そっかあ、これが酒のアテかぁ。
「この店は、今月(2014年2月)いっぱいで終わりさあ。」
はあ??? なんていいました?
「なんでなの?」
「もう赤字でさぁ。赤字、赤字。 やってられないもん。 いま店ん中、在庫整理でさあ。」
ということは、あと5、6日で閉店ということ?
確かにお店の陳列棚には、わずかなお酒しか残っていない。
「小樽の歴史的建造物じゃないから、ただ古いだけの建物でね。でも観光客はよくうちの前で写真撮ってるわ。」
「このお店は、いつ頃から始められているんですか?」
「明治24年さ。小樽で一番古いんだよ。もう120年くらいなんだべかね。
昔は250件あった酒屋も 今では120ぐらいになっちまったなあ。」
常連のオヤジさんが入ってきた。
勝手に取り出したコップに、店主が瓶に入ったお酒を注ぎ入れた。
素晴らしい 阿吽の呼吸である。
「もう(閉店まで)秒読みだなあ。」
「日曜日休みだから、、、あと五日だねえ。」
どうやら店主が言っていることは本当のことのようだ・・・。
常連さんは5分もいただろうか。
「したっけねえ。」(北海道弁= ⅰ:また今度ね。さようなら。 ⅱ:そうしたら )
と言って帰って行った。
角打ちには、こういうスタイルもあるのだろう。
見事な、ちょっと一杯 である。
私は長居しているのだろうか。
もうひとつお腹の足しになるものを頼んだ。
「サンマの缶詰」である。
店主さんが蓋を開け、爪楊枝を刺してくれた。
食べるために必要最小限の道具である。
なるべく具が細かくならないうちに気を付けながら、爪楊枝一本でサンマを釣り上げる。
残ったコップの酒で、釣ったサンマを胃の中へ流し込む。
そろそろ帰ろうか。
店主さんは、店の角の事務机で仕事を続けている。
「すみません、お勘定お願いします。」
五つ玉のソロバンを眺め、「435円。」
「お酒一杯、おいくらですか。」
「200円ですよ。」
清酒一杯・・・200円
6Pチーズ・・・85円
サンマの蒲焼缶詰・・・150円
これで合計 435円 のようである。
財布の中の小銭を集めた。
「どうもごちそうさまでした。」
店主は、いつの間にか机に向かったまま 「はい。」 と言ったっきり。
これも角打ちの不変のスタイルなのであろう。
余韻に浸れば浸るほど、このお店の行く末を案じてしまう。
と言っても、あと数日で酒屋の歴史は終わってしまう。
時代の流れが、一軒の酒屋の末を塞いでしまったのか。
小樽で一番古い酒屋さんという歴史に触れたことへの感謝。
なんとかお店を残すことができないかというのは、通りすがりのお客が勝手に抱いた感情だけのものなのか。
あとは、この決断を下した店主さんのご健康をお祈りするばかりである。
家に帰ると相方から
「赤い顔だねえ。」 と笑ってました。
まあ、いろいろと興奮しましたからね。
お酒をコップに注いでいただきました。
清酒一杯と6Pチーズ
使い込まれたカウンターです
店主さんの定位置
お会計は 435円
棚に残っていた商品
お客さんの「ボトル」であろう
カウンター
以下、カラーの写真でも、セピアです
うまいお酒 「正宗」の看板
まだまだ元気な店主さんです(^^)
2014/02/28 更新
北海道の2月はまだまだ真冬なのであるが、暦的に立春を過ぎると雪に湿りを帯びる日が多くなってくる。
道路もアスファルトが顔を出すことが多くなり、「乗り鉄」ならぬ「乗りバイク」の僕は、小樽市内でカブ散歩。
さすがに寒くなってしまった。
家に帰る前に目に留まったのが、石川源蔵商店。
先代が亡くなり、今は息子さんが昔のスタイルでお店を守ってくださっている。
ここは、立ち飲み「角打ち」スタイルのお店。
まずは入場料として200円。
これは新しい料金ですね。
お店のなかを暖めるには灯油代だってかかります。
このフィーのなかに、おつまみ一点が含まれ、チーズを一個選んだ。
飲みものは、ウーロン茶を温めてもらいました。
バイクで冷えた体に、一杯200円の温かいウーロン茶。
入場料を加えても400円というのは、たいへん有難いことである。
ふううう、、、温まったぁ~~
家路につきます。
今度はお酒を飲みに来ますから。
バイクに乗るより命がけかもしれませんが(笑)