3回
2024/02 訪問
瑞々しい椿もち
そういえば一幸庵さんのうぐいす餅を食べていなかったと、一幸庵さんへ行く。
ついでとばかり椿もちも購入するが、そもそも田舎育ちなので、椿もちなどなじみがない。
おまんじゅうに椿の葉っぱで巻いた位の物かと思っていたのだが、とろけるほどの漉し餡を羽二重もちで包み、その形を維持させるために錦玉羹を薄くかけているのだそう。
なんと!薄くかけたという錦玉羹。
他所だったら寒天の食感がわかりそうなものだが、艶やかなもちを口すると、それは瑞々しく繊細な作りで、自分の中のもち菓子という世界観が良い意味で崩れた!
しかも椿もちは平安時代から親しまれていたとは、存在感あふれる小豆の入った黄緑色のきな粉にまぶされたうぐいす餅が、かすんでしまった。
ちなみに、うぐいす餅は、豊臣秀吉がお茶会に招かれた際に献上された菓子で、見た目がうぐいすに似ていることから命名されたらしい。
椿もちの余韻の中、薯蕷練切『春野の香』を口にすると、んっ????もしや、ふきのとうを模したような練切で、雌しべの部分にほんのりと苦みを感じたのだが、これは気のせい?
もし意図しているとしたら、甘さの中に苦みを入れるなんて・・・・恋しちゃいそう☆
ともかく一幸庵さんのおかげで、また和菓子の奥深さを知るのであった。
椿もちとうぐいすもちは写真がイマイチだったので、写真は『春野の香』だけです。
2024/03/03 更新
2024/01 訪問
淡雪のような花びら餅
わらび餅で有名な一幸庵さんだが、個人的には、こちらの花びら餅がどのお菓子よりも一番印象に残った。
もともと甘く煮たごぼうをはさんだ花びら餅が苦手だった。
こちらの花びら餅は、箱のふたを開けたそばから、ごぼうの良い香りがします。
お餅の表面は白く滑らかで見るからに上品な一品とわかります。
お餅を一口口にすると、良くあるお餅とは別物で、山芋が入っているのかマシュマロのようなふわふわとした食感。
中の味噌餡は、お味噌の塩気の塩梅がなんとも言えず、ごぼうとうまく絡んでおり、甘く煮たごぼうは柔らかくはあるが、柔らかい餅と共に口にすると、良い歯ごたえがアクセントとなっています。
一見地味な印象ですが、白い餅の中には、小豆汁で染めたピンク色の餅が挟まれており、なんだか初々しいものを感じます。
作り手の想いの込められた、これほどの和菓子を口にできることを心から感謝したい気持ちにさせられ、新春の心持を静かにすることができ余韻に浸るのでした。
2024/01/06 更新
彼岸の中日、思い出したように一幸庵に向かいます。
お目当ては、おはぎ。
一幸庵のおはぎは、
黒ゴマ
金ゴマ
粒あん
こしあん
きな粉
の5種類
無理が利かないこの頃、黒ゴマ、粒あん、きな粉の3種類を購入。
家に帰って箱を開けると、3種の香りがとっても良い!
お供えするも、香りの誘惑に勝てず、早々に口にしてしまう。
若干小ぶりで品の良さが伝わってくるおはぎは、もち米が思いのほか硬めに炊かれています。
見るからに艶やかな粒あんは、ゴマやきな粉と比べると粗野な佇まいですが、一幸庵のいつものあんこ。
ゴマは、他店と比べると気持ち細かくすられているかなと言った印象。
薄っすら均一にまぶされてはいますが、しっかりゴマの味わい。
きな粉も同じく、薄っすらまぶされていますが、きな粉の美味しさに包まれます。
大切なものを忘れず良かった。
まだ暑さ残る日が続く中、おはぎを口にして季節の移ろいを感じるのでした。