レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2015/12訪問 2016/01/17
学生時代から利用させて頂いております。
今ではネットや雑誌などで絶賛され、休日は行列ができるほどの超有名店となりましたが、2003年頃まではお客は比較的まばらな印象でした。
初めてわらび餅をオーダーしたとき、女将さんが「先日、来○けいさんがバケツ一杯くらい食べたいと言って帰られました」と仰り、「○栖けいって一体誰だろう」と思ったことを思い出します。
お店は閑静な住宅街裏にひっそりと佇んでおります。
暖簾を潜り、庭石畳を歩むと、ここは改めて京都なのだと実感させられます。
格子戸を開き、靴を脱いで広い畳座敷に案内されると、全面ガラス張りの窓から中庭を眺めることができます。
苔生した地面に美しく刈り込まれた玉物、風情のある蹲や石灯籠等が配され、実に見事なお庭です。
季節によって四季折々の表情が加わるので、何度訪れても飽きることはありません。
ここで供されるのは、いずれも素晴らしいお庭に遜色のない上質な和菓子と飲み物ばかりですが、とりわけ名物「わらび餅」は絶品です。
国産の本わらび粉のみが使用され、オーダーを受けてから作られるというこだわり様です。
1人前は5つで\1,100ですが、5つだとあっという間に平らげられてしまう割には高いというのが最初の印象でしたが、自分なりの味わい方を確立した今では、むしろ安いと感じております。
「自分なりの味わい方」とは、1つのわらび餅を2分程かけて噛み続けるだけなのですが、これで2分×5つ=トータル10分間、変わり行くわらびの味わいを存分に愉しむことができます。
口にした瞬間は本わらび粉の清清しい風味が鼻を抜け、暫くは上質な刺身蒟蒻のような歯応えが堪能できます。
その後、噛めば噛むほど徐々にでんぷんが変質し、甘味が増していきます。
個人的には、黒蜜は敢えて必要ないと思います。
最後は液状に溶けて無くなってゴクリ・・・よろしければ一度お試し頂きたいと思います。
席を立ったり座ったり、庭園を隅から隅まで観賞し、濃いお抹茶も併せてじっくり楽しめば、延べ1時間弱の滞在となります。
お庭の拝観料を\300くらいと考えれば、もっとお得感を実感できますね。
個人的には、夏の夕立のあと、こちらで夕涼みをして帰路に就くのが一番好みです。
私にとって最も居心地の良いと思える茶寮のひとつです。
3位
1回
2016/01訪問 2016/03/19
ハンター坂を少し上がったところに位置する雑居ビル2階のバーラウンジ。
道沿いから店内の様子を窺い知ることはできないので、最初は躊躇していましたが、いつも窓からこぼれ出ている雰囲気の良いオレンジ色の光に惹かれ、意を決して入店したのが最初でした。
階段をのぼると、立派なガラス張りのドアがお目見え。
その先には想像以上に広く美しい空間が広がっております。
店内は分厚い立派なカウンターにテーブル席が2つという構成、カウンター奥に並べられたボトル後ろには竹の木で造られた壁が配されており、和の要素も見られます。
一方、テーブル席には一輪の美しい生花が活けられ、先ほどのオレンジ色の光が全てを温かく包み込む雰囲気は大変ムーディーでスタイリッシュです。
サービスはお若いマスターとスタッフがお二人で担当されており、最初に好みなどを聞いて下さいます。
私は定番的なものよりもそのお店オリジナルのものを頂きたいと思ってしまう性格なので、マスターに色々伺ってから、「今日はこんな感じで」とだけ申し上げて、あとはお任せしております。
私が特にお勧めしたいのは、フルーツを使ったカクテルです。
四季折々の旬のフルーツが常時6,7種類ほど用意されているのではないでしょうか。
喉ごしが本当に気持ち良く、清涼感満点のスイカのカクテル、ずっしり濃厚で自然の甘さの底力を改めて実感させてくれるマンゴーのカクテルなど、名品は沢山ありますが、なかでも私のお気に入りはバナナのカクテルです。
ジューサーでトロトロになったバナナジュースにブランデーで香りをつけた、ややデザート的要素が強い一杯ですが、瀬戸物の器に注いで木製のスプーンで頂くという意外性や、最後に霧吹きでブランデーをスプレーするという心にくい演出に、マスターの世界観が凝縮されています。
フルーツのカクテルは、好みによって如何様にでもアレンジして下さると思いますので、ご自身の嗜好をできるだけ詳しくお伝えすれば、最高の一杯ができあがることでしょう。
お酒とともに供されるおつまみのレベルの高さもまた特筆すべき点です。
ナッツ、イチゴとピスタチオのチョコレート、生チョコ、チーズ…等々日によって内容は異なりますが、いずれも強いこだわりが感じられるものばかり。
ナッツはふっくらと綺麗な丸みを帯び、歯応えもよく、瑞々しさすら感じます。
チーズは3年熟成されたという代物で大変濃厚、削られた一片を少しずつ大事に頂きたい一品。
ひとたび、これほどまでに美味しいおつまみを頂いてしまうと、コンビニで市販されているようなチョコレートやおかきを供されているお店ではなかなか満足できなくなってしまいます。
マスターは非常に腰が低く気さくな方で、お客のペースに合わせた心地良い接客をして下さいますが、独学でお店を開店されただけあり、一本筋が通ってらっしゃいますし、大変博学です。
神戸には様々なバーラウンジが数あれど、お酒、接客、空間と、これほど完成度が高いお店はそうはないと思います。
非常に素晴らしいお店です。
4位
1回
2011/01訪問 2015/04/06
今年10月に発売された「ミシュランガイド京都・大阪・神戸 2012」において、初登場でいきなり二つ星を獲得された日本料理のお店です。
開店は2010年9月、京都の二つ星・桜田出身のご主人は弱冠32歳。
中山手通の再開発により建設された大きなマンションの1階、分厚い木とガラスで構成された独特のデザインの入り口が一際目を惹きます。
まだ開店1周年を迎えられたばかりということで、真新しさが残る店内は、白木で統一され、木の香りが漂う、実に美しく、スタイリッシュな空間です。
凛と生けられた生花や、「紀」・「茂」・「登」と1文字ずつ屋号をしたため、掲額された書にもセンスの良さが感じられます。
BGMに流されているクラシック音楽もとても新鮮です。
席数は合計12席。
カウンター席が6席、2名用の半個室、4名用の個室から構成され、様々なシチュエーションに対応できます。
そのような瀟洒な空間で供されるお料理はいずれも美しい器に盛り付けられ、季節感を重視した、味も見た目も期待を裏切らない繊細な品々です。
新鮮な刺身は実に美味です。
身が締まり、旨味が凝縮されたヨコワ、まとわりつくような歯応えのハリイカなど、ご実家のお仕事柄、子供の頃から鍛えられたという目利きはさすがです。
丸くくり抜かれた金時人参、角材状に切られた大根、裏ごしされた莫大の実ととともに頂くのも、こちらならでは。
八寸は繊細で優美。
カステラ仕立ての卵焼きや百合根饅頭などの定番的な一品から、菜の花や無花果、そら豆、ナマコ、河豚など、四季折々の食材を用いた一品が色鮮やかに盛り付けられておりますが、複数名で伺えば、黒塗りの大きな長板で一斉に供されるので、より一層映えます。
毎度のことながら、卵焼きの濃厚かつ上品な甘さには舌鼓を打っております。
〆の食事では、精米したての新鮮なお米が釜炊きで供され、米本来の旨味を改めて実感させられます。
一緒に焼き魚や鴨ロースなどのおかずが添えられることも特徴的です。
一方で、期待するからこそ、あえて注文させて頂きたい点も。
というのも、総じて印象的なお皿が多いなか、炊き合わせなどは正直凡庸で印象に残りにくいものが多い気がします。
食事の前の小休止的な意味合いなのかもしれませんが、本来、日本料理で炊き合わせと言えば、板前さんの実力が試されるお料理だと思いますし、より完成度の高いものに仕上げていただかなければ、どうしても物足りなく感じてしまいます。
最後に、サービスについてですが、着物姿の若い女将さんが丁寧に接客して下さいます。
ご主人自らカウンターから出て来られて、お料理の説明をして下さることも。
お店を出る際には、ご主人共々お見送りして下さるなど、申し分なしです。
総じて、満足な食後感を得ることができるのですが、個人的には、二つ星という評価は時期尚早なのではないかと思います。
しかし、今後、より一層の精進と研鑽を重ねられることで、二つ星を磐石なものにし、さらなる高みを目指して頂きたいと思います。
5位
1回
2011/11訪問 2013/03/05
北野異人館街に程近い裏道に佇む隠れ家的な鶏料理のお店です。
お店は非常に判りづらい場所にありますが、白壁に木の扉、控え目に掛けられた暖簾が目印です。
店内は白木で統一されており、とても清潔感があります。
カウンター席が8席のみと狭小ですが、テーブルが広く、隣との間隔も余裕を持って取られているため、狭苦しく感じることはあまりないでしょう。
若いご主人と着物姿の女性スタッフのお二人で切り盛りされておりますが、お二人とも非常に感じがよく、好感が持てます。
お料理は、大分・湯布院の養鶏所で飼育された地鶏を使っており、「しゃぶ鍋」や「すき焼き」、「おまかせ」などのコースからアラカルトでのオーダーも可能です。
私はアラカルトで「刺身盛り合わせ」と「焼き盛り合わせ」を必ずオーダーします。
「刺身盛り合わせ」はモモや肝、ムネ肉などの様々な部位が、タタキや昆布〆などの様々な調理法で最も美味しい状態に仕上げられております。
特に、モモのタタキは、弾力がある身を噛み続けるうちに、肉が持つ本来の旨味を充分に堪能することができます。
脂が乗った香ばしい皮の風味も特筆すべき美味しさです。
「焼き盛り合わせ」は、カウンターに内蔵された特注の七輪でスタッフの方が丁寧に焼いて下さいます。
この七輪はほとんど煙が出ないので、狭い店内でも煙たく感じることはありません。
肝、ムネ肉、皮、ズリ、つくね、心臓など、こちらも様々な部位が並びますが、生の部分を少しだけ残しながら最も心地良い歯応えの状態で供される心臓や、焦げるか焦げないかのギリギリの状態で香ばしくカリカリに焼かれた皮など、ひとえに「焼き」といっても、部位毎に焼き方をしっかり計算して下さっているので、自分で焼きたいとは一切思いません…(笑)。
藻塩や荒塩、七味やゆず胡椒など様々な調味料を試すことができる点も嬉しいです。
〆には「鶏茶漬け」か「玉子かけご飯」でしょうか。
「鶏茶漬け」は澄んだ鶏スープが胃に心地良く沁み渡る一品。
一方、「玉子かけご飯」は素朴ながら、玉子の新鮮さが際立っており、どんどんかき込んでしまう美味しさです。
お会計を済ますと、ご主人自ら店先まで出てきて下さり、お見送りして下さいます。
最近は、カウンターのお店でも、お客に興味がない料理人の方が多いように思われますが、混雑していても極力見送ろうとして下さるこちらのご主人には逆に恐縮してしまいます。
「味良し」、「接客良し」に加えて、コストパフォーマンスもなかなかなので、お勧めできるお店のひとつです。
6位
1回
2011/11訪問 2012/02/21
京都ホテルオークラの裏手、高瀬川沿いに位置する創作中華のお店です。
今秋、発売された「ミシュランガイド京都 大阪 神戸 奈良 2012」では、初めて一つ星を獲得されました。
一風変わった店名は、お店がある地域一帯を「一之船入町」と呼ぶことに由来しております。
お店は元々お茶屋だった築80年の町家を改装してあり、大変広々とした贅沢な空間です。
部屋は畳敷き、襖で区切られており、様々な場面に応じて、少人数の個室にも大勢で利用できる座敷部屋にもなります。
お料理は、お昼がランチ(\1,500)に2種類のコース(「福コース」\3,500、「魏コース」\5,500)、夜は3種類のコース(「魏コース」\6,000、「船入コース」\8,500、「特別コース」\12,000)がメインですが、アラカルトでのオーダーも可能です。
特筆すべきは、質を重視するか量を重視するかで、値段はそのまま、コースの構成を変えて下さることです。
例えば、8品\6,000の「魏コース」なら食材の質を上げて、6品\6,000の「特撰魏コース」になるので、自分の舌とお腹に相談するのが良いでしょう。
お料理は実に繊細な盛り付けで、色鮮やか。
お皿にもこだわりが見られ、目でも楽しむことができます。
「創作中華」と言うだけあって、食材には、無農薬の京野菜や湯葉、クリームチーズ、トリュフなどといった和洋折衷の食材が用いられ、オリジナリティに溢れております。
正直、味に驚くような感動は覚えませんが、化学調味料の風味がしないので、総じて、安心感があり、優しい味付けに仕上がっております。
サービス面に関しては、ホスピタリティが高いスタッフの方が多く、申し分なしです。
電話での応対はとても丁寧ですし、料理の説明もしっかりして下さいます。
空いたお皿を下げるタイミングにも気遣いが見られますし、お手洗いから戻ると、その都度、熱いお手拭を渡して下さいます。
退店時には、シェフの皆さんが、こちらの姿が見えなくなるまで、笑顔でお見送りして下さると、嫌な気分になるはずがありません…(笑)。
以上、トータルで見ると、ミシュラン一つ星の獲得は、味も勿論ですが、それ以上にキャパシティとホスピタリティに拠るところが大きいのではないかと推測します。
今後も、味・サービス共に更なる向上を図って、京都を代表する中華料理のお店に成長して頂きたいと思います。
7位
1回
2015/08訪問 2015/09/20
ランチは大満足の内容ですが、本領発揮は夜のおまかせコースと推察します
2015.8
夜のコースを頂いたので、また改めてレビューさせて頂きたいと思います。
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飲食店やアパレルショップ、雑貨屋がここ狭しと建ち並ぶ新京極四条の裏路地にひっそりと佇む、小さな牛肉料理のお店です。
お昼のランチを頂きにお邪魔しました。
初めて小さいお店に伺うときには少なからず緊張しますが、暖簾を潜ると、温厚そうなご主人が笑顔で出迎えて下さいました。
店内は狭く、1階はカウンター8席、2階は3テーブル12席という構成。
メニューは「牛たんハンバーグ」(\1,500)、「牛ネックのシチュー」(\1,500)に「季節の野菜のハラミ丼」(\2,100)の3種。
今回は「牛ネック」という部位に惹かれ、シチューをオーダーしました。
シチューの前に、まず、小鉢と白ご飯が供されましたが、この日の小鉢はハツの塩漬け。
3切れと少量ながら、歯応えと塩加減が絶妙の美味しさで、ついついビールを追加オーダーしてしまいました。
その後、待つこと5分程、平たいお皿にセンス良く盛り付けられた赤茶色のシチューに付け合せの野菜サラダとポテトサラダが、赤出汁とともに供されました。
メインのシチューにはサイコロ状に切られたお肉がたっぷりと入っておりますが、よく煮込まれており、舌の上でとろける柔らかさです。
お肉の味も濃く、野菜の繊維が溶け込むドロッとした舌触りのデミグラスソースにも旨味・コクが充分に溶け出しており、深い味わいでした。
緩く仕上げられたポテトサラダ、薄味ドレッシングのかかった野菜サラダも付け合せとして絶妙です。
赤出汁はオーダーの都度作られているという丁寧さで、味噌の風味をしっかりと味わうことができました。
食後には、デザートとコーヒーが供されるのも嬉しいです。
この日のデザートは、チョコレートのわらび餅。
初めて頂きましたが、軽い口当たりが満腹の食後感に心地良く響く一皿でした。
総じて、充分に満足できる内容でしたが、夜は、様々な肉の部位を色々な調理法で10数皿少量ずつ供する「おまかせコース」(\6,500)1本のみとのことで、スタイルは全く異なります。
非常に興味深いので、是非、近いうちに再訪してみたいと思います。
8位
1回
2011/10訪問 2013/03/05
野菜にこだわる万能ビストロ…コストパフォーマンスもなかなかです
中目黒駅から5分ほど歩いた半住宅街に佇む隠れ家フレンチレストラン。
2階建ての白い洋館風の建物とエントランスに配された蒼々と茂った植物が、童話にでも出てきそうな可愛らしい雰囲気を演出しています。
店内は1階のテーブル席・ソファー席がメインで、2階まで吹き抜け構造となっており、とても開放感があります。
間接照明が心地良く、壁にはポップアートの版画やモノクロ写真がセンスよく配されていて、実にスタイリッシュな空間です。
ホールは2人の男性スタッフが担当されていらっしゃいますが、コース・アラカルトの組み立て方からワインのセレクトまで、その都度的確なアドバイスをして下さるので、安心してオーダーができます。
接客も大変丁寧なので、非常に好感が持てます。
フランスでの修業経験が豊富なベテランシェフによって供されるお料理は、基本に忠実で安定感があります。
特筆すべきは、いずれのお皿においても、野菜が主役級の役割を果たしていることです。
サラダなどの前菜は勿論のこと、メインの牛ホホ肉の赤ワイン煮込みやシャラン産鴨のステーキ、ホタテのソテーといった肉・魚料理にも厳選された新鮮な季節の野菜がたっぷりと添えられております。
どの野菜も本来の滋味・旨味がうまく引き出されるよう丁寧な下ごしらえが施されており、付け合せの域を完全に脱しております。
特に、オードブルの盛り合わせは、パテや生ハム、魚のカルパッチョのまわりを彩る甘いトウモロコシや瑞々しいプチトマト、弾けるような歯応えのエンドウ、ソテーされて旨味を増したズッキーニなど様々な野菜たちが主役となる一皿で、私の一番のお気に入りです。
また、いつも〆に頂く炊きフォアグラの炊き込みごはんはアルデンテの香ばしいお米と柔らかいフォアグラのコンビネーションが絶妙ですが、一緒に炊かれてスープを沢山吸い込んだ大根と本来の甘味が最大限まで引き出されたネギの存在がこのお皿の完成度を一気に高めています。
いずれのお料理もポーションが充分にあり、コストパフォーマンスが素晴らしいです。
この界隈の他のビストロで供されるお料理と比べても、遥かに安く感じます。
総じて、野菜好きな女性にも、充分な量を食べたい男性にも、また、肩肘張らず普段使いにも、ここぞというデートにも利用することができる万能ビストロだと思います。
9位
1回
2011/07訪問 2013/03/05
中目黒駅から10分程度歩いた東山の坂道。
道沿いにひっそりと佇む一軒家の隠れ家ダイニング。
私にとって、上京当時は憧れのお店でした。
道に沿って設けられ、独特の意匠が施されたコンクリートの壁に覆われた外観は、一見して飲食店とは判別し難いと思います。
狭小で急な階段を上がると、眼前に広がる水生植物が茂った正方形の池と大きなガラス窓。
この幾何学的な空間構成がシンプルながらも何ともスタイリッシュで、初めて伺ったときから私は虜になりました。
「新しい和風」という感覚を私に芽生えさせてくれたのです。
入店すると、若い男性スタッフが愛想良く出迎えて下さいます。
必ず一旦はウェイティングスペースに案内されるのですが、私にとって、この「溜め」が深呼吸の間であると同時に、期待感を高ぶらせる間であり、堪りません。
店内は薄暗く、間接照明の明かりが非常に心地良い空間です。
BGMなどはなく、静かに時が流れます。
席はカウンターとテーブル、個室もあります。
カウンター席は隣との間がそれほど広いわけではありませんが、厚い白木のカウンター越しに調理の様子を楽しむことができます。
テーブル席はカウンター席から階段を数段下りたところに配され、スタッフの方が全体を見渡しやすいと同時に、お客が高い天井をより高く、店内をより広く感じられる造りになっております。
大きなガラス窓からは星空が覗いており、借景の技法が生かされていて、実に計算し尽くされた空間構成です。
お料理についてですが、アラカルトコースが\5,000から、単品でもオーダーでき、この立地、この空間を考慮すると、比較的リーズナブルなのではないかと思います。
メニューはお刺身やサラダなどの定番的なものから馬刺しなどの郷土料理的なものまで用意されています。
正直、日本料理として見ると上質と言えるかは個人的に疑問ですが、ダイニングとしては充分に合格点だと思います。
例えば、鶏鍋はプリプリの皮付き切り身とふっくら大振りな鶏団子に甘い葱を合わせ、醤油ベースのあっさりスープで炊き上げた実に完成度の高い一品。
隠れメニューの出し巻きは、玉子焼き器で焼き上げられ、そのまま供されているのでしょうか、ふっくら大振りでほんのり甘味が効いていて、つい毎回オーダーしてしまいます。
季節の食材にこだわったメニュー構成は変化に富み、飽きることがありません。
加えて、器のセンスが実に良く、お料理との相性も抜群、目でも楽しむことができます。
総じて、大切な人とゆっくりじっくりと非日常のなかで食事がしたい時などには、もってこいのお店だと思います。
階段を降りると、下にはラウンジスペースもあり、様々なシチュエーションでの利用法が考えられ、重宝するでしょう。
10位
1回
2015/01訪問 2015/01/24
六角通御幸町の街中にひっそりと佇むオーセンティックバー。
和食ラウンジの入り口のような雰囲気が漂う細い石畳の小路へ歩を進めると、和風の引き戸がお目見え。
引き戸を引くと、向かって右手、カウンター越しにマスターとスタッフの方が迎えて下さいます。
京町屋を改装した店内は広く、カウンター席以外に、奥には半個室、さらに奥には畳個室のはなれがあるので、様々なシチュエーションで利用することができます。
中央には石灯籠が配された中庭があり、いかにも京都らしい風情を演出しております。
大きなBGMはなく、お客の会話が心地良く静かに響いていて、都会の喧騒にいることを忘れさせてくれます。
東京・銀座の有名店で修行されたというマスターが供するドリンクはいずれもすっきりとした味わいで、とても飲みやすいです。
とりわけフレッシュフルーツを用いたカクテルに定評がありますが、なかでもお気に入りは酢橘を使ったカクテル。
ウォッカベースで仕上げられ、ザクザクした氷がコップ一杯に入っており、酢橘の酸味・甘味が実に心地良い後味を残します。
また、昼間は元々カフェとして営業されていた名残りから、コーヒーなどのソフトドリンクにもこだわっていらっしゃる点は特筆すべきでしょう。
素敵な京都の夜を演出して下さるお店のひとつです。
1997年に銀閣寺道で開店されて以来、昨年度のミシュランでは二つ星を獲得、今や世界中が注目する京料理の店となった「草喰 なかひがし」。
店内は1階カウンターに12席、2階に座敷が2部屋という小さなキャパシティに対し、電話が殺到、予約は半年先まで満席状態と聞きます。
幸運にも、そんな世界的有名店に仕事の関係でお邪魔することができました。
「草喰」という名に違わず、供されるお料理は、ご主人が早朝に洛北・上賀茂麓の畑で採られた自然の野草や野の花等をふんだんに用いた、野趣溢れるものばかりです。
ご主人の丁寧な解説を伺いながら一皿一皿を味わっていると、まるで自分が野原を闊歩しているような臨場感を覚えるのも、「摘草料理」ならではの醍醐味ではないでしょうか。
この日は甘草、芹、蕨、田螺(タニシ)に鯉…等々、少なくとも昔の日本人にはもっと身近であったのに、今ではあまり頂くことがない食材の滋味・旨味を堪能しました。
また、デザート前に供される〆に白ご飯と丸干、この日本人なら誰もが一度は口にしたことがある素朴な料理に、メイン料理級の感動を覚えてしまいました。
これは他店では決して経験できないことだと思います。
総じて、ミシュランの二つ星は妥当だと思いますし、今後はそれ以上の評価を得られることになる可能性も充分にあると思います。
ただし、個人的な感想を述べさせて頂くと、野趣溢れる食材の味がストレートに出たお料理なので、好き嫌いは分かれると思います(ほとんどの方の口コミが一様に高評価なのはとても意外ですが)。
特に、お酒が飲めない方や甘口嗜好の方にはちょっとツライのではないでしょうか。
私に限っていえば、「美味しい」と心底満足できないお皿があったことも事実ですが、原因が自分の舌の未熟さにあることは明白でした。
もっと経験値を積んでから再挑戦したいと考えております。