レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2015/06訪問 2015/09/05
地下鉄・県庁前駅から徒歩10分程、マンションの地下1階に静かに佇む日本料理店です。
玄関前に掲額される屋号を記した一枚板は相国寺の高僧によってしたためられたもの。
暖簾を潜ると、木々の温かみを感じさせられる、明るく清潔感に溢れた空間が広がります。
BGMがない静寂の中、うっすらと香木の香りが立ち込めるとともに、大きな禅の書や侘び寂びを感じさせる生花が凛とした雰囲気を醸し出しています。
お料理は、お昼が¥2,100の松花堂弁当がメニューから外れ、¥3,500、¥6,000、¥9,000の3本、夜は¥6,000、¥9,000、¥12,000の3本のコースです。
個人的には、¥9,000のコースがお勧めです。
始めに高下駄を履いた店主が自ら先付とともに食前酒を注ぎに来て下さり、食事がスタート。
その後、煮物椀、お造り、八寸、焼物、焚合、御飯、水物、お抹茶に和菓子と続きます。
ハイライトが沢山あり過ぎ困りますが、まずは煮物椀、焚合で堪能することができる出汁の美味さでしょう。
鰹、昆布、水にこだわり抜き、まさに至高の旨味です。
周りには「薄い」、「旨味を感じない」という方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。
確かに日常生活で濃い味付けに慣れてしまっていると、ファーストインプレッションはそうかもしれません。
しかし、侘び寂びを体現する究極にシンプルなコースを頂くうち、この凛とした雰囲気も相まって、感覚が研ぎ澄まされ、この出汁が身体に浸み渡るかのような深い旨味を持ち合わせていることを認識されることでしょう。
お造り、焼物に用いられる魚介の新鮮さも素晴らしいです。
おそらく神戸の和食店では一番ではないかと唸ってしまうほどのクオリティを感じさせます。
鰆に甘海老、松葉蟹、クエ、鮑など、季節によって出会える面々が大きく変わることも楽しみの一つです。
そして、八寸。
究極のシンプルさの中で、唯一華やかさを持ち合わせています。
トマトや枝豆、柿に栗、山桃、白子、牡蠣など、こちらも四季折々の食材を使用。
見た目の美しさとともに、「クリームチーズの茗荷巻」、「柿の赤ワイン煮」など創作的な一品もあり、実に楽しい一皿です。
さらには、御飯。
店主の地元・新潟県から取り寄せるという白米は米一粒一粒が立ち、ふっくらとしていて甘味も豊か。
自家製の塩が効いた沢庵や酸っぱい梅干とともに食せば、甘味の存在感がより一層増します。
これほどまでに白米が美味しいと感じたのは、神戸ではこちらともう一店のみです。
〆の和菓子もまた絶品です。
山芋や栗、葛切など、旬の食材を用い、全て手作りのデザートです。
確かに老舗の銘菓も美味しいですが、このようなコースの流れの中で食す、ライブ感のあるお菓子が私は大好きです。
素材の持ち味を重視した、甘さ控え目のお味は、お抹茶とともに心地良い食後感を提供してくれることでしょう。
最後に、お酒の種類の豊富さも特筆すべきです。
日本全国の蔵元から様々な日本酒と焼酎を取り寄せていらっしゃり、全体的に辛口が主流。
店主はお酒に精通しておられ、尋ねれば、その日のお料理に合うものを提案してくださいます。
個人的には奥丹波の日本酒「野条穂」が好み、自家製梅酒も試してみる価値ありです。
総じて、お料理、空間演出に至るまで、店主が求める茶の湯、侘び寂びの精神が全てに抜かりなく体現されたお店だと思います。
お料理は、悪く言えば「地味」ですが、完璧なまでに無駄なものを削ぎ落とした究極なまでのシンプルさが特長。
店主自らが四季折々の食材と一期一会の精神で向き合い、確かな技術で仕上げられたお料理は、孤高の域に達していると言っても過言ではありません。
ミシュランガイドやグルメ雑誌、食べログも含むグルメサイトでは、若手料理人がつくる、豪華さと華やかさ、勢いを持ち合わせた、見て「あっ」と驚くような、分かりやすいお料理が評価されていますが、食材の美味さを心から感謝して味わうことができるのは、このようなお料理でないかと思います。
諏訪山の麓という極めて不便な立地ですが、今後も末永く、野草のサンカヨウの如く、この地でひっそりと素晴らしいお料理を提供して頂ければと思います。
3位
1回
2014/08訪問 2014/11/20
鯉川筋西、住宅と飲食店が混在する場所にひっそり佇むフレンチレストラン。
2011年の1月、店舗のオープン前に、店先を通りかかった際、どこかで拝見したお顔が…と思って足を止めてみると、かつて、フランスの様々な地方料理を供され、人気を博した、北野の人気レストラン「レストロエスパストランキル」のシェフではありませんか。
前のお店のお料理には信頼を置いていたので、どんなお料理が頂けるのかと楽しみにしておりました。
外観は一見すると美容室のようで、通り過ぎてしまいそうなほど控え目。
エントランスの扉の奥にはまた扉があり、外から店内の様子が窺い知れないようになっております。
エントランスでマダムにお出迎え頂き、一呼吸置いた後、店内へ入ると、わずか8席のカウンターに綺麗に整頓されたオープンキッチンがお目見え。
それはまるでプライベートダイニングのようで、カウンターが苦手な方は最初は緊張されるかもしれませんが、木の温もりがあたたかく、マダムが付かず離れずの心地良いサービスをして下さるので、心配はご無用だと思われます。
そんな空間で供されるお料理はまさに驚きの連続。
前のお店でも、アラカルトで、「カレー風味のマカロン」や「黒毛和牛のタルタルと弓削牧場のフロマージュフレ、マスタードアイス」など、意外性あるお料理の数々に驚かされましたが、コース1本となった新店では、最初から最後まで、意外性のあるお皿が振る舞われます。
これまで相当な試行錯誤をされてこられたのでしょう、意外性がある食材のコンビネーションが面白く、また、よくマッチしています。
例えば、魚介と古代米を用いたおじや風のスープトポワソン。
胃に染み渡る、深く優しい味わいです。
表現力不足で言い方に窮するのですが、いかにも二日酔いの時に頂きたくなるお味と申し上げれば少しは分っていただけるでしょうか(笑)。
キジのペーストにはユリ根とナッツをあしらって。
上品なキジの風味にユリ根の食感とナッツの香ばしい甘味が加わり、少量でも満足できる味わいに。
新鮮なイカのソテーは灰のソースの焦がし風味が加わり、フレッシュさと香ばしさが共存する一皿に仕上がっています。
雪のような白いカリフラワーとイタヤ貝のコルネは想像もつかない組み合わせと調理法。
薄くスライスされたシャキシャキの生カリフラワーとニョッキのような食感のコルネが違和感なくマッチ。
添えられた小さな肝の濃厚な味わいも存在感は充分で、しっかりアクセントになっています。
メインの牛ランプ肉とビーツのカネロニ+赤タマネギ、ヤシの子は統一的な色彩な美しさもさることながら、ミディアムレアに焼かれた柔らかいお肉と少し甘いカネロニを一緒に頂く妙が素晴らしいと思いました。
デザートは、チョコレートアイスに野菜をあしらい、イカスミのフレークを振り掛け、サラダ仕立てに。
生の葉野菜が入ったデザートは初めて頂きましたが、チョコレート、イカスミとの相性の良さがこれまた意外な、濃く深い味わいでした。
コースのなかに、ドイツパンのベッカライ・ビオブロートとフランスパンのサ・マーシュという有名店のものを取り入れているところも面白いです。
決して手を抜いている訳ではなく、自分の料理の良き理解者である、信頼する職人に、最高の技術を用いて、自分の料理にベストマッチするパンを特注されているのだとお察しします。
総じて、前のお店とは全く異なるスタイルになりましたが、意外性あるお料理は不変です。
いや、確実に驚きの度合いは増していると思われます。
そして、シェフが独り、ご自身の独特のセンスだけに頼って創り出されたお料理は新しい領域に進まれたと思います。
間違いなく賛否はあるでしょうが、シェフの感性を真っ向から受け留められるお皿を食すことができるようになり、非常に嬉しいです。
今流行のモダンスパニッシュのアプローチに近いものを感じますが、そういったお店のお料理ほどは精緻で画一化されたものに仕上がっておらず、意図的にあそび・余裕を持たせているところにもまた、シェフの個性が感じられます。
今後もマダムとお二人で、唯一無二の空間に磨きをかけて頂きたいと思います。
今夜はどんなものが出るのだろう…そうワクワクしながら、何度でも通いたくなるお店のひとつです。
4位
1回
2015/04訪問 2015/06/01
京都・祇園は白川沿い。
うなぎの寝床のような暗いビルの通路を抜けたところにひっそりと佇む割烹です。
こちらの特長は、まず何と言っても、店内からの眺めでしょう。
風に靡く柳の木に目の前を流れる白川のせせらぎ、川面を悠々と泳ぐ鴨が小路を歩く舞妓さんと行き交うさま…京の風情を全て凝縮したかのような美しい風景を心行くまで堪能できます。
1階というロケーションが川面に近く、低い目線から風景を眺めることができるため、より臨場感が増しています。
店内はカウンター6席に掘炬燵式テーブル2卓のみというミニマムなキャパシティ。
板場がご主人と若いお弟子さんが1人、サービスが女将さんおひとりということを考えれば、細部にまで目が行き届く、最適な広さでしょう。
お料理は全て潔く、それでいて実によく計算されています。
食前の甘い食前酒と白粥で胃を調えたあと、丁寧な仕事ぶりの八寸や目利きが光る新鮮な刺身に焼き物等に舌鼓を打ちながら、どんどん日本酒が進みます。
特に炊き合わせは滋味溢れる素材の旨味を最大限に活かす引き算の味付けで、圧巻です。
そして、そろそろ胃が疲れてきそうな頃合いに、名物の振り湯葉が供されます。
体裁が良い正方形の湯豆腐樽に備長炭を挿し、熱々に湯がかれた生湯葉をかつおだしで頂きますが、優しいだしの旨味によって引き立つ大豆本来の甘さは、終盤のこのタイミングで味わうからこそ、余計に際立って感じられるものでありましょう。
最後に頂く湯葉湯が胃に浸み渡り、有り難いことに食欲が回復、〆のご飯、デザートまでペロリといけてしまいます。
総じて、上質な素材を選ぶことができる目利き力、その素材の旨さを最大限に発揮させる技術力、どのタイミングで供すれば一番美味しく感じられるかを心得た構成力を全て持ち合わせた方によりつくられた素晴らしいお料理だと思います。
ご主人は若干41歳、脱サラされて先代の跡を継がれていますが、修行経験10年余りでこの領域に達されているとは凄いの一言。
今後がますます楽しみです。
なお、サービス担当の女将さんは先代の奥様(つまりは2代目のお母様)。
京都らしい雰囲気を醸し出しながら、それでいて決して敷居の高くない、付かず離れずの接客は大変心地良く、申し分ありません。
今後、通いつめたいお店のひとつです。
5位
1回
2014/01訪問 2014/12/29
2006年10月のオープン以来、諏訪山という地理的には不便な立地にも拘わらず、徐々にファンを増やし、神戸の有名フレンチレストランに仲間入りしたモンテ。
最初に訪れた頃のメニューは昼も夜も前菜、メイン、デザートの3皿\4,000のコース1本でした(いずれも3種から選択、+\1,000で一皿追加可)。
神戸でランチが\4000のみ、しかも新規オープンともなると、かなり強気の値段設定だなあと思っていましたが、供される3皿はいずれも見た目も味も素晴らしいもので何と志の高いお店なんだろうと関心しました。
メニューは比較的クラシカルなものですが、幾何学的な盛り付けが非常に斬新で美しいです。
お味も神戸屈指の有名店だった、ジャン・ムーランの流れを受け継ぐ濃厚なフレンチとは異なり、岩塩や野菜コンソメでエッジを効かせながら、優しいフレンチに仕上がっています。
ここで「これぞモンテの真骨頂」と思ったお皿をいくつか紹介したいと思います。
まず、ある日の前菜として供されたサラダでは、真っ白な正方形のお皿に点状のバジルソースが僅かにあしらわれたホタルイカ、ソラマメ、オカヒジキが対角線上に真っ直ぐ並べられ、その手前にはパプリカとそば粉のクレープのミルフィーユが直方体状に切られて配置されていました。
見た目の新しさに加えて、聞き慣れない素材の組み合わせがホタルイカの新鮮な苦味を繋ぎにして実に見事な調和を保っていたことに驚かされました。
続いて、シェフのスペシャリテでもある「牛テールの煮込み パルマンティエ風」。
タイトルだけ聞いて凡庸な煮込み料理を連想してしまいましたが、供されたのは全く違ったものでした。
トリュフソースが敷かれたお皿の上には円筒状に形づくられたポテトだけが置かれていました。
反射的に、ウェディングケーキの如くポテトにナイフを入刀すると、中からじっくり煮込まれたテールがお目見えするというサプライズがありました。
オーブンで焼き上げられたポテトの香ばしさと煮込みの深い味わいが香り高いトリュフソースと見事に絡み合って、スペシャリテに相応しい料理に仕上がっていました。
最後に、デザート。
非常に美味しいです。
神戸においてデザートの完成度が高いフレンチレストランと言えば、他にパトゥが挙げられると思いますが、バリエーションの豊富さも考慮すれば、こちらに軍配があがるのではないでしょうか。
特に印象に残っているのは、イチゴのフロマージュブラン。
イチゴと刻まれたバジルをバルサミコで合え、フロマージュの上に盛るというパティシエには真似できないような独創的な一品でした。
イチゴ、バルサミコ、フロマージュという酸味同士の競演は究極的な爽やかさを創り上げ、コースの最後を見事に締め括ってくれました。
このように、これまではクオリティの高いお料理を\4,000というお値段で提供されていましたが、近年の食材価格高騰の影響からか、最近、メニュー・価格が改定され、昼夜ともに3皿\6,000、4皿\8,000、おまかせ\12,000という内容になりました。
また、昼限定で前菜+メインの\2,100のランチコースが登場しました。
このランチコースはおそらく初訪問の方のためのお試し的な意味合いも含んでおり、そういう点では重宝されるかもしれませんが、どうしても通常のコースよりも物足りなく感じられてしまいます。
逆に、3皿\6,000コースは以前の3皿\4,000コースとそれほど内容に差異を感じられず、個人的にはあまり納得できません。
最近、持ち味の個性的な盛り付けも影を潜めているように見受けられ、やや守りに入られたようにも感じられますが、シェフのセンス・実力を以ってすれば、以前と同じ\4,000で充分に楽しませてくれるコースを作ることができるのでは、いや、是非作って頂きたいと思います(笑)。
お店はシェフとスタッフが1人ずつ、計2人だけで営まれています。
スタッフの方は非常に細かいところまで目が行き届いており、着かず離れずのサービスは大変心地良いです。
コースが終了すると、必ずシェフが厨房から出てきて下さり、料理の感想等を聞いて下さいます。
世間には店舗拡大や顧客獲得だけに重点を置かれているレストランも少なくありませんが、こちらにはそんなお店では決して味わえない温かいお料理があります。
これからも料理は一流のレベルを保ちながらつつ、誰からも愛され続ける素晴らしいまちのレストランであって欲しいと思います。
6位
1回
2015/12訪問 2016/01/17
学生時代から利用させて頂いております。
今ではネットや雑誌などで絶賛され、休日は行列ができるほどの超有名店となりましたが、2003年頃まではお客は比較的まばらな印象でした。
初めてわらび餅をオーダーしたとき、女将さんが「先日、来○けいさんがバケツ一杯くらい食べたいと言って帰られました」と仰り、「○栖けいって一体誰だろう」と思ったことを思い出します。
お店は閑静な住宅街裏にひっそりと佇んでおります。
暖簾を潜り、庭石畳を歩むと、ここは改めて京都なのだと実感させられます。
格子戸を開き、靴を脱いで広い畳座敷に案内されると、全面ガラス張りの窓から中庭を眺めることができます。
苔生した地面に美しく刈り込まれた玉物、風情のある蹲や石灯籠等が配され、実に見事なお庭です。
季節によって四季折々の表情が加わるので、何度訪れても飽きることはありません。
ここで供されるのは、いずれも素晴らしいお庭に遜色のない上質な和菓子と飲み物ばかりですが、とりわけ名物「わらび餅」は絶品です。
国産の本わらび粉のみが使用され、オーダーを受けてから作られるというこだわり様です。
1人前は5つで\1,100ですが、5つだとあっという間に平らげられてしまう割には高いというのが最初の印象でしたが、自分なりの味わい方を確立した今では、むしろ安いと感じております。
「自分なりの味わい方」とは、1つのわらび餅を2分程かけて噛み続けるだけなのですが、これで2分×5つ=トータル10分間、変わり行くわらびの味わいを存分に愉しむことができます。
口にした瞬間は本わらび粉の清清しい風味が鼻を抜け、暫くは上質な刺身蒟蒻のような歯応えが堪能できます。
その後、噛めば噛むほど徐々にでんぷんが変質し、甘味が増していきます。
個人的には、黒蜜は敢えて必要ないと思います。
最後は液状に溶けて無くなってゴクリ・・・よろしければ一度お試し頂きたいと思います。
席を立ったり座ったり、庭園を隅から隅まで観賞し、濃いお抹茶も併せてじっくり楽しめば、延べ1時間弱の滞在となります。
お庭の拝観料を\300くらいと考えれば、もっとお得感を実感できますね。
個人的には、夏の夕立のあと、こちらで夕涼みをして帰路に就くのが一番好みです。
私にとって最も居心地の良いと思える茶寮のひとつです。
7位
1回
2015/12訪問 2015/12/30
2015.6
ディナーでお邪魔しました。
少量ですが、アミューズとして供された赤ピーマンのムースはやはり絶品でした。
次回は、こちらも絶品、桃とセロリのムースを頂きにうかがいたいと思います。
2014.5
ディナーでお邪魔しました。
電話予約を担当されていたソムリエや他のサービススタッフはいらっしゃらなくなり、現在はシェフとマダムがお二人で切り盛りされているようです。
大きなキャパシティに比して何となく少し物寂しい印象を受けますが、それ以前にお二人では体力的につらいのではないかとお察しします。
しかし、マダムの接客には安定感があり、非常に好感が持てますし、お料理のクオリティも相変わらず高いレベルを維持されております。
改めて、神戸トップレベルのフレンチであることを再認識させられました。
なお、現在、電話予約はおもにマダムが担当されているようですので、乱暴な言葉遣いで嫌な気分になることはありませんので、ご安心を。
******
ランチでお邪魔しました。
広く明るい店内には、神戸のフランス料理店ではあまり見ないウェイティングスペースが設けられてあります。
また席と席の間に柱が設けてあり、パーティションのような役割を果たしているため、プライベートな空間が確保されています。
お料理は三田のコート・ドールの薫陶を受けた、シンプルかつ流行に流されないしっかりとしたフレンチで、素材の持ち味を生かした、濃厚すぎず淡白すぎず程良い味わいです。
印象に残ったお皿は最初に出された前菜のサラダ。
見た目も美しく、イカ、ホタテ、エビ、アナゴなど魚介類が沢山入っており、それぞれがスモークされたり、丁度良いポーションにカットされたりと一仕事されていて、一つのお皿としてバランス良く仕上がっていました。
そして、デザートの完成度が高いと感じました。
クレームカラメル パトゥ風は大ぶりの四角いプリンがざっくり切られてスープの中に入れられただけの盛り付けなのですが、ぎゅっと噛みしめられるプリンの底の食感と優しい味が独特で美味しいです。
ココナツミルクのリゾットが添えられたパッションフルーツのパルフェもシンプルな盛り付けとは裏腹に酸味と甘味が見事に調和を保った実に美味しいお皿でした。
最後はシェフが自ら厨房から出て来られてお見送りして頂きました。
シェフとお話した時間は僅かでしたが、誠実なお人柄が伝わってきました。
今日食べたお皿はこのシェフあってこそのお料理だと改めて感じました。
心地良い空間と美味しいお料理…非常に満足でしたが、より良いお店になって欲しいからこそ敢えて言わせて頂きたいと思います。
まず、予約時の電話応対が良くありません。
話し方がお客と話しているとは思えないほど乱暴です。
話し終わったあとはこちらが切る前に電話を切られたりします。
そして、店内の接客もいまいちです。
きっと店が広くて目が行き届いていないのでしょう、パンやお水のサーブが遅れがちです。
これではかえって広さを持て余していると言われてしまいかねません。
今後、改善されることを切に願っております。
8位
1回
2014/12訪問 2014/12/18
神戸・元町旧居留地の大型複合ビルの地下1階に佇む、言わずと知れた老舗料亭。
以前は昼夜ともに懐石料理のコースしかなく、かなり敷居が高かったと記憶しておりますが、現在では、創業者の湯木貞一氏が考案した松花堂弁当や点心なるミニ懐石、鯛茶漬けやすき焼きのセットなども供されており、随分気軽に名店の味を堪能することができるようになりました。
とは言うものの、やはり一番お勧めしたいのは、懐石料理のコースです。
四季折々の食材を 用いた季節感溢れるメニュー構成で、至る所に高い技量を感じさせてくれるお皿が次々に並びます。
先日はランチタイムにお邪魔して、お昼の懐石を頂きましたが、コンパクトながら、見どころ・食べ応えともに充分な内容でした。
最も印象に残ったのは、椀物です。
卵と蟹の身を溶いただしに胡麻豆腐を浸したお吸い物でしたが、卵と蟹の身が細かく溶かれた薄口のだしは喉ごしが良く、実に上品な味わい。
驚いたのは、だしの中に細かく刻んだクラゲが忍ばされていたこと。
キクラゲというパターンなら予想はついたのですが、温かい吸い物にクラゲは初めての体験でした。
なるほど、キクラゲほど味に主張がなく、胡麻豆腐やだしの風味を邪魔することがないため、あえて歯応えのアクセントのみに用いられたのでしょう。
クラゲの身は重く、だしの底に沈んでいるため、最後に残っただしのみを頂く際は、同時に歯応えを楽しむことができ、最後まで飽きることがありませんでした。
次に印象に残ったのは、揚物。
この日は海老芋の唐揚げでした。
ちょうど旬を迎えた海老芋の滋味深さ、香ばしくホクホクに仕上げた揚げ具合の妙、角がない味噌だれとのコンビネーション…全てがよく計算されており、シンプルな一皿ながら素晴らしい技術が凝縮されていました。
これらのお料理が複数の制服を着たスタッフの方により、卒なく絶妙のタイミングで供されることもまた、特筆すべき点かもしれません。
スタッフの方は淡々とお料理の説明をされますが、こちらが質問すると、丁寧に明快に答えて下さり、とても好感が持てます。
また、給仕の段取りやテーブルを整える仕草には無駄がなく、しっかり教育が行き届いていることが窺えます。
概して、日本のミシュランで星を獲得されている料亭やレストランでは、アルバイトレベルのサービスを受けることは珍しくなく、サービスが大して加点要素にはなっていないことが窺えますが、このように卓越したサービスを受ければ、同じ一つ星のお店と比べて格が違うことを実感すると同時に、もっと評価されるべきお店だと疑問に思ってしまいます。
今後も神戸の数少ない老舗料亭として、素晴らしいお料理とおもてなしを提供して頂ければと思います。
9位
1回
2014/07訪問 2016/02/21
JR東中野駅から南に徒歩5分程のところに佇む一軒家フレンチレストラン。
この地にお店を構えられて今年で19年目ですが、可愛らしい字体で「la salle サルキッチン」と書かれたクリーム色の大きなファサードが目印の喫茶店のような外観からは凡そ想像がつかない本格的なお料理を頂くことができます。
メニューはアラカルトがなく、¥5,800と¥8,000のコース2本のみですが、フランス産の食材を用いてオーソドックスに仕上げたお皿から、オーソドックスなフレンチではあまりお目にかかれない食材のコンビネーションが面白いお皿まで、色々と楽しませて下さいます。
全体的に、少々塩加減が弱いお料理だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、いずれのお皿も味の輪郭はしっかりしていて、ワインとの相性が良いです。
驚くべきは、シェフはフランスに一度も行かれたことがなければフレンチレストランでの修行経験すらないとのこと、つまりはご自身のセンスだけでフランス料理というものを解釈され、お皿の上で体現されている訳ですから、このクオリティの高さには脱帽です。
店内はわずか12席の小さな空間、木目調で一軒家ならではの温かみがあります。
接客はマダムが担当され、笑顔が素敵で付かず離れずの絶妙なサービス。
総じて、お料理、雰囲気、サービス、どれをとっても安心感がある素晴らしいお店だと思います。
10位
1回
2014/10訪問 2014/12/07
2014.12
『ミシュランガイド東京2015』で新たに一つ星を獲得されたとのこと、おめでとうございます!
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東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩10分強の住宅街。
おおよそ日本料理店が入っているとは思えない淡いピンク色のポップな建物の1階にこちらのお店はありますが、店内に入ればそこは別世界、白壁に木の椅子とテーブルがすっきりとした印象を与えるれっきとした日本料理店の風格で、全く違和感はなくなります。
カウンター席が4つ、テーブル席が4つの計18席、BGMはなく、静かで落ち着いた雰囲気に凛とした空気が漂います。
とはいえ、ご主人もサービスの女性スタッフも気さくでとても愛想が良いので、緊張せずに食事を愉しむことができます。
メニューは旬の食材をふんだんに用いた、四季折々を美味しさを感じることができるコース料理が中心ですが、お昼には\1,000前後の日替わり膳も提供されています。
先日は桃の節句の季節感を味わいたくて、夜にお邪魔しましたが、
・前菜には、蓬胡麻豆腐、白アスパラ、海水雲丹
・八寸には、桃の花をあしらい、浅利のスープ煮、菜の花等の春野菜のお浸し、蕗の煮付け、花山葵の酢浸しなど
・お造りには、アイナメ、アオリイカ
・焼き物には、カマスの塩焼き
・炊合せには、春キャベツ入りの鶏つくね、筍を使った炊き合わせ
・お食事には、鰆の卵とじ丼
など、コースの随所に旬の食材が散りばめられており、大満足の内容でした。
また、こちらのお料理はしっかりした味付けなので、日本酒が非常によく合いますが、「獺祭」や「奥播磨」、「千代むすび じゅんから」など、渋いお酒が常時6、7種類豊富に取り揃えられているのも嬉しいところ。
この日は美しい個性的な御猪口の布賭けに、雄雛と雌雛が描かれた桃の節句バージョンのものが使用されており、細部まで季節感を感じさせて下さる演出でした。
以前、ご主人は、雑誌の取材に対して、「気軽に食べられる値段をキープし、地域に密着して、都心に行かなくても本当に美味しいものが食べられる店を目指している」といった趣旨のお話をされていましたが、コースを頂く度に、内容の素晴らしさとコストパフォーマンスの良さに感嘆させられ、その信念と志の高さを改めて実感させられる次第です。
私には交通の便が良くありませんが、今後も、あえてこの地で旬の美味しさを末永く提供いただければと思います。
再訪した折、レビューの足取りを辿って写真を撮影してみました。
偶然にもレビューの時と同じような天候となりました。
少しでもレビューの雰囲気が伝わればと思います。
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数年に一度、素晴らしいお店と出会い、そのお店のお料理や演出に心から酔ってしまい、魔法にかけられたような気分になることがありますが、今回、こちらのお店でそのような体験をしましたので、以下に記させていただきたいと思います。
※当日の出来事を回想しながら、これまでとは趣向の異なる文体でレビューにトライしてみたいと思います。
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新緑香る5月某日。
午後9時半を過ぎていた。
昼間から降り続いた強い雨がようやく上がり、雲が消えた東京の空は異様に明るかった。
渋谷駅から鶯谷・南平台方面に向かい、雨の匂いが残る住宅街を歩むなか、闇夜に浮かび上がるセルリアンタワーのシルエットが不気味に感じた。
しばらくして大使館やファッションビルが林立する旧山手通に出た。
さらに進むこと数分、首都高の下を抜け、いよいよお目当ての神泉エリアへ。
京王線の神泉駅に繋がる路地裏道、ここは私たちをそれまでの闇夜の閑静な街並みから、バルや居酒屋が立ち並び、深夜まで賑わう別世界に誘う秘密のルートだ。
久方ぶりに訪れた別世界は新しい店舗が増え、以前にも増して活気があった。
雨上がりの夜に輝くちょうちん、ネオンの赤色・黄色が妙に楽しげに、また、妖艶に映った。
別世界を抜けると、コンビニエンスストアと神泉駅の踏み切りの間に挟まれるようにして、そのお店はあった。
アンティークのランプだけに照らされた、ややもすると見過ごしてしまいそうな控え目なエントランス、扉の奥は全く窺い知ることができない。
ゆっくりと扉を開くと、そこにはまた別世界が開けたのだった。
眼前に広がったのは、厨房の灯りと小さなランプを除けばあとは真っ暗闇と言っても差し支えないほど暗い空間だった。
足元も覚束ないほどの暗さだが、マダムに案内されるがままテーブルにつく。
テーブルから暗闇を見渡すと、小さな窓が採ってくる雨上がりの空の夜光が真っ青な色を呈していて、とても綺麗だった。
程なくしてマダムにより、テーブルの上の大きな2本の蝋燭に火が灯された。
白金色に黄色を少し加えたような鮮やかな火の色に、蝋燭の灯りとはこんなに柔らかく美しいものなのか、と思わず見入ってしまう。
同時に、アンティークの食器や家具、エイジング加工を施された白壁が浮かび上がり、お店の全容が照らし出された。
入店時は気が付かなかったのだが、フランスの歌謡曲が流れているようだ。
入店からほんの数分で、どこか温かく懐かしさを憶える雰囲気が出来あがっており、ここが安息の空間であることを確信した。
「今夜は赤ワインを頂きながら食事を楽しみたい」…私たちの意見は一致した。
重めのものをセレクトした後、マダムにおすすめをうかがいつつ、自分達が食べたいものをオーダーする。
・田舎のパテ
保存が効くよう上にラードを被せ、空気に触れない状態にしている。きめが細かく、濃密。胡椒がしっかり効いていてスパイシーな味わい。
・自家製天然酵母パン
ふっくらとした心地良い食感。料理を邪魔せず、最高の脇役といった感じ。
・タンポポのサラダ
タンポポの茎の程よい苦味とシャキシャキした食感が主役だが、上にのせられたポーチドエッグ、下に敷かれたベーコンとの相性も抜群。
・フレッシュガチョウのフォアグラサラダ
濃厚な味付けのフォアグラにバルサミコの酸味が効いたサラダがベストマッチ。素朴だが、実によく計算されていて間違いない一皿。
・牛テールの赤ワイン煮込み マッシュポテト添え
おそらく赤ワインだけで煮込まれたのではないだろうか、濃縮された酸味は素晴らしい味わい。香味野菜の風味も効いている。別皿に盛られた付け合せのマッシュポテトは滑らかでクリーミー、対照的な二つの味を合わせながら、どんどん食が進む。
・チーズ盛り合わせ
アオカビとカマンベールを薄くカリカリのバゲットと一緒に。程よい小休止といきたいところだが、ついついワインが進んでしまう。
・ガトーバスク
フランス領バスクラブール地方発祥の伝統的な焼き菓子。たっぷりとカスタードを含んでいて、とても甘い。それゆえに赤ワインとの相性は抜群。
・チョコレートのムース
濃厚な味わいと滑らかな食感で、こちらも赤ワインがよく進む。チーズを頂いた際に残ったバゲットと合わせても相性が良かった。
・イチゴのパルフェ
このデザートのラインナップの中では唯一ソフトドリンクとの相性も良いはず。とはいえ、私はワインで頂いてしまったが…。
・ホットコーヒー
幸せな余韻と名残惜しさが交錯する中、〆の一杯として。美味しく頂いた。
食後はしばし時間を忘れ、楽しいマダムとの談笑に終始した。
午後10時の入店から約3時間、こんなに充実したディナータイムは久しぶりだった。
会計を終え、シェフ、マダムに見送られながら扉を開けると、また雨が降っていた。
終電の時刻も過ぎ、普段なら一気に現実世界に引き戻される瞬間であるが、不思議と魔法は解けなかった。
雨降る中、持続する余韻をしっかりと噛み締めながら、私たちは満たされた気持ちで再び同じ経路で帰路についたのだった。