レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
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2位
1回
2015/04訪問 2015/04/20
2015.4.
久しぶりの訪問。
お店は黒を基調としたシックな内装にリニューアルされ、以前よりも高級感が増しました。
お料理は食材・調理法がバリエーション豊富で、それぞれのお皿に濃淡があり、お酒が飲めない方にも充分に愉しめる味付けに仕上げられていました。
また、多くのお皿に地元の珠玉の食材が用いられており、兵庫のアイデンティティをより強く感じさせる構成になりました。
疑いなく日本全国でもこちらでしか頂くことができない唯一無二のお料理であり、ミシュランガイドの三ツ星の定義である「そのために旅行する価値がある卓越した料理」 だと実感しました。
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2013.9.
久しぶりの訪問。
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2010.10.
22日に発売された「ミシュランガイド2011年版 京都・大阪・神戸」。
予想通り、めでたく三ツ星を獲得されました。
なお、年内の予約はすでに一杯とのこと、今後も神戸を盛り上げてもらいたいと思います。
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2010.6.
先日、下記口コミに
仮に「ミシュランガイド神戸版」なるものが近いうちに発売されるのであれば、…
などと記しておりましたが、本当に発売される(京都・大阪・神戸の3地域版)ことになり、
少し驚きました。
いよいよ三ツ星が現実味を帯びてきたのではと思っております。
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2010.4.
神戸・中山手の住宅街にひっそりと佇む現代的スペイン料理のお店。
この場所では以前、「BISTRO KOBE RA-KU-DA」という創作料理のお店が営業されていましたが、同店の閉店後、内装などをカスタマイズされ、2008年5月にオープンされたのが、こちらの「Ca Sento」です。
実はオープン当初、知人がランチで訪れた際に「高い割に美味しいとは思わない」と漏らしていました。
それなりに食べ歩いていらっしゃる方なので、その感想をついつい鵜呑みにしていましたが、当サイトも含め、巷での評判がうなぎのぼりに上がっていくので、これは一度うかがわない訳にはいかないと思っておりました。
2010年1月、幸運にもそのチャンスが訪れ、ディナーでお邪魔することができました。
まず、店内は白を基調としたシックでモダンなつくりで、テーブル席5つのみの構成。
各々のテーブルには適度な距離感があり、非常にゆったりと食事を楽しむことができます。
スタッフの方は皆若く、白いシャツに黒のパンツという小綺麗でカジュアルな出で立ち。
常時2、3人でサーブされており、とても気が利く印象を受けました。
お料理は、現代的スペイン料理の代表格ともいえるカタルーニャの「エル・ブジ」同様、いわゆる多皿料理です。
私たちが頂いたメニューは以下の通りです。
・白人参のフラン 鱈の白子添え…「洋風茶碗蒸し」とでも言いましょうか、実に繊細な味付けです。コンソメの餡にトリュフと柚子の風味が良いアクセントになっていました。スペイン料理の一皿目としては実に意外でした。
予想していたとはいえ、圧巻だったのは次の展開。
一皿目を頂いて間もないうちに、テーブルに次々と並べられていく美しい「少量多皿群」。
・スペイン カンタブリア産のアンチョビ
・天然鮃のモホソース和え
・渡り蟹のコルネ
・パルメザンチーズのムースとホウレン草のジュレ
・バスク産キントア豚の生ハム
・アオリイカ
・トマトのグリッシーニ
いずれのお皿も盛り付けの美しさは申し分なく、テーブルの上が一気に華やかになりました。
全てに新鮮な素材が用いられていることが分かり、食材のバリエーションも豊富なうえ、生ものの調理から火入れまで、シェフの技を存分に味わうことができます。
私のベストはアオリイカでした。
表面を炭火で香ばしく焼き上げ、中は半生の理想型。
適度な歯応えが残り、塩に肝のソースという味付けもよく合っていました。
シンプルですが、素材の持ち味を十二分に生かした一皿でした。
・フォアグラのコンフィ…トリュフをあしらって豪華な仕上がりに。フォアグラ本来の風味・旨味が充分に生かされた優等生的なお皿だと思いました。
・今日届いた野菜たち…この日頂いたなかでは一番のお気に入りでした。人参や赤蕪、菜の花…等、根菜や葉菜、果菜等といった様々な種類の野菜が生のままであったり、茹で上げられたりとそれぞれの持ち味を生かすように調理されております。焦がしバターとエメンタールチーズを使ったクリーミーなソースはさらりと軽く、程よい塩加減が野菜の甘味を惹き立ており、シンプルながらもしっかりと計算された一皿だと思いました。
・本日のお魚のソテー…お魚は甘鯛。身は脂が乗り、よく締っておりました。爽やかな味わいの九条葱ベースのソースとも相性は良し。これまでの構成から言えば、比較的オーソドックスなメニューでしたが、やはり素材の良さと火入れの技が光る一皿でした。
・シャラン産ビュルゴ家の鴨のロースト…フレンチでも定番の鴨のローストですが、こちらのシェフの手にかかると、ワサビやカラスミといった和の要素をあしらったオリジナリティ溢れる一皿に。色彩も非常に美しかったです。
・ヴァレンシア風おじや…魚介の風味が凝縮されたトマトベースのおじや。胃に心地良く染みわたる優しいお味が印象的で、ついついおかわりも…。〆には最適の一品でした。
・デザート2皿とハーブティー…デザートはレモンクリームがかかったアールグレイのゼリーとフォンダンショコラでした。
見た目にそれほどのインパクトはありませんが、基本に忠実なしっかりとした味付けでいずれもこれまでのお料理に遜色のないお皿でした。
以上、結論を申し上げますと、「百聞は一見に如かず」で、非常に繊細で完成度が高いお料理の数々だと感じました。
仮に前出の知人のコメントが事実だとすれば、シェフは研鑽を重ねられ、当時より格段にレベルアップされたのだとしか思われません。
さらには、「スペイン料理」という枠組みに捕らわれない自由な発想で、独創的なお皿の数々を生み出されているところに人気の秘訣があるのだと実感させられました。
現時点で、神戸ではこの手のお店は他にないと思います。
あと一点追記させて頂くと、こちらは神戸・元町のワインショップ「Jeroboam(ジェロボアム)」が経営されているため、ワインリストが大変充実しており、比較的お手頃な値段で提供して下さいます。
お店では若い女性ソムリエの方がこちらの好みや要望をしっかり聞いて下さったうえで、料理に合うボトルを複数提案して下さるので、安心感があります。
この日オーダーした「Holly's Garden PINOT GRIS WHITLANDS」はオーストラリア産の白ワインでしたが、ずっしりボリューミーなボディに酸味とほのかな甘味があり、料理との相性も非常に良かったです。
お料理、ワインともにレベルが高く、コストパフォーマンス、サービスも良し、という本当に素晴らしいお店だと思いました。
仮に「ミシュランガイド神戸版」なるものが近いうちに発売されるのであれば、現時点で三ツ星の最有力候補に挙げられる名店だと思います。
3位
1回
2015/04訪問 2015/06/01
京都・祇園は白川沿い。
うなぎの寝床のような暗いビルの通路を抜けたところにひっそりと佇む割烹です。
こちらの特長は、まず何と言っても、店内からの眺めでしょう。
風に靡く柳の木に目の前を流れる白川のせせらぎ、川面を悠々と泳ぐ鴨が小路を歩く舞妓さんと行き交うさま…京の風情を全て凝縮したかのような美しい風景を心行くまで堪能できます。
1階というロケーションが川面に近く、低い目線から風景を眺めることができるため、より臨場感が増しています。
店内はカウンター6席に掘炬燵式テーブル2卓のみというミニマムなキャパシティ。
板場がご主人と若いお弟子さんが1人、サービスが女将さんおひとりということを考えれば、細部にまで目が行き届く、最適な広さでしょう。
お料理は全て潔く、それでいて実によく計算されています。
食前の甘い食前酒と白粥で胃を調えたあと、丁寧な仕事ぶりの八寸や目利きが光る新鮮な刺身に焼き物等に舌鼓を打ちながら、どんどん日本酒が進みます。
特に炊き合わせは滋味溢れる素材の旨味を最大限に活かす引き算の味付けで、圧巻です。
そして、そろそろ胃が疲れてきそうな頃合いに、名物の振り湯葉が供されます。
体裁が良い正方形の湯豆腐樽に備長炭を挿し、熱々に湯がかれた生湯葉をかつおだしで頂きますが、優しいだしの旨味によって引き立つ大豆本来の甘さは、終盤のこのタイミングで味わうからこそ、余計に際立って感じられるものでありましょう。
最後に頂く湯葉湯が胃に浸み渡り、有り難いことに食欲が回復、〆のご飯、デザートまでペロリといけてしまいます。
総じて、上質な素材を選ぶことができる目利き力、その素材の旨さを最大限に発揮させる技術力、どのタイミングで供すれば一番美味しく感じられるかを心得た構成力を全て持ち合わせた方によりつくられた素晴らしいお料理だと思います。
ご主人は若干41歳、脱サラされて先代の跡を継がれていますが、修行経験10年余りでこの領域に達されているとは凄いの一言。
今後がますます楽しみです。
なお、サービス担当の女将さんは先代の奥様(つまりは2代目のお母様)。
京都らしい雰囲気を醸し出しながら、それでいて決して敷居の高くない、付かず離れずの接客は大変心地良く、申し分ありません。
今後、通いつめたいお店のひとつです。
4位
1回
2016/01訪問 2016/03/19
ハンター坂を少し上がったところに位置する雑居ビル2階のバーラウンジ。
道沿いから店内の様子を窺い知ることはできないので、最初は躊躇していましたが、いつも窓からこぼれ出ている雰囲気の良いオレンジ色の光に惹かれ、意を決して入店したのが最初でした。
階段をのぼると、立派なガラス張りのドアがお目見え。
その先には想像以上に広く美しい空間が広がっております。
店内は分厚い立派なカウンターにテーブル席が2つという構成、カウンター奥に並べられたボトル後ろには竹の木で造られた壁が配されており、和の要素も見られます。
一方、テーブル席には一輪の美しい生花が活けられ、先ほどのオレンジ色の光が全てを温かく包み込む雰囲気は大変ムーディーでスタイリッシュです。
サービスはお若いマスターとスタッフがお二人で担当されており、最初に好みなどを聞いて下さいます。
私は定番的なものよりもそのお店オリジナルのものを頂きたいと思ってしまう性格なので、マスターに色々伺ってから、「今日はこんな感じで」とだけ申し上げて、あとはお任せしております。
私が特にお勧めしたいのは、フルーツを使ったカクテルです。
四季折々の旬のフルーツが常時6,7種類ほど用意されているのではないでしょうか。
喉ごしが本当に気持ち良く、清涼感満点のスイカのカクテル、ずっしり濃厚で自然の甘さの底力を改めて実感させてくれるマンゴーのカクテルなど、名品は沢山ありますが、なかでも私のお気に入りはバナナのカクテルです。
ジューサーでトロトロになったバナナジュースにブランデーで香りをつけた、ややデザート的要素が強い一杯ですが、瀬戸物の器に注いで木製のスプーンで頂くという意外性や、最後に霧吹きでブランデーをスプレーするという心にくい演出に、マスターの世界観が凝縮されています。
フルーツのカクテルは、好みによって如何様にでもアレンジして下さると思いますので、ご自身の嗜好をできるだけ詳しくお伝えすれば、最高の一杯ができあがることでしょう。
お酒とともに供されるおつまみのレベルの高さもまた特筆すべき点です。
ナッツ、イチゴとピスタチオのチョコレート、生チョコ、チーズ…等々日によって内容は異なりますが、いずれも強いこだわりが感じられるものばかり。
ナッツはふっくらと綺麗な丸みを帯び、歯応えもよく、瑞々しさすら感じます。
チーズは3年熟成されたという代物で大変濃厚、削られた一片を少しずつ大事に頂きたい一品。
ひとたび、これほどまでに美味しいおつまみを頂いてしまうと、コンビニで市販されているようなチョコレートやおかきを供されているお店ではなかなか満足できなくなってしまいます。
マスターは非常に腰が低く気さくな方で、お客のペースに合わせた心地良い接客をして下さいますが、独学でお店を開店されただけあり、一本筋が通ってらっしゃいますし、大変博学です。
神戸には様々なバーラウンジが数あれど、お酒、接客、空間と、これほど完成度が高いお店はそうはないと思います。
非常に素晴らしいお店です。
5位
1回
2015/12訪問 2015/12/06
東急田園都市線・池尻大橋駅から徒歩5,6分でしょうか、閑静な住宅街の中にひっそり佇むネオビストロです。
銀座レカンご出身のソムリエがレストラン FEUご出身のシェフを迎え、2010年5月に開店されました。
店名はルイ15世の愛人だったデュ・バリー夫人に由来するもので、近くに「マリー・アントアネット」なんてお店があったら大変だと思い一応調べましたが、京都の洋食屋さんにマリー・アントアネットというお店がありました(笑)。
ウッディーな店内は北欧風のインテリアで統一されており、程良く離れた席同士の間隔が非常に心地良く、周りを気にせずに落ち着いて食事を愉しむことができます。
特にランチタイムには大きなガラス窓から陽光が射し込み、エントランスの蒼々と茂った観葉植物を眺めながらの清々しいひと時を過ごすことができます。
お料理は、ランチが¥1,300~、ディナーが¥3,900~とカフェ価格で愉しむことができる本格的なフレンチ。
真骨頂はディナーのプリフィックスコースでしょう。
¥3,900、¥4,800、¥5,300、¥6,200の4本ですが、アミューズ、パン、前菜、季節の野菜を用いた一皿、メイン、デザートにドリンクが付く¥3,900で充分に満足ゆくディナータイムとなります。
いずれのお皿も高い技術でしっかり丁寧に作り込まれた真っ当なお料理です。
例えば、前菜として供されるスペシャリテの「フォアグラとカリフラワーのテリーヌ」。
フォアグラとカリフラワーの絶妙なバランスがこの上ない優しい味わいと滑らかな舌触りを演出。
粉末のピスタチオとバルサミコソースも絶妙なアクセントに。
白ワインが進みます。
そして、メインとして供される「バルバリー鴨のロースト」。
こちらもスペシャリテと言ってよいのではないでしょうか。
季節によって装いは異なりますが、先日頂いたビーツのクーリと木苺のソースをあしらったヴァージョンは程良い火入れの野性味溢れる鴨肉にベストマッチ。
こちらは赤ワインが進みます。
ワインですが、特筆すべきは非常にラインナップが豊富で、とりわけ国産モノが充実していること。
近年、食材は地産地消など国産モノを用いるのが主流となってきていますが、ワインまでこれほど国産モノを取り揃えている例は稀有だと思います。
「日本で作られるフレンチには日本のワインを」というこだわりが垣間見え、何だか嬉しくなってしまいます。
私は国産モノに関しては全く知識がありませんが、経験豊富なソムリエに好みをお伝えしさえすれば、的確なセレクトでお料理にマッチした珠玉の1本をセレクトして下さることでしょう。
サービスに関しては、ソムリエとホールの女性スタッフがお二人で担当されていますが、笑顔が爽やかな接客に加え、お客の食事のペースやグラスの空き具合に常に気を配りながら程良い距離感を保たれていて、非常に素晴らしいと思います。
総じて、気軽に、リーズナブルに、気持ち良く、こだわりの本格派を頂くことができる素晴らしいお店だと思います。
6位
1回
2015/12訪問 2016/01/01
数多くの有名飲食店が入る「銀座Velvia館」の8階にそのお店はあります。
シェフは言わずと知れた鬼才・小林幸司氏。
経歴は華々しく、また、目まぐるしい変遷を辿ります。
1989年にイタリアに渡り、世界的シェフ、ジャン・フランコ・ヴィッサーニ氏が営むイタリア・ウンブリア州「ヴィッサーニ」でその実力を遺憾なく発揮され、帰国後は一時トラック運転手に転じるも、西麻布「マリーエ」などを経て、2002年、中目黒にて「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」を開店。
素晴らしい料理とサービスに加えて1日1組という贅を尽くしたプレミア空間は大いに話題となりました。
その後は同店を一旦閉店し、2009年、同じ場所にカジュアルな「アンティーカ・トラットリーア・ノスタルジーカ」を展開。
2011年には、軽井沢にて「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」を再スタート。
今度はご自宅兼店舗にて、料理人であり自身の料理の良き理解者でもある奥様と二人三脚でさらなる理想を追求することに。
その後、2015年に「アンティーカ・トラットリーア・ノスタルジーカ」を閉店、「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」も一旦休業して、新たに銀座に開店されたのがこちらの「リストランテ・エッフェ」です。
ついに軽井沢で安住の地を見つけられたのかと思っておりましたが、鬼才が考えられることはどうも高尚過ぎて理解ができません…(笑)。
とにかく今は変化し続けることが必要だということでしょうか。
さて、中目黒より随分と広くなった店内はテーブル席がメインですが、シェフの知人限定というカウンター席もあり、計31席。
白壁塗りの店内は洗練されつつも、木目調の、どこかロッジのような温かい雰囲気で和の要素も感じさせる造り。
今回はランチタイムでの利用でしたが、どのお料理も一皿一皿非常に丁寧に作られている印象。
ちなみに、生まれつき猫舌というイタリア人に合わせて、低温で調理されているようです。
いずれのお皿もチーズや茸のソース等の様々な味・香りが絡み合う複雑かつ重層的な味わいで、普段頂いているイタリアンではなかなかお目にかかれないと感じました。
特に、私の中でのハイライトはシェフが最近よく供されている、野菜に包まれたパスタでした。
コンパクトで美しい盛り付けに加え、ちりめんキャベツの甘苦さ、マスカルポーネの酸味、ポルチーニの薫り高さ、豚ホホ肉の塩漬けのニョッキの歯応え…いずれも強い個性が互いに調和しながらそれぞれの良さを引き出していて、素晴らしい完成度です。
サービスに関しては、ベテランのソムリエが的確なワインセレクトと安定感のある接客でもてなして下さいます。
なお、小林シェフは「エグゼクティブシェフ」という肩書で、基本は常時厨房に入って若いシェフたちの指導をしておられますが、お会計後は笑顔でお見送りして下さいます。
総じて、以前は1日1組という予約困難であった有名シェフのお料理が、より気軽に、よりリーズナブルに頂けるようになったことは非常に喜ばしいことだと思います。
最終的には、軽井沢の「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」でシェフと奥様のお二人で作ったお料理を頂いてみたいとは思っておりますが。
是非、次回はゆっくりとディナーを愉しみたいと思います。
7位
1回
2015/12訪問 2016/01/17
学生時代から利用させて頂いております。
今ではネットや雑誌などで絶賛され、休日は行列ができるほどの超有名店となりましたが、2003年頃まではお客は比較的まばらな印象でした。
初めてわらび餅をオーダーしたとき、女将さんが「先日、来○けいさんがバケツ一杯くらい食べたいと言って帰られました」と仰り、「○栖けいって一体誰だろう」と思ったことを思い出します。
お店は閑静な住宅街裏にひっそりと佇んでおります。
暖簾を潜り、庭石畳を歩むと、ここは改めて京都なのだと実感させられます。
格子戸を開き、靴を脱いで広い畳座敷に案内されると、全面ガラス張りの窓から中庭を眺めることができます。
苔生した地面に美しく刈り込まれた玉物、風情のある蹲や石灯籠等が配され、実に見事なお庭です。
季節によって四季折々の表情が加わるので、何度訪れても飽きることはありません。
ここで供されるのは、いずれも素晴らしいお庭に遜色のない上質な和菓子と飲み物ばかりですが、とりわけ名物「わらび餅」は絶品です。
国産の本わらび粉のみが使用され、オーダーを受けてから作られるというこだわり様です。
1人前は5つで\1,100ですが、5つだとあっという間に平らげられてしまう割には高いというのが最初の印象でしたが、自分なりの味わい方を確立した今では、むしろ安いと感じております。
「自分なりの味わい方」とは、1つのわらび餅を2分程かけて噛み続けるだけなのですが、これで2分×5つ=トータル10分間、変わり行くわらびの味わいを存分に愉しむことができます。
口にした瞬間は本わらび粉の清清しい風味が鼻を抜け、暫くは上質な刺身蒟蒻のような歯応えが堪能できます。
その後、噛めば噛むほど徐々にでんぷんが変質し、甘味が増していきます。
個人的には、黒蜜は敢えて必要ないと思います。
最後は液状に溶けて無くなってゴクリ・・・よろしければ一度お試し頂きたいと思います。
席を立ったり座ったり、庭園を隅から隅まで観賞し、濃いお抹茶も併せてじっくり楽しめば、延べ1時間弱の滞在となります。
お庭の拝観料を\300くらいと考えれば、もっとお得感を実感できますね。
個人的には、夏の夕立のあと、こちらで夕涼みをして帰路に就くのが一番好みです。
私にとって最も居心地の良いと思える茶寮のひとつです。
8位
1回
2016/01訪問 2016/03/12
NHK神戸放送局の北側、神戸ムスリムモスクの道向かいに佇むイタリア料理店です。
イタリア語で「真っ白」を意味する店名の通り、真っ白な壁とテーブルクロスで統一された30席弱の店内は清潔感に溢れ、リストランテの凛とした雰囲気を醸し出しています。
キッチンはシェフ1名、ホールは男性スタッフ1名で担当。
店主でもあるシェフは日本のイタリア料理の草分け的存在、東京の名店「キャンティ 飯倉本店」にて20年間にわたり腕を振るわれたベテラン。
食材を吟味・厳選し、日本人の味覚、日本の風土に合わせて作られたイタリア料理は実に滋味深く、素直な美味しさ。
そこにはキャンティの影響が随所に垣間見えます。
例えば、本家さながらの前菜・デザートのワゴンサービス。
シェフが「好きなものを好きなだけ食べてもらいたい」という心意気で作られる10種類以上の前菜はいずれも手間暇かかったものばかり。
季節の野菜の濃密な味を堪能できるカポナータ、白ワインが進む定番・モッツァレラチーズのフリット、地鶏のカルパッチョ、柿と生ハム…等々バリエーションに富みます。
キャンティのように大箱でスタッフの数も充分であれば話は別ですが、これだけのお料理を毎日お一人で仕込まれているご苦労には頭が下がります。
さらには、パスタメニュー。
スパゲッティ・バジリコはキャンティのスペシャリテ。
まだ日本が貧しかった時代、本場の味を再現しようと、オリーブオイルをバターで、バジルをパセリと大葉で代用し、当時のシェフと川越夫妻が試行錯誤して完成させたという逸品です。
キャンティのレシピそのままに再現された一皿は、一般的なジェノベーゼよりも軽やかな口当たりで、大葉の爽やかな後味が日本人の口に実によく合う、日本で生まれたイタリア料理であることを改めて実感させられます。
そして、デザートのカスタードプディングも本家のお味。
甘さ控えめで重厚感があり、カラメルのほろ苦さにラムレーズンの香りと生クリームの甘味が大変バランス良く合わさった一皿です。
キャンティ・スタイル以外のお料理についても、まるでシェフの思いを体現したかのような素晴らしいお皿の数々が並びますが、とりわけパスタは定番的なものから個性的なものまで幅広く、実にレベルが高いと思います。
夏に供される冷製トマトのカッペリーニは丁寧に下処理されたトマトがパスタによく絡み、ニンニクの香りによってトマト本来の甘味が存分に引き立てられています。
秋から冬にかけて供される栗のパスタは具にも手打ちのパスタにも栗がふんだんに用いられており、仕上げに降りかけられたスライスアーモンドが絶妙のアクセントに。
サービスに関しては、男性スタッフが豊富な知識に裏打ちされた興味深い解説でお料理を盛り立てて下さいます。
シェフのお料理をよく理解されているため、ワインのセレクトも大変的確です。
神戸はよく「イタリア料理不毛の地」などと称され、ミシュランガイドでも星を獲得しているお店はありませんが、このような実直でプロ意識の高いお店にスポットが当たらないことが不思議でなりません。
今後も末永く高い志を持って素晴らしいお料理を提供して頂きたいと思います。
9位
1回
2016/02訪問 2016/02/19
ソフィア・コッポラの映画「Lost in Translation」にも登場した、代官山・猿楽橋近くのお鮨屋さんです。
ちなみに大将はこの映画をまだ一度も見たことがないようです(笑)。
外からは、なかの様子を窺い知ることが難しく、一見、敷居が高く、入りにくい印象を受けますが、決してそんなことはありません。
暖簾を潜ると大将と若い職人さんが威勢よく「いらっしゃい」とお声を掛けて下さいます。
店内は想像以上に広く、2箇所に分かれたカウンターに加え、テーブル席もあります。
お昼は非常にリーズナブルなお値段で、豊富なネタを提供して下さいます。
私はいつも1.5人前\1,500(付き出し、味噌汁付)をオーダーしますが、それでも飽き足りず単品で一貫ずつ好きなものを握って頂きます。
カウンター席では瑞々しい笹の葉の上に、大将が小気味良くネタを次々と握って下さいます。
笹の葉の上にずらりと並べられた鮨は宝石箱のような美しさを呈しています。
内容は毎日の仕入れによって変えていらっしゃるようなので、今日は何が出てくるのだろうという楽しみもあります。
丁度良い上品な大きさに切られネタ、人肌並みの温かさで少し緩めのシャリはかなり私好みです。
また、大将のネタ選びと味付けのセンスも光ります。
例えば、夏場だと、酢の締め具合が絶妙な新子。キスは昆布で絞め、スダチを搾って頂きます。
冬場だと、寒鰤の最高に脂が乗った部分を数日間熟成させて。肝にタレとスダチを少々効かせたカワハギも絶品。
大将にその日のおすすめを伺いながら、握ってもらうのが良いでしょう。
接客も気持ち良いですし、美味しい鮨が食べたいと思ったら、必ず頭の中で候補のひとつに挙がるお気に入りのお店です。
10位
1回
2015/11訪問 2016/01/19
神戸ポートピアホテルの名店「アラン・シャペル」が閉店した跡に入るホテル・グランメゾンです。
「トランテアン」とはフランス語で「31」を意味し、神戸ポートピアホテルの「31」周年に当たる2012年、同ホテルの「31」階にオープンしたことから命名されたとのこと。
フランス・リヨンの二つ星レストラン「ラ メール ブラジィエ」との世界初の提携店でもあります。
ラ メール ブラジィエの栄光の歴史を彩るシェフやお料理の写真が掲額された、やや動線の長いエントランスを進むと、メートルドテルがお出迎え。
左手には、西は須磨から東は宝塚まで、56㎞にもわたる六甲連山の山並みを背景に眩く煌く市街地のパノラマビューを眺めることができるウェイティングスペースが設けられています。
ウェイティングスペースをさらに進めば、左手には先ほどのパノラマビューをより贅沢に眺めることができる個室が、右手には神戸マリンエアを奥にしたオーシャンビューを眺めることができるメインダイニングがあり、ともに瀟洒で素晴らしい空間です。
木の温もりを感じさせられた重厚なアランシャペルの店内とは異なり、ホワイトを基調にした店内は現代的でスタイリッシュ。
ラベンダーやシルバーグレイ、鈍色のような寒色の中に所々にボルドーが配された特徴的な床のタイルも、どこか都会的な雰囲気を演出しています。
今回は2015年冬のディナータイムに頂いた、ラ メール ブラジィエのオーナーシェフのスペシャリテ「メニュー デギュスタシオン」(¥16,200)をご紹介したいと思います。
クリスピーなものとサラダ仕立てのもの、2皿のアミューズブーシュからスタートし、
・前菜1皿目…甲殻類のジュレにのせたマグロのマリネとウニ、カラスミ、彩り野菜
・前菜2皿目…ウフ・アラ・コックとトリュフのピューレ、茸のクリーム カプチーノ仕立て
・パン…カンパーニュ
・バター…海藻入りと有塩の2種類
・魚料理…旬魚のヴァプールとアンドゥイユ、ポロ葱のフォンデュ、そば粉のガレット キャビア添え
・肉料理…山ウズラのグリエ ジャワペッパーの香るジュ、腿肉のコンフィと柔らかい根セロリ
・チーズ盛り合わせ
・アヴァンデセール…特製マドレーヌ
・デセール…レグリスとカシス、チョコレートのパルフェ
・紅茶
と続きました。
前菜、定番的なウフ・アラ・コックとセップ茸のカプチーノはともにトーストをディップしして頂きます。
それぞれにピューレ、エマンセ、アッシェと異なる調理を施されたトリュフが用いられ、飽きることなくトリュフの薫り高さを堪能できる一皿に仕上げられています。
肉料理、山ウズラのグリエは胸肉と腿肉に内臓のパテが添えられます。
確かに濃厚なジュが良く馴染む淡白な胸肉も美味ですが、ジビエのより野生的な味わいが堪能できる腿肉の方が好みでした。
フルコースのため、前半の軽やかな立ち上がりにもかかわらず、チーズ盛り合わせの頃には満腹に近い状態になりましたが、全体的にバターや生クリームは控え目、素材本来の持ち味を活かし、ジュを効果的に用いたメニュー構成はモダンクラシックという言葉がぴったりと当てはまるお料理だと思いました。
サービスについては、さすがホテル・グランメゾンと思わせる、実に丁寧かつスマートな接客。
付かず離れずの心地良い間合いで、給仕等のタイミングもしっかりこちらに合わせて下さいました。
料理、サービス、ハコ…いずれも神戸では高いレベルに位置し、いかにもミシュランガイドが好みそうなグランメゾンだと思いますが、2015年秋に発売された『兵庫2016特別版』まで一度も掲載はなし。
シェフが交代されたことも影響したのでしょうか、引き続き今後に注目したいと思います。
地下鉄・県庁前駅から徒歩10分程、マンションの地下1階に静かに佇む日本料理店です。
玄関前に掲額される屋号を記した一枚板は相国寺の高僧によってしたためられたもの。
暖簾を潜ると、木々の温かみを感じさせられる、明るく清潔感に溢れた空間が広がります。
BGMがない静寂の中、うっすらと香木の香りが立ち込めるとともに、大きな禅の書や侘び寂びを感じさせる生花が凛とした雰囲気を醸し出しています。
お料理は、お昼が¥2,100の松花堂弁当がメニューから外れ、¥3,500、¥6,000、¥9,000の3本、夜は¥6,000、¥9,000、¥12,000の3本のコースです。
個人的には、¥9,000のコースがお勧めです。
始めに高下駄を履いた店主が自ら先付とともに食前酒を注ぎに来て下さり、食事がスタート。
その後、煮物椀、お造り、八寸、焼物、焚合、御飯、水物、お抹茶に和菓子と続きます。
ハイライトが沢山あり過ぎ困りますが、まずは煮物椀、焚合で堪能することができる出汁の美味さでしょう。
鰹、昆布、水にこだわり抜き、まさに至高の旨味です。
周りには「薄い」、「旨味を感じない」という方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。
確かに日常生活で濃い味付けに慣れてしまっていると、ファーストインプレッションはそうかもしれません。
しかし、侘び寂びを体現する究極にシンプルなコースを頂くうち、この凛とした雰囲気も相まって、感覚が研ぎ澄まされ、この出汁が身体に浸み渡るかのような深い旨味を持ち合わせていることを認識されることでしょう。
お造り、焼物に用いられる魚介の新鮮さも素晴らしいです。
おそらく神戸の和食店では一番ではないかと唸ってしまうほどのクオリティを感じさせます。
鰆に甘海老、松葉蟹、クエ、鮑など、季節によって出会える面々が大きく変わることも楽しみの一つです。
そして、八寸。
究極のシンプルさの中で、唯一華やかさを持ち合わせています。
トマトや枝豆、柿に栗、山桃、白子、牡蠣など、こちらも四季折々の食材を使用。
見た目の美しさとともに、「クリームチーズの茗荷巻」、「柿の赤ワイン煮」など創作的な一品もあり、実に楽しい一皿です。
さらには、御飯。
店主の地元・新潟県から取り寄せるという白米は米一粒一粒が立ち、ふっくらとしていて甘味も豊か。
自家製の塩が効いた沢庵や酸っぱい梅干とともに食せば、甘味の存在感がより一層増します。
これほどまでに白米が美味しいと感じたのは、神戸ではこちらともう一店のみです。
〆の和菓子もまた絶品です。
山芋や栗、葛切など、旬の食材を用い、全て手作りのデザートです。
確かに老舗の銘菓も美味しいですが、このようなコースの流れの中で食す、ライブ感のあるお菓子が私は大好きです。
素材の持ち味を重視した、甘さ控え目のお味は、お抹茶とともに心地良い食後感を提供してくれることでしょう。
最後に、お酒の種類の豊富さも特筆すべきです。
日本全国の蔵元から様々な日本酒と焼酎を取り寄せていらっしゃり、全体的に辛口が主流。
店主はお酒に精通しておられ、尋ねれば、その日のお料理に合うものを提案してくださいます。
個人的には奥丹波の日本酒「野条穂」が好み、自家製梅酒も試してみる価値ありです。
総じて、お料理、空間演出に至るまで、店主が求める茶の湯、侘び寂びの精神が全てに抜かりなく体現されたお店だと思います。
お料理は、悪く言えば「地味」ですが、完璧なまでに無駄なものを削ぎ落とした究極なまでのシンプルさが特長。
店主自らが四季折々の食材と一期一会の精神で向き合い、確かな技術で仕上げられたお料理は、孤高の域に達していると言っても過言ではありません。
ミシュランガイドやグルメ雑誌、食べログも含むグルメサイトでは、若手料理人がつくる、豪華さと華やかさ、勢いを持ち合わせた、見て「あっ」と驚くような、分かりやすいお料理が評価されていますが、食材の美味さを心から感謝して味わうことができるのは、このようなお料理でないかと思います。
諏訪山の麓という極めて不便な立地ですが、今後も末永く、野草のサンカヨウの如く、この地でひっそりと素晴らしいお料理を提供して頂ければと思います。